トップ俳優とマネージャーの人生が入れ替わる!? ファアンタジックでハートフルな物語
トップ俳優でスキャンダルメーカーのパク・ガン(クォン・サンウ)は、華やかなシングルライフを送っています。
クリスマス・イブの夜、パク・ガンは古くからの友人であり自身のマネジャーであるチョ・ユン(オ・ジョンセ)と酒を飲み交わし、酔っ払ったままタクシーに乗り込みます。
「もし人生を選び直せるならどうするか?」。タクシー運転手の不思議な問いかけを聞きながらも眠りについてしまったパク・ガンが目を覚ますと見知らぬ家で、別れたはずの恋人・スヒョン(イ・ミンジョン)と見知らぬ子供2人に囲まれます。
果たしてパク・ガンの身に何が起こったのか……。
「探偵なふたり」シリーズや、『鬼手』(2019)、『ヒットマン エージェント:ジュン』(2020)のクォン・サンウがトップ俳優を演じ、Netflixドラマ『サイコだけど大丈夫』(2020)、『エクストリーム・ジョブ』(2019)のオ・ジョンセがマネジャーを演じました。
監督を務めたのは、『探偵なふたり』(2015)や『ラスト・プリンセス 大韓帝国最後の皇女』(2016)でシナリオ脚色作家として実績を積み、『そう、家族』(2017)で長編監督デビューをしたマ・デユン。
現実を忘れて幸せな気持ちになるような、クリスマスらしいファンタジックでハートフルなコメディになっています。
映画『スイッチ 人生最高の贈り物』の作品情報
【日本公開】
2023年(韓国映画)
【原題】
스위치(英題:Switch)
【監督】
マ・デユン
【キャスト】
クォン・サンウ、オ・ジョンセ、イ・ミンジョン、パク・ソイ、キム・ジュン
【作品概要】
出演オファーの絶えない人気俳優役を演じたのは、「探偵なふたり」シリーズや、『鬼手』(2019)、『ヒットマン エージェント:ジュン』(2020)のクォン・サンウ。
マネージャー役には、Netflixドラマ『サイコだけど大丈夫』(2020)、『エクストリーム・ジョブ』(2019)のオ・ジョンセ、他のキャストには『ワンダフル・ラジオ』(2012)のイ・ミンジョン、『ただ悪より救いたまえ』(2020)のパク・ソイ、ドラマ「賢い医師生活」シリーズのキム・ジュンが務めました。
映画『スイッチ 人生最高の贈り物』のあらすじとネタバレ
トップ俳優のパク・ガン(クォン・サンウ)は、華やかなシングルライフを満喫しています。更に自他ともに認めるスキャンダルメーカーで、マネージャーのチョ・ユン(オ・ジョンセ)は事後処理に追われています。
クリスマスイブの夜、授賞式に参加したパク・ガンは、チョ・ユンを飲みに誘います。クリスマスイブは子供と過ごしたいというチョ・ユンでしたが、昔からの共であるパク・ガンを放って置けず付き合います。
チョ・ユンはパク・ガンにソヒョン(イ・ミンジョン)が帰国し、展示会を開くことを伝えます。ソヒョンは、10年前にパク・ガンの成功のために別れて以来、会っていませんでした。
その後、チョ・ユンは酔っているパク・ガンをタクシーに乗せます。タクシーの運転手はパク・ガンに、「成功されたあなたのような方は人生に不満などないのでは」と言いながら、「もし人生を選び直せるならどうするか?」と聞きます。
酔っていたパク・ガンは朧げになりながら眠りについてしまいます。そして翌朝目覚めると見知らぬ家の玄関で寝ていました。そしてそんなパク・ガンを起こしたのは、2人の子供でした。
更にそこには別れたはずのスヒョンがいます。困惑したパク・ガンは家を飛び出し、自分の高級マンションに向かいます。すると鍵番号も変わり、そこには知らない人が住んでいます。
警察に連行されたパク・ガンは、自分は大物俳優だと説明しますが、誰も相手にしません。そこに呼び出されたスヒョンがやってきます。スヒョンにも「ふざけているの?」と言われてしまいます。
諦めたパク・ガンは、自分の子供だというロヒ(パク・ソイ)とロハ(キム・ジュン)に自分は記憶喪失だと説明し、ママにバレないよう協力してくれと言います。
パク・ガンは、この世界では売れない再現ドラマの俳優で、スヒョンは絵画教室の先生として働いていることを知ります。更に自分のマネージャーであったチョ・ユンが大物俳優になっていることを知り会いにいきます。
そして、自分とマネージャーの人生が入れ替わったことに気づきます。チョ・ユンに会ったパク・ガンは、自分がスヒョンを空港まで追いかけ引き止めに行ったことでオーディションに行けず、かわりにチョ・ユンがそのオーディションで役を勝ち得て、トップ俳優へと上り詰めて行ったことを知ります。
そのことを知ったパク・ガンは、スヒョンに「海外で勉強もできたのに、行かずに後悔していないか」と聞きます。するとスヒョンは「後悔していない。今の生活が幸せ」と答えます。
映画『スイッチ 人生最高の贈り物』の感想と評価
もしあの時あの選択をしていなければ……。そのような後悔を胸の中に抱えている人も多いでしょう。また、胸を張って幸せと思える人生を歩んでいるのだろうかと不安になることもあるでしょう。
本作は、トップ俳優で華やかな独身生活を満喫し、お金にも不自由していない、一見全てを手にしたかのように思えるパク・ガンが、本当に自分にとって大切な人や幸せについて気付かされる映画になっています。
パク・ガンは売れていくにつれ、マネジャーや監督に対して傍若無人に振る舞い、一夜を共にした女性とも一夜限りで終わりにしようとしたりと、自分の周りの人物を大切にすることをいつしか忘れていました。
そんなパク・ガンは、クリスマスイブの夜タクシーに乗り、「もし人生を選び直せるならどうするか?」と不思議なことを言われます。
酔いに任せて運転手の話を聞いていたパク・ガンでしたが、翌日目覚めてみると見知らぬ家で、そこには別れたはずの恋人・スヒョンや見知らぬ子供・ロヒとロハがいます。
困惑していたパク・ガンでしたが、次第に状況を受け入れ始め、かつて共に演劇をしていたが、芽が出ずパク・ガンのマネージャーになったチョ・ユンがトップ俳優であることを知り、自分とチョ・ユンの人生が入れ替わったことに気づきます。
元の世界では、パク・ガンは互いの成功のためと別れを切り出し、スヒョンは海外に勉強しに行き、その後再会せずにいました。しかし、今の世界では海外に行こうとするスヒョンを引き留めたことでパク・ガンはスヒョンと結婚し、ロヒとロイが生まれています。
そのことを知ったパク・ガンは、「後悔していないか、海外で勉強することもできたのに」と聞きます。するとスヒョンは悩むことなく「後悔していない、今が幸せ」と答えます。
スヒョンと子供たちと過ごすことによって、傲慢で傍若無人であったパク・ガンが次第に変わっていきます。それだけでなく、チョ・ユンのマネジャーになったことで、かつての自分の姿とチョ・ユンが重ね自身の言動を省みることになるのです。
スヒョンと子供たちにいい思いをさせたいと、チョ・ユンの働きかけなどによって役を得たパク・ガンは、いいマンションでいい車で生活をさせようとします。
するとスヒョンは、「郊外で今まで築き上げた生活は?ロイはアトピーだから自然のある郊外で育てようってあなたが言ったのよ」と言います。パク・ガンは、かつての自分のように、成功した生活を送ることが幸せだと思っていたのです。
スヒョンの言葉に目を覚まさせられたパク・ガンはあ家族のために仕事を頑張り、家族の時間を大切にするようになります。
人生が変わって初めて“幸せ”を知ったパク・ガンでしたが、再びあのタクシーに乗ってしまいます。
一年が経ち元の生活に戻る時がきたのです。「帰らない」というパク・ガンにタクシー運転手が、「殆ど過ごしてこなかった息子との時間がどれほど大切なのか後になって気づく」と自分の話を始めます。その言葉がパク・ガンの背中を押します。
そして後になってあのタクシー運転手は亡くなったはずの父親であったことにパク・ガンは気づきます。父親がクリスマスイブの夜に贈ってくれたプレゼントを胸に、元の生活に戻ったパク・ガンは、帰国したというスヒョンに会いに飛び出していきます。
クリスマスらしい心温まる本作は、観客である私たちへのプレゼントかのようなワンダフルな映画になっています。観終わってふと自分にとって大切な人の顔が浮かぶのではないでしょうか。
まとめ
本作は、「探偵なふたり」シリーズや、『鬼手』(2019)、『ヒットマン エージェント:ジュン』(2020)のクォン・サンウとNetflixドラマ『サイコだけど大丈夫』(2020)、『エクストリーム・ジョブ』(2019)のオ・ジョンセが、コメディスターっぷりを発揮しているところも見事です。
冒頭、スキャンダルも多く、傍若無人なトップスターのパク・ガンは、いい人ではないけれどどこか憎めない人物です。そんなパク・ガンがスヒョンと子供たちと出会ってから少しずつ変わっていく様子が印象的です。
最初は子供たちとも接し方が分からず、遠ざけていましたが、次第に子供たちに読み聞かせしたり共に遊んだりするようになります。
更に自分は役者として芽が出ずマネージャーをすることに悔しさもあれど、チョ・ユンが活躍している姿を見ることに友人として嬉しさも感じているパク・ガンは、マネージャーとしてチョ・ユンをサポートします。
それだけでなく、スキャンダルが出るとかつての自分とチョ・ユンを重ねて放って置けない気持ちになります。しかし、「俺よりもはるかに偉い」と自分の傍若無人っぷりを反省するような発言もしています。
そのように人生が入れ替えった2人ですが、全く同じようにならないのも面白いところです。パク・ガンはチョ・ユンのドラマに代役として出たことで注目を浴びますが、監督にパク・ガンを推薦したのはチョ・ユンでした。
また、パク・ガンとは違い恋愛に関しては不器用なチョ・ユンは、スキャンダルは出ても片思いばかりでなかなか次に進めずにいたり、自分の外見を気にして美容にも気を使っています。
パク・ガン、チョ・ユンの違いや、韓国の芸能界に対するブラックユーモアなど笑いのエッセンスが随所に散りばめられています。また、表情豊かな子役2人の演技にも注目です。