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『サンセット・サンライズ』映画原作ネタバレとあらすじ感想評価。菅田将暉を主演に宮藤官九郎が脚本担当する最新作は最高傑作になるのか⁉︎

  • Writer :
  • 星野しげみ

楡周平の小説『サンセット・サンライズ』が映画になります!

都会から宮城県・南三陸に移住した釣り好きサラリーマンと、その地で生きる住民との交流を描いた、楡周平の小説『サンセット・サンライズ』。

人々の力強さや温かさをユーモアたっぷりに描き、その背景にあるコロナ禍の日本、過疎化に悩む地方、震災などの社会問題と向き合うヒューマン・コメディです。

このたび、小説『サンセット・サンライズ』が、菅田将暉を主人公・西尾晋作として映画化されました。2014年からの「土竜の唄」シリーズなどの宮藤官九郎が脚本、『正欲』(2023)『前科者』(2022)の岸善幸が監督を務める、豪華な作品となりました。 


(C)楡周平/講談社 (C)2024「サンセット・サンライズ」製作委員会

映画『サンセット・サンライズ』は、2025年1月に全国ロードショー!

第37回東京国際映画祭(2024年10月28日~11月6日開催)において、世界の国際映画祭で注目を集めた話題作や最新の邦画大作などを上映する「ガラ・セレクション」部門13作品の一つになっています。

映画公開に先駆けて、小説『サンセット・サンライズ』をネタバレありでご紹介します。

小説『サンセット・サンライズ』の主な登場人物

【西尾晋作】
36歳の釣り好きな会社員。テレワークで宮城県の宇田濱へ移住する

【関野百香】
宇田濱の町役場に勤めている39歳の女性。貸家の持ち主

【関野章男】
百香の夫の父

【倉部健介】
居酒屋「海幸」の店主。百香に惚れている。

小説『サンセット・サンライズ』のあらすじとネタバレ

世界中が新型コロナウイルスのパンデミックでロックダウンに追い込まれた2020年。

シンバル東京支社に勤める釣り好きの36歳の西尾晋作(菅田将暉)は、会社でリモートワークが導入されたことを機に、地方でテレワークをすることを考えます。

独身の晋作は川﨑のマンションに一人住まいですが、海が近くて好きな釣りが楽しめる三陸の町がいいかなと、友人が7年前にヒラメを30枚釣ったという、宮城県北部の宇田濱というところに憧れます。

丁度そのころ、宇田濱では空き家問題が深刻化していました。役場に勤める39歳の関野百香も空き家を1軒持っており、役場で空き家問題を担当することになったので、その家を貸家にしようと、借主をインターネットで募集することにしました。

晋作がある朝、インターネットを開くと、宇田濱の物件案内が検索のトップに表示されました。海の近くの山の上の4LDK・家賃6万円の神物件です。理想的な住まいと思い、晋作はすぐに広告主である百香の連絡先にアポを取ります。

百香も話をすすめ、契約はその場で即決まりました。こうして、晋作は気楽な〝お試し移住〟をスタートすることになりました。

晋作が意気揚々と宇田濱へ移住してきました。出迎えた大家の百香はマスク姿でソーシャルディスタンスをしっかりとっています。まだコロナ患者が出ていない宇田濱では、東京から来る人には警戒心が大きかったのです。

ですが、マスクごしにのぞく目元や全体の美しい姿に晋作は百香に一目ぼれしてしまいます。

そんな晋作の気持ちも知らず、百香は、2週間の間は村人とも接しない、出歩かないという条件をだしました。その間の必要なものは百香が持ってくるというのです。

住民たちはお互いに作物や漁で採れた獲物を物々交換しています。おまけに百香の父・章男は漁師でした。近所からのお裾分けもあって、肉や魚は無償でいただけました。

釣り好きがこうじて、料理も得意な晋作は、無料で手に入る新鮮な肉や魚、野菜を使った料理で毎日おいしい食事をすることができます。

借りた家も申し分ない物件で、テレワークをする晋作は、仕事の合間には海へ通って釣り三昧の日々を過ごし始めます。が、東京から来た〝よそ者〟に、町の人たちは気が気ではありません。

誰もいないはずの百香の持ち家に明かりがついている、誰かいるのか?と聞いてくる近所の重蔵に、百香はうっかり、「私が住むことになった」と言ってしまいました。

東京からの移住者を警戒する人々のことを危惧したのですが、これがかえってとんでもない誤解を生んでしまうことになりました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには小説『サンセット・サンライズ』ネタバレ・結末の記載がございます。小説『サンセット・サンライズ』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

魚が獲れ過ぎたから百香にあげようとした重蔵は、一軒家を訪れ、応対に出た晋作を見てビックリ。百香が晋作と結婚したと早とちりして帰ってしまいます。

狭い町で、美人の百香が東京から来た年下のテレワーカーと結婚しているという噂があっという間に広がりました。

章男と一緒に海釣りに行くようになった晋作は、章男から魚をさばいてくれる居酒屋「海幸」を紹介されて、そこへ行きます。しかし、晋作が例の家の移住者と知った店主の倉部健介はなぜか敵対心丸出しの態度です。

実は健介は百香をお嫁さんにしたいと思っていたので、恋敵ともいえる晋作を敵視したわけです。わけがわからない晋作は、首をひねるばかり……。

噂に気が付いた百香は否定しますが、周囲の好奇の視線に変わりはありませんでした。百香は知らず知らずに晋作とも距離を取るようになります。

こんな具合に、ひと癖もふた癖もある地元住民との距離感ゼロの交流にとまどいながらも、持ち前のポジティブな性格と行動力で、いつしか晋作は、宇田濱町に溶け込んでいきました。

ある日、晋作は、漁でとった魚をお裾分けしようと訪ねた近所のおばあさんから、百香の一軒家に纏わる話を聞きました。

百香は22歳のときに高校の先輩である章男の長男と結婚し、章男たち夫婦と同居していましたが、東日本大震災で、夫と2人の子供、義母を亡くしたのです。

あの家は百香たちが家族で住むために建てたもので、あと少しで引っ越すところまで準備が整っていました。いまだに百香がそのままにしているのも、家族の思い出があったからだったのです。

東日本大震災から10年以上たつのですが、再婚もせずにいる百香の気持ちは少しも癒えていません。百香の心の傷を知った晋作ですが、テレワーク機関が終われば、また東京へ戻ることになります。

その前に何かできないかと考え、町中にある空き家を賃貸で貸し出すプロジェクトを会社の社長が考えていることを知り、率先して動き出しました。

百香にそのプロジェクトの話をすると、百香も大乗り気です。空き家のリフォームや所有者との契約などの問題を次々と乗り越えていきます。

難問のはずなのですが、2人で相談して話を進めていくのがとても楽しいと気が付いた百香。この気持ちは何だろうと思った時百香は、その正体を知りました。そしてそれを知った同僚の仁美は、晋作に打ち明けます。

仁美から、百香が自分に好意を持っているようだと知らされた晋作は、すぐに百香の家に行き、「僕と結婚してください」と言いました。

驚き、戸惑う百香に章男が「晋作のことが好きなんだろう?」と言いました。大震災の悲劇から10年たっているから、もういいからこれからの人生は好きな人と一緒に楽しく過ごして欲しいと章男に言われ、百香はうなづきました。

空き家を活用し、地方への人口分散を図る事業を起案した晋作。地方で事業継承のためという口実をつけ、百香との入籍を会社に報告しました。

2人の新居はあの貸家です。素晴らしい日の出を見ながら、百香は晋作に中学生の頃に観たミュージカル『屋根の上のバイオリン弾き』の話をします。

百香は、劇中歌の『サンライズ・サンセット』になぞって、章男が百香の背中を押したんだと言いました。

「もう日が沈むことはない。サンセット・サンライズだ」と、晋作は言いました。

小説『サンセット・サンライズ』の感想と評価

コロナ禍のテレワークに乗じて、趣味の釣り三昧の生活を楽しもうと、海釣りができる宮城県南三陸へ借り住まいを決めた晋作。釣りを楽しめて仕事もできるという一石二鳥の生活が始まります。

この地で晋作を待っていたのは、貸家の大家への胸がときめく恋心と空き家問題を解決すべく新たなビジネスの発起でした。

哀しい過去を持つ美人の大家・百香をはじめとする、嫉妬と好奇の入り混じった百香をとりまく町の男性たちとの交流や、山海の幸を物々交換してわけあう距離感なしの住民たちとの関わりが、晋作も次第に溶け込んでいきます。

南三陸にやって来てからその町に落ち着くまでの晋作の揺れ動く心境が、面白おかしく綴られ、まっすぐでポジティブな彼に魅かれていくことは間違いありません。

哀しい過去を背負いながらも、力強く生きていこうとする百香と彼女を支えてこの町でビジネスを起こす晋作。2人の新しい門出の言葉でもある「サンセット・サンライズ」に感銘を覚えることでしょう。

作者は経済小説・犯罪小説を得意とする楡周平。本作では血なまぐさい殺人などは起こりません。震災で発展が途絶えた町の空き家を何とかしようとするビジネスが後半晋作の窮地を救うので、経済小説とも言えます。

また本作の特徴として、海の幸、山の幸を使った郷土料理が数多く紹介されています。海での日の出の美しい様子も紹介され、宮城県の観光小説と言ってもおかしくないほど、地元愛にあふれた小説でした。

映画『サンセット・サンライズ』の見どころ

映画の主演を務めるのは、人気実力ともに定評のある菅田将暉。監督の岸善幸とは、『あゝ、荒野』(2017)以来7年ぶりのタッグを組むことになりました。

あゝ、荒野』(2017)を撮り終わった後、次は笑える作品が良いよねと話していたそうですから、今回の『サンセット・サンライズ』で夢が叶ったと言えるのではないでしょうか。

映画では、宮城県気仙沼市を舞台に、東日本大震災の心の傷を抱える人々の交流と地方の空き家問題を取り上げています。作品の背景にあるコロナ禍の日本、過疎化に悩む地方、震災などの社会問題と向き合いながら、エンタテインメント性を強調しました。

菅田将暉×工藤官九郎×岸善幸で笑えるヒューマンドラマになることに期待は高まります

脚本を担当した宮藤官九郎は、NHKの連続テレビ小説『あまちゃん』や「土竜の唄」シリーズなども手掛けた人気脚本家。クドカン流の社会問題も取り入れた笑いのセンスは、本作でもファンを魅了してくれることでしょう

なお、原作では地元の食材を使った料理がふんだんに出てきます。映画でもかなり美味しそうな料理が出てくるのは間違いないでしょうから、そちらも楽しみです。

映画『サンセット・サンライズ』の作品情報


(C)楡周平/講談社 (C)2024「サンセット・サンライズ」製作委員会

【日本公開】
2024年(日本映画)

【原作】
楡周平『サンセット・サンライズ』(講談社)

【監督】
岸善幸

【脚本】
宮藤官九郎

【企画】
佐藤順子

【キャスト】
菅田将暉

まとめ

楡周平の小説『サンセット・サンライズ』をネタバレ有りでご紹介しました。

東日本大震災で痛手を受けた宮城県南三陸を舞台に、哀しい過去を背負いながらも力強く生きていこうとする女性と、「お試し移住」を決意してやってきた青年とのラブストーリーがユニークに展開します。

災害を乗り越えて力強くポジティブに生きていこうとする人々の姿を雄々しく捉えたヒューマンドラマ『サンセット・サンライズ』。

主演・菅田将暉、監督・岸善幸、脚本・宮藤官九郎といった精強メンバーで映画化されました。映画『サンセット・サンライズ』は2025年1月に全国ロードショーです。

全国公開前に、第37回東京国際映画祭(2024年10月28日~11月6日開催)の「ガラ・セレクション」部門13作品の一つとして公開が決定。年明けを待たずにご覧いただけます。



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