連載コラム「邦画特撮大全」第73章
2020年7月31日から公開となった映画『がんばれいわ!!ロボコン ウララ~!恋する汁なしタンタンメンの巻』。
『燃えろ!!ロボコン』(1999~2000)から実に20年ぶりに復活したロボコンの映画オリジナル作品です。
今回の邦画特撮大全は『がんばれいわ!!ロボコン』を紹介します。
映画『がんばれいわ!!ロボコン』の作品情報
【公開】
2020年(日本映画)
【原作】
石ノ森章太郎
【監督】
石田秀範
【脚本】
浦沢義雄
【キャスト】
斎藤千和、神尾直子、山本希乃、高橋ユウ、小浦一優(芋洗坂係長)、屋鋪琥三郎、江原正士、鈴村健一、清水ミチコ
【作品概要】
新型コロナウィルスの影響で撮影開始が延期となっていた『がんばれいわ!!ロボコン』も先日無事クランクアップ。そして7月31日より、ついに劇場公開されました。
令和のロボコンの声は山本圭子、伊倉一恵の歴代声優陣に代り、アニメ『ケロロ軍曹』や日向夏美、『魔法少女まどか☆マギカ』の種美ほむらなどで知られる声優の斎藤千和が担当。ロボコンのアクションは前作『燃えろ!!ロボコン』と同じく神尾直子が担当しています。
監督を担当するのは、『仮面ライダークウガ』(2000)から『仮面ライダードライブ』(2014)まで平成仮面ライダーのTVシリーズに参加していた石田秀範監督。近年は話題となったネット配信ドラマ『仮面ライダーアマゾンズ』や、時代劇初挑戦となった『GOZEN ‐純恋の剣‐』(2019)などを監督しています。
脚本は『美少女仮面ポワトリン』(1990)など、“東映不思議コメディーシリーズ”でメイン脚本家を務めた浦沢義雄。石田秀範監督と脚本家・浦沢義雄のタッグも、『燃えろ!!ロボコン』以来、実に20年ぶりです。
同時上映はアニメーション作品『人体のサバイバル』と、『スプリンパン まえへすすもう』。
映画『がんばれいわ!!ロボコン』のあらすじとネタバレ
パパとママ、ヒロシの親子3人で営む中華料理店・全中華。そこへ天井を破ってタマゴ型のロボット・ロボコンが現れました。
ロボコンはロボットスクールから派遣されたお手伝いロボット。ガンツ先生から100点をもらい、A級ロボットになることを目指して、人間社会へやって来たのです。
しかしロボコンのお手伝いは空回りしてばかり。見かねたヒロシの機転で、ロボコンはトルネード婆々の元へタンタンメンを届けに行くことになりました。
トルネード婆々の屋敷には、ロボコンが恋する介護ロボット・ロビンちゃんがいました。
トルネード婆々へタンタンメンを渡すロボコンでしたが、嬉しくなって岡持ちを振りまわし過ぎてしまい、タンタンメンは汁なしタンタンメンになってしまったのです。
ところがこの汁なしタンタンメンをトルネード婆々はいたく気に入ります。
トルネード婆々の人脈のおかげで、全中華には汁なしタンタンメンの出前注文が殺到。しかし汁なしタンタンメンはロビンちゃんに恋をしてしまいました。
汁なしタンタンメンは全中華を汁なしタンタンメン専門店へと変え、そして地球を征服し、ロビンちゃんへプレゼントしようと言い出したのです……。
映画『がんばれいわ!!ロボコン』の感想と評価
本作『がんばれいわ!!ロボコン』にて、20年ぶりの復活を果たした石ノ森章太郎原作の人気キャラクター・ロボコン。
天井を破って現れるロボコンの初登場シーンや、バラバラにされてしまうややショッキングな描写など、過去シリーズを踏襲した場面も登場しましたが、今回の『がんばれいわ!!ロボコン』は観客の予想の遥か上を行く映像と物語を見せてくれました。
汁なしタンタンメンが恋をするなど、中華料理が大活躍する物語は脚本を担当した浦沢義雄の作風が充分に発揮されたものです。
人間のキャストは少なく、代わりに食品サンプルの中華料理たちの方が多数登場し大活躍を見せてくれるため、見事に「三密」が避けられています。
シュールな脚本を見事に映像化した石田秀範監督の手腕、センスも見事です。岡持ちからこれでもかと溢れるスープ、ハート型のゆで卵で感情を表現する汁なしタンタンメン、顔が大きくなるロビンちゃんなど、コミック的な演出の映像が全篇に冴えわたります。
またトルネード婆々を演じる清水ミチコの貫録と迫力、成長していく汁なしタンタンメンを演じ分ける鈴村健一の好演も見どころです。
まとめ
昭和、平成を経てこの新時代・令和に復活したロボコン。『がんばれいわ!!ロボコン』に登場する新しいロボコンが一体どんなキャラクターなのか、そして『がんばれいわ!!ロボコン』がどんな物語なのかは、劇場にてご自身のその眼で確認することをお勧めします。
『がんばれいわ!!ロボコン』は2020年7月31日(金)より、『人体のサバイバル!』『スプリンパン まえへすすもう』との同時上映で全国公開中です。
次回の『邦画特撮大全』は…
次回の邦画特撮大全は東宝の吸血鬼映画「血を吸う」三部作を紹介します。お楽しみに。