「なにわ男子」大西流星・映画初主演!
“好き”に向き合うための、等身大の青春ラブストーリー
『虹色デイズ』の水野美波による大人気少女コミックを実写化した『恋を知らない僕たちは』。
思い悩み、ぶつかりながらも、自分の“好き”の気持ちに本気で向き合っていく6人の姿を等身大で描く青春ラブストーリーです。
監督は『美しい彼 eternal』(2023)『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』(2023)の酒井麻衣。
アイドルグループ「なにわ男子」の大西流星が映画初主演を果たし、『ハピネス』(2024)の窪塚愛流、『交換ウソ日記』(2023)の⿑藤なぎさなどが出演しています。
映画『恋を知らない僕たちは』の作品情報
【日本公開】
2024年(日本映画)
【原作】
⽔野美波『恋を知らない僕たちは』(集英社「マーガレットコミックス」刊)
【監督】
酒井⿇⾐
【脚本】
⼤北はるか
【主題歌】
『コイスルヒカリ』(なにわ男子)
【キャスト】
⼤⻄流星、窪塚愛流、⿑藤なぎさ、莉⼦、猪狩蒼弥、志⽥彩良、小宮璃央
【作品概要】
6人の不器用ながらもまっすぐな恋模様を描いた映画『恋を知らない僕たちは』。アイドルグループ「なにわ男子」の大西流星が初主演を果たします。
共演には『ハピネス』(2024)の窪塚愛流、『交換ウソ日記』(2023)の⿑藤なぎさ、『女子高生に殺されたい』(2022)の莉子など若手役者陣が顔を揃えます。
監督は『美しい彼 eternal』(2023)『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』(2023)など青春映画を手がけてきた酒井麻衣。また脚本は『なのに、千輝くんが甘すぎる。』(2023)の大北はるか。
映画『恋を知らない僕たちは』のあらすじとネタバレ
「あの時、俺は心底あいつが羨ましかった……」
始まりは中学2年生。やってきた転入生を見にきた英二と直彦。驚いたようにこちらを見つめた転入生の泉は、立ち上がり2人のところに向かっていきます。
「英二!久しぶり!」……泉は転勤族で、幼馴染だという英二とは小学生の頃まで仲良くしていましたが、転校してしまったのです。
それから英二と直彦、泉の3人で一緒に帰って、遊んで……いつまでも続けばいいと思った日々は、泉の転校によって終わりを迎えようとしていました。
「英二は泉に告白しないの?」「はあ、何で俺が?」……直彦は、自分の思いを泉に伝え、2人は恋人になり、遠距離恋愛が始まります。
月日が経ち、英二と直彦は同じ高校に通っています。そこに転入生がきたと話題になります。
直彦は英二に新入生を見に行こうと誘います。2人で向かおうとしたところにハムカツパンが落ちているのを見つけます。
「はあ、何でハムカツがないんだよ」と男子生徒の怒鳴る声が聞こえ、2人は動揺します。「使えないなお前、もういい。別れよう」「待って、直すから!」泣いている女子生徒を置き去りにして、男子生徒はどこかに行ってしまいます。
気まずさを抱えながらも2人は女子生徒のところに向かい、ハムカツパンを渡します。「初めての恋人だからがんばって尽くしたかったのに、上手くいかなかった」と泣く女子生徒に直彦は、ポケットティッシュを手渡し「それだけ好きだったってことだろ」と慰めます。
その後新入生を見に行くと、そこにいたのはなんと泉でした。驚く英二に、直彦と泉は笑い「サプライズ」と言います。また3人で過ごす学生生活が始まったのです。
翌日、英二のところに昨日の女子生徒がやってきます。藤村小春と名乗り、直彦を好きになったから協力してほしいと英二に頼みます。恋人がいるから無理だという英二に、小春は「知ってるよ、同じクラスの汐崎さんでしょ」と言います。
「何で恋人がいるからって好きな気持ち諦めなきゃいけないの?」……小春の言葉に英二は驚きながらも、2人の邪魔をしたら許さないと言って立ち去ります。
英二が協力してくれないと知った小春は、泉に近づき友だちになります。また英二はその後、泉と直彦に花火大会へ誘われますが、そこに小春も来ることも知らされます。
小春の狙いを知っているのは英二だけです。英二は花火大会で直彦に近づこうとする小春を徹底的に妨害します。英二は小春を呼び出し、諦めるように言いますが、小春は聞こうとしません。
泉と直彦が花火を見ているところに向かおうとした小春の浴衣の袖をつかみ、英二は「俺ら、付き合わない?」と言います。
突然の告白に理解が追いつかない小春でしたが、英二の視線の先に泉がいることに気付くと「ふうん、そういうこと」と小さく呟き、英二と付き合うことになります。
英二たちの報告を聞いた泉と直彦は驚きます。
映画『恋を知らない僕たちは』の感想と評価
タイトルの「恋を知らない」には、「あの時すでに始まっていたのに、気付かないフリをしていた」という心情も込められているのでしょう。
この気持ちが恋だと知らなかった、分かっていたのに向き合おうとしなかった、そんな気持ちと向き合うことが本作の大きなメッセージと言えます。
直彦が泉と出会った中学2年生が、全ての始まりでした。もしかしたら当時の英二は、自分が泉に恋をしていることに気付いていなかったのかもしれません。
一方で直彦は、初めて泉に出会った時に恋に落ちます。泉が後に、初恋は直彦だと言っていたことから、泉も直彦に一目惚れしていたのかもしれません。
直彦は、英二と泉が両思いだと感じていましたが、それでも自分の思いを伝えたいと覚悟を決めます。それが3人の関係性を壊すことになるかもしれないとしても、一歩勇気を出さなければ何も変わらないのです。
英二はどこまで理解していたのかは分かりませんが、いつかこうなる予感はしていたのかもしれません。
勇気を出して一歩を出した直彦と一歩踏み出せず、押し殺すことにした英二。「直彦も泉も大事で、関係性を壊したくない」という英二の気持ちも嘘ではなく、直彦も英二のそんな優しさを分かっていたのでしょう。だからこそ不安もあったのです。
高校で泉と再会しても、英二は隠し通すつもりでした。そんな英二を変えたのは小春の存在でした。
小春は不器用で傷つきやすく、それでいて意地っ張りなところもあります。自分の気持ちに対し真っ直ぐで、がむしゃらにぶつかる強さもあります。
さらに、英二に恋する池澤、そんな池澤に恋する太一と、好きの方向が交わることのない関係性。誰もがぐちゃぐちゃな黒い感情を抱きながらも、好きな人が思っている誰かを憎まず、好きな人を応援したいという気持ちも抱いているのです。
小春も、直彦と泉の間に入っていきますが、致命的にその関係を壊すことは決してしませんでした。2人の間に入る隙がなかったこともあるでしょうが、そこには小春の優しさがあるのです。
小春は不器用で「大切にされたい」と思う気持ちから、乗り換えるのが早いと言われても優しくて真っ直ぐな直彦に恋をします。
英二は直彦と泉を守るために小春に「付き合おう」と提案します。しかし、英二が小春への自分の気持ちに気づいた際に、小春を引き留め「付き合おう」と言った場面を思い出しています。傷つくことが分かっていても、ぶつかっていく小春の姿に凄いと思っていたと同時に、その脆さが放っておけなかったのです。
さらに、互いに思い合う直彦と泉を1番近くで見てきた英二は、小春の不器用さと真っ直ぐさが自分に向いてくれたなら……と思ったのかもしれません。
小春も、自分の恋を応援してくれ、別れた先輩から守ってくれた英二の優しさに触れ、心が揺らいでいたのではないでしょうか。
あの時、すなわち花火大会で「付き合おう」と言った瞬間、すでに小春と英二の恋は始まっていたのに互いに気付けていなかったのかもしれません。それは互いに「自分はこの人が好きなんだ」という思いが2人の中にあったからです。その気持ちもきっと間違いではないのです。
好きな気持ちは複雑で自分の頭で理解しようとして理解できるものではなく、思春期の若さから傷つけたくないのに傷つけてしまったり、嘘をついて誤魔化したりしてしまうのです。そんなダメなところもさらけ出せるのも、思春期の強さと言えるでしょう。
間違ってもぶつかっていく勇気を、色々経験して“賢く”なってしまった大人たちは失い、臆病になっていってしまいます。だからこそ青春の青さと真っ直ぐさを前に心を揺さぶられてしまうのです。
まとめ
6人の交差する恋青模様を描いた映画『恋を知らない僕たちは』は、少女コミックの映画化らしい王道さもありますが、少しずつ変化してきた様子も伺えます。
その一つに、漫画的なコミカルで突飛な演出が少ないこともあげられます。登場人物のヒーロー、ヒロインに対してキラキラした演出や、決め台詞も少なくなっています。
それでも、図書室で不意に転んで距離が近づいたり、保健室でも共に隠れたり……といった王道のキュンな演出もしっかりあります。
王道の展開を継承しつつ、酒井麻衣監督ならではのショットの美しさ、ロケーションの美しさが印象的です。
本作は主に九州で撮影され、高校は3つの高校を使っています。また、中学校は佐賀県で撮影されました。そして海を印象的に使った演出や、花火大会で行った神社の風車など、印象的な画がそれぞれの恋模様を彩っていきます。
王道でありながらコミカルすぎない繊細で丁寧な描写。『美しい彼 eternal』(2023)、『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』(2023)と、青春や恋愛映画が続いている酒井麻衣監督の次作『チャチャ』(2024)にも大注目です!