Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

ヒューマンドラマ映画

Entry 2018/03/03
Update

映画『坂道のアポロン』あらすじネタバレと感想。ラスト結末も【知念侑李×中川大志】

  • Writer :
  • 村松健太郎

「この漫画がすごい!2009」第1位、第57回小学館漫画賞を受賞し、アニメ化もされた小玉ユキの同題のベストセラーコミックの映画化した『坂道のアポロン』は、3月10日より全国ロードショー!

知念侑李、中川大志、小松奈々のメイン三人に加えてディーン・フジオカ、歌舞伎役者の中村梅雀、真野恵里菜などなど豪華キャストが揃った作品に、主題歌は小田和正が書き下ろした「坂道を上って」で盛り上げてくれます。

1.映画『坂道のアポロン』の作品情報


(C)2018 映画「坂道のアポロン」製作委員会 (C)2008 小玉ユキ/小学館

【公開】
2018年(日本映画)

【原作】
小玉ユキ

【監督】
三木孝浩

【キャスト】
知念侑李、中川大志、小松菜奈、真野恵里菜、山下容莉枝、松村北斗、野間口徹、中村梅雀、ディーン・フジオカ

【主題歌】
小田和正「坂道を上って」

【作品概要】
テレビアニメ化もされた小玉ユキの同名人気漫画の映画化で、キャストに知念侑李、中川大志、小松菜奈を迎え、ジャズに魅せられた高校生たちの青春の姿いた作品。

演出は映画『青空エール』『ホットロード』で知られる多くの漫画原作映画に手腕を見せる三木孝浩が務めます。

2.映画『坂道のアポロン』のキャラクターとキャスト


(C)2018 映画「坂道のアポロン」製作委員会 (C)2008 小玉ユキ/小学館

西見薫(知念侑李)

横須賀から佐世保に転校してきた。医師を目指す。ピアノを弾く。

川渕千太郎(中川大志)

喧嘩ばかりしている荒くれ者だが、ドラムプレイの時だけは別人。

迎律子(小松菜奈)

千太郎の幼馴染でクラス委員。実家はレコード店。

桂木淳一郎(ディーン・フジオカ)

千太郎の兄貴分。東京から佐世保に帰ってきた。

迎勉(中村梅雀)

迎レコードの店主。地下スタジオを持っていて自由に使わせている。

深堀百合香(真野恵里菜)

東京から佐世保に帰ってきた美女。美大生。

3.映画『坂道のアポロン』のあらすじとネタバレ


(C)2018 映画「坂道のアポロン」製作委員会 (C)2008 小玉ユキ/小学館

横須賀で船乗りをしていた父親を事故で亡くした薫は叔母の住み長崎・佐世保に転校してきた。

坂の多い町でさらに転校時期は夏休み直前のうだるような暑さ、薫は忌々しい坂だと思わずうなります。

家庭の事情から転校することには慣れていた薫ですが、いつのころからかいちいち好機の目にさらされるようになると強烈な違和感を感じるようになりました。

世話を頼まれたクラス委員の律子に屋上の場所を聞くのでした。

息が詰まりそうなとき思ぬ吐き気に襲われそうなとき、学校の中で唯一落ち着くことができるが屋上でした。

ところが、その屋上に行くとそこには大柄で横柄な口を利く千太郎と上級生が屋上入り口のカギをめぐって喧嘩を始めるところでした。

後日この千太郎がクラスメイトでしかも律子と幼馴染と聞いて薫は愕然とします。

律子は相変わらず甲斐甲斐しく薫の面倒を見てくれます。

そんな中、地元のレコード店を聞くと突然律子の自宅に招かれます。突然の出来事に戸惑いますが、何のことはなくて律子の家がレコード店だったのでした。

レコードを吟味していると地下室に案内されます。律子の父に難しい顔をされますが、千太郎の友達と紹介する律子の言葉に逆に驚いています。

レコード店の地下はスタジオになっていて、なんとそこでドラムをたたく千太郎の姿がありました。

千太郎は巧みなスティック裁きを見せます。彼が奏でるのはジャズでした。

ピアノを弾くことができる薫ですが、彼はクラシック派でした。

ジャズなんて野蛮なジャンルだと強がって見せますが、千太郎の姿を楽しそうに見る律子の姿を見てにわかに対抗心を抱きます。

薫は千太郎が奏でていた楽曲がジャズの名盤“モーニン”だと知ると、こっそりレコードを購入、楽譜を起こし弾きこなせるようになっていきました。

なんだかんだ言いながら、ジャズを間に挟んで薫と千太郎が仲良くなっていく姿を見て律子は嬉しそうにその姿を見ています。

ある日、スタジオのあるムカエレコードにある人物の姿がありました。彼の名前は桂木淳一。

千太郎のジャズに師匠の一人でもあり“淳兄い”と慕う人物でした。

薫・千太郎と淳一、律子の父勉の4人でセッションを繰り返す日々でこの年の夏休みは埋まっていきます。

その姿を見て律子もとてもうれしそうな表情を見せるのでした。

夏のある日、意を決した薫は律子と図書館で勉強をしようと誘います。

薫の緊張とは裏腹に律子はあっさりとOKをしてくれます。待ち合わせは丘の上の教室。

そこには律子に加えて千太郎の姿もありました。勉強家と思っていましたがいつのまにか薫は浜辺に連れていかれます。

千太郎と律子は水着にお弁当まで用意していて最初から遊ぶ気満々でした。

その砂浜で街の不良に絡まれている美女を千太郎が助けます。

あっさりとその美女・百合香に恋に落ちた千太郎は自分の中で芽生える初めての感情に戸惑います。

見たことのない千太郎の姿に薫は楽しげに見ていますが、律子の視線は切ない空気を伴っていました。

律子に惹かれ始めていた薫は律子が千太郎に幼馴染以上の感情を抱いていること知ります。

ある夜、恋のアドバイスをもらうためにネオンが輝く夜のクラブに淳一を訪ねます、そこに百合香も現れ千太郎は喜びますが、薫は淳一と百合香との間に流れる微妙な空気を感じます。

百合香の絵のモデルになったりして親しくなれたことに浮かれる千太郎ですが、スタジオに彼女を連れてきたことでとうとう問題が起きてしまいます。

新しいドラムスティックを千太郎へのプレゼントとして用意していた律子ですが、切なさのあまり外には雨が降っている中、スタジオから飛び出していきます。淳一もスタジオを後にします。

律子を追いかけた薫は慰めている中で思わず律子にキスしてしまいます。

自分のしてしまったことに直後に後悔した薫はそれでもスティックを千太郎に届けます。

そんな薫の様子を見た千太郎は薫を教会に連れていきます。そして自分の出自を語ります。

千太郎は米軍兵と日本人の間にできたと思われる少年で、赤ん坊の時に教会の前に捨てられていました。

その後千太郎は教会を経て今の家に子供がいないということで引き取られたのでした。

ただ、千太郎が引き取られてから家では子宝に恵まれるようになって、千太郎は今の家に自分は必要ないのではないかと思っていました。

仕方なく佐世保にやってきた薫は互いの出自に共通する部分を感じてしまいます。

翌日、とにかく律子に謝ろうとしますが店は閉まっていました。

千太郎の妹が持っていた糸電話で律子に何とか詫びたものの気まずさは消えません。

律子にとってもファーストキスでした。

以下、『坂道のアポロン』ネタバレ・結末の記載がございます。『坂道のアポロン』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
東京から帰ってきた淳一の部屋には百合香がいました。

淳一は東京では学生運動のリーダ格でしたが、路線をめぐって対立して運動から身を引いていました。

しかし、東京でのかつての仲間たちの姿を見て、今度は出版者の立場から運動に関わろうと東京に向かうことを決心します。

どうなるか分からない自分の将来に恋人だった百合香を突き合わせるわけにはいかないと突き放しますが、百合香は全てを捨ててついていくことを淳一に告げます。

翌朝、街が動き出す前に旅立つ二人の前に偶然千太郎が現れてしまいます。

すべてを悟った千太郎は自暴自棄になり、学園生活もセッションもまともにせず荒れる一方です。

香と律子はそれに対して、何もできないまま季節は秋になっていました。

秋の文化祭、薫と千太郎のセッションの出し物を期待していた律子でしたが、二人はすれ違うばかり。

結局薫と律子は文化祭委員となり、千太郎は他のグループに助っ人ドラマーとして参加することになりました。

当日も何も語り合わない二人をみて律子は悲しい気持ちになりますが、どうしようもありません。

そんな中で電気系統のトラブルで千太郎が出ていたグループのライブが止まっててしまいます。

その時時間を稼ぐために薫がピアノを弾き始めます。

そしてそのピアノの音色を聞きすべてを吹っ切るように千太郎もドラムを叩き出します。

まさかのセッションの復活に律子は大喜び、そして校内では見せない二人の姿に学生たちは大盛り上がりとなりました。

そして、冬。教会でのクリスマスパーティでは二人のセッションに加えて、律子のボーカルを加えたマイフェイバリットシングスを披露することにします。

三人の関係は以前よりもさらに繋がりが強くなり、律子の薫への想いにも変化するようになっていました。

ところがクリスマス当日。律子を後ろに乗せた千太郎のバイクが事故を起こしてしまい、二人は大けがを負うってしまいます。

命に別状はなかったものの、その後千太郎は町カラスタガを消してしまいました。

数年後、東京で医師として忙しい日々を送る薫の前に意外な二人が訪れます。

間もなく子供が生まれる夫婦となった淳一と百合香でした。そして百合香から姿を消した千太郎の手がかりをもらいます。

薫はすぐに佐世保に帰ります。いまいましい坂は健在でしたが、薫の足取りはどこか楽しげでした。

向かった場所はかつての母校でした。そこには教師となった律子の姿がありました。

突然の薫の来訪にどぎまぎする律子。律子の想いはいつの間にか薫に向かい、それは何年たっても変わっていませんでした。

そんな律子に薫は百合香から受け取った者のを差し出します。それは長崎のとある島の結婚式の風景でした。

そしてその片隅に見習い神父として立っている千太郎の姿がありました。

二人は千太郎がいるであろう島に向かいます、丘の上の教会からはあの懐かしいドラムの音が聞こえてきました。

4.映画『坂道のアポロン』の感想と評価


(C)2018 映画「坂道のアポロン」製作委員会 (C)2008 小玉ユキ/小学館

青春恋愛映画のマエストロ 三木孝浩監督

今作の監督三木孝浩は、2010年に宮﨑あおい主演『ソラニン』で長編デビューを飾ります。

その後も以下のような作品が続きます。

生田斗真&吉高由里子のW主演の『僕等がいた』前後編(2012)。

主演の松本潤&上田樹里の初共演した『陽だまりの彼女』(2013)。

能年玲奈(現のん)主演する『ホットロード』(2014)。

本田翼&東出昌大の共演のする『アオハライド』(2014)。

土屋太鳳&竹内涼真の共演する『青空エール』(2016)。

福士蒼汰&小松奈々の共演する『ぼくは明日、昨日の君とデートする』(2016)。

広瀬すず&生田斗真が共演する『先生!、、、好きにもいいですか?』(2017)など。

立て続けに青春劇・恋愛劇を監督しました。おまけに各作品ともに大ヒットさせています。

ヒットしやすいジャンルとはいえ、乱立気味なこともあって観客の目も厳しくなっている中で、一定以上のクオリティを確約してくれる貴重な存在。

キラキラと呼ばれるこのジャンルの映画群には賛否ありますが、今の日本映画界の土台となっていることには変わりません

そんな土台をしっかりと確保してくれる三木監督

この名前は作品のクオリティ証明のブランディングになりつつあると言っていいでしょう。

まとめ


(C)2018 映画「坂道のアポロン」製作委員会 (C)2008 小玉ユキ/小学館

映画『坂道のアポロン』は3月10日より、全国ロードショーです。

お見逃しなく!

関連記事

ヒューマンドラマ映画

映画『ふたつの部屋、ふたりの暮らし』あらすじ感想と評価解説レビュー。女性の生き方から読み解く現代の“2つの審美眼”

映画『ふたつの部屋、ふたりの暮らし』は2022年4月8日(金)よりシネスイッチ銀座ほか全国ロードショー! 愛し合う二人の年老いた女性をめぐる物語、『ふたつの部屋、ふたりの暮らし』。 フランスの街中で密 …

ヒューマンドラマ映画

『天上の花』映画原作ネタバレあらすじと感想評価。愛憎劇の結末を描いた“三好達治抄”とは⁈

小説『天上の花―三好達治抄―』が映画化され、2022年12月に新宿武蔵野館、渋谷ユーロスペースほか全国順次公開! 三好達治、萩原朔太郎とその妹の慶子が織りなす純粋で凄まじい「愛」と「詩人の生」を、朔太 …

ヒューマンドラマ映画

ダム・マネー ウォール街を狙え!ネタバレあらすじ感想と評価解説。愚かな資金の庶民投資家たちがヘッジファンドに“反乱騒動”

欲深ヘッジファンドに大泡を吹かせた庶民投資家の実話をコメディタッチで描く アカデミー助演女優賞を獲得した『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(2017)のクレイグ・ギレスピー監督の映画『ダム・マ …

ヒューマンドラマ映画

映画『さよなら、僕のマンハッタン』あらすじとキャスト。上映劇場どこ?

映画『さよなら、僕のマンハッタン』は、4月14日より丸の内ピカデリー、新宿ピカデリー他、全国順次公開! マーク・ウェブ監督が『(500)日のサマー』で長編デビューする前から映画化を熱望していたという青 …

ヒューマンドラマ映画

『あゝ、荒野』無料視聴はU-NEXT。6話あらすじネタバレと感想も

今最も熱い若手俳優・菅田将暉の主演作が、寺山修司・原作の映画化として上映されます。 最終話である第6話は、ついに新宿新次とバリカン健二の試合が行われます。 ボクシングでつながりを断ち切る新次と、つなが …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学