特集上映『ピエール・エテックス レトロスペクティブ』が2022年12月24日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国にて順次開催!
ジャック・タチ作品に大きな貢献を果たし、映画監督や俳優として活躍したフランスの才人ピエール・エテックス。
映画監督、俳優、イラストレーター、道化師……数え尽くせぬ顔をもつフランスのマルチアーティストの特集上映『ピエール・エテックス レトロスペクティブ』が、2022年12月24日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国にて順次開催されます。
フランソワ・トリュフォーに「『ヨーヨー』はすべてのショット、アイデアが好きな美しい映画」、ロベール・ブレッソンに「彼は本当に稀有な存在だ」と絶賛されたピエール・エテックス。今回上映される7作のうち『恋する男』を除く6作が、日本では劇場正式初公開となります。
このたび、上映される長編4作品の個別ポスタービジュアルと著名人からのコメントが解禁となりましたのでご紹介いたします。
特集上映「ピエール・エテックス レトロスペクティブ」とは?
イラストレーターとして活躍していた二十代半ばにジャック・タチと出会い、『ぼくの伯父さん』(1958)の助監督として映画界に参入したピエール・エテックス。ムッシュ・ユロを象徴する印象的なシルエットを生み出したポスターのイラストを描いたことでも有名です。
その後、タチを通じて知り合ったジャン=クロード・カリエールと共に映画制作を開始(カリエールは、その後ルイス・ブニュエル『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』(1972)など数多くの作品を手がける名脚本家となる)。
短編2作目『幸福な結婚記念日』で米アカデミー賞最優秀短編実写映画賞を受賞し、長編1作目『恋する男』がフランスで大ヒット、往年の喜劇を彷彿とさせる作品群は広く受け入れられました。
一方エテックスは俳優としてのキャリアも長く、ロベール・ブレッソン『スリ』(1959)からアキ・カウリスマキ『ル・アーヴルの靴みがき』(2012)、オタール・イオセリアーニ『皆さま、ごきげんよう』(2016)に出演するなど、晩年まで活躍しました。
本特集では、ルイ・デリュック賞受賞作『恋する男』。トリュフォーが絶賛し、ゴダールがその年のベストテンに選出した代表作『ヨーヨー』。4編のオムニバス・コメディ『健康でさえあれば』。中年男性の恋と妄想を夢幻的に描く初のカラー長編『大恋愛』の長編4作にくわえ、『破局』、アカデミー賞受賞作『幸福な結婚記念日』、『絶好調』の短編3作の計7作を上映。
これらの作品は、フランスの権利問題が理由で長く劇場で上映されず、またソフト化もされていなかったもので、ジャン=リュック・ゴダールやレオス・カラックスなどの映画人を含む5万人以上の署名活動によって、2010年に世界各国で再び上映することが可能になりました。
このたび解禁となった長編4作品の個別ポスタービジュアルは、11月23日に94回目を迎えるエテックスの生誕日を祝し、日本オリジナルで制作したもの。作品それぞれの世界観を根幹に据えながら、エテックスらしい遊び心にあふれたビジュアルとなっています。
著名人コメントも到着!(順不同)
映画『ヨーヨー』新ポスタービジュアル
新規ポスタービジュアルの解禁に併せ、本作に寄せられた数多くの著名人からのコメントをご紹介します。
大九明子(映画監督)/『ヨーヨー』
一つの映画でサイレントとトーキーを描き分けるとか!これ思いついた時、さぞわくわくしたことでしょう。ピエール・エテックスは全ての瞬間を遊び尽くしているから、こちらも1フレームたりとも目が離せませんでした。
網中いづる(イラストレーター)/『ヨーヨー』
クスクスと笑えるユニークな人物の描写や仕掛け、少し切なくノスタルジーに満ちた映像。豪華な邸宅やサーカスなどどこで切り取ってもそのまま絵になる構図にうっとりする。「こんな美しい絵を描きたい」と強く思えた最高の作品だった。
小谷実由(モデル)
映画『恋する男』新ポスタービジュアル
どんな人でもニヤリとしてしまいそうな瞬間が溢れるコミカルな世界。でも、流れる時間はなんて優雅なのでしょう。ケラケラと笑っていたと思えば、うっとりため息が出てしまう。ピエール・エテックス、罪な男です。
真舘晴子(ミュージシャン/The Wisely Brothers)
映画『健康でさえあれば』新ポスタービジュアル
「手のつかい方」が素敵だ。彼の身体の動き、映像の表現には人間の人生への愛がある。もし私がそれに迷ったとき、ジャック・タチとピエール・エテックス、二人のことを思い出すだろう。
山崎まどか(コラムニスト)
映画『大恋愛』新ポスタービジュアル
ボーラーハットの似合うエテックス、まるでムッシュ・ユロのハンサムな甥っ子みたい。彼が不器用に重ねる失敗がエレガントなドミノ倒しになっていく様子、永遠に見ていられる。
映画『ピエール・エテックス レトロスペクティブ』の上映作品
『恋する男』(LE SOUPIRANT/1962)
天文学の研究に没頭してばかりの不器用な三十男。ある日両親に結婚を命じられ、伴侶となる女性を探しに街に繰り出すが、トホホな出来事の連続。
しまいには、テレビに映るスーパースターの歌手・ステラに心を奪われてしまい、なんとかして彼女と結婚するために奔走する……。
『ヨーヨー』(YOYO/1964)
世界恐慌で破産した大富豪は、サーカス団の女性曲馬師と、彼女との間にかつてもうけた幼い息子とともに、地方巡業で暮らしを立てることに。
やがてサーカス界で成功をおさめた息子はヨーヨーという人気クラウンになる。時代が大きく変わる中、ヨーヨーはかつて父が所有していた城を取り戻そうと躍起になるが……。
『健康でさえあれば』(TANT QU’ON A LA SANTÉ/1965)
なかなか寝付けない男の一夜を描いた《不眠症》。
映画館にいたはずが、幕間に流れるCMのおかしな世界へ入り込んでしまう《シネマトグラフ》。
近代化が進む都市で人々が受ける弊害をシュールに描いた《健康でさえあれば》。
都会の夫婦・下手くそハンター・偏屈な農夫が織りなす田園バーレスク《もう森へなんか行かない》の4編からなるオムニバス・コメディ。
『大恋愛』(LE GRAND AMOUR/1968)
工場を営む実業家の一人娘と結婚した男。義父から仕事を任され、夫婦仲も良好ながら、どこか満たされない退屈な日々を送っていた。
そんなある日、若く美しい秘書が現れ、どうしようもなく惹かれてしまい……。
『破局』(RUPTURE/1961)
恋人から手紙を受け取った男。中には破かれた自分の写真が同封されていた!
こちらも負けじと別れの手紙を書こうと奮闘するが、万年筆、インク、便箋、切手、デスク……なぜか翻弄されてどうしても返事を書くことができない。
『幸福な結婚記念日』(HEUREUX ANNIVERSAIRE/1961)
ある夫婦の結婚記念日。
妻の用意するディナーに間に合うよう、プレゼントやワインを買い込み家路を急ぐ夫。しかし、パリの交通渋滞やその他の問題に巻き込まれ一向に辿り着けない。
果たして、幸せな記念日にすることができるのか?
『絶好調』(EN PLEINE FORM/1965)
田舎でソロキャンプをする青年。しかし、警官に管理の行き届いたキャンプ場に行くように言われてしまう。
そこは有刺鉄線で囲われた、まるで強制収容所(キャンプ)で……。
まとめ
ジャン=リュック・ゴダールやレオス・カラックス、フランソワ・トリュフォーら数々のフランスの巨匠たちに愛されたピエール・エテックス。
映画監督・俳優・道化師・手品師・イラストレーター・作家・音楽家という数多くの肩書を持つ才人・エテックスの生み出した珠玉の名作たちがこのたび日本で公開されます。ぜひこの機会に作品をご覧になってください。
フランスの才人ピエール・エテックスの特集上映『ピエール・エテックス レトロスペクティブ』は2022年12月24日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国にて順次開催です!