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Entry 2020/11/18
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映画『羅小黒戦記ロシャオヘイセンキ』ネタバレ感想と考察評価。吹き替え声優の演技力がおすすめの劇場版アニメ【ぼくが選ぶ未来】

  • Writer :
  • 石井夏子

映画『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来』は2020年11月7日より公開。

中国で2011年から配信がスタートしたWEBアニメシリーズ「羅小黒戦記」。人気が上昇し続け、中国アニメを代表する作品まで成長しました。

劇場版である映画『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来』では、アニメシリーズの前日譚が描かれます。
 
日本では2019年9月に日本語字幕版が公開され好評を得たため、花澤香菜、宮野真守、櫻井孝宏といった人気声優陣による日本語吹き替え版を2020年11月7日よりロードショーすることとなりました。

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映画『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来』の作品情報

(C) Beijing HMCH Anime Co.,Ltd

【日本公開】
2020年(中国映画)

【原題】
羅小黒戦記 The Legend of Hei

【監督・脚本】
MTJJ

【日本語吹き替え版声優キャスト】
花澤香菜、宮野真守、櫻井孝宏、松岡禎丞、斉藤壮馬、杉田智和

【作品概要】
「羅小黒戦記」は、中国で2011年から配信がスタートしたWEBアニメシリーズです。中国で徐々に人気を博し、2019年に劇場版として本作が製作されると大ヒットを記録。

日本でも同年、字幕版が小規模公開され(チームジョイ配給)、映画ファンやアニメファンの間で口コミで評判が広がりました。

これを受けて2020年11月にはアニプレックスが共同配給につき、花澤香菜、宮野真守、櫻井孝宏という人気声優陣による日本語吹き替え版『羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来』として全国公開されました。

映画『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来』のあらすじとネタバレ

(C) Beijing HMCH Anime Co.,Ltd

黒猫の妖精・シャオヘイは普段は黒猫の姿をしていますが、小さな人間の男の子や、大きな化け猫に変身できる力を持っています。彼は、静かな森で、動物や霊たちと暮らしていました。

しかし、森は人間が開発のため伐採し、シャオヘイは住む場所を失います。あちこちさまようシャオヘイ。

夜の町で、不良たちに襲われそうになったシャオヘイが、巨大な化け猫の姿になって応戦しようとしたところ、不良は何者かに倒されてしまいました。

現れたのは、植物の力を操ることのできる妖精・フーシー。フーシーは、霊道を通って、人間から忘れ去られた島へとシャオヘイを案内します。

そこには、フーシーの仲間の妖精もいて、みんなシャオヘイを大歓迎。シャオヘイは自分の家と仲間を手に入れました。

ですが、明くる朝、島にムゲンという人間が現れます。彼は人間でありながら、妖精の組織「館」に所属し、問題を起こした妖精たちを捕らえる「執行人」という仕事をしていました。

フーシーたちは立ち向かうものの、最強の執行人と誉れ高いムゲンには、手も足も出ません。

フーシーたちは一旦退却し霊道をふさぎますが、シャオヘイは逸れてしまい、ムゲンに捕まってしまいます。

無限は丸太で筏を作り、シャオヘイとともに島を出ました。金属を自在に操る力を持ったムゲンは、シャオヘイにも同じ能力があること、さらには、「領界」と呼ばれる、空間系の能力を秘めていることに気づきます。

「領界」とは、自分の魂の空間である霊域を、外部に向けて開放できる能力のこと。霊域内では、その持ち主の思い通りに動いたり、動かしたりすることができます。

興味を持ったムゲンは、シャオヘイに、能力の修行をしないかと持ちかけますが、シャオヘイにとってムゲンは敵です。

その頃、フーシーたちはそれぞれの能力を使い、シャイヘイの居場所を探していました。フーシーは行く先々で妖精たちを襲います。

そして、ムゲンは「館」がある龍遊市にシャオヘイを連れてくるだろうと考え、先回りをすることに。

ムゲンは心を許せない相手ではありましたが、強くなりたいという思いから、修行を受けることにしたシャオヘイ。驚くスピードで能力を自分のものにしていきます。

やっと陸地に到着した二人は、龍遊市に向かいます。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来』ネタバレ・結末の記載がございます。『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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(C) Beijing HMCH Anime Co.,Ltd

龍遊市へ向かう途中、執行人であるキュウ爺たちが現れます。「館」は妖精にとって良いところだと語るキュウ爺に、良いところならなぜフーシーを捕まえようとするのかと、シャオヘイは疑問をぶつけます。

フーシーは難しい子だと、キュウ爺は答え、妖精にも人間にもいろいろな奴がいると言いました。

キュウ爺たちと別れ、龍遊市に到着したムゲンとシャオヘイ。そこはビルやデパートが立ち並ぶ大都市でした。龍遊市では、多くの妖精が、妖精であるということは隠しながらも、穏やかに暮らしています。

地下鉄で「館」の近くまで向かおうとしたムゲンたちを、謎の二人組が襲ってきました。空間転移でシャオヘイを捕まえた二人組。ですが、ムゲンの能力には敵いません。

落石から地下鉄の乗客を守ろうと、シャオへイは化け猫の姿に変身。守られたにもかかわらず、乗客たちはその姿に怯えるものが大半。幼い女の子だけが、シャオヘイに笑顔でお礼を言ってくれました。

二人組を追い払ったムゲンでしたが、地下鉄は地上を出ても暴走を続けています。

その時、フーシーたちが現れ、シャオヘイを連れ去ります。二人組はフーシーの仲間だったんです。

ムゲンが間一髪で地下鉄を止め、「館」から執行人たちが応援に現れます。「館」の館長によると、フーシーは他人の能力を奪う力を隠し持っており、多くの妖精の能力を奪っていたそうです。

フーシーの故郷は龍遊市でした。かつて森だった頃から暮らしていた彼は、開発により妖精を追いやった人間に憎しみを抱いており、シャオヘイの能力「領界」で、龍遊市を思うままにしようと考えていたんです。

フーシーはシャオヘイに「領界」の力で支配者にならないかと誘いますが、ムゲンとの旅で多くを学んだシャオヘイは拒否。

そして、フーシーが自分を助けてくれたのも「領界」の力が欲しかったからなのかと絶望します。

シャオヘイの「領界」を奪い取るフーシー。シャオヘイの黒かった髪色は白く抜け、意識を失ってしまいました。

フーシーはシャオヘイを置き去りにし、龍遊市の中心部にあるショッピングモールへ向かい、「領界」の力を発動します。

シャオヘイの元へたどり着いたムゲンは、執行人仲間の力を借りるものの、シャオヘイを呼び覚ますことはできません。

シャオヘイを助けるには、フーシーが奪った「領界」を取り戻すしか無いんです。執行人たちは、急いで龍遊市の住人たちを郊外へ退避させます。

ショッピングモールに到着したムゲンですが、フーシーはすでに「領界」を発動させ終わっていました。

龍遊市の中心部は大きな黒い球体、つまりフーシーの作り出した「領界」に包まれています。これではムゲンでも太刀打ちできません。

その頃、シャオヘイは、白い謎の空間の中にいました。狭くて何もない場所。ですが、シャオヘイには傷つきながらもフーシーと戦う無限の姿が見えます。

次の瞬間、フーシーの「領界」に、巨大な黒猫の手が現れます。シャオヘイが、元は自分のものであった「領界」に入り込んだんです。

シャオヘイが優位になり、フーシーを圧倒。フーシーは再び、この「領界」で支配者にならないかとシャオヘイを誘いますが、断られてしまいます。

負けを認めたフーシーは、植物の能力を使い、自分の体ごと大きな木に包み込み、命を断ちました。

騒ぎも収まり、シャオヘイはムゲンと執行人たちとともに、「館」に向かいます。天空にそびえ立つ「館」には様々な妖精が暮らしていて、ここがシャオヘイの家になるんです。

ですが、ムゲンとはここでお別れ。ムゲンは妖精たちから感謝されているものの、多くの恨みも買っており、「館」で暮らすことはできないからです。

それを知ったシャオヘイは、ムゲンの背中に叫びます。

「師匠!一緒に連れて行って!」

振り向いたムゲンの胸にシャオヘイは飛び込み、ムゲンはシャオヘイを優しく抱きしめました。

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映画『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来』の感想と評価

参考:WEBアニメ「羅小黒戦記」

2011年3月17日から動画サイトで公開した後、人気が上昇し続け、中国アニメを代表する作品まで成長したWEBアニメシリーズ「羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ)」。2020年11月時点で28話まで公開されています。

Webアニメシリーズは、人間世界で暮らす黒猫のシャオヘイ(小黒)が、ロ・シャオパイ(羅小白)という名の人間の女の子に拾われるところから物語が始まります。

タイトルの「羅」は、シャオパイの名字から取られているんですね。

ゆるゆるとした雰囲気に癒されるWebアニメと打って変わって、その4年前にあたる前日譚を描いた本作『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来』では、テンポの速いアクションシーンが盛り沢山

そしてシリアスな中にもふんだんに差し込まれた笑いや、シャオヘイの修行シーンなど、カンフー映画への敬意と愛に溢れていました。

手書きならではの温かみを感じさせながら、滑らかに動くキャラクターたちや、写実的で細やかな背景が、すべての場面で抜かりなく描かれます。

正義か悪か


(C) Beijing HMCH Anime Co.,Ltd

本作で悪役ポジションだったフーシー。シャオヘイが初めて出会った妖精で、初めて手を差し伸べたくれたフーシーを、シャオヘイは信じて疑いません。

一方、初登場こそ悪役のようだったムゲン。シャオヘイにとって、人間であるムゲンは、フーシーたちとの幸せな時間を奪った憎むべき存在です。

かつて暮らしていた森も人間に破壊されたシャオヘイは、人間はみな同類だとみなし、ムゲンを敵視します。

まだ幼く、物事を広く見ることができないシャオヘイは、ことあるごとに「善か悪か」を問います。ですが、それらは単純に分けられず、どの視点で見るかによって変わってしまう曖昧なもの。

フーシーも、妖精の居場所を取り戻したいという信念がありました。いまの龍遊市にも妖精は暮らしていますが、正体を明かさず人間のフリをしなくてはなりません。

妖精が妖精らしく暮らすためには、人間を支配せねばと、誤った方法を選択してしまいました。

作中、彼は、かつて人間が自然界に敬意を抱きながら慎ましやかに暮らしていた時代に思いを馳せます。あの頃は楽しかった、と。

つまり、フーシーも本心では人間を拒絶したいわけではなく、共存したいと願っているんですね。ですが、それにはもう、人間のテクノロジーが大きくなりすぎ、戻れないところまで来てしまいました。

片や、ムゲンが望むのは人間と妖精の共存。人間でありながら、強い能力を手にいれたムゲンは、人間と妖精、そのどちらにもなれないと一線を引いています。

シャオヘイをはじめ妖精のために居場所を作ろうとする彼こそ、なにより居場所が欲しいと心の奥で望んでいるんです。

最後にシャオヘイの思いを受け止めたことで、ムゲンの居場所は大きく形作られたでしょう。

フーシーは悪だったのかと問うシャオヘイへの答えは、妖精と人間の狭間を生きるムゲンだからこその温かさがありました。

まとめ


(C) Beijing HMCH Anime Co.,Ltd

字幕版が好評につき製作された、日本語吹き替え版。

本作の絵は、シャオヘイ以外の人物は表情が大きく変化せず、日本のアニメーションとは異なる印象を受けるんですが、それを声優陣が見事に演じてくれました。

中でも、ほぼ無表情のムゲン役を、宮野真守が微細な声色の変化で魅せてくれます。厳しい中にも温かさを秘めたムゲンに奥行きを持たせました。

クルクルと表情の変わるシャオヘイ役の花澤香菜も、愛らしくまっすぐなシャオヘイを体現。黒猫バージョンも、少年バージョンも、絵柄と相まって大変キュートです。

ワクワクする冒険、深いテーマ、魅力的なキャラクターと、たくさんの胸躍る要素が詰め込まれた、老若男女問わず楽しめる作品となっています。

映画『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来』は2020年11月7日より公開です。

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