Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

LGBT映画

Entry 2018/06/19
Update

中川駿映画『カランコエの花』で顧みるLGBT作品の系譜と2018年の現在

  • Writer :
  • 村松健太郎

中川駿監督作品『カランコエの花』


(C)2018 中川組

2018年の米アカデミー賞にノミネートされた『君の名前で僕を呼んで』『レディバード』、外国語映画賞を制した『ナチュラルウーマン』など、LGBTを扱った映画が普通にラインナップに並ぶようになり、さらにそのことを強く語られることなく他の映画と並んで語られている。

元祖英国美青年映画『モーリス』が、4Kでデジタルリマスターされて公開もされた。

デジタルリマスター版が公開された『モーリス』

スポンサーリンク

きっかけは『ブロークバック・マウンテン』

どうしても際どい扱いをされがちなテーマの作品群がそういった色眼鏡で見られなくなったきっかけは、アン・リー監督の2005年の『ブロークバック・マウンテン』

監督賞を含むオスカー三部門を受賞した。

この一件が大きく流れを変えて、LGBTのテーマであることが何か特殊なテーマではなく、物語を構成する一要素であると捉えられるようになった。

その後、実在のゲイの男性としてはじめてアメリカの公職に就いたハーヴェイ・ミルクを描いた『ミルク』(2008)や『キャロル』(2015)、『リリーのすべて』(2015)そして『ムーンライト』(2016)が続く。

アジア圏でも、1997年公開のウォン・カーワイの『ブエノスアイレス』があったものの、やはり、しっかりとテーマに扱われるようになったのは、近年の出来事で2017年公開の『彼らが本気で編むときは』や同年の『お嬢さん』などが登場した。

この普及のスピードが遅いと感じるか、早いと感じるかは、意見が分かれるところですが、黒人映画のハリウッドの普及、立ち位置の確立の歴史を考えるとこのスピード感は早いと思っていいのでは?

意外な形のLGBT映画『カランコエの花』


7月14日から公開の『カランコエの花』は、それらの映画の流れの中で、視点を変えた作品となっている。

今作のメインの登場人物はLGBTの当事者ではなく、それを囲む周囲の人々の姿を描いている

メインキャストは今田美桜、石本径代、永瀬千裕、手島実憂、有佐、堀春菜などの若手女優が揃った。

この新しい視点とリアルな展開が評価され、2018年の現在、多くの映画祭で高い評価を受けている。

誰もが、めぐり合うであろう、状況を描いた物語。必見の一本

スポンサーリンク

映画『カランコエの花』のあらすじ


(C)2018 中川組

ある高校の2年生のクラスでは、この日、唐突に「LGBTについて」の授業が始まりました。

しかし、他のクラスではその授業は行われておらず、なぜこのクラスだけ?という思いが、生徒たちの好奇心に火をつけます。

「うちのクラスにLGBTの人がいるんじゃないか?」

生徒たちの日常は、まるで犯人探しのように波紋が広がるなか、年頃ならではの心の葛藤が起こした行動とは…。

まとめ

2018年の今、世界的に映画のひとつの題材に欠かす事ができなくなったLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの略称)。

中川駿監督の本作は、レインボー・リール東京グランプリ(東京国際レズビアン&ゲイ映画祭)のグランプリほか、映画祭賞のレース席巻し、5冠を含む計10冠受賞作品です。

関連記事

LGBT映画

吉田羊&太賀『母さんがどんなに僕を嫌いでも』あらすじ。キャスト特報映像解禁!

俳優太賀&吉田羊による、迫真の演技が詰まった『母さんがどんなに僕を嫌いでも』の特報がついに解禁! 女優の吉田羊が、ちょっぴり“嫌な”母親役に挑んだ本作は、その息子役LGBTであることを公表し …

LGBT映画

今田美桜映画『カランコエの花』あらすじとキャスト。作品はグランプリ5冠へ

今田美桜主演の映画『カランコエの花』は、2018年7月14日(土)より新宿K’s cinemaにて1週間限定ロードショー。 世界的な映画の1つテーマに浸透つつあるLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシ …

LGBT映画

映画『BPMビート・パー・ミニット』あらすじネタバレと感想。ラスト結末も

90年代初頭のパリを舞台に、HIV/エイズに対する偏見と差別と闘った若者たちを描く『BPM ビート・パー・ミニット』をご紹介します。 『パリ20区、僕たちのクラス』(2008)等、ローラン・カンテ監督 …

LGBT映画

LGBT映画『彼が愛したケーキ職人』あらすじと感想。男女の性差を超えた愛を堪能する秀作

映画『彼が愛したケーキ職人』は、12月1日(土)よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開! アトナの寂しさや悲しみを取り去ってくれたのは、夫のオーレンが愛した男性トーマスだった…。 …

LGBT映画

『ハンズ・オブ・ラブ』動画無料視聴はU-NEXT!実話の感想は

25年間真面目な警官として生きてきたローレルはレズビアンであることを隠していました。 しかし、自分より若くオープンに生きるステイシーと出会ったことで生き方が変わり始めます。 大きな病と、平等を勝ち取る …

映画『凪待ち』2019年6月28日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開【主演:香取慎吾/監督:白石和彌】
【Cinemarche独占・多部未華子インタビュー】映画『多十郎殉愛記』のヒロイン役や舞台俳優としても活躍する女優の素顔に迫る
【Cinemarche独占】映画『メモリーズ・オブ・サマー』映画監督アダム・グジンスキへのインタビュー【私のお手本となった巨匠たちと作家主義について】
【真宮葉月インタビュー】映画『最果てリストランテ』の女優デビューへの心がまえと学び続ける好奇心
【Cinemarche独占】映画『初恋~お父さん、チビがいなくなりました』公開記念・小林聖太郎監督インタビュー|倍賞千恵子と藤竜也が夫婦を演じた映画『初恋~お父さん、チビがいなくなりました』の魅力を語る
【Cinemarche独占】映画『岬の兄妹』公開記念・片山慎三監督インタビュー|映画『岬の兄妹』での複雑な人間関係を上質なエンタメに仕上げた映像作家に迫る
【Cinemarche独占】アミール・ナデリ監督インタビュー|映画『山〈モンテ〉』に込めた黒澤明監督への思いとは
【Cinemarche独占】『洗骨(せんこつ)』公開記念・水崎綾女インタビュー|映画『洗骨』のキャストとしての思いを語る。自身の経験と向き合い深めた演技と死生観
【Cinemarche独占】『LOVEHOTELに於ける情事とPLANの涯て』公開記念・三上博史インタビュー|役者魂と自身の人生観を語る。
日本映画大学
ニューシネマワークショップ
FILMINK
国内ドラマ情報サイトDRAMAP