Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

【ネタバレ】リーサル・バレット|あらすじ感想と結末の評価解説。メルギブソンはパナマ独裁時代の陰謀に挑む指揮官を演じる|B級映画 ザ・虎の穴ロードショー113

  • Writer :
  • 秋國まゆ

連載コラム「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第113回

深夜テレビの放送や、レンタルビデオ店で目にする機会があったB級映画たち。現在では、新作・旧作含めたB級映画の数々を、動画配信U-NEXTで鑑賞することも可能です。

そんな気になるB級映画のお宝掘り出し物を、Cinemarcheのシネマダイバーがご紹介する「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第113回は、マーク・ネヴェルダイン監督が演出を務めた映画『リーサル・バレット』です。

1989年、パナマ国軍最高司令官のマヌエル・ノリエガの独裁により、政治的混乱に陥るパナマ。凄腕の元海兵隊員ジェームズ・ベッカーは妻を亡くして以来、彼女が眠る墓地で毎日酒におぼれる生活を送っていました。

そんなベッカーの悲しみの日々は、彼のかつての指揮官スタークの訪問によって終わりを告げます。麻薬カルテルとの関係が噂されるノリエガ将軍を排除するべく、パナマへ潜入し“ある取引”を完了するように命じられたのです。

しかしその任務には、ベッカーの想像もつかない陰謀が動き出していた………映画『リーサル・バレット』のネタバレあらすじと作品の魅力をご紹介いたします。

【連載コラム】「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」記事一覧はこちら

映画『リーサル・バレット』の作品情報


(C)2021 PANAMA THE MOVIE, LLC

【公開】
2022年(プエルトリコ、アメリカ、イギリス合作映画)

【脚本】
ダニエル・アダムズ、ウィリアム・バーバー

【監督】
マーク・ネヴェルダイン

【キャスト】
メル・ギブソン、コール・ハウザー、ケイト・カッツマン、チャーリー・ウェバー、ネストル・ロドゥルフォ

【作品概要】
『アドレナリン』(2006)のマーク・ネヴェルダイン監督が、『レプリカズ』(2018)で禁断のクローン技術を見事に映像へ落とし込んだ特殊効果スタッフや、『ブラック・パンサー/ワカンダ・フォーエバー』(2022)のスタントチーム陣とともに制作したプエルトリコ・アメリカ・イギリス合作のハードアクション作品。

マッドマックス』(1979)や『リーサル・ウェポン』(1987)などに出演するメル・ギブソンが主演を務め、『エンド・オブ・ホワイトハウス』(2013)のコール・ハウザーや、『カムバック・トゥ・ハリウッド!!』(2020)のケイト・カッツマンら豪華キャスト陣と共演しています。

映画『リーサル・バレット』のあらすじとネタバレ


(C)2021 PANAMA THE MOVIE, LLC

1989年。パナマ国軍最高司令官のマヌエル・ノリエガ将軍の独裁により、パナマは政治的混乱に陥っていました。

アメリカ・テキサス州ダルハート。元凄腕の海兵隊員ジェームズ・ベッカー(本名はジェームズ・マクラウド)は1年以上前に妻のサラを亡くして以来、彼女の墓の前で酒に溺れるという日々を送っていました。

そんなベッカーの悲しみの日々は、彼のかつての指揮官スタークの訪問によって突如終わりを告げます。

その翌日、ネバダ州ネリス空軍基地。スタークはベッカーに、ベッカーと同じ海兵隊出身であるCIAの特殊作戦軍のハンク・バーンズを紹介しました。そしてスタークは、バーンズと一緒にベッカーに与える任務の内容を説明しました。

イラン・コントラ事件以来、アメリカの対外情報機関「中央情報局(CIA)」はパナマの米軍基地を拠点に、太平洋とカリブ海の間にある中央アメリカの国「ニカラグア」の反共産勢力(コントラ)に武器を提供していること。

いつもコカインとウィスキーに溺れているノリエガに代わり、気さくで友好的な人物であるマルコス・フスティネス大佐が実務を仕切っていること。アメリカはコントラに直接武器を売ることはできないため、CIAは新しい支援方法を常に模索していることを。

そしてスタークは、互いに利害が一致しているコントラと協力してノリエガを排除するべく、ベッカーにパナマに潜入してソ連製のヘリの取引を完了する極秘任務を命じるのです。

バーンズは海兵隊レベル1(3等軍曹~2等兵、基本管理業務。「0141」とも呼ばれる)ですが、ソ連の軍装備品に詳しいエキスパートで、ベッカーは海兵隊レベル3で機密情報にアクセスできるため、この取引にうってつけの人物だとスタークはいいます。

なお「イラン・コントラ事件」とは、アメリカのロナルド・レーガン政権が、レバノンでシーア派テロリスト集団に捕らえられているアメリカ人の解放を目的としてイランと裏取引をした上に、アメリカ国家安全保障会議からイランへ武器を売却。さらにその代金をコントラの援助に流用していた事件のことです。

長期滞在となる可能性が高いため、ベッカーは観光ビザではなく「コンサルタントとしてパナマのカジノ『カジノ・ナショナル』に行く」という“設定”でパナマへと飛びました。

パナマ・パナマ市に到着後、ベッカーはスタークの指示に従い、ヘリの取引の仲介役エンリケ・ロドリゲスに会いに行きました。

エンリケの父親は元政府高官でしたが、エンリケが12歳の時に死亡。エンリケは人脈が広く、ハーバード大卒で頭も良い男、フスティネスは彼の名付け親だとスタークは言います。そしてエンリケの叔父ビリー・フォードは、ノリエガと対立する政治家でもありました。

宿泊先でありエンリケと会う場所でもあるホテルに到着後、ベッカーは早速部屋で待っていたエンリケに仕事の話をしようとしました。

ですがエンリケは麻薬と娼婦に溺れており、ベッカーに複数の婚約者を紹介したり、「日が傾くような時間に仕事の話はしない」「パナマを楽しめ、取引はそのうちやろう」などと言ったり、なかなか仕事の話をしようとしません。


(C)2021 PANAMA THE MOVIE, LLC

その日の夜、カジノ・ナショナル。ベッカーはコントラのメンバーであるブルックリン・リベラに声をかけられ、ヘリの取引の話はコントラの司令官ステッドマン・ファゴス・ミュラーと話すよう指示されます。

それなら自分が泊まっているホテルの部屋に来てくれないかとベッカーが言うと、「彼とバーンズはマイアミにいるから、アメリカ国防総省のご厚意で用意された飛行機で今すぐ移動する」とブルックリンは言うのです。

フロリダ州マイアミ。ベッカーはブルックリンと一緒に二人が待つコントラの隠れ家へ向かい、ヘリの取引の話をしました。

ミュラーはベッカーに、左翼ゲリラ(サンディニスタ)によって両親を射殺され、さらにノリエガの命令で妻と娘が殺されたと話します。

当時12歳だった彼の娘は、母親の目の前で兵士に強姦されました。さらに二人は顔を撃たれ、その死体はドブに捨てられたと………。

サンディニスタ(正式名称はサンディニスタ民族解放戦線)とは、ニカラグアで発生した左翼(急進的・革命的な思想傾向がある)政治運動または政党のことをいいます。

ミュラーはベッカーに、「ホンジュラスの山中に3000人の部下がいる。俺たちが戦う目的はサンディニスタを殺すこと、復讐をしたいだけだ」と言いました。そしてベッカーに、「明日ブルックリンと一緒にホンジュラスへ行き、難民キャンプを訪れてみろ」と命じました。

翌日、ホンジュラスのルス・ルス。ベッカーはブルックリンと一緒にコントラの難民キャンプを訪れ、サンディニスタやノリエガの命令によって家族を殺された難民たちの実情を知りました。

ブルックリンはベッカーに「悪人退治に付き合え」と言って銃を手渡し、彼を連れてミュラーとその3000人の部下と合流。ロックの音楽をかけて山中にあるサンディニスタの拠点を襲撃します。

敵ならば誰であろうと容赦なく殺す彼らの姿を見て、言葉を失くすベッカー。ミュラーは、「ソ連の通信機器がほしければ、ソ連製のヘリを持ってこい」と命じました。

以下、『リーサル・バレット』ネタバレ・結末の記載がございます。『リーサル・バレット』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)2021 PANAMA THE MOVIE, LLC

週末明け、パナマ。ベッカーはパナマ最大のカジノ経営者ジャッキー・コルドサ(通称ファットマン)に会い、カジノ・ナショナルの収益をあげるよう命じられます。

ベッカーは「ナーク」という隠語で呼ばれる麻薬犯罪を追う警察官、麻薬取締局(DEA)のシンシア・ベニテスと会い、彼女からカジノで大規模な資金洗浄(マネーロンダリング)が横行していることを聞き、その関係者リストを手に入れてほしいと頼まれました。

CIAはノリエガを排除するために、対立陣営に5000万ドルという大金をつぎ込んで支援しているのに対し、DEAはノリエガを有罪にするための証拠を集めているのだと、シンシアは言います。

ベッカーが関係者リストを手に入れ、シンシアに手渡す。その見返りとして、シンシアはベッカーのオフショア口座に報酬のお金を振り込むだけでなく、任務に必要な人員も情報も提供すると言ってくれました。

その頃、エンリケのもとにフスティネスが訪問。「今夜コルドサに金を回す。このお金でコルドサがいるカジノで遊んで来い」と言われ、10万ドル入った鞄と麻薬を渡されます。

これに感謝したエンリケは、ヘリの取引の仲介役を引き受けたことで貰った手付金の100万ドルを全額現金化して渡すと、フスティネスに約束しました。それを聞いてほくそ笑むフスティネス。エンリケたちは、さらにベッカーの金を搾り取り、浮いた金で丸儲けしようと企みます。

その日の夜。コルドサとベッカーがいるカジノに、エンリケが遊びに来ました。

ベッカーはエンリケに誘われるがまま、彼の婚約者と称した娼婦たちが待つバーへと向かいました。そのバーに一人でやって来たカミラという美女に、ベッカーは一目惚れします。エンリケが娼婦たちとともにカジノで豪遊する中、ベッカーはカミラを連れてホテルに戻り関係を持ちました。

カミラはベッカーに、自身がかつてコロンビアのギャングに所属していたことを告白。昔特別な人と駆け落ちすることを夢見ていましたが、14歳の時、父親に牛2頭と500ペソを手に入れるために売られてしまったのです。

ですがカミラも内心、貧しい生活から抜け出せることを望んでいました。ベッカーはそれを聞いて、「君となら駆け落ちしてもいい」とカミラに言いました。

翌日。エンリケは、ベッカーがバイク乗りで危ない生き方が好きだと知り、ダートバイクでレースをしようと彼に持ち掛けます。

ジャングルでのバイクレースの結果、エンリケの勝ち。ヘリを他の買い手に売ろうとします。

その日の夜。ベッカーは、エンリケが本当にヘリを他の買い手に売ろうとしていることと、スタークが手付金として支払った100万ドルを現金化していることを知り、彼に金の返却を求めました。

実はエンリケお抱えの娼婦は口が軽く、「現金化した100万ドルは彼の部屋にある」とベッカーに喋ってしまったのです。エンリケはのらりくらりとかわそうとしましたが、ベッカーに銃を突きつけられ、観念してスピーカーの中に隠していた100万ドルを返します。

翌日。アメリカ軍のパナマ侵攻が迫る中、ベッカーはシンシアに約束通りリストを渡し、その見返りとしてエンリケから正規の金額でヘリを買ってほしいと頼みました。

ヘリの取引が失敗したことと、ベッカーがDEAに頼んだことを知ったスタークは、彼に電話で「ヘリの取引は中止だ、エンリケは任せておけ」「いずれコントラには力を貸すが、今はお前の我慢に対してボーナスを払うことしかできない」と言いました。

その頃エンリケは、叔父が襲撃されたと知り、フスティネスにそのことを相談していました。

するとフスティネスから、衝撃的なことを言われるのです。「アメリカが侵攻すれば、反ノリエガ派が政権につく。侵攻しなければノリエガが残る。両方に賭けている俺はどちらでも勝ちとなる」と。

「ビリーが襲撃された事件に関しては、アメリカの侵攻を誘発させるための策略だ」と言うフスティネス。さらに、「アメリカ軍のパナマ侵攻の前に、コルドサとベッカーを始末しなければならん」と言い、エンリケにベッカーとその周りにいる人間を殺すよう命じるのです。

エンリケはフスティネスの命令に従い、殺し屋2人を雇ってベッカーの運転手をさせている手下のパブロ、コルドサ、ベッカーを暗殺しようとします。

パブロは自宅で妻子と団欒中に襲撃に遭い死亡、コルドサは闘鶏場で一人になったところを狙われて殺されました。カミラの接待用のアパートで熱い夜を過ごしていたベッカーにも、魔の手が迫ります。

しかしベッカーは襲撃者にいち早く気付いて返り討ちにし、エンリケが雇い主であると拷問して吐かせました。ベッカーはすぐさまシンシアに電話し、殺し屋たちの死体処理と、襲撃前に立ち去ったカミラの居場所がどこなのか教えてほしいと頼みます。

パナマ・パイティージャーにあるカミラのプライベート用のアパートに到着後、ベッカーはカミラに自分を嵌めたのかと問い詰めました。殺し屋たちの腕にある刺青はカミラのものと同じ、つまり彼らがコロンビアのギャングだったからです。

カミラは、コロンビアのギャングに家族を殺すと脅され、ベッカーを騙していたことを告白します。ベッカーはそれを作り話だと言いつつ、カミラと再び愛し合いました。

1989年12月20日。アメリカ大統領ジョージ・H・ブッシュは、パナマ在住のアメリカ人の保護とパナマ運河条約の保全、ノリエガの拘束を目的とする「大義名分作戦」を発令しました。

アメリカ軍がパナマに侵攻する中、ベッカーはエンリケのもとを訪れ、自分の暗殺を指示したのは誰か尋問します。ベッカーを二度も怒らせ、再び銃口を突きつけられたエンリケは、思わずフスティネスだと喋ってしまいました。

翌朝、エンリケからベッカー暗殺に失敗したと報告を受けたフスティネスは、彼を自宅に招き、一緒に飲んだコーヒーに毒を盛って始末しました。

ベッカーが自分の部屋に戻ると、部屋の中が荒らされていました。ベッカーは「連中は俺の命だけでなく、100万ドルもほしがっている」と、スタークに報告しました。

パナマの状況が悪化し、命も金も狙われているというのに、このままパナマに残ることを選択したベッカー。スタークは事態の収拾を図るべく、パナマへと向かいました。

ベッカーがカミラの元を訪ねると、カミラはコロンビアのギャングによって殺されていました。ベッカーは彼女を殺したギャング二人に制裁を下しました。


(C)2021 PANAMA THE MOVIE, LLC

ベッカーは、ギャングたちをカミラのもとに差し向けたであろうフスティネスの自宅に乗り込み、彼を殺そうとするも膠着状態となってしまいます。

するとフスティネスはベッカーに銃を向けながら、誰かに電話をかけました。電話の相手はバーンズでした。

ベッカーは、バーンズがフスティネスと裏でつながっていただけでは飽き足らず、偶然パナマに来ていた義理の妹タチヤナを誘拐したことに憤るベッカー。フスティネスは手付金の100万ドルと、人質に取ったタチヤナを交換しようと取引を持ちかけました。

パナマ、米軍基地。ベッカーはスタークにこのことを話して助けを求めました。スタークはベッカーとともに、取引現場へと向かいました。

スタークは取引の前に、単身取引現場であるホテルの屋上へ赴き、そこからプールサイドにいるベッカーを狙っていた見張りの男を殺しました。そしてベッカーと、タチヤナを連れてやって来たバーンズとその部下のもとへ向かい、スタークは「見物人がいた」と言って狙撃銃のスコープをバーンズに投げ渡します。

肝心の取引では誰も言葉を発さず、静かに100万ドルとタチヤナが交換されました。スタークがタチヤナを保護してくれることになりました。

スタークが掴んだ情報によると、バーンズはCIAの給料を“二重取り”していたと言います。そしてCIAがバーンズの電話を半年間盗聴した結果、フスティネスと裏でつながっていたことが発覚。明日、バーンズがフスティネスとダビッド郊外の牧場で会うことも分かりました。

そこでスタークは、「バーンズは牧場の近くにある隠れ家に車で向かうらしい」と言い、ベッカーに飛行機で先回りして、現地で待つ自分の部下と合流して100万ドルを取り戻すよう命じます。

ベッカーはすぐさまスタークが手配した飛行機に乗り、彼の部下に隠れ家まで案内してもらい、バーンズを待ち伏せしました。そして隠れ家に一人でやって来たバーンズに、100万ドル入った鞄を手放してこの場から立ち去るよう指示しました。

バーンズはその指示に従うふりをして、ベッカーを殺そうとします。ですがバーンズが銃を発砲するより先に、ベッカーが銃を撃つ方が速かったため、返り討ちにされました。

銃声を聞いて、バーンズが乗ってきた車の運転手が銃を持って車外に飛び出しましたが、すぐそばに隠れていたスタークに射殺されました。

スタークはベッカーのもとへ向かい、「フスティネスのことは、DEAがお前から流してもらった情報をもとに動いてる。パナマ政府に流して片付けるさ」と言いました。

後日。ベッカーたちはヘリを買い、ミュラーにそのヘリを送り届けました。ですがミュラーは、そのヘリでノリエガを殺すことはせず、代わりに200もの家族を救出しました。

アメリカはノリエガを逮捕し、大量のコカインと現金、ウィスキーも押収しました。任務を無事やり遂げたベッカーは、スタークとの約束通り休暇をもらい、ビーチで一人散歩していました。

映画『リーサル・バレット』の感想と評価


(C)2021 PANAMA THE MOVIE, LLC

元凄腕の海兵隊員の恋と戦いにドキドキ!

物語の序盤と作中で、1年以上前に亡くした最愛の妻サラを思い悲しみに暮れるベッカーの姿は、何とも痛ましく見ていてとても辛いです。そんな彼がやっと、カミラという美女に出会って恋に落ちたことで、彼の心に平穏と幸せが訪れました。

カミラもコロンビアのギャングに脅されてベッカーを騙していたとはいえ、彼と過ごしていくにつれて本気で彼を好きになったのでしょう。

再会した二人が愛を確かめ合う姿は微笑ましく、このまま二人の関係が続いて、任務が終わった後にも幸せな時間を過ごしてほしかったです。

しかし運命は残酷で、カミラはベッカーが知らぬところで殺されてしまいました

大事な人を2人も失ってしまったベッカー。彼が復讐心に燃えつつ、冷静さをギリギリのところで保ってフスティネスとバーンズを追い詰めていく様は終始ハラハラドキドキさせられますし、とても格好良かったです。

メル・ギブソン演じる、頼れる指揮官スターク


(C)2021 PANAMA THE MOVIE, LLC

ベッカーに極秘任務を命じて以降、スタークは物語の後半まで登場しません。

ですがフスティネス・エンリケ・バーンズによるベッカー暗殺と、エンリケに支払った手付金の100万ドルの奪還を目論んでいることが明らかになった時、ついにスタークがパナマに降り立ちます

窮地に陥った主人公のバーンズを、スタークが華麗に救っていく様はどれも最高に格好良いです。

特にバーンズとの取引前、スタークが素手で見張りの男を殺し、その男が持っていたスコープをバーンズに投げ渡す場面は、男女問わず観ている人は黄色い悲鳴をあげることでしょう。

まとめ


(C)2021 PANAMA THE MOVIE, LLC

最愛の妻を亡くして以来、彼女の眠る墓の前で自堕落な生活を送っていた元凄腕の海兵隊員が、かつての指揮官から極秘任務を命じられ、パナマに巣食う巨悪を撃ち抜いていくプエルトリコ・アメリカ・イギリス合作のハードアクション作品でした。

ベッカーが危険な任務のために、エンリケとジャングルでのバイクレースにまで挑む姿は、オフロードやバイクが好きな人はもちろん、知らない人でも楽しめるほどのスリルが満載です。

味方かと思われていたフスティネスとエンリケの裏切りには衝撃を受けますし、バーンズまで敵になるとは誰も予想だにしていなかったことでしょう。

そして何といっても、作中ではハリウッドの第一線を走り続けるトップ俳優メル・ギブソンが、頼れる指揮官スターク役を熱演。年齢を感じさせないキレのあるアクションを披露してくれます

エンドロール中、実際にノリエガがDEA捜査官に拘束された姿を映した映像が流れています

また、フスティネスに殺されたエンリケの遺体が、フスティネスの豪邸の庭に掘られた穴の中に入れられている場面が描かれていました。

メル・ギブソン×『アドレナリン』(2006)のマーク・ネヴェルダイン監督が仕掛けるハラハラドキドキの超絶ハードアクション映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。

【連載コラム】「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」記事一覧はこちら




関連記事

連載コラム

Netflix映画『密航者』ネタバレ感想評価と結末解説のあらすじ。 SF宇宙船の危機に“誰の命を救い誰が犠牲になるのか”を描く|Netflix映画おすすめ33

連載コラム「シネマダイバー推薦のNetflix映画おすすめ」第33回 夢があり憧れの対象となる空間でありながら、ひとつひとつの決断が生死を分けるシビアな空間でもある「宇宙」。 選りすぐりの宇宙飛行士で …

連載コラム

映画『エセルとアーネスト ふたりの物語』あらすじと感想レビュー。スノーマンで知られるレイモンド・ブリッグズが両親を描いた心温まるストーリー|銀幕の月光遊戯 40

連載コラム「銀幕の月光遊戯」第40回 映画『エセルとアーネスト ふたりの物語』が、2019年9月28日(土)より、岩波ホール他にて全国順次公開されます。 『スノーマン』、『風が吹くとき』などの名作が世 …

連載コラム

【ネタバレ】ティアーズ・オブ・ザ・サン|あらすじ結末感想と評価解説。戦争アクションで新装備を活用するSEALs隊員たちを描く|B級映画 ザ・虎の穴ロードショー99

連載コラム「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第99回 深夜テレビの放送や、レンタルビデオ店で目にする機会があったB級映画たち。現在では、新作・旧作含めたB級映画の数々を、動画配信U-NEXTで鑑賞す …

連載コラム

映画『ヒットマンズ・ワイフズ・ボディガード』あらすじ感想と評価解説。ライアン・レイノルズとサミュエル・L・ジャクソンのコンビの先に待ち受ける悲劇とは?|映画という星空を知るひとよ93

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第93回 “ボディガード”ライアン・レイノルズד殺し屋”サミュエル・L・ジャクソンのタッグに、“詐欺師”サルマ・ハエックが加わった、痛快コメディアクション『ヒ …

連載コラム

『ザ・ウォーク 少女アマル、8000キロの旅』あらすじ感想評価。シリア難民の少女の葛藤を描く注目おすすめ映画祭第1弾|いま届けたい難民映画祭2024・1

連載コラム『いま届けたい難民映画祭2024』第1回 難民映画祭は、難民をテーマとした映画を通じて、日本社会で共感と支援の輪を広げていくことを目的とした映画祭で、世界各地で今まさに起きている難民問題、1 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学