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Entry 2023/04/03
Update

【ネタバレ】生きる(映画リメイク/海外)あらすじ感想評価と結末解説。ラストシーンは黒澤明の“問い”へのカズオ・イシグロの“答え”

  • Writer :
  • からさわゆみこ

巨匠・黒澤明の名作が再び!
愚直な男が最期を知り、人生に輝きを取り戻す物語。

今回ご紹介する映画『生きる LIVING』は、1952年の巨匠・黒澤明監督による名作『生きる』のリメイク作。ノーベル賞作家カズオ・イシグロが脚本を書き下ろし、オリヴァー・ハーマナスが監督を務めました。

リメイクにあたって、物語の舞台は日本から第二次世界大戦直後のロンドンへ。本作は第79回ベネチア国際映画祭で上映され高い評価を得ると、第95回アカデミー賞でもノミネートを果たしました。

1953年。役所の市民課に勤めるウィリアムズは、ピン・ストライプの背広に山高帽を目深に被り、同じ時刻の列車・同じ車両で毎日通勤。仕事は書類にサインをするだけ、家にも居場所はなく、自分の人生は空虚で無意味だと感じていました。

そんなある日、彼は医者から末期のガンであること、そして余命は半年であることを突然告げられます……。

映画『生きる LIVING』の作品情報


(C)Number 9 Films Living Limited

【日本公開】
2023年(イギリス映画)

【原題】
Living

【監督】
オリヴァー・ハーマナス

【原作】
黒澤明、橋本忍、小国英雄

【脚本】
カズオ・イシグロ

【キャスト】
ビル・ナイ、エイミー・ルー・ウッド、アレックス・シャープ、トム・バーク

【作品概要】
主人公ウィリアムズを演じたビル・ナイは、演劇界・映画界で数多くの賞を受賞している名優。代表作には『幸せの答え合わせ』(2018)、『マイ・ブックショップ』(2019)などがあります。

マーガレット役には、Netflixシリーズ『セックス・エデュケーション』や映画『ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ』(2021)に出演したエイミー・ルー・ウッド。また『パーティで女の子に話しかけるには』(2017)、Netflix映画『シカゴ7裁判』(2020)のアレックス・シャープがピーター役を演じます。

監督オリヴァー・ハーマナスは初監督作品『Shirley Adams』(2009)がロカルノ国際映画祭・トロント国際映画祭に出品されると国際的に注目され、本作でもさらに大きな話題を集めています。

映画『生きる LIVING』のあらすじとネタバレ


(C)Number 9 Films Living Limited

第二次世界大戦後の1953年。郊外で暮らすロンドン市役所の公務員たちは、毎朝同じ汽車に乗って出勤しています。

新人のピーターは駅で同僚たちの顔を見つけると、足早に合流し挨拶を交わします。先輩職員は「“多忙”で手が足りなかった」とピーターを歓迎します。

汽車が次の駅に差しかかると同僚の一人が、次の駅で上司の課長が乗車するから、礼儀正しくするよう教えてくれます。到着すると山高帽を被り、ピンストライプのスーツを着ている、いかにも英国紳士といった姿のウィリアムズが窓越しに立っています。

彼らが一礼すると、ウィリアムズも山高帽のつばをつまみ挨拶を返しますが、彼らと乗り合うことなく別の車両へ。駅に着いても同僚たちは一定の距離を保ち、付かず離れず役所に入っていきます。

市民課の課長を務めるウィリアムズは、厳格で気難しそうな雰囲気を醸し出していましたが、山積みとなった書類を感情なく処理し、就業時間になると帰宅する日々を送っていました。

ピーターの席にも書類が山積みとなっていますが、前の席に座っているマーガレット・ハリスはピーターに「山積みの書類は忙しいフリができる」と教えます。

その後、役所には「大戦の爆撃で荒廃した空き地が、下水により不衛生になっているため、整備した上で公園として再開発してほしい」と陳情する女性たちが訪ねてきます。

ウィリアムズは陳情書を見て、その案件は「公園課」だと指示しますが、女性たちは公園課の職員に同じことを言われていたらしく「“たらい回し”にされている」と怒りだします。

ウィリアムズは「市民課の人間が付き添えば、対応してくれるだろう」とピーターにその役を指示。ピーターは意気揚々と女性たちを案内しようとしますが、すでに女性たちの方が行き慣れていました。そして、公園課から下水道課と部署から部署へとたらい回しにされます。

結局ピーターは「市民課の管轄だ」と言われて戻り、ウィリアムズに書類を差し出すと、彼はそれを受け取り、目を通すことなく書類の山に追加するのみでした。

役所の職員たちは、自分や部署のペースを崩すことなく、ただ仕事を回すだけでした。「誰も余計なことをしない」が所内での暗黙のルールです。

しかし、無遅刻無欠勤を貫いていたはずのウィリアムズはその日、珍しく午後に早退しました。彼が向かったのは病院です。

主治医はウィリアムズを見ながら、淡々と検査結果が出たと切り出し、「末期ガンで余命は半年」「長くとも9ヶ月だ」と宣告をしました。

ウィリアムズは息子マイケルと彼の妻と同居しています。二人は「映画の日はウィリアムズの帰りが遅い」と話しながら帰宅し、父の遺産をアテに新居の購入を話し合います。

ところが、真っ暗なリビングで佇むウィリアムズを見て、マイケルの妻は驚きます。マイケルが心配し声をかけるとウィリアムズは「話しておきたいことがある」と切り出しますが、息子夫婦は「朝が早いからもう休みたい」と2階の部屋に行ってしまいます。

茫然自失のウィリアムズは、リビングの棚に飾られた亡き妻の写真を見つめながら、妻の葬儀の日以降の息子マイケルと暮らした日々を思い出します。

すると、2階からウィリアムズを呼ぶマイケルの声がします。彼は息子と会話できることを期待しましたが、マイケルは「ドアの鍵をかけて」と伝えるだけでした。

規則正しい生活を崩さなかったウィリアムズが、次の日から役所に来なくなりました。同僚たちにとってそれは驚くべきことであり、原因を考えても心当たりさえ浮かびませんでした。

以下、『生きる LIVING』ネタバレ・結末の記載がございます。『生きる LIVING』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)Number 9 Films Living Limited

ウィリアムズは海辺のリゾートレストランにいました。彼はその店で劇作家のサザーランドと出会います。

サザーランドは次回作で自分の脚本の良さを知らしめると、自信をみなぎらせていましたが、不眠で悩んでいると店のマダムに話します。

そんな彼にウィリアムズは声をかけ、カバンの中から複数の睡眠薬を取りだし、差し出し受け取ってほしいと言います。

サザーランドはただ事ではないと察し事情を聞きます。ウィリアムズは人生を謳歌できなかったことを悔い、それを見出すため預金を半分おろし、このリゾート地にたどり着いたと話します。

人生に絶望し睡眠薬で死ぬことも考えていたウィリアムズですが、サザーランドなら人生の楽しみ方を教えてくれると思い声をかけました。

サザーランドはウィリアムズを夜の盛り場へと連れまわし、ダンスホールや遊技場で金を使わせます。狭い裏路地で酒場の女が呼び込みをし、ウィリアムズの山高帽を奪います。

ウィリアムズは女を追いかけようとしますが、サザーランドは諦めて新しい帽子を買うよう勧め、パブの客が被っていた“中折れ帽”を譲ってもらうことにします。

ピアノの弾き語りを聞かせるパブで酒を飲み、自分と妻の故郷である、アイルランド民謡の「ナナカマドの木」をリクエストし、彼は顔に哀しみの色を浮かべ歌いました。

サザーランドは最後にストリップ小屋に連れていきますが、ウィリアムズは気分を悪くしテントを出ます。心配したサザーランドが彼を捜すと、暗闇から口元をハンカチで抑えたウィリアムズが現れ、その悲愴な表情に言葉を失います。

翌朝、バーリントン・アーケードに戻ったウィリアムズは、部下のマーガレットと出くわします。彼女はカフェに転職すると告げ、内定はもらったが課長からの推薦状がほしいと話します。

ウィリアムズはフォートナム・メイソンのアフタヌーンティーで、推薦状を書くからと彼女を誘いました。

マーガレットは市民課でムードメーカーのような存在でしたが、生産性のない仕事にうんざりして、カフェの副店長を目指して転職を決めました。

ウィリアムズは彼女の健康的で屈託のない明るさ、洞察力やバイタリティに惹きつけられます。マーガレットが市民課の職員につけたあだ名を教えるとますます感心します。

そして、ウィリアムズにもあだ名があると言いますが、職場での彼と実際に会話した印象が全く違うため、教えることを拒みました。

彼は余計に気になると怒らないことを条件に聞き出しました。そのあだ名は「ゾンビ」でした。ウィリアムズはその意味を聞くと「死んでいるのに生きている」からと答えます。

ウィリアムズは自分のことを言い当てていると笑い、その後も一緒に映画を観に行き、食事を楽しみました。ところがその様子を近所の夫人が目撃し、マイケルの妻に告げ口をしました。

マイケルの妻はウィリアムズが若い娘と老いらくの恋をしていると決めつけ、“悪い虫”によって財産が奪われるのを懸念し、真相と家の購入の話をマイケルにさせようとしますが、言いだせないまま時間が過ぎました。

役所ではウィリアムズがいないのをいいことに、ますます仕事に身を入れない雰囲気がまん延しています。新人のピーターが「たるみすぎじゃないか?」と指摘するほどでした。

一方、ウィリアムズも職場に戻ることなく、余命をどう生きるべきか迷いあぐねていました。そして、マーガレットの働くカフェへ向かいます。

マーガレットは手際の悪さで苦戦し、副店長どころではなくウエイトレスとしても、上司から厳しい眼を向けられていました。

そんな彼女は客として訪れたウィリアムズを訝しく感じます。しかし彼はお構いなしに仕事が終わったら、映画に付き合ってほしいと誘います。

マーガレットは了承しますが映画を観て食事がすんでも、ウィリアムズはなかなか彼女を帰そうとせず、遊技場で“ウサギのおもちゃ”をとるクレーンゲームをして、おもちゃを取らせたりしました。

従妹と同居している彼女は「心配かけるから帰る」と告げると、ウィリアムズは最後にお酒を一杯付き合ってほしいと哀願します。

そこで彼はマーガレットに自分の病と余命のことを話しました。彼女に会って自分を見つめ直すきっかけになったこと、どうしたら彼女のようになれるのか、自問自答したと話します。

ウィリアムズは“生きる”ということ、今の自分に何ができるのか・・・つぶやくと、マーガレットは単刀直入になぜ役所に戻らないのか聞き、ゾンビのようなウィリアムズは嫌いだと言い放ちます。

すると彼に一つの事が思い浮かび、表情がみるみる決意に満ち始め、これからでも成し遂げられる仕事があるはず、残りの人生を充実させられると確信します。

(C)Number 9 Films Living Limited

翌日。朝から雨が降りしきる中、ウィリアムズは市民課に出勤すると、書類の山の中からたらい回しにされていた、公園整備の陳情書を探します。そして「市民課が先頭に立って取りまとめるべき事案だ」と、部下たちを連れて現場調査に出かけました。

数ヶ月後、葬儀場にはウィリアムズの遺影が掲げられていました。彼の葬儀には市民課の職員はもちろん、公園課や都市計画課の面々、公園協議会の委員長に就任したジェームズ卿、そしてマーガレットも参列しています。

彼らの間ではもっぱら「公園を建設したのは誰なのか?」という議論が集中していました。またウィリアムズの死を知った、陳情書を提出した女性たちは動揺しながらも葬儀に来ていました。

ジェームス卿は「彼女たちが、公園を作ったのがウィリアムズだと勘違いをしている」と考え、自分の手柄にしようとしました。さらに公園課の職員たちも「結果的には、公園課の働きだ」と主張しました。

ピーターとマーガレットがウィリアムズの死を悼んでいると、マイケルがピーター宛ての親展を手渡し、マーガレットに聞きたいことがあると言います。

マイケルはマーガレットに「父の病のことを知っていたのか」と尋ねます。彼女は申し訳なさそうに頷くと「なぜ自分に言ってくれなかったのか」と父の死を悔いました。

市民課の職員が帰路の汽車内で、ウィリアムズの功績について回想します。ウィリアムズが関係各所を自ら回り頭を下げ、許諾してくれた部署では職員一人一人に礼を言ったことを話します。

話のとりまとめができあがり、ジェームス卿からの決裁のみとなったものの、彼はそれを却下しました。しかし、ウィリアムズは諦めず再考するよう食い下がり、着工へと動き出しました。

ウィリアムズの熱心な働きかけがなければ、実現しなかったことは明らかでした。しかし、この公園整備の一件が世間の話題にあがると、関係各所が手柄を横取りするように、自らの功績にしようと動いたのです。

市民課の職員は「ウィリアムズがなぜそこまで熱心になったのか」と疑問に思う一方で、生前のウィリアムズが「待っている時間などない」と口にしたというある職員の証言から、彼は自身の余命を知っていたからではないかと察します。

次期課長のミドルトンはウィリアムズのように、市民の小さな声に耳を傾け、行動する精神を受け継ごうと、結束を促し誓いを立てます。

……時は流れ、市民課にはあいかわらず多くの陳情書が寄せられています。しかし、あの車中での誓いはいずこに?ミドルトンは陳情書の内容を聞くなり、その内容を確かめることもせず書類の山へと乗せるばかりでした。

ピーターは憤りを覚え異議を唱えようとしますが、職員同士の無言の威圧によって、ただ言葉を飲み込み、苦虫を噛む思いをするのでした。

ピーターは建設した公園に向かい、ウィリアムズからもらった手紙を読み返します。そこには将来のある若き新人に託した、仕事に対する取り組む姿勢が綴られています。

そして、公園建設という小さな偉業はいつか忘れ去られるが、仕事をする上で生まれた矛盾に心が折れそうな時は、この成し遂げた仕事を思い出し精進するよう書かれていました。

手紙を読みながら佇むピーターに、若い警官が職務質問をします。ピーターはこの公園建設に関わった職員だと話すと、警官は「有名な話だ」とウィリアムズのことを話します。

警官はウィリアムズが雪の降る晩に、完成した公園のブランコに乗っていたのを見かけたが、幸せそうに「ナナカマドの木」を歌っていたため、そっとしておいたと話します。

しかし、ウィリアムズはその後公園で遺体となって発見されたため、警官は声をかけなかったことを後悔していました。

ピーターはウィリアムズの死は末期ガンのせいだったと教え、彼が見た幸せそうな表情は間違いではなく、声をかけなくて正解だったのだと肩を叩きます。

やがて春になると、ピーターとマーガレットが、仲睦まじくデートをする姿がありました。

映画『生きる LIVING』の感想と評価


(C)Number 9 Films Living Limited

日本の“生きる”と英国の“LIVING”の意味

1952年に公開された黒澤明監督の『生きる』は第二次世界大戦で敗戦国となった日本・東京が舞台であるのに対し、本作『生きる LIVING』は終戦後の復興途上にある、1953年のイギリス・ロンドンが舞台でした。

1952年(昭和27年)の日本は、GHQからの占領解除やサンフランシスコ平和条約が発効され、アメリカと日米安全保障条約を結び、独立国家として動き出した年でした。戦後7年経ったとはいえ占領下であったため、東京の真の復興はこの年からといって過言ではないでしょう。

行政機関の業務は加速化を求められますが、抱えた問題は山積み……「市民課のデスクの上に山積みになった書類」は、当時の日本の行政を物語っています。

そして朝鮮戦争(1950)の「特需」で経済的に豊かになった日本は、“高度経済成長”の幕開けという経済復興の光が見え始めてきます。それは、役人や政治家は“あやかりたい”がため、身の保全に躍起だった時代でもありました。

一方、1953年のイギリスはエリザベス女王2世の戴冠式があり、祝福ムードの中でしたが、街のそこかしこには第二次世界大戦での爆撃の跡が残り、砂糖と肉は配給制で庶民の不満があふれていました。また経済停滞にあった当時のイギリスでは、役人や政治家は“安定した収入と就労”を守るために躍起だったこともうかがい知れます。

“市民生活のため”に躍起にならなければならない立場の行政が、やるべきことを棚上げにしている……そんな、風刺の意味もこもった作品でした。

ただ、イギリスは混沌とした時代の中にありましたが、若くて誠実な女王の誕生は明るい未来を予想させるものでした。そうした出来事も、ピーターとマーガレットの恋に結びつけたのだと想像させます。

黒澤明の“問い”とカズオ・イシグロの“答え”

映画『生きる LIVING』の脚本を手がけたノーベル賞作家カズオ・イシグロは、黒澤明作品のファンであると公言している他、『生きる』との出会いは彼の子ども時代にまで遡ると語っています。

当時のイシグロ少年は『生きる』で描かれている、一生懸命に努力した結果であっても、周りから認められたり称賛されることを、モチベーションの糧にしてはならないというメッセージにショックを受けました。そして、いつか誰かがイギリス版の『生きる』を制作するべきだと、期待し望んでいたとインタビューで答えています。

彼は知人であるプロデューサーのスティーヴン・ウーリーに、同じく知人である俳優ビル・ナイを主演にしたらどうかと、アイデアを出したのをきっかけに、本作の脚本を手がけることに。

イシグロは『生きる』が庶民の姿を描いていることから「小津安二郎監督の作品に近い」と感じ、小津作品の常連俳優・笠智衆を主役にしたらと想像を巡らしていたため、「イギリス版を作るなら、主演はビル・ナイがそのイメージにはまる」と考えていました。

また、日本人の気質と英国人の気質、文化の違いを鑑みてストーリーを考えると、日本人の回りくどさや忖度などのじれったさが削ぎ落され、伝えるべきことだけを明解に表していると感じます。

子どもの頃、カズオ・イシグロが黒澤明監督作『生きる』に感じとった印象そのものを映像化したことで、現代の日本人にもストンと腑に落ちるわかりやすさがありました。

黒澤明の『生きる』は市民課の若き職員が、一石を投じようとして諦めて建設した公園の上の橋をトボトボと歩いて終わり、事なかれ主義の日本を象徴するようでした

一方、本作はラストでピーターとマーガレットがカップルになった場面で終わり若い世代が未来を牽引し平和で豊かな世界にすることを示したように見ることができました

黒澤明の「称賛なき努力は報われたか?」という問いに呼応するような答えが、『生きる LIVING』には描かれているのです。

まとめ


(C)Number 9 Films Living Limited

映画『生きる LIVING』は妻に先立たれた男が20数年間、狭い規律の中で暮らし家族とのコミュニケーションもままならぬ孤独の中、余命宣告されたことで人生を意義あるものに塗り替えた物語でした。

黒澤明の不朽の名作『生きる』のストーリーラインはそのままに、舞台を同時期のロンドンに変え、黒澤明が投げかけた問いにカズオ・イシグロが答えたような作品です。

『生きる』は名作として生き続け、称賛なき地道な努力と生きる意味を観る者に問いかけ、対して『生きる LIVING』は生きぬくための努力は未来永劫に続くものだと観る者に感じさせます

そして、諦めてしまったらそこで終わる人生が、挑み続けることで輝きに変えることができる。そして、そのタイミングはいつでも始められるとこの作品は伝えていました





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