アメリカ人気ドラマ『ファンタジー・アイランド』を映画化リメイク!
ジェフ・ワドロウが脚本・製作・監督を務めた、2020年製作のアメリカのホラー映画『ファンタジー・アイランド』。
太平洋に浮かぶ孤島「ファンタジー・アイランド」。島のリゾート施設の経営するミスター・ロークは、訪れた者のあらゆる夢を不思議な力で叶えさせていました。
滞在者にとってはまるで“理想郷”であるはずのファンタジー・アイランドでしたが、突如奇妙な現象が次々と起こり始め、滞在者は悪夢のような現象に襲われ始めます。
本記事では、映画『ファンタジー・アイランド』のネタバレあらすじとともに作品の魅力をご紹介いたします。
CONTENTS
映画『ファンタジー・アイランド』の作品情報
【公開】
2020年(アメリカ映画)
【原題】
Fantasy Island
【原作】
ジーン・レヴィット『ファンタジー・アイランド(ドラマ)』
【監督】
ジェフ・ワドロウ
【キャスト】
マイケル・ペーニャ、マギー・Q、ルーシー・ヘイル、オースティン・ストウェル、ポーシャ・ダブルデイ、ジミー・O・ヤン、ライアン・ハンセン、マイケル・ルーカー、マイク・ヴォーゲル、パリサ・フィッツ=ヘンリー、エヴァン・エヴァゴラ、シャーロット・マッキニー、ロビー・ジョーンズ、キム・コーツ
【作品概要】
『キック・アス ジャスティス・フォーエバー』(2014)のジェフ・ワドロウが脚本・製作・監督を務めた本作は、アメリカの人気ドラマ『ファンタジー・アイランド』(1977~1984)を映画化リメイクした作品です。
「アントマン」シリーズのマイケル・ペーニャが主演を務め、『レディ・ウェポン』(2002)のマギー・Q、テレビドラマ『プリティ・リトル・ライアーズ』(2003)のルーシー・ヘイル、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズのマイケル・ルーカーら豪華キャスト陣と共演しています。
映画『ファンタジー・アイランド』のあらすじとネタバレ
太平洋に浮かぶ孤島「ファンタジー・アイランド(夢の島)」。そこにあるリゾート施設の経営者であるミスター・ロークは不思議な力を使って、訪れた者の夢を叶えていました。
そのファンタジー・アイランドに、5人の男女が夢を叶えに訪れます。
金髪の若い女性メラニー・コールと、落ち着きのある黒髪の女性グウェン・オルセン。アジア系の眼鏡の青年ブラックス・ウィーヴァーと、ブラックスが子どもの頃に親同士の再婚により兄弟となった義兄JD、体格の良い好青年のパトリックです。
リゾートホテルのバーで「ロークはどうやって人々の夢を叶えているのか」と話し合っていた5人のもとにロークが現れ、島のルールを2つ教えられます。
「叶えられる夢は1人1つ」そして「どんな結末でも最後まで見届けること」です。叶えられた夢は、滞在者の期待通りの結末になるとは限らないし、予測もつかないとロークは忠告します。
ロークがまず最初に叶えた夢は「何もかも手に入れる」というウィーヴァー兄弟の夢でした。
JDは弟と仲が良すぎるために恋人のジェニーにフラれてしまい、ブラックスはゲイであることが理由で7年前に親から勘当されてしまった過去がありました。
そんなウィーヴァー兄弟を、彼ら好みの水着姿の男女が温かく迎え入れてくれました。加えてパーティー会場はプール付きの豪邸だったため、ウィーヴァー兄弟のテンションはさらに上がりました。
滞在2日目の朝。ロークが次に叶えたのは「5年前に別れた恋人アレンからのプロポーズにイエスと答え、彼との間に娘を授かって幸せな生活を送る」というグウェンの夢でした。
実は当時、グウェンは心に闇を抱えており、人を遠ざけてしまっていたため、アレンからの愛を信じることができず、彼からのプロポーズを断ってしまったのです。
当初は5年ぶりに元恋人のアレンと会えて嬉しがったグウェンでしたが、プロポーズされた店で待っていた彼は“現在の彼”ではないことに気づき、ロークに苦情を入れました。
しかし、ロークは聞く耳をもってくれません。グウェンは複雑な思いを秘めたまま、“5年前のアレン”とのディナーを楽しみ、彼からのプロポーズにイエスと笑顔で答えました。
ロークが次に叶えたのは「いじめっ子に仕返しをしたい」というメラニーの夢でした。
実は中学時代、メラニーは体の成長が遅く男の子みたいな体型だったことが理由で、学校一の人気者スローンから酷いいじめを受けていたのです。
メラニーは当時、母親の勧めで精神科医の元へ通いました。そして「友だちになりたい人に手紙を書きなさい」という精神科医からのアドバイスに従い、手紙を書きました。
しかしその手紙をスローンに盗まれ、さらに酷い目に遭わされてしまいました。このことが理由で、メラニーは精神科医のことを「拷問先生」とあだ名をつけました(以下、精神科医を「拷問先生」と表記)。
メラニーはロークからの指示に従い、ホテルのロビーにあるエレベーターで一番下まで降りました。そして一番下の階にあった不気味な管理室には、猿轡と拘束具をつけられ、椅子に縛りつけられたスローンがいました。
メラニーはリアルなホログラムだと感心しつつ、管理室にあるボタンを押してスローンに仕返しをします。するとスローンの不倫動画が流れ、SNS上にアップされただけでなく、彼女の夫のノートパソコンに転送されてしまいました。
怒り狂うスローンの夫と、激しく動揺するスローンの姿を見て、メラニーは目の前のガラスケースにいるのは本物の彼女だと気づきました。その動画を消そうと違うボタンを押すと、今度は2日前に自宅から拉致されていくスローンの姿を捉えた映像が流れます。
ロークに中止を訴えるメラニーでしたが、ロークはエレベーターの扉を開けてくれません。すると今度は例の拷問先生が現れ、スローンに拷問しようとします。メラニーは管理室のシステムを逆に利用し、拷問先生を撃退。スローンと一緒に外へ逃げました。
ロークが次に叶えたのは「子供の頃から夢見ていた軍への入隊」というパトリックの夢でした。
実はパトリックは、軍への入隊を母親から強く反対されてしまい、仕方なくニューヨーク市警察(NYPD)の警察官になりました。ですが、ある時を境に事務職へ異動に………。
パトリックはロークから渡されたアメリカ陸軍の軍服に着替え、リュックを背負って山奥へ入ります。しかしその直後、突如現れた謎の老人に刃物を向けられ「ここは恐ろしい島だ。人々が死んでるし……」と警告されました。
その言葉の意味をパトリックが尋ねようとすると、老人は立ち去り、パトリックは3人のアメリカ兵に拘束されてしまいます。アメリカ兵たちに散々山道を歩かされた先に待っていたのは「中尉」と呼ばれたアメリカ兵で、彼はパトリックがよく知っている人物でした。
パトリックの首から提げられたドックタグを見て、中尉は「なんで俺の名前が……」と戸惑います。直後、突如武装した島民が部隊を襲撃。パトリックは流れ弾に当たり倒れてしまいます。
一方ウィーヴァー兄弟は、豪邸内を探索。まるで映画に出てくるようなパニックルームや武器庫を見つけ、ますますテンションが上がっていました。
滞在2日目の夜。不気味な仮面をつけた武装集団が、お気に入りの男女と酒を飲んでいたウィーヴァー兄弟がいる豪邸を突如襲撃。ウィーヴァー兄弟は慌てて男女たちをパニックルームに避難させ、ロークに助けを求めます。
ロークは、襲撃者はその豪邸の元家主の商人カラショフの手下だと言い「何もかも手に入れれば、そういった連中に狙われるものだ」と答えました。
そうこうしているうちに、先に避難させていた男女にパニックルームの扉を閉められてしまい、ウィーヴァー兄弟だけが部屋に取り残されてしまいます。さらにロークから「どんな結末であっても見届けるのがルールだと話したはず。いい夜を」と言われ、電話を切られます。
真っ暗な夜の森の中を彷徨っていたメラニーとスローンの元に、拷問先生が襲来。殺されかけた2人を救ったのは、パトリックの前に現れたあの老人でした。
森の中で意識を取り戻したパトリックは、中尉から自分のドックタグに加え、「自分と9歳の息子のツーショット写真」をなぜ持っているのかと説明を求められました。パトリックは親子にしか知らない話を語り、自分が中尉の息子であると必死に訴えました。
パトリックの本当の夢は「27年6ヶ月と5日前、ベネズエラでの任務で部下を守って手榴弾の上に覆いかぶさり、戦死した父親リューテナント・サリヴァンとの再会」でした。パトリックの話を聞いたリューリテナントは「ベネズエラに向かうのは明日だ」と答えました。
3日目の朝。グウェンは5年後のアレンと、彼との間に授かった娘のライラと、夢にまで見た幸せな家族生活を満喫していました。
一方リューリテナントは、奇妙な話だと思いつつもパトリックの話を信じ、彼を連れてパナマ経由で帰国しようとします。するとパトリックは、「父さんが死ぬのは過去の話。でも今は俺がいる」と言い、自分と一緒に任務を続けるように言うのです。
映画『ファンタジー・アイランド』の感想と評価
滞在者を恐怖に陥れた悪夢の持ち主
「ファンタジー・アイランド」という島に秘められた不思議な力を使って、それぞれ長年胸に秘めていた夢を叶えていくメラニーたち滞在者。
幸せな夢が悪夢へと変わり、黒い目をしたゾンビや拷問先生たちがメラニーたちを襲っていく場面や、焼け死んだニックがメラニーを泉の中に引き摺り込む場面は思わず悲鳴をあげたくなるほどとても怖いです。
登場人物たちを襲う恐怖を体感できるホラー映画である本作ですが、物語の終盤で彼女たちを恐怖に陥れた夢の持ち主は誰かという、謎解きミステリーサスペンス要素が加わります。
実は見知らぬ者同士かと思われたメラニーたち5人には、6年前に起きた火事で死亡した男性ニックと何かしら関わりがあるという共通点があったのです。
まず最初に疑われたのはジュリアですが、彼女はロークが島の力で生き返らせた彼の亡き妻でした。じゃあ誰が、と皆が疑問に思った時、まさかのメラニーが黒幕であることが発覚。
メラニーが自ら皆にニックを救わなかった5人に復讐を企み、この島の力を使ってそれを実現させたと告白する姿は、恐怖に震えていた時とのあまりの豹変っぷりに驚かされます。
島を脱出するヒントをくれた老人
パトリックと、メラニーたちの前に突如現れた謎の老人は、3週間前にファンタジー・アイランドのことを調査しに来た私立探偵でした。
デーモンはメラニーたちにこの島の恐ろしさを教えてくれただけでなく、島の力の源が洞窟の奥にある岩とそこから滴る黒い水であると教えてくれたのです。
デーモンもまた、この島の力によって夢を叶えた1人でしたが、それ故に身をもってこの島の恐ろしさを実感しています。
それに加え、メラニーとスローンは反抗してばかりだったデーモンの亡き娘によく似ていました。だからデーモンは、亡き娘に似る2人を守るために、拷問先生に立ち向かい命を落としたのです。
この島で命を落としたJDもパトリックもそうですが、デーモンも皆と一緒にこの島から無事生還してほしかったと思うほど、作中でとても重要な人物でした。
まとめ
長年胸に秘めた夢を叶えようと島を訪れた5人の滞在者の恐怖を描いた、アメリカのホラー作品でした。
物語の終盤まで、亡き妻と一緒にいるために滞在者の要望を拒否し続けたロークでしたが、彼女たっての願いで夢を手放す決心をします。
それは作中でロークも言っていましたが、自分のエゴで愛する妻を何度も病で苦しませ生き返らせたことへの罪悪感と、何度も妻の死を看取り続けたことで心が疲れ果ててしまったからではないでしょうか。
メラニーの協力者であったロークが味方になったことで、グウェンたちは無事夢の世界から抜け出し、島から脱出することが出来ました。
自分の夢のために悪役に徹したローク役を演じたマイケル・ペーニャと、積もりに積もった恨みをぶつけるために一芝居打った黒幕のメラニー役を演じたルーシー・ヘイルの素晴らしい演技力があるからこそ、物語の世界観にどっぷりと没入することができるのです。
また物語のラストでは、ブラックスがこの島で死んだ義理の兄JDのために、従業員となって島に残る決断をするという驚きの結末が描かれているため、最後の最後まで観ている人を驚かせてくれます。
ファンタジー・アイランドが持つ、滞在者の夢を叶えるという不思議な力に囚われた人々と、それによって恐怖に陥れられた滞在者の姿を描いた、ミステリーサスペンス要素アリのホラー映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。