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『エゴイスト』ネタバレ映画原作のあらすじと結末の感想評価。鈴木亮平を主演で描き出す“BLの恋愛模様”

  • Writer :
  • 星野しげみ

高山真の自伝的小説『エゴイスト』が2023年に映画になって登場!

『羽生結弦は助走をしない 誰も書かなかったフィギュアの世界』(集英社)『愛は毒か 毒が愛か』(講談社)など、数々のコラムを世に送り出してきた高山真。

彼の初めての自伝的小説『エゴイスト』が、『トイレのピエタ』(2015)などを手掛けた松永大司監督によって、2023年に映画化されます。


(C)2023 高山真・小学館/「エゴイスト」製作委員会

主人公の浩輔を演じるのは、『孤狼の血 LEVEL2』(2021)での怪演も記憶に新しい俳優・鈴木亮平。

もう1人の主人公龍太役は、『騙し絵の牙』(2021)、NHK連続テレビ小説「ちむどんどん」など話題作への出演が続く宮沢氷魚。

実力人気とも評価の高い2人が演じる切なく美しい恋愛物語に期待は高まります。

2023年の映画公開に先駆けて、小説『エゴイスト』をネタバレ有りでご紹介します。

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小説『エゴイスト』の主な登場人物

【斉藤浩輔】
主人公。自らゲイであることを認識し、東京で編集の仕事をしています。

【中村龍太】
シングルマザーの病気の母を抱える青年。浩輔の恋人となります。

【中村妙子】
龍太の母。龍太の大切な人である浩輔に優しく接します。

【斉藤しず子】
浩輔の母。浩輔が14歳の時に病死します。

小説『エゴイスト』のあらすじとネタバレ


(C)2023 高山真・小学館/「エゴイスト」製作委員会

幼少の頃から「オカマ」とか「おとこおんな」とか呼ばれてさげすまれてきた浩輔。

学校でいじめられていましたが、教師にも周囲の人にも誰にもその事実を相談できずにいました。

学校での出来事は全てすりガラスの向こうで起こっているような、自分とは違う世界を傍観しているような日々の毎日。

孤立する時間の流れに身を任せていた浩輔ですが、自分では楽に時の流れをやり過ごしていました。

ただし、それは母のしず子が癌で死ぬまでは、の話です。

浩輔が14歳になった時、母が亡くなりました。葬儀をおえ、浩輔が学校へ行くと香典返しの名目でクラスメイトに1冊ずつ父からノートが配られました。

浩輔の席の近くの子が、「ババアが1人死んだくらいで大袈裟だ」と軽口を言っているのを耳にし、浩輔は怒りに震えます。

けれども、相手を殴ることも出来ず、ただただ亡き母に心の中で謝っていました。

その時に、浩輔は自分を見下す連中とは違うところで生きていこうと決心します。以来、集中力を発揮して猛勉強。

地元の進学校へ進み、今は東京の出版社でファッション誌の編集者として働き、自由な日々を送っています。

浩輔は、自分がゲイであることを認め、19歳で初めて男と寝ました。ありのままの自分で生きることを決意し、仕事に没頭していました。

そのうちに、浩輔は自分の身体に贅肉がついて来たのを発見。同い年のゲイの友人が相談にのってくれて、ゲイのパーソナルトレーナーを紹介してくれました。

それが、病気の母を支えながら暮らす、中村龍太でした。龍太はもう1つ仕事をしていて、その合間の時間で週2ぐらいでならOKと、働きだしました。

龍太は母親だけで育てられたと言います。身体も顔も美しく、浩輔より8歳年下の龍太。2人は次第に惹かれ合っていきます。

ある日2人は一線を越えますが、浩輔は龍太のあまりにも「普通」のセックスに違和感を覚えました。

ですが、母を支えながら仕事をする龍太に自分の分身を見る思いもあり、あの男を絶対に手放さないと、浩輔は彼に惚れ込んでいました。

時には龍太の母へ手土産を持たせたりして、浩輔は自分の母には出来なかった親孝行をしている気分にもなっていました。

体をつくる目安の3カ月を過ぎた頃には、浩輔の身体はだいぶ引き締まって来ました。

トレーニング後ラブホテルで会った時、龍太はトレーニングを見るのはこれで最後にしたいと言い出しました。

なぜ? 浩輔は驚いて龍太を問い詰めます。

「僕、このままでは仕事にならない」という言葉を残し、龍太はホテルを飛び出しました。

以来、龍太とは連絡が取れません。困った浩輔ですが、相談に乗ってもらったゲイのママから教えてもらった‟売り”をするゲイのサイトで、やっと龍太の写真を見つけます。

龍太のもう1つの仕事は、コレだったのです。そして、龍太の「普通」すぎるセックスの理由もわかりました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『エゴイスト』ネタバレ・結末の記載がございます。『エゴイスト』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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浩輔は龍太の勤める店にアポをとり、客として龍太に接することに成功します。

初めて客として龍太に会ったとき、龍太は「会わなきゃよかった。仕事する時にこんなにつらい思いをするなら会わなきゃよかった。会うまではちゃんとできていたのに」と言いました。

「僕が買ってやる」と、浩輔は龍太の眼を見つめてきっぱり言いました。

それから3日後、龍太から年内で仕事を辞めると言うメールがきました。そして、年が明けたら道路工事のアルバイトをするから、ようやくおふくろに本当の仕事が言えると、龍太は喜んでいました。

浩輔はそんな龍太にクリスマスと誕生日をかねて、お母さんも一緒に食べられるよう、手巻き寿司の具材をプレゼントしました。

龍太と別れてしばらくすると連絡があり、お母さんがどうしてもお礼を言いたいからと、電話でお礼を言われました。

自分も幼い頃の母の日のことを思い出し、浩輔も満ち足りた気分になります。以来、時には龍太の母も交えて食事をしたりしながら、平穏な時間が流れて行きました。

亡き母への想いを抱えた浩輔にとって、自分の給料から龍太を買う代金を支払ってでも、母に寄り添う龍太をサポートし、愛し合う時間は幸せなものでした。

2004年から2005年へと年が明けますが、浩輔は年下の男の恋人・龍太とはずっとうまくいっています。

ある日、病気が悪化しおぼつかない足取りで通院する龍太の母の姿をみた浩輔は、龍太に中古の車をプレゼントしました。

そして龍太の母には白いオープンレンジもプレゼントし、たびたび龍太の母の手料理をご馳走にもなりました。

2007年の10月のこと。アルバイトで忙しい龍太と2人で会う約束をした次の日、浩輔は龍太のお母さんから電話があり、龍太が亡くなったと知らされます。

愕然とする浩輔。彼を案じた友人の家でその夜を過ごし、浩輔は龍太の母に連絡をとります。

龍太の通夜にも本葬にも出たくない……。いろいろ思い悩みながら浩輔は葬式に参列しました。

自分の焼香の番がすむと、浩輔は出口で倒れ、大泣きします。彼を支えたのは龍太の母でした。

「ごめんなさい」と謝る浩輔に、龍太の母は「なぜ謝るの? 謝らなくていいのよ。私、あなたが龍太を愛してくれたこと知っているから」と言いました。

呆然とする浩輔に、話したいことがあるからまだ帰らないでねと、龍太の母が言い、浩輔はそれに従います。

そして、龍太が浩輔と知り合ってから明るい顔で毎日を過ごしていたこと、浩輔を紹介されてから半年ほどしてあなたの大切な人はあの人でしょう?と聞いたことなどを聞かされました。

「相手が男でも女でも、大切な人ができたなら、それでいい」。その言葉を母から言われた龍太がどんなに驚き安心したのか。

想像する浩輔は龍太の気持ちがよくわかります。

「お母さん、またお家にお邪魔していいですか」。気がつくと、浩輔は龍太の母にこう言っていました。

その後、浩輔は何度か龍太の家を訪れ、龍太の母の生活代をサポートし、龍太の母と龍太の思い出話をしました。

2008年夏に浩輔は龍太の母と一緒に暮らそうと話を持ち掛けますが、龍太の母は生活保護を申請したからお金の心配はしなくていいと断られ、浩輔は自己嫌悪に陥りました。

しかし、10月に龍太の母と龍太の墓参りに一緒に行き、再び満ち足りた関係に戻ります。

12月になると、龍太の母が入院したという知らせが入りました。

病室の他の入院患者からは、息子のように思われて否定しながら、浩輔は龍太の母を見舞います。

あちらの世界で龍太が待っているという龍太の母。彼女から、ゲイの息子を持った母の気持ちを打ち明けられ、浩輔は自分の母の姿に重ねます。

「まだ帰らないで」とかすかな声でいう龍太の母の右手を両手で包み込むと、彼女はゆっくりと目を閉じました。

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小説『エゴイスト』の感想と評価

エッセイストで2020年に他界した高山真の自伝的な小説でした。

14歳で実母を病気で亡くした主人公浩輔。同性愛者という本当の自分の姿を心の奥に押し込めて青春時代を過ごしますが、東京で働くようになり、ありのままの自分で生きることを決意します。

そして知りあった8歳年下の同じゲイの龍太。シングルマザーである彼の母は病魔に侵され、龍太は母との生活を支えるために、ゲイを売り物にする仕事をしていました。

浩輔は、自分の分身を龍太に見たのではないでしょうか。出会って1カ月もたたないうちに2人は魅かれあい、恋人になります。

浩輔には死に別れた実母に対して、自分がゲイであることを隠していたので謝りたかったという思いがあります。

また、龍太の母に対しても、龍太の昔の仕事を知っていること自分が龍太の恋人だということの2つの秘密を持っていました。

龍太の葬式の時に、この抱えた大きな秘密が爆発してしまうのですが、意外にも龍太の母はその秘密を知っていたのです。

「相手が男でも女でも、大切な人ができたなら、それでいい」という龍太の母の言葉は、浩輔の自分の母への懺悔したい気持ちを癒してくれました。

浩輔にとっては自分の母もこのように言ってくれたかもしれないと、初めて心が和む思いだったのでしょう。

恋人である龍太とその優しい母をなんとか救いたいと思う浩輔。そんな思いから、自分の給料から彼らの生活を援助しますが、それがかえって彼らに重荷となっていたのかと悩みます。

愛しているからこそ、なんとかして自分も愛されたいという思いこれはエゴと言えるのかも知れません

自分のエゴがかえって彼らを苦しめていたのかも知れないと終始心を痛める浩輔ですが、そんな彼をサラリと諭す龍太の母の優しさが胸に突き刺さります。

男性の恋人との恋愛小説ですが、ゲイの息子を持つ母親に対する思慕もまた美しく鮮明に描かれていました。

今、あちらの世界で、2組の親子が幸せになっていればいいなと願わずいられません。

映画『エゴイスト』の見どころ

小説『エゴイスト』の帯には、「彼が欲しかった。彼を救いたかった。-そう、自分のために」というキャッチコピーが書かれています。

男性であれ、女性であれ、人を愛すれば自分もまた愛して欲しくなるのは当然。このタイトルとキャッチコピーの元、映画のストーリーは展開するのでしょう。

主役の浩輔は、2018年のNHK大河ドラマ『西郷どん』や『孤狼の血 LEVEL2』(2021)で多彩な才能をみせる鈴木亮平が演じます。

浩輔は博識で繊細、そして愛情深い青年。『孤狼の血 LEVEL2』(2021)の凶悪なヤクザのイメージが記憶に新しい鈴木ですが、今回はそれとは打って変わった役どころです。

すでに著者は故人となっているため、鈴木は著者を知るために、作品を読み、著者を知る人とも会って話を聞いたと言います。また鈴木亮平名義で小説のあとがきも書きました。

その結果、著者を他人とは思えないほど敬愛するようになったと言う鈴木亮平

彼が、いかに著者が書き下ろした浩輔になり切れるのか。どのように浩輔のエゴが美しい愛とされるように演じ切れるかに、注目です。

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映画『エゴイスト』の作品情報

【日本公開】
2023年(日本映画)

【原作】
高山真『エゴイスト』(小学館刊)

【監督】
松永大司

【脚本】
松永大司、狗飼恭子

【キャスト】
鈴木亮平、宮沢氷魚

まとめ

高山真の小説『エゴイスト』をご紹介しました。

ゲイであることを認め、普通の人とは違う世界で生きていこうと決意をした孤高の青年・浩輔と、母との生計をたてる健気な龍太。

美形の龍太の純朴な心に浩輔は魅かれ、徐々に人を愛する喜びを知って行きます。そして龍太とその母を喜んでもらいたくてあれこれ動き出します。

果たして、この愛のカタチはエゴとも言える自己満足なのでしょうか

自問自答しても答えは見つかりませんが、愛するということを追求する、切ないラブストーリーでした

小説を映画化した映画『エゴイスト』は2023年公開! どうぞお楽しみに。




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