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Entry 2019/09/05
Update

【岡山天音インタビュー】映画『王様になれ』the pillowsとの縁で演じられたカメラマンの主人公

  • Writer :
  • 桂伸也

映画『王様になれ』は2019年9月13日(金)より、シネマート新宿ほか全国ロードショー!

大人気ロックバンド「the pillows」のデビュー30周年プロジェクトの一環として製作された、オクイシュージ監督の映画『王様になれ』。

その物語において、カメラマンとしての夢を追いかけながらも、自身の目の前に立ちはだかるさまざまな壁にもがき苦しむ主人公・祐介役を演じたのが、俳優・岡山天音さんです。


(c)Cinemarche

このたび映画の公開を記念し、近年登場する若手俳優の中でも、その柔軟な演技力によってより多くの注目を集めている岡山さんにインタビューを敢行。

本作のコンセプトおよびそのストーリーに対する印象、主人公の役柄と重ねた自身の思いなどをたずねてみました。

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出演オファーで気づいたthe pillowsとの縁


(c)2019『王様になれ』フィルムパートナーズ

──出演オファーを受けた際の印象はいかがでしたか?

岡山天音(以下、岡山):the pillowsさんの30周年記念の映画だというのは最初にうかがっていたので、「楽器を猛特訓しなきゃいけないのかな?」なんて勝手に思っていたりしました(笑)。

まず、『王様になれ』というタイトルから、どんな話なんだろうと興味が湧きました。でも物語としてはストレートな印象で、今はすごく気に入っています。

the pillowsの存在は、以前から知ってました。それほど詳しいわけではなかったけど、僕の好きなアニメの主題歌も担当していたり、また先日は自分が出演した映画で主題歌を担当していたり。

今思えば、節目節目で何らかの縁があったような気もします。だから今度はまさか今回のような作品に参加させてもらうとは、とビックリしています。

ミュージシャン・山中さわおの魅力


(c)2019『王様になれ』フィルムパートナーズ

──the pillowsのボーカル・ギターであり、本作の原案・音楽を担当されたのが山中さわおさんですが、実際にお会いした際の印象はいかがでしたか?

岡山:とても愛がある方、愛情の深い方という印象でした。メチャメチャ優しい方で。

年下の僕に対してもちゃんと目を見て話してくださったことが印象的で、僕の出演したいろんな作品も観てくださっていて。とてもカッコいい方だと思いました。

一方で、この作品の原案を山中さんが書かれていますが、ミュージシャンである山中さんが書かれたにもかかわらず、バンドマンの話ではなくカメラマンに焦点を当てたというところは斬新だなと、その点を特に面白く感じました。

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対象物への向き合い方という共通点


(c)Cinemarche

──ちなみに、ご自身でのカメラ撮影の経験は?

岡山:これほど本格的なのは初めてでした。だから撮影に入る前に、一眼レフのカメラをお借りして自主練習をしたりしていました。時間があるときに撮影してみたり。

また、実際にライブの写真を撮られている方の動きを映像に撮ってもらい、それを自分の演技に生かしたりしました。

特にライブの現場ではお客さんの邪魔にならないことを考えたり、かつ決定的な瞬間は逃さないことを意識したりといろんなことを考えるんですが、なかなかカメラに馴染むのは難しくて大変でした。

──カメラマンと俳優。それぞれの職業に共通、あるいは共感する部分はありましたか?

岡山:大きくあったと思います。カメラだと対象物は写真であり、写真を撮るというのは、なにかの瞬間を切り取る、そしてそこに自分の感覚やセンスなどが出ると思うんです。逆に見れば、その画の中は自分で支配できるともいえます。

俳優の仕事は人を演じるということですが、なにかに向き合おうとしたり、突き詰めようとしたりするという対象物への向き合い方は、俳優とカメラマンであまり違いはなく近いものなのではないかと。

自分が演じる役柄については台本にその指針は書かれているけど、それをどう演じるかは自分次第。一つの役でもいろんなアプローチの仕方があり、その中から自分の選択で役をデザインしていくわけです。

だから、今回も演じる役柄に興味を持って演じることができたと思います。またカメラ自体もやってみると好きな方じゃないかと思えて、カメラマンという職業の役柄を演じて楽しかったです

──例えば今回はカメラに挑戦しましたが、作品への出演をきっかけに、それにのめり込んでいくということはあるのですか?

岡山:いや、そういうことはこれまでないですね。「短期間で集中して一定のレベルまで学ぶ」というプレッシャーの中でやることが多いので、逆に終わったら開放されたいという気持ちもあるのかと(笑)。ちょっともったいないと思う気持ちもあるんですが…。

自身と重なる部分の多かった主人公


(c)2019『王様になれ』フィルムパートナーズ

──自身が演じられた主人公・祐介という人間そのものから、ご自身の人間性や性格に近しいものは感じられましたか?

岡山:そうですね。局所的なポイントを挙げるのは難しいですが、自分としては似ているところをすごく感じる役ではありました。

彼は夢は持ってはいるけど、うまくそれを形にできない。発展途上みたいな地点にずっといて、経験値がなかなか貯まっていかない。それゆえに社会に出た状態でも、他者からは世間知らずの側面が見えてきてしまう。

そういうところは、僕も身に覚えはあります(笑)。だからこそ演じやすさは感じました。

ただ、それは祐介ならではというよりもっと一般的な性質のようなもので、おそらく本作を観られた方も、祐介にどこかしら自身と共感する部分を見つけられるんじゃないかと思います。

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共演者たちへの感謝と嫉妬


(c)Cinemarche

──共演された方々には、どのような印象を抱かれましたか?

岡山:虻川役の岡田義徳さんは師匠というか、カッコいい先輩、兄貴みたいな人でした。

僕が音楽に興味を持っているという話をしたら、それについてものすごく詳しい話をしてくださったり。また、今までの現場に関するお話を聞かせてくださったりもしました。

後輩であり、長編映画の単独主演は初めての僕をたくさん和ませてくださったりと、とても優しい方でしたね。

ユカリ役の後東ようこさんもとてもチャーミングな方で、お仕事に対してとても真摯な方でした。また、僕にちゃんと目線を合わせてしゃべってくださったのも印象的でした。

役柄としては好きになる相手であり、結構深いコミュニケーションをとる役柄であったので、そういった意味ではとても演じやすい環境を作ってくださいました。

──劇中では本人役として山中さんも登場されていますが、その演技のほうはいかがでしたか?

岡山:全然違和感がないですよね。また山中さんに限らず、出演されているミュージシャンの方みんなが普通にお芝居ができちゃうのを見て、劣等感をおぼえましたね。「なんでもできるのかい!」って(笑)。

みなさんは本当に華があるし、「さすが」としっかりやられました(笑)。

岡山天音(おかやまあまね)のプロフィール


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1994年生まれ。東京都出身。2009年にNHKドラマ『中学生日記 転校生シリーズ』で俳優デビューを果たします。

その後、飯塚俊光監督が文化庁委託事業「若手映画作家育成プロジェクト2014」にて製作した短編映画『チキンズダイナマイト』で主演。

以後、その個性的なルックスと柔軟な演技が高く評価され、近年では映画『帝一の國』『ポエトリーエンジェル』『おじいちゃん、死んじゃったって』『愛の病』『銃』『テロルンとルンルン』『新聞記者』『引っ越し大名!』と、数々の話題作に立て続けに出演しています。

さらにテレビドラマでも『ひよっこ』『I”s』『ゆうべはお楽しみでしたね』『デザイナー 渋井直人の休日』『週休4日でお願いします』『ヴィレヴァン!』『そして生きる』などに出演し、幅広く活動を展開しています。

インタビュー・撮影/桂伸也

映画『王様になれ』の作品情報

【公開】
2019年(日本映画)

【監督・脚本】
オクイシュージ

【原案・音楽】
山中さわお

【キャスト】
岡山天音、後東ようこ、岩井拳士朗、奥村佳恵、平田敦子、村杉蝉之介、野口かおる、オクイシュージ、岡田義徳、山中さわお

【作品概要】
ロックバンド「the pillows」結成30周年のアニバーサリーイヤープロジェクトの一つとして制作された長編映画。彼らの音楽が紡いできた世界観と、カメラマンを目指す青年が成長していく過程を重ね合わせ、心熱くなる青春の物語を描きます。

監督を務めたのは、演出家や俳優として活動し、本作では監督・脚本のみならず出演もこなしたオクイシュージ。本作が映画監督としてのデビュー作となります。

キャストには岡山天音、後東ようこ、岡田義徳らをはじめ、岩井拳士朗、奥村佳恵、平田敦子、村杉蝉之介らの個性派キャストが花を添えています。

さらにthe pillowsにゆかりのあるミュージシャンも多数出演しており、音楽ファンにもしっかりアピールする内容となっています。

映画『王様になれ』のあらすじ


(c)2019『王様になれ』フィルムパートナーズ

カメラマン志望の祐介は、亡き父の影響で始めた写真にのめり込みプロを目指していましたが、カメラアシスタントとして怒られてばかり。夢は叶えたいものの、現実はあまりにも厳しく、祐介は苛立ちと焦りにさいなまれながら毎日を過ごしていました。

一方で生活費を稼ぐために、叔父の大将が営むラーメン屋でアルバイトをしていた祐介でしたが、そのラーメン屋である日、かつて大将が所属していた劇団のメンバーであるユカリを見かけた祐介は、一目で彼女に思いを寄せるようになっていました。

そんな中、ユカリがロックバンドthe pillowsに興味があることを知り、自分でもthe pillowsのライブに初めて足を運ぶことに。そこでユカリを見かけ、祐介は話をするきっかけを得ることになりました。

ユカリとの距離が近づくにつれて、the pillowsの魅力にもどっぷりはまっていく祐介。ところがある日、カメラの師匠から突然にアシスタントのクビ宣告を受けることに。

これからどうしようと悩む中、先日足を運んだライブでステージを撮影していたカメラマンのことが頭に浮かんだ祐介。その男性が虻川というカメラマンであることを知り、祐介はこれに最後のチャンスを掛けるべく、弟子入りを直談判し、なんとか仕事のチャンスをつかむことになります。

そして、わずかな可能性に必死に食らいつこうともがく祐介。また一方でそんな彼を応援しつつも、祐介には明かしていない自分の人生に不安を抱えるユカリ。それでも二人は未来に向かって、前に進み出していきます…。

映画『王様になれ』は2019年9月13日(金)より、シネマート新宿ほか全国ロードショー




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