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Entry 2019/04/14
Update

映画『殺人鬼を飼う女』あらすじネタバレと感想。飛鳥凛の演技力を活かす官能ホラー

  • Writer :
  • 河合のび

2019年4月12日(金)より公開の映画『殺人鬼を飼う女』

多重人格者である主人公の女性が、ある出会いをきっかけに生じた歪みによって狂わされてゆく姿を描いた官能ホラー映画『殺人鬼を飼う女』。

『女優霊』『リング』など、「Jホラー」を代表する作品を生み出してきた中田秀夫監督が、『ホワイトリリー』でも主演に起用した女優の飛鳥凛を再起用し制作した作品です。

映画『殺人鬼を飼う女』をご紹介します。

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映画『殺人鬼を飼う女』の作品情報


(C)2019「殺人鬼を飼う女」製作委員会

【公開】
2019年(日本映画)

【原作】
大石圭

【監督】
中田秀夫

【脚本】
吉田香織

【キャスト】
飛鳥凛、大島正華、松山愛里、中谷仁美、水橋研二、浜田信也、吉岡睦雄、根岸季衣

【作品概要】
様々な人格とともに生きてきた主人公の女が、憧れの小説家で出会ったことで自身の孕む歪みに気づき苦悩する様を描いています。大石圭の同名エロティックホラー小説が原作です。

監督は『女優霊』(1996)『リング』(1998)と「Jホラー」を代表する作品を手がけ、2019年5月には『リング』シリーズの最新作となる『貞子』が公開される中田秀夫。

様々な人格を持つ主人公キョウコ役は、中田監督の『ホワイトリリー』でも主役を務めた飛鳥凛。

キョウコの別人格である直美役を大島正華、ゆかり役を松山愛里、ハル役を中谷仁美が務めており、4人の女優が一人の女性を演じています。

「リミッターを外せ!」を合言葉に、あえてタブーとされる題材をテーマにクリエイター達の感性と才能を思うままに爆発させた作品を製作・発信してゆく「ハイテンション・ムービー・プロジェクト」の第1弾にあたる作品です。

映画『殺人鬼を飼う女』のあらすじとネタバレ


(C)2019「殺人鬼を飼う女」製作委員会

ビストロでギャルソンとして働くキョウコには、ある秘密を抱えていました。

彼女は幼少期、自身に性的虐待を繰り返していた義父を殺したのをきっかけに生じた、3人の別人格とともに20年もの月日を生活してきたのです。

キョウコを愛し男を嫌悪するレズビアンの直美、男好きでキョウコの母親・友香里と同じ名を持つゆかり、彼女が義父を殺した時のように幼いままのハル、そして気弱な主人格のキョウコ。

共存し互いに助け合うことで続けれてきた三人の別人格との生活を、キョウコは周囲に対してひた隠しにしてきました。

ある日、キョウコは引越し先のマンションで偶然隣人となった、憧れの小説家・田島冬樹と知り合います。

ファンであることを明かした彼女は、冬樹に彼のデビュー作であり唯一読んだことのなかった小説『私のなかの私』を貸してほしいと頼みます。

それは、キョウコと同じく多重人格者である主人公の女性が苦難を経たのちに愛する人と出会うという物語であり、冬樹が主人公の女性に恋しながら執筆した思い入れの強い作品でした。

しかし、冬樹から小説を受け取った直美が小説を捨ててしまったことで、理由を明かすことができないキョウコは冬樹を怒らせてしまいます。

その後、消沈しながらも働くキョウコの元に、金をせびりにきた母親の友香里が現れました。

強権的な母親との再会に怯えるキョウコに対し、直美は「男からも、母親からも守る」と彼女の体に訴えながらも慰めます。


(C)2019「殺人鬼を飼う女」製作委員会

ある朝、目を覚ましたキョウコは、自身の手首に刻まれている「殺す」の血文字を見つけます。直美・ゆかり・ハルに血文字について尋ねますが、誰も心当たりはありませんでした。

ある日、キョウコは友香里に金を渡すために彼女の家を訪れます。

その際、友香里はヒモの亮太とイチャついていましたが、彼女が目を離した隙にキョウコと人格を交代したゆかりが姿を現し、亮太を手玉に取ってしまいます。

キョウコの豹変ぶりに戦慄する友香里を笑いながら、ゆかりはその場を後にします。

その日の晩、「勝手に人格を交代する」という「ルール違反」を犯したことをゆかりは直美に責められ、キョウコからも血文字の件もあるから外出を控えてほしいと頼まれますが、二人が眠ったのを確認すると、こっそり外出してしまいます。

そして連絡先を交換していた亮太と屋外での情事に耽ります。

翌朝、ゆかりの着ていった派手なドレスから着替えることもせず眠っていたキョウコの元に、血相を変えた友香里が訪れます。

昨晩から亮太と連絡が取れないと言う彼女は、キョウコの股間に残っていた亮太の臭いに気付き、男を奪ったことを責めながら彼女に殴りかかります。

怯え、抵抗することもできないキョウコを、異常を察した冬樹が助けます。

彼に手当てを受けながら、キョウコはゴミ捨て場から捨ててしまった小説を拾い、読了した感想を冬樹に語ります。

主人公の女性に自身を重ねて読んでいたと言うキョウコに対し、冬樹も出会った時から彼女のことを意識していたことを告白し、彼女にキスしようとします。

しかしそれを拒んだキョウコはハルへとその人格を交代してしまいました。

キョウコに近づき過ぎないことを忠告するハル、そしてのちに再会し、場合によっては命も奪うと脅迫してきた直美を見て、冬樹はキョウコの秘密を察します。

やがて、何者かに殺害された亮太の遺体が発見されたことで、キョウコと直美・ゆかり・ハルの生活に生じた大きな歪みが露わになってゆきます。

以下、『殺人鬼を飼う女』ネタバレ・結末の記載がございます。『殺人鬼を飼う女』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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(C)2019「殺人鬼を飼う女」製作委員会

冬樹はキョウコの様子を心配し、彼女が勤めているビストロに赴きますが、そこのシェフである谷口は「彼女は体調不良で休んでいる」とだけ答え、彼を帰します。

冬樹が去った後、谷口は自身の動揺を抑えられなくなります。

彼はキョウコの姿をしたゆかりと亮太が情事に耽っている姿を、そしてキョウコでも直美でもゆかりでもハルでもない人格、キョウコがその存在に気付きつつあった「バケモノ」が亮太を撲殺する姿を目撃していたのです。

冬樹が帰宅すると、キョウコに会おうとマンションにやって来た友香里に出くわします。そして、キョウコの過去と多重人格の話を聞かされます。

その日の晩、自宅に戻った友香里は、室内に潜んでいた女の影に気付きます。その正体はキョウコの姿をした「バケモノ」であり、「バケモノ」は泣き震える友香里を撲殺しました。

その後、意識を取り戻したキョウコは、直美・ゆかり・ハルが豪勢な食事で「何か」を祝っている光景を目にします。

やがて警察からの連絡を受け、友香里の死を知ります。キョウコは三人に相談しようとしますが、その姿はどこにもありませんでした。

事態を受け止めきれず、鏡の前に立つキョウコ。そして、服のせいで隠れていた返り血に気付き、自身が亮太や友香里を殺したことを理解しました。

キョウコは愛している冬樹をはじめ、これ以上自身が殺人を犯すことを防ぐために自殺を試みます。その決断を直美は受け入れてくれますが、そこに「バケモノ」によって呼び出された冬樹がやって来ます。

冬樹を拒絶するキョウコに対し、彼は「君になら殺されても構わないから来た」と答えます。

キョウコは自殺するために手にしていた包丁を冬樹に向けますが、泣き崩れ、彼に抱きとめられます。そして、キョウコと冬樹は体を重ね、愛し合います。

直美とゆかりも混ざり、二人は激しく交わります。しかし情交の最中、直美とゆかりとハル、そしてキョウコの8本の腕は冬樹の首に手をかけました。

朝、息絶えて床に転がっている冬樹のそばで、キョウコは彼の処女小説『私のなかの私』の結末を朗読します。そしてパトカーのサイレンが、マンションへと近づきつつありました。

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映画『殺人鬼を飼う女』の感想と評価


(C)2019「殺人鬼を飼う女」製作委員会

「日活ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」の一編として制作された中田監督の映画『ホワイトリリー』で主演を務め、撮影では初ヌードにも挑んだ飛鳥凛。

中田監督と再びタッグを組んだ映画『殺人鬼を飼う女』でも、彼女のその演技力と妖艶な色気が発揮されています

特に母親である友香里を殺した後、一糸纏わぬ姿でひとり赤ワインを飲み干すシーンには、思わず息を飲んでしまう程の美しさを放っています。

唇から首筋、乳房、腹部へと流れ落ちてゆく赤ワインは鮮血を想起させ、女性の様々な一面を人格として孕んでいる主人公キョウコが、まさしく「ファム・ファタール(男にとっての運命の女、或いは男を滅ぼす魔性の女)」であることを思い知らされます。

そして、物語の終盤で描かれるキョウコ・直美・ゆかりと冬樹の4人でのラブシーンでは、ともに演じた直美役の大島正華、ゆかり役の松山愛里、冬樹役の水島研二の名演と化学反応を起こしたことで、四つの肉体が一つの流動する肉塊へと変貌してゆくという、エロティックではありつつも戦慄さえ感じてしまう光景を生み出しています。

4人のキャストによるラブシーン撮影では、中田監督は数日に渡ってリハーサルを行ったと語っており、その徹底した映像制作への情熱に驚かされます。そして監督の情熱に応えるように、主演の飛鳥凛は多重人格者という難しい役柄を演じ切り女性という存在の妖艶さ、そしてその中に潜む恐怖を表現したのです。

まとめ


(C)2019「殺人鬼を飼う女」製作委員会

飛鳥凛の「怪演」と言える程の演技と、スクリーン越しでも伝わってくる妖艶な色気。それ自らの全力の演出によって引き出し、カメラに収めた中田監督の力量は、Jホラーを担った名監督しての貫禄を感じられます。

映画『殺人鬼を飼う女』、ぜひご鑑賞ください。





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