台湾、香港、中国の社会運動を通して見つけた“私たち”の青春と挫折、未来への記録。
ひまわり運動のリーダー陳為廷(チェン・ウェイティン)、中国人留学生で台湾の社会運動に参加する蔡博芸(ツァイ・ボーイー)。
この魅力的な二人の大学生との出会いによって誕生したドキュメンタリー映画『私たちの青春、台湾』。
台湾アカデミー賞こと金馬奨最優秀ドキュメンタリー賞受賞した、ドキュメンタリー映画『私たちの青春、台湾』が、2020年10月31日(土)よりポレポレ東中野ほか全国順次公開することが決定しました。
ひまわり運動とは
2014年3月17日、国民党がサービス貿易協定をわずか30秒で強行採決しました。
翌18日、これに反対した学生たちが立法院(国会)に突入し、23日間にわたって占拠。
占拠直後から多くの台湾世論の支持を集め、与党側は審議のやり直しと、中台交渉を外部から監督する条例を制定する要求を受け入れました。
議場に飾られたひまわりの花がシンボルとなり、この一連の抗議活動を「ひまわり運動」と呼ばれています。
ひまわり運動は一定の成果を残し、同年11月の統一地方選挙での国民党大敗を導き、台湾政治の地殻変動を引き起こしました。
翌年にはひまわり運動を起こした若者らが中心となり、政党・時代力量が設立されました。
ひまわり運動は、近年の台湾アイデンティティの興隆を象徴する出来事となりました。
映画『私たちの青春、台湾』について
アジア初の同姓婚法制化、蔡英文総統の歴史的再選、女性議員がアジアトップ水準の4割を占め、世界も注目した新型コロナ対策などで関心を集める台湾。
金馬奨授賞式で傅楡(フー・ユー)監督が涙を流しながら、「いつか台湾が“真の独立した存在”として認められることが、台湾人として最大の願いだ」とスピーチをしたことは大きなニュースとなりました。
ひまわり運動は、23日間の及ぶ立法院占拠、統率の取れた組織力、全世界に向けたメディア戦略と、まれにみる“成功”をおさめたといわれています。
しかし立法院内では、一部の指導者たちによる決議に対する不満など、理想の“民主主義”の困難さに直面し、多くの課題を残していました。
香港特別行政区政府に抗議をするデモ活動をした雨傘運動前の黄之鋒(ジョシュア・ウォン)、周庭(アグネス・チョウ)との交流など、カメラは台湾、香港、中国の直面する問題、海を越えた相互理解の困難さ、民主主義の持つ一種の残酷さを映し出していきます。
台湾という息吹の中で、ともに未来を描き、迷い、空っぽになり、ともに理想を求めもがく、“私たちの青春”の物語は、何を問いかけてくるのでしょうか…。
映画『私たちの青春、台湾』の作品情報
【日本公開】
2020年(台湾映画)
【原題】
我們的青春,在台灣(Our Youth In Taiwan)
【監督】
傅楡(フー・ユー)
【キャスト】
陳為廷(チェン・ウェイティン)、蔡博芸(ツァイ・ボーイー)
映画『私たちの青春、台湾』のあらすじ
台湾学生運動の中心人物・陳為廷(チェン・ウェイティン)、台湾の社会運動に参加する人気ブロガーの中国人留学生・蔡博芸(ツァイ・ボーイー)。
やがて為廷は林飛帆(リン・フェイファン)と共に立法院に突入し、ひまわり運動のリーダーになりました。
“民主”が台湾でどのように行われているのか伝えたいと博芸が書いたブログは、書籍化され大陸でも刊行される人気ぶりです。
彼らが最前線に突き進むのを見ながら、「社会運動が世界を変えるかもしれない」という期待が、「私」の胸いっぱいに広がっていました。
しかし彼らが参加するひまわり運動は、次第に失速していきます。
ひまわり運動を経て、立法院補欠選挙に出馬した為廷は過去のスキャンダルで撤退を表明。
大学自治会選に出馬した博芸は、国籍を理由に不当な扱いを受け、正当な選挙すら出来ずに敗北します。
それは監督である「私」が求めていた未来ではありませんでしたが、その失意は私自身が自己と向き合うきっかけとなっていきます…。
まとめ
映画公開にあわせて、傅楡監督の人生と台湾の民主化の歩みを書いた「わたしの青春、台湾」(五月書房新社)邦訳版が、2020年10月23日に発売が決定しました。
また、台湾出身の直木賞受賞作家の東山彰良氏からは、以下のようなコメントが寄せらています。
突き進む者と、それを記録する者。その裏側にある個人的な憂鬱と後悔。
それでもなにかを正したいと願う若者たちの想いは、こんなにも純真でまぶしい。
社会運動に参加する若者二人と傅楡監督が台湾、香港、中国で見つけた“私たち”の未来の記録を是非ともスクリーンでご覧ください。
ドキュメンタリー映画『私たちの青春、台湾』は、2020年10月31日(土)よりポレポレ東中野ほか全国順次ロードショーです。