日常が、人を殺す。
それでも僕らは、誰も殺したくない。
2025年7月5日(土)池袋シネマ・ロサで劇場公開される、遠上恵未監督作『平坦な戦場で』。
恋人として平穏な日常を送っていたはずの高校生の男女が、思わぬ形で性的搾取と遭遇する物語を通じて、属性への偏見や経済格差が蔓延する社会と、それらがもたらす人間の孤独と苦悩を綴ります。
(C)2023/遠上恵未
W主演を務めたのは『犬も食わねどチャーリーは笑う』『春の結晶』に出演し、本作でカナザワ映画祭2023「期待の新人監督」期待の新人俳優賞を受賞した櫻井成美と、『ドクター・デスの遺産』『脳天パラダイス』などで知られる野村陽介です。
このたび、映画『平坦な戦場で』の特報が解禁されたほか、現代美術家の岡田裕子、映画監督・脚本家・俳優の佐藤佐吉、ミニシアター「シネマスコーレ」支配人の坪井篤史らの応援コメントが到着しました。
CONTENTS
映画『平坦な戦場で』とは?
映画『平坦な戦場で』特報
第24回TAMA NEW WAVE コンペティション部門で入選、うえだ城下町映画祭 第21回自主制作映画コンテストで大賞を獲得した映画『平坦な戦場で』。
遠上恵未監督は、“若い女性”という社会に押し付けられる属性に囚われる24歳当時の自己と向き合った『遠上恵未(24)』がぴあフィルムフェスティバル PFFアワード2020で入選。
初の長編監督作である本作では、男性自身もまた押し付けられる性の属性をはじめ、人間を孤独へと追い詰める現代の日常をより多面的かつ切実に描き出しました。
W主演を務めたのは『犬も食わねどチャーリーは笑う』『春の結晶』に出演し、本作でカナザワ映画祭2023「期待の新人監督」期待の新人俳優賞を受賞した櫻井成美。
そして、『ドクター・デスの遺産』『脳天パラダイス』に出演し、ぴあフィルムフェスティバル PFFアワード2020で審査員特別賞を受賞した『未亡人』など自身も自主映画を監督する野村陽介。それぞれの心の痛みに苛まれながらも、共に“生き延びる”方法を模索する主人公たちを繊細に演じました。
このたび解禁された特報では、登場人物たちが日常の中で他者から振るわれる、あるいは他者へ振るってしまう《普通の絶望》の暴力が静かに綴られ、本作キャッチコピーの一節「日常が、人が殺す」の意味が垣間見えてきます。
また2025年7月5日(土)に封切り公開を迎える池袋シネマ・ロサのほか、大阪・シアターセブンでの2025年7月26日(土)からの公開が決定。さらに愛知・シネマスコーレでも順次公開予定と、確実に劇場公開の波が広がりつつあります。
映画『平坦な戦場で』第2弾応援コメント(敬称略・順不同)
(C)2023/遠上恵未
岡田裕子(現代美術家)
ウィリアム・ギブスンの詩の断片を思わせる “平坦な戦場で”、これは漫画「リバーズ・エッジ」(岡崎京子)でも引用された言葉だ。1990年代の岡崎の作品は、窒息しそうな若者の空気感を音楽と色で彩った。だが2020年代を映す遠上恵未監督の平坦な戦場は、それは空気もない宇宙のように静かだ。登場人物は苦しみの中、鳴けないウサギのように静かで、平地がゆえに隠れる場所もない。途方に暮れるほど平らな静けさの中、抜身のナイフのような緊張感と共に、いつしかわたしも愛を探していた。これはドラマではなくて映画。映画とはこういうものだったなと思い出させてくれた。
佐藤佐吉(映画監督・脚本家・俳優)
(C)2023/遠上恵未
『平坦な戦場で』は特別な出来事を描くわけではない。けれどもそこに映し出される光景は心をかき乱す。
すぐ隣にある違和感や息苦しさ、多くの人が気づかぬふりをしているその揺らぎをカメラは捉える。
櫻井成美と野村陽介は感情を押し出すでもなく感傷に流れるでもなくただその場に『いる』。
彼らの佇まいこそがこの作品の説得力になっている。
遠上恵未監督も登場人物たちの揺らぎに静かに寄り添う。その距離感はむしろ深い関心の裏返しだ。
この映画は誰かの物語ではなく観客自身の経験と向き合うための装置として機能している。
問いかけられるのは物語ではなくあなたの居場所そのものだ。
坪井篤史(「シネマスコーレ」支配人)
(C)2023/遠上恵未
『平坦な戦場で』とは自分が審査員をしていたカナザワ映画祭で出会いました。
審査しなくてはいけない立場でありながら、この作品は映画祭ではなく、映画館でこの作品にお金を払って観る観客からいろんな感想をもらうべき、と興行者の意見が浮かんでしまいました。
それはなぜか。
遠上監督はもちろん、キャスト・スタッフの皆さんが観客の顔を想像して演出できていること。
これは映画館で皆さん、体験して、『平坦な戦場で』を育ててほしいです。
もちろん、シネマスコーレでも上映します!
南阿豆(舞踏家)
(C)2023/遠上恵未
高校生の時、大好きで付き合えた彼と
セックスしたことを思い出しました
どうしようもない村木に呆れ笑い
面白い映画なのだと感じました
理性やお金を考え過ぎて、社会に閉じ込められて
生きるということ、真情の発露がない
何か自分という存在が殺されてどんどん曖昧になっていく感じ
そんな中でも、のぶえとホームレスの女性の
素敵な一夜の絵空事
布団で横になって
ただ泣いていた彼女の涙から目が離せなかった、
私の想いも彼女の涙の中にいた、
嬉しいのか、悲しいのか、口惜しいのか、惨めなのか…
私だけではない、村木やのぶえの感情も
彼女の涙の中で溢れ出したような、
私はあのシーンがとても好きです
映画『平坦な戦場で』の作品情報
(C)2023/遠上恵未
【公開】
2025年(日本映画)
【監督・脚本・編集】
遠上恵未
【キャスト】
櫻井成美、野村陽介、玉りんど、佐倉萌、竹下かおり、安藤チカラ、つかさ、山田荘一朗、上野山圭治、金子翔、大野やすひろ、大河原恵
映画『平坦な戦場で』のあらすじ
高校2年、冬。早崎のぶえと村木智也は仲睦まじく過ごしていた。
ある夜、村木は路上で泣いていた女性を家まで送り届けるも、突然女性から「お金は払うから、抱いてほしい」と頼まれてしまう。
すでに断れる空気ではなく、村木はやむをえず女性を抱くことに。しかし、この経験がトラウマになった村木は、学校を休むようになる。
のぶえは村木のいない日常に、孤独を募らせていく……。
まとめ
2025年7月5日(土)池袋シネマ・ロサで劇場公開される映画『平坦な戦場で』。
遠上恵未監督にとって初の長編監督作である本作は、個人に対して社会が押し付ける性の属性をはじめ、人間を孤独へと追い詰める現代の日常をより多面的かつ切実に描き出しました。
このたび解禁された特報では、登場人物たちが日常の中で他者から振るわれる、あるいは他者へ振るってしまう《普通の絶望》の暴力が静かに綴られ、本作キャッチコピーの一節「日常が、人が殺す」の意味が垣間見えてきます。
しかしながら、本作のキャッチコピーは「日常が、人が殺す」の後に、「それでも僕らは、誰も殺したくない」という言葉が続きます。
それが「日常」の一部だと認識しているがゆえに、自覚がなくとも暴力の被害者にも、加害者にもなり得る現代の社会。人を殺め得るほどの暴力の存在にすらに気づけない絶望的な状況下で、それでも人は希望を持ち続け「日常」を生き延びることができるのでしょうか。
現代の社会を生きる誰もが抱える疑問を、『平坦な戦場』は真正面から向き合います。
映画『平坦な戦場で』は2025年7月5日(土)池袋シネマ・ロサで劇場公開!