ポーランド映画祭2023は11⽉24⽇(金)~30⽇(木)にYEBISU GARDEN CINEMAで開催!
コロナ禍のため規模を縮⼩していたポーランド映画祭。12回⽬を迎える2023年、3年ぶりにポーランドからゲストを迎えて11⽉24⽇(⾦)〜30⽇(木)までの7⽇間、YEBISU GARDEN CIMEAにて開催されます。
ヴェネチア・ベルリン・カンヌの世界三大映画祭でそれぞれ賞を獲得し、2022年には『EO イーオー』を発表したポーランド映画界を代表する監督イエジー・スコリモフスキや、2015年の『ゆれる⼈⿂』で注目された女性監督アグニェシュカ・スモチンスカなどの来日が決定!
本記事ではポーランド映画祭2023の詳細と、上映される12作品の各作品情報をご紹介いたします。
CONTENTS
「ポーランド映画祭2023」とは?×来日ゲスト情報
イエジー・スコリモフスキ監督
今回のポーランド映画祭2023に来場するのは、本映画祭の監修者であり、⽇本初上映となる短編『ホームシック』をはじめ4本の監督作を特集するポーランド映画界の名匠イエジー・スコリモフスキ。
そして、2015年の『ゆれる⼈⿂』で⼈気を博し、衝撃の実話を基にした新作『サイレント・ツインズ』が世界中で話題となっている⼥性監督アグニェシュカ・スモチンスカです。
アグニェシュカ・スモチンスカ監督
さらに、『戦場のピアニスト』や『聖なる犯罪者』の製作に関わったアネタ・ヒッキンボサムが2022年にプロデュースした『シュブク』を紹介する他、国内外から多彩なゲストが結集して映画祭を盛り上げます。
ポーランドを舞台にした名作からポーランドの今を描いた意欲作まで全12作品が上映される本映画祭。監督やプロデューサーに直接話を聞ける貴重な機会です。
「ポーランド映画祭2023」⽇本初上映作品
『サイレント・ツインズ』
【原題】
The Silent Twins
【監督】
アグニェシュカ・スモチンスカ
【作品概要】
イギリスに住むジューン&ジェニファー・ギボンズは、空想に耽って物語を作ることが大好きな双子の女の子。彼女たちは二人の間でしか会話を交わすことなく、子供部屋に自分たちだけの楽園を築いた……。
1960年代に産まれた「沈黙の双子」と呼ばれる一卵性双生児の衝撃の実話を基にした、震えるような青春ストーリー。原作はマージョリー・ウォレス『増補決定版沈黙の闘いもの言わぬ双子の少女の物語』(大和書房刊)。
『彼⼥たちの⼈⽣』
【原題】
Święto ognia
【監督】
キンガ・デンプスカ
【作品概要】
脳性麻を患うナストカは、優しい父やバレリーナの姉ウツィアに支えられ、バルコニーから外の景色や通りゆく人々を観察して毎日を過ごしている。バレエ団に所属するウツィアは子どもの頃からの夢を叶え、ついに主役の座を射止めるのだが、ある日事件が起こり……。
思うように体を動かすことができない妹と、自らの肉体の限界に挑もうとする姉。姉妹と家族が向き合う日々を柔らかく、時にユーモアたっぷりに描く。『ソハの地下水道』(2011)『ゆれる⼈⿂』のキンガ・プレイスがチャーミングな隣人役を好演する。
『シュブク』
【原題】
Śubuk
【監督】
ヤツェク・ルシンスキ
【作品概要】
望まぬ子を授かったマリシャ。しかもその息子クバが自閉症と分かり打ちひしがれるものの、クバのために全てを捧げることを決意した彼女は、教育の改善を目指して奔走する。
周囲の人々の偏見や無理解から息子を守り抜き、社会のシステムまで変えたひとりのシングルマザーを描いた感動の実話。
主演は『私、オルガ・ヘプナロヴァー』(2016)のマウゴジャタ・ゴロル。視覚障害者の苦悩を描いだ「Carte Blanche(原題)」(2015)で国際的な評価を得たヤツェク・ルシンスキが監督を務めた。
『バルコニー映画』
【原題】
Film balkonowy
【監督】
パヴェウ・ウォジンスキ
【作品概要】
2020年度のポーランド映画祭にて紹介されたドキュメンタリー作家マルツェル・ウォジンスキの息子であるパヴェウ・ウォジンスキが制作したドキュメンタリー作品。
バルコニーからカメラを持って通り過ぎる人々を眺め、声をかけ、質問し、彼らが人生とどう向き合っているかを2年以上をかけて撮影した本作は、老若男女、隣人、携帯に釘付けの人、様々な人の想像を超える人生を映し出す。
深い洞察力を得るためには、立ち止まるだけで十分なのかもしれないと感じさせる映画。
『⽉への⽚道切符』
【原題】
Bilet na Księżyc
【監督】
ヤツェク・ブロムスキ
【作品概要】
高校を卒業してすぐに徴兵されたアダムは、兄のアントニとともに鉄道でバルト海沿岸の海軍基地へと向かう。兵役に就く前に、弟に色々な経験をさせようと目論むアントニの思惑によって二人の旅は寄り道ばかりに……。
人類が初の月面着陸に成功した1969年のポーランドを舞台に、ある兄弟の波乱万丈な旅をノスタルジックに描いたロードムービー。監督は2019年度のポーランド映画祭で上映された『ソリッド・ゴールド』(2019)も好評だったヤツェク・ブロムスキ。
特集「スコリモフスキの世界」上映作品
『バリエラ デジタルリマスター版』
【原題】
Bariera
【監督】
イエジー・スコリモフスキ
【作品概要】
とある大学の寮で、男子学生たちが奇妙なゲームに興じている。ゲームに勝利し賞金を手にした学生は、新たな生き方を見出すべく旅に出る。やがて彼は、路面電車の運転士をしている若い女性と出会い、一緒に行動するようになるが……。
スコリモフスキ監督が1966年に手がけた長編第3作。戦後ポーランド社会における世代間の障壁(バリエラ)を信じがたいほどに美しいモノクロ映像、意表をついた画面構成など、詩的かつ超現実的な映像で描き出したカルト的な作品。スコリモフスキ監督の名を一躍世界に轟かせた1本でもある。
『イレブン・ミニッツ』
【原題】
11 minut
【監督】
イエジー・スコリモフスキ
【作品概要】
首都ワルシャワを舞台に、17時00分から17時11分までの「11分間」に起こる出来事を複数の視点からモザイク状に描き出した、スコリモフスキ美学の最高峰とも言うべき作品。
ホテルの一室でオーディションを受ける女優、異様に嫉妬深い女優の夫、さらには見ず知らずの人たちに起こるドラマが華麗な映像美で綴られ、衝撃のラストへとなだれ込む様はまさに圧巻の一言。監督の愛犬ブッフォンの名演技にも注目。
第72回ヴェネチア国際映画祭・コンペティション部門選出。
『ホームシック(短編)』
【原題】
To nie my
【監督】
イエジー・スコリモフスキ
【作品概要】
HBOポーランドの企画でW-DOMU(at home)と題し16人の映画監督がコロナ渦に14のショートフィルムを撮影した。コロナ渦、イタリアにいたスコリモフスキが撮ったこの短編の美しさに観る者は衝撃を受けるだろう。
スコリモフスキ監督は本作について「コロナが始まった時、私は新作の準備中でイタリアにいた、それによって私はイタリアの悲劇とヒロイズムの目撃者となり、シチリアの春の輝きに胸を打たれた。時間はしばらく止まったが、その時間も、ここではまた別の次元があるようだ。この映画で、シチリアの懐の深さに感謝を捧げたい」と言葉を寄せている。
『EO イーオー』
【原題】
IO
【監督】
イエジー・スコリモフスキ
【作品概要】
第95回アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされ、2023年には日本でも劇場公開された本作の主演は、ロバ。
動物活動家のグループによってサーカス団から連れ去られたロバのイーオーは、その後も人間に仕え続け、様々な冒険を経験していく。一体“彼”に世界はどう見えるのだろうか……。
ロベール・ブレッソン監督『バルタザールどこへ行く』(1964)にオマージュを捧げ、独自の視点から混沌とした人間社会を描き出したスコリモフスキ監督は、製作当時84歳にして映画表現の新たな地平を鮮烈に切り開いた。
「ポーランド映画祭2023」アンコール上映作品
『ゆれる⼈⿂』
【原題】
Córki dancingu
【監督】
アグニェシュカ・スモチンスカ
【作品概要】
2016年のサンダンス映画祭・ワールドシネマコンペティションドラマ部門審査員特別賞をはじめ、各国の映画祭で受賞を果たしたアグニェシュカ・スモチンスカ監督の長編デビュー作。
舞台はキッチュなネオンが煌めく、80年代風のワルシャワのナイトクラブ。海からやってきた対照的な性格の人魚の姉妹を主人公にアンデルセンの童話『人魚姫』を大胆にアレンジし、血なまぐさい宿命を背負った少女二人が揺れ動く姿を妖美に描き上げる。
繊細な美貌の人魚たちとミスマッチな、おどろおどろしい存在感を放つ尾ひれをはじめ、そのビジュアルも話題になった。
『エチオピーク ⾳楽探求の旅』
【原題】
Ethiopiques: Muzyka duszy
【監督】
マチェイ・ボシュニャク
【作品概要】
『COLD WAR あの歌、2つの心』(20189の主演女優ヨアンナ・クーリクの夫でもあるポーランド人監督マチェイ・ボフニャックのドキュメンタリー。
独特なリズム、音階を持つエチオピアの大衆音楽。1960年代後半から1970年代半ばまでの短い間、大いに盛り上がるものの、その後の軍事政権下では抑圧の対象となった。
しかし1990年代、フランス人音楽プロデューサーのフランシス・ファルセトによって、ユニークな音楽が世界的に脚光を浴びていく過程が丹念に描かれる。
「ポーランド映画祭2023」スペシャル・プレミア作品
『戦場のピアニスト 4Kデジタルリマスター版』
【原題】
Pianista
【監督】
ロマン・ポランスキー
【作品概要】
ドイツ軍の侵攻によって平穏な日常を奪われ、愛する家族を失い、たったひとりで戦場を彷徨う若きユダヤ人ピアニストを描いた不朽の名作を、ワルシャワ・ゲットー蜂起80年を記念して初の4Kデジタルリマスター版を上映。
希望を失わないピアニストの気高い姿。敵味方を超えて魂の触れ合う瞬間。様々な名シーンが美しい映像で甦る。自らも幼い頃ゲットーで過ごし、母を収容所で亡くしたポランスキーにしか描けない、リアルで壮絶な場面の連続に鳴り響くショパンの旋律の悲しさに心を震わされる。
アカデミー賞主演男優賞を史上最年少で獲得したエイドリアン・ブロディが主演を務めた本作は、当時のアカデミー賞主要3部門、カンヌ国際映画祭パルムドールなどを受賞。
2023年12月1日より劇場公開予定。
まとめ
7日間をかけて、映画大国ポーランドから選りすぐりの映画をお届けする「ポーランド映画祭2023」。
ポーランドを舞台にした名作から、ポーランドの今を描いた意欲作まで全12作品が上映される他、作品を手がけた監督やプロデューサーに直接話を聞ける貴重な機会です。
上映スケジュール・トークイベントなどの詳細は、ポーランド映画祭公式HPからご覧ください。
ポーランド映画祭2023は11⽉24⽇(金)~30⽇(木)にYEBISU GARDEN CINEMAで開催!