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映画『永遠の門 ゴッホの見た未来』あらすじネタバレと感想。ウィレム・デフォーにしか成し得ない演技力

  • Writer :
  • Moeka Kotaki

今回ご紹介するのは2019年に日本公開が決まっている『At Eternity’s Gate(原題)』。

後期印象派を代表するオランダ出身の画家フィンセント・ファン・ゴッホの生涯に迫った伝記映画で邦題は『永遠の門 ゴッホの見た未来』です。

孤独に覆われた人生を送り、後世に長く愛される作品を生み出した、ひとりの芸術家の魂の記録を綴った本作の魅力に迫ります。

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映画『永遠の門 ゴッホの見た未来』の作品情報

【公開】
2018年 (日本公開予定 : 2019年) アメリカ・フランス合作映画

【原題】
At Eternity’s Gate

【監督】
ジュリアン・シュナーベル

【キャスト】
ウィレム・デフォー、ルパート・フレンド、マッツ・ミケルセン、マチュー・アマルリック、エマニュエル・セニエ、オスカー・アイザック、ニエル・アレストリュプ

【作品概要】
ファン・ゴッホを演じるのは『プラトーン』(1986)でアカデミー賞助演男優賞にノミネート、『アメリカン・サイコ』(2000)や『スパイダーマン』(2002)『ニンフォマニアック』(2014)など幅広い作品に出演、2018年に日本公開された『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』で全米映画批評家協会賞始め数々の映画祭で助演男優賞受賞、ゴールデングローブ賞助演男優賞にノミネートされたウィレム・デフォー。

演出は新表現主義の画家であり、過去には『バスキア』(1996)やカンヌ国際映画祭監督賞、ゴールデングローブ賞監督賞を受賞した『潜水服は蝶の夢を見る』(2007)を手がけるジュリアン・シュナーベル監督。

共演は『偽りなき者』(2012)や『ドクター・ストレンジ』(2016)に出演する“北欧の至宝”マッツ・ミケルセン。

その他に『潜水服は蝶の夢を見る』で主演を務めたフランスを代表する俳優マチュー・アマルリックやエマニュエル・セニエ、『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』(2013)『エクス・マキナ』(2015)に出演するオスカー・アイザックなど個性豊かな実力派俳優たちが顔を揃えます。

映画『永遠の門 ゴッホの見た未来』のあらすじ

南フランスの地にて、内に広がる深い葛藤とまっとうに築くことのできない人間関係に悩まされながらも筆をとり続けたフィンセント・ファン・ゴッホ。

心を許しあった画家ゴーギャンとのアルルでの共同生活や彼との関係の破綻。弟テオとの深い絆。

名画“アルルの女”誕生の瞬間などを捉えながら、自然の中で芸術に向き合い、自らが目にする美しさを描き続けたゴッホの生涯が圧倒的な映像で描かれていきます…。

本作品『永遠の門 ゴッホの見た未来』は、彼がなぜ耳を切り落とすに至ったか、なぜ謎の多い死を遂げたかと言う事象よりも、彼はその人生を通して何を見つめたか、何を描こうとしたかという芸術についての哲学に焦点を当てた映画となっています。

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映画『永遠の門 ゴッホの見た未来』の感想と評価

ゴッホが見つめた景色とは

脳出血に襲われ閉じ込め症候群の状態になった男性を主人公に、彼の頭と心に無限に広がりつづける世界を、叙情的な映像とともに描いた『潜水服は蝶の夢を見る』。

シュナーベル監督は本作では、ウィレム・デフォー演じるゴッホの瞳に映る世界をカメラを通して観客に伝えます

眩しくも美しい太陽の光。澄み切った冷たい空気に輝く朝焼け。葉の緑や空の青、柔らかくぽろぽろと崩れる土の感触や匂い。

枝をかき分け、落ち葉を踏みしめて進むゴッホの目線に沿ってカメラは動き、雄大な自然の景色はもちろん、暗いカフェの明かりに浮かび上がる女主人の表情、人々の瞳の色やシワの一つ一つ、かじかむ足や痩せた体を包むシーツの手触りまで、観客の目の前に広がっているかのように鮮明に描き出します。

会話のシーンは決して多くなく、暗い画面を映してのゴッホのモノローグと景観のシーンが交互に挟まれるようにして展開していきます。

寒い部屋でガタガタ震えたかと思えば靴を脱ぎスケッチを始める。人ではなく風景ばかり描いていたゴッホがゴーギャンが肖像画を描いているのを見、自分も急いで描き始める。

インスピレーションを受けてそれを芸術に昇華させる。

創作活動と並行して子供たちに邪魔をされ怒る様子や、街で暴行を受ける様子、社会と相容れない部分も映し出し哀歌を奏でてゆくのです。

永遠はどこにあったのか?

映画冒頭で映し出される美しい夕焼けや、陽光に照らされるそよめく野原の映像も、徐々に翳りを見せていきます。

冬がやってきて、空は灰色になり、ひまわりは枯れてゆく。彼は世界で自分自身を失い始めます。

「この世界に自分はそぐわないと感じている。」そうして唯一の画家仲間の理解者ゴーギャンとも決別し、「私を覚えていてくれ」そんな手紙を残し自らの耳を切り落とすゴッホ。

マッツ・ミケルセン演じる神父に彼は「神は自分を生まれていない人々のための画家として創ったのだと思う」と語ります。

タイトルにもなっている『Eternity’s Gate』永遠の門。

ゴッホは「景色を前にすると、私は永遠だけを見ている。私はそれを見る唯一の人間なのだろうか?」とモノローグにて語ります。

生前画家として商業的な成功を収めることのなかったものの、死後100年以上経っても人々に愛され続けている彼の名画。

しかしゴッホの“永遠”はどこにあったのか

シュナーベル監督は映像表現を通し、彼の歩んできた全ての道のり、絵画のインスピレーションを受ける時間や孤独で満ちる生活、この世界の中で自分の存在意義を問いかけた、苦悶大き人生全ての瞬間に永遠なるものが宿っていたことを記しています。

その時間を止めておきたい、絵に残していたい」とゴッホが劇中で語るように、彼がその目で見た全ての景色が芸術作品へと変わる“永遠の門”だったのです。

まとめ

各名画の誕生や謎の死についてよりも、ゴッホが人生で何を見つめたかという哲学的疑問に焦点を当てた本作。

劇的な波はありませんが、ウィレム・デフォー演じるゴッホのモノローグが心に沁み渡ります

シュナーベル監督が「この役は彼しか考えられなかった」と言わしめたウィレム・デフォー。

荒々しくまっすぐで哀愁をたたえた芸術家の表情、陽に照らされる青い瞳と黄色い壁を前にしてカメラを見せるデフォーは肖像画で会ったことのあるゴッホそのもの

彼の演技は観客をゴッホの心の中に深く深く引き込み、ゴッホが肌と心で感じる喜びや痛みを伝えます。

本作は自身も画家であるシュナーベル監督の芸術に対する哲学、映像、デフォーの演技、3つがバランスを保って織り成す今までのゴッホ伝記映画とは一風変わった物語となっていると言えます。

精神疾患を抱え孤独な道のりを歩んだフィンセント・ファン・ゴッホ。

1人の芸術家の人生を映した一編の美しい詩のような作品『永遠の門 ゴッホの見た未来』。

2019年に日本公開された際は、ぜひご覧ください。

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