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Entry 2019/12/07
Update

映画『ラスト・クリスマス』あらすじネタバレと感想。デートにおすすめなロマンチックな物語

  • Writer :
  • 西川ちょり

お互い助け合っているから。それで幸せになれるから。

クリスマスに欠かせない定番ソングとして世界中の人々に親しまれているワム!の同名曲からインスパイアされたとびっきりチャーミングな物語『ラスト・クリスマス』。

『ブライズメイズ 史上最悪のウエディングプラン』のポール・フェイグが監督を務め、『ゲーム・オブ・スローンズ』で一躍スターダムに駆け上ったエミリア・クラークと『クレイジー・リッチ!』のヘンリー・ゴールディングが競演を果たしました!

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映画『ラスト・クリスマス』の作品情報


(C)Universal Pictures

【公開】
2019年公開(アメリカ映画)

【原題】
Last Christmas

【監督】
ポール・フェイグ

【キャスト】
エミリア・クラーク、ヘンリー・ゴールディング、ミシェル・ヨー、エマ・トンプソン、

【作品概要】
1984年に発売されて以来、クリスマスの定番ソングとして全世界で愛されている「ワム!」の楽曲「ラスト・クリスマス」をモチーフにしたロマンティック・コメディ。

『ブライズメイズ 史上最悪のウエディングプラン』のポール・フェイグが監督を務め、エマ・トンプソンが出演の他に原案と脚本に携わった。「ラスト・クリスマス」をはじめ、ワム!と、解散後にソロで活躍したジョージ・マイケルの曲がふんだんに使われている。

映画『ラスト・クリスマス』あらすじとネタバレ


(C)Universal Pictures

1999年、ユーゴスラビア。

クリスマスの礼拝で父と母、姉に見守られ、おさない少女がソロパートを生き生きと歌い上げていました。感極まった母の頬に涙がつたいました。

やがて少女はおとなになり・・・。

2017年、ロンドン。

宿無しのケイトはバーで知り合った男と一夜をともにし、男が朝食を買いに行っている間シャワーを浴びていました。そこにやってきたのは男の彼女。ケイトは濡れた髪のまま冬のロンドンの通りに放り出されてしまいます。

仕方なくケイトは職場であるクリスマスショップに出勤。小妖精の格好で接客を始めますが、仕事に集中できない彼女は店長の「サンタ」から頻繁に注意を受けます。

その時、姉のマルタが訪ねてきました。あんたがママの電話に出なかったら私のところにかかってくるんだからちゃんと出なさいと姉はおかんむりです。

一家はユーゴスラビア紛争を逃れロンドンに移住してきたのですが、母親の過剰な干渉に辟易したケイトは友だちの家を転々とし、姉は独立。父も家をでており、一家の心はバラバラになっていました。

ケイトは店の窓からしきりに上の方を見ている男をみかけ、思わず外に飛び出します。男は珍しい鳥がいると教えてくれました。ケイトが見上げると鳥の糞が顔に落ちてきて、彼女はあわてて店に入り、顔を洗う羽目になってしまいます。

ケイトは歌手を目指しており、オーディションを受けまくっていますが、さっぱり採用されません。

この日もオーディションに遅れそうになり、あわてて店を飛び出してきました。結局遅刻し、お情けで歌わせてもらったもののすぐにストップがかかってしまいました。

その夜は友人のジェナの家に泊めてもらいますが、ケイトは男を連れ込んだあげく、ジェナの夫が苦労して作ったオブジェをうっかり破壊してしまい、これ以上いられなくなってしまいます。

ケイトが出勤すると店が荒らされ、二人の婦人警官が店長のサンタと話をしていました。警官が去ると、サンタはケイトに「昨日鍵をかけ忘れたわね。こうやって窓を割っておくと、保険は降りるけれど、あなたは私に法を破らせたのよ」と淡々と言うのでした。

落ち込むケイトのもとにまたあの男がやってきました。彼は自分をトム・ウエブスターと名乗り、「散歩に行こう」と声をかけてきました。

彼と過ごす時間は楽しく、夜になると彼は営業を終えたスケートリンクの照明をつけて、彼女にスケートの手ほどきをしてくれました。警備員に見つかり、あわてて逃げる羽目になったのですが。

トムは携帯を戸棚にしまっていて持ち歩いていないらしく、連絡できないケイトは、彼が現れるのを心待ちにするようになりました。

そんな頃、店に一人の中年男性が入ってきました。彼を見た途端、サンタは稲妻に撃たれたように立ち尽くしていました。男性はデンマーク人で、2人は長い間見つめ合っていました。どうやら二人の大人の恋が始まったようです。

店の外にトムがいるのを認めたケイトは彼のもとに駆けつけ、今日は宿無しだと訴えます。トムについていくと彼はなんとホームレスのシェルターに彼女を連れてきました。

「ちゃんと家はあるのよ」と言う彼女。それでも中に入っていこうとする彼をうさんくさそうにみていたら、彼はボランティアをしていると告げ、さっさと入っていってしまいました。

他に泊めてくれる友人もなく、タクシー運転手をしている父親を呼び出し、母親の住む家に戻ったケイトですが、母は、小言ばかり並べたあと、眠ろうとするケイトの部屋に居座り古い子守唄を歌い始めました。ケイトはすっかりうんざりしてしまいます。

トムと会えたケイトは、彼に悩みを告白します。トムはケイトを自分の部屋に招きました。それはきれいに片付いたセンスのいい部屋でした。

心臓移植をしたこと、誰かの心臓をもらったけれど自分自身は生きている感覚がないこと、ずっと特別な子として扱われてきたのに、手術が成功すると急にみんなが普通にしろと言い始め、混乱していることなどを。

トムはそんな彼女に優しく言うのでした。「日常の小さな行動がその人の人格を決める」と。 それは彼が誰かから言われて自分自身を変えるきっかけになった言葉だそうです。つまり、自分で自分を作っていくことができるということを意味しているというのです。2人はおやすみのキスをしました。

ケイトの一家は久々に顔を合わせ一緒に食事をしていましたが、マルタは母がなんでもかんでも自分の思うようにさせようとすることにうんざりしていました。そんなマルタにケイトはアルバというルームメイトはルームメイト以上の関係ではないのかと言い出します。マルタは怒って家を飛び出して行きました。

ケイトはホームレスのシェルターに行き、トムを探しますが、彼の姿はいつ来てもありません。なりゆきでボランティアの仕事を手伝い、ボランティアたちと面識を持つようになりました。

トムがよく座っているベンチに行ってみると彼がいました。喜びいさんで彼の隣に座るケイト。でも彼はいつになく冷たく、自分に頼りすぎるなとケイトに言うのでした。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『ラスト・クリスマス』ネタバレ・結末の記載がございます。『ラスト・クリスマス』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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ケイトはシェルターの前でクリスマスキャロルを歌い始めました。通行人が紙コップにコインを入れてくれ、にこりと微笑む彼女。ケイトは溜まったお金をシェルターに寄付しました。わずかなお金でしたが、回を重ねる度、金額は増えていきました。

ケイトは、これまで自分中心に生きてきて、周りに気を配ってこなかったことにやっと気づいたのです。

彼女はマルタが住むアパートを訪ね、この間のことをあやまるのでした。マルタは逃げるように去ろうとするケイトを追って、「ママは確かに問題がある。でも私達の心にも闇があるわ」と語りかけました。

ある日バスに乗っていたケイトはユーゴスラビア人らしき男女がレイシストに国に帰れと嫌がらせを受けているのを目撃します。

男がバスを降りると、ケイトは怯えたように硬直している彼らのそばに行き、彼らの母国語でロンドンにようこそと話しかけました。カップルはほっとしたように笑顔を見せました。

サンタはデンマーク人とすっかりいい雰囲気になっていました。サンタはケイトが少しずつ変わり始めたことに気がついていました。

トムに会いたいと思ったケイトは思い切ってトムのアパートを訪れます。しかしそこにいたのは不動産業者でした。ケイトはここに住んでいる人を訪ねてきたと告げますが、不動産業者の男性は、ここは一年以上空き家ですよ、と答えます。

戸棚を探ってみるとそこからスマートフォンが出てきました。「ほら。ちゃんと住んでいるのよ」とケイトが言うと、これは相続トラブルかもしれないと男性は困惑したように言いました。

聞けば部屋の前の持ち主は一年前に交通事故にあって死亡したといいます。おそるおそるケイトが名前を尋ねると、男性は答えました。「トム・ウエブスターですよ」

そう、トムは一年前、ちょうどケイトが心臓移植手術を受けたその日に亡くなっていたのです。彼がドナーとなり、彼の心臓がケイトに移植されていたのでした。

彼は、せっかく生きながらえたのに人生に迷い苦しんでいる彼女を励ましにやってきたのです。ケイトだけがトムの姿を観ることができたのです。

2年後。

ケイトはホームレスシェルターに通うホームレスやボランディアたちと共にクリスマスショーを開催しました。

母や父、姉と彼女のガールフレンドのアルバもかけつけ、ショーは大盛りあがりとなりました。

舞台上に立ったケイトは言うのでした。「ひとつだけ言わせてください。生きていられるって本当に幸運。お互い助け合えるから。それで幸せになれるから」

家族四人が揃った席にアルバがお手製のティラミスを運んできました。母はクロアチアの厳かな歌を歌い始めますが、父はそれをさえぎり、「クリスマスだぞ、もっと楽しい歌を歌おう」と歌い始めました。やがて四人は立ち上がって踊り始めました。

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映画『ラスト・クリスマス』の感想と評価


(C)Universal Pictures

クリスマスの定番ソングとして世界中に親しまれているワム!の楽曲「ラスト・クリスマス」をモチーフにしたロマンティック・コメディーというだけで心そそられる上に、監督がポール・フェイグときたら期待しないほうがおかしいというものです。

おまけに主演が『ゲーム・オブ・スローンズ』の、というよりは『世界一キライなあなたに』(2016/シーア・シェアイック)のエミリア・クラークと、『クレイジー・リッチ!』(2018/ジョン・M・チュウ)で主人公の恋人の大富豪の御曹司を演じたヘンリー・ゴールディングなのです。ロマンティック・コメディーの王道としてぴったりの配役ではありませんか。

エミリア・クラーク扮するヒロインは、破壊王と名付けてもいいくらい、人々の大切なものをぶっ潰してしまうある種典型的なドジっ娘タイプ。

一方、ヘンリー・ゴールディング扮するトムは、彼女を誘う際、たびたび「散歩しよう」と声をかけています。「上を見ろ」が口癖で、誰もが忙しさにかまけて見落としているものに気づいている彼は、誰も知らない路地までも知り尽くしていてまるで“街の散歩者”のような存在。

心を通わせていく二人の姿と、どこか謎めいた雰囲気を持つトムの様子にその後の恋の行方をわくわくと期待していると、物語は意外な側面を見せ始めます。

王道のロマンティック・コメディーだとばかり思っていたら、意外や、ファンタジーであったり、はたまた社会派の面を見せ始めたりと、非常に現代的な視野が立ち現れてきます

移民問題、排他主義、格差社会、セクシャルマイノリティの問題などを織り交ぜ、ひとひねりもふたひねりも見せる展開の中、ヒロインが他者への思いやりを持つことで、生きる喜びを見出していく姿が丁寧に描かれています。

助け合い、思いやることの大切さがあたりまえでなくなっている世の中に、ロマンティックコメディーという形で一石を投じた本作。

後半の流れには胸をしめつけられ思わず涙ぐんでしまうことでしょう。

一方でポール・フェイグらしい、お下劣な下ネタも健在。暖かでキラキラと眩しいクリスマスストーリーとしても、後世語られることとなるであろう愛すべき作品になっています。

まとめ


(C)Universal Pictures

エマ・トンプソンは、問題大ありだけれどどこか憎めないヒロインの母親を好演し、アカデミー賞女優の貫禄をみせる一方、本作の原案と脚本も担当し、その才媛ぶりを発揮しています。物語の社会派的な部分は彼女に負うところが大きいのではないでしょうか。

また、ヒロインが勤めるクリスマスショップの店長をミシェル・ヨーが演じています。『クレイジー・リッチ!』では、ヘンリー・ゴールディングの母親役を演じていた彼女。今回はエミリア・クラークを厳しくも暖かく見守りつつ、デンマーク人の男性と恋におちる役柄をコミカルに演じ、アクション、シリアス、コメディとオールマイティにこなせる実力を発揮しています。

クリスマスシーズンの華やかに飾り付けられたロンドンの雰囲気もたっぷり楽しめる本作は、ロマンチックなデート映画としても申し分のない作りになっています

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