『映画(窒息)』は2023年11月11日(土)より新宿K’s cinema他で全国順次公開!
『いつかのふたり』(2019)に続く長尾元監督の長編第2作『映画(窒息)』。
「セリフなし・モノクロ撮影」という映画史の原点に回帰した奇想天外な異色作が、2023年11月11日(土)より新宿K’s cinema他で全国順次公開されます。
主人公の女を『菊とギロチン』(2018)『岬の兄妹』(2019)の和田光沙、彼女の前に現れる若い男を『かかってこいよ世界』(2023)の飛葉大樹が演じる他、仁科貴、寺田農が出演しています。
アダムとイブのような男女を通じて、まさに楽園から堕ちていくかのような《世界の崩壊》を衝撃的に描き出します。
映画『映画(窒息)』の作品情報
【日本公開】
2023年(日本映画)
【監督・脚本】
長尾元
【キャスト】
和田光沙、飛葉大樹、仁科貴、田嶋悠理、仁木紘、寺田農
【作品概要】
言葉が失われたはるか遠い時代を舞台に、荒廃した世界で生きる人間たちの姿を全編セリフなし・モノクロ映像で描いた異色作。『いつかのふたり』(2019)に続き、本作が長編映画第2作となる長尾元が監督を務めます。
主演はインディペンデント映画界のミューズともいえる『菊とギロチン』(2018)『岬の兄妹』(2019)の和田光沙。さらに『かかってこいよ世界』(2023)の飛葉大樹、ベテラン俳優・寺田農らが出演しています。
映画『映画(窒息)』のあらすじ
一人の女(和田光沙)が廃墟のような建物に住み、言葉のない世界で原始的な自給自足の生活を送っていました。
水を汲みに行き、川で水浴びをし、獲物を捕らえる毎日。狩猟で蓄えた食料を、行商人(寺田農)と互いの腹を探り合いながら物々交換します。
女は自身の身体と食料目当ての山賊(仁科貴)たちに襲われ、悔しい思いをしますが、そんな不測の事態にもめげることなく、たくましく生きていました。
ある日、女の仕掛けた罠に一人の若い男(飛葉大樹)が掛かっていました。
女は獲物として男を家に連れて行きましたが、翌日逃がしてやります。その後、何故か男は女になつき始め、女も情が移ったのか二人は共同で生活し始めました。
そんな日常が続く中、女は若い男に欲情するようになります。次第に人間の欲望の姿が明らかになっていき……。
映画『映画(窒息)』の感想と評価
モノクロで描かれる原始的な世界。そこには女の住む廃墟やガラスなどの文化のなごりが垣間見え、いわゆる「原始時代」ではないようです。
独特の世界観の中で、主演・和田光沙が魅せる素晴らしい体当たりの演技が光ります。
毎日自分が生きるために水を汲みに行き、獲物を捕らえ、日が暮れたら眠る生活を送っていた一人の女。苦労が多い生活ですが、そこには誰にも干渉されない一人ならではの穏やかさが存在していました。
食べるために日々狩りをし、手に入れた食べ物をうれしそうに頬張る女の姿から、生きるために「食べること」が占める重要さを改めて実感させられます。
腹を探り合いながら行う言葉を交わさない物々交換や、身体と食料目当てに山賊が襲ってくるなど、女の苦労は絶えません。山賊から必死で逃れようとする場面は、手に汗握るほどスリリングです。
そんな中、罠にかかった若い男と暮らすようになった女は、共に暮らす存在を得たことで、愛し合いながら生きる楽しさと力を合わせて手にする快適な暮らしを知ります。
しかし、楽園を追放されたアダムとイブさながら、彼らが知ったのは人生の“陽”の面だけではありませんでした。やがて二人は人間の生来持つ残酷さ、愚かさに振り回されるようになっていきます。
ラストに向かって物語はヒートアップし、予測不可能な展開に目が離せません。果たして女がたどり着くのは、どんな未来だったのか……どうぞ最後まで見届けてください。
まとめ
言葉を持たない、動物と変わらない原始的な“人間”の姿を描いた衝撃作『映画(窒息)』。
人間の本性を突き詰め、純度の高いむき出しの欲情、暴力、残虐さすべてを描き出します。どんどん高まっていく緊迫感から目が離せません。
『映画(窒息)』は2023年11月11日(土)より新宿K’s cinema他で全国順次公開です。