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Entry 2021/06/25
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中国アニメ『DAHUFA 守護者と謎の豆人間』感想評価とレビュー解説。“すごいと面白さ”は人間への皮肉満載のバイオレンスで大人をターゲットにした異色作|SF恐怖映画という名の観覧車146

  • Writer :
  • 糸魚川悟

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile146

中国映画市場ではアニメ映画は「子供向け」と考えられ、大人をターゲットとしたアニメ作品の製作は行われていませんでした。

しかし、2020年に公開された『羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来』(2020)が世界で大ヒットを記録し、日本では有名声優を起用した専用の吹き替え版が製作されるなど中国産アニメ映画は確かな印象を残し始めています。

そして2021年、中国から「大人」をターゲットに製作された重厚かつエンタメ性の強いアニメ映画がついに日本上陸。

『DAHUFA -守護者と謎の豆人間-』が、2021年7月23日(金・祝)より池袋HUMAXシネマズほか全国順次公開となります。

今回は容赦のないサスペンスとバイオレンスなアクションが光る中国産アニメ映画『DAHUFA 守護者と謎の豆人間』(2021)の魅力をたっぷりとご紹介させていただきます。

【連載コラム】『SF恐怖映画という名の観覧車』記事一覧はこちら

映画『DAHUFA 守護者と謎の豆人間』の作品情報


(C)Enlight Pictures. (C)FACEWHITE PICTURES.

【日本公開】
2021年(中国映画)

【原題】
大護法

【監督】
不思凡

【声のキャスト】
シャオ・リアンシャ、フェン・シェン、チン・シーチェ、チャン・ヨウ、グアン・ショウトウ

映画『DAHUFA 守護者と謎の豆人間』のあらすじ


(C)Enlight Pictures. (C)FACEWHITE PICTURES.

皇位に関心の無い衛(イーウェイ)国の皇太子を護衛する守護者のダフファーは、辺境の地で皇太子を見失ってしまいます。

近隣の村で皇太子の行方を探すダフファーでしたが、村の住民は余所者であるダフファーを襲撃。

同じ容姿で何も喋らない村の住民「豆人間」の謎、そして統治者の恐怖による絶対統治が成された村の秘密にダフファーと皇太子は巻き込まれていき……。

中国初の年齢制限付きアニメ


(C)Enlight Pictures. (C)FACEWHITE PICTURES.

中国には劇場公開映画に対し年齢で入場制限を行う制度が存在せず、劇場公開される映画は実質的に誰もが鑑賞できます。

しかし本作は、過激な表現を多用していることから製作側が自主的に13歳以下の鑑賞を自粛するように求め、中国アニメ映画初の年齢制限付き作品となりました。

その制限は決して過剰反応ではなく、劇中ではヴィランとなる村の殺し屋だけでなく主人公のダフファーも容赦なく相手を殺害。

頭が吹き飛び、四肢がもげ、胴体が切断される、容赦のないバイオレンスな表現からはアニメが「子供向け」と認識される中国で「大人向け」として本作を完成させた製作陣の本気の姿勢を感じることが出来ます。

「豆人間」の正体に迫る良質なサスペンス


(C)Enlight Pictures. (C)FACEWHITE PICTURES.

全員が同じ顔の、人間に良く似た「豆人間」が住民の大多数を占める謎の村。

そこでは統治者によって豆人間が家畜のように扱われ、花の生える奇病にかかった豆人間は同じ豆人間の兵士によって処刑されています。

豆人間は余所者であるダフファーを襲撃し、皇太子を守ることを使命とするダフファーもまた躊躇うことなく豆人間を返り討ちにしていきます。

しかし、豆人間たちは決して無感情なわけではなく一人一人が自身の意思を持っていることが分かり始め、村に隠された「大きな陰謀」に物語の焦点が当たることになります。

「統治者が豆人間を管理する理由」と「皇太子の失踪とその黒幕」が深く絡み合う本作は、社会と隔絶された村とその秘密を探る良質なサスペンス性も魅力となっていました。

バイオレンスだけが魅力じゃない!


(C)Enlight Pictures. (C)FACEWHITE PICTURES.

容赦のないバイオレンス表現は大きな魅力の一つではありますが、本作の持つ映画としての魅力はそれだけには収まりません。

不穏な空気を放つ「村」が恐怖の対象となるサスペンス的ストーリーの裏に、人間の抱える問題に対する皮肉ともとれるメッセージとヒューマンドラマが内在された物語は単なるバイオレンス映画とは一線を画すものとなっています。

恐怖によって強いられていた制度への反発


(C)Enlight Pictures. (C)FACEWHITE PICTURES.

前述したように豆人間たちは無感情ではなく、個々に感情を持っています。

しかし、感情を持つことが処罰の対象となるだけでなく、同種から嘲笑の的となってしまうため多くの豆人間が感情を隠し生きています。

本作では「なぜ感情を持ってはいけないのか」と言う根本的な理由も知らないまま、自身を利用しようとする人間に有利なルールを周囲の空気に押され受け入れてしまう人間の弱さを、「豆人間」と言う存在を通し本作は描いており、盲目的に従うことへの疑問を投げかけていました、

世界の残酷さを知り成長する皇太子の物語


(C)Enlight Pictures. (C)FACEWHITE PICTURES.

本作の主人公は皇太子を守る使命を持つダフファーではありますが、守られる存在である皇太子もまた物語の上で重要な視点を担っています。

皇位を継承する立場でありながら、指導者の座に興味のない皇太子は領土を遊び歩いている最中に「村」へと引き込まれてしまいます。

道中で豆人間の一人と奇妙な友情を育んでいた皇太子は、村の現状と統治者を目撃し、「人道のあるべき姿」を考え始めます。

圧倒的な戦闘力と強い意志を持って皇太子を守ろうとするダフファーに対し、道の定まらない皇太子と豆人間はお互いに影響を与えながら村の秘密へと迫っていきます。

意思を持った者を蔑ろにしてまで効率を求める現代社会への皮肉とも捉えられる「世界の残酷さ」を知り、決意を持ち始める皇太子にも注目して欲しい作品です。

まとめ


(C)Enlight Pictures. (C)FACEWHITE PICTURES.

緊張感のあるハイクオリティなアクションと、全体に漂う不穏なサスペンスの要素が光る本作。

一方でキャラクターも魅力的であり、主人公ダフファーと皇太子の皮肉を言い合いながらも強い信頼関係を持つ2人のバディ感も見どころの一つ。

時にバイオレンスな描写にドキドキし、作品に込められた強いメッセージに考えさせられ、そして登場人物の掛け合いに心動かされる。

中国が世界に放つアニメ映画『DAHUFA 守護者と謎の豆人間』は、「大人向け」のアニメとして全く遜色のない重厚かつエンターテイメント性抜群の良作映画となっていました。

『DAHUFA -守護者と謎の豆人間-』は、2021年7月23日(金・祝)より池袋HUMAXシネマズほか全国順次公開


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