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映画『ゴジラVSモスラ(1992)』あらすじと内容解説。強いバトラは「バトルモスラ」の略称である|邦画特撮大全49

  • Writer :
  • 森谷秀

連載コラム「邦画特撮大全」第49章

2019年5月31日、遂に『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』が公開されました。みなさんご覧になられましたか。人気怪獣“モスラ”が重要な役割で登場しています。

そこで今回の邦画特撮大全は、平成という新時代をむかえてから初めて人気怪獣“モスラ”が銀幕に登場した『ゴジラVSモスラ』(1992)を紹介します。

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『ゴジラVSモスラ』の作品情報

【公開】
1992年12月12日(日本映画)

【監督】
大河原孝夫

【特技監督】
川北紘一

【脚本】
大森一樹

【音楽】
伊福部昭

【出演】
別所哲也、小林聡美、村田雄浩、米澤史織、今村恵子、大沢さやか、小高恵美、田中好子、小林昭二、大竹まこと、上田耕一、大和田伸也、黒部進、辰馬伸、渡辺哲、篠田
三郎、宝田明

【作品概要】
ゴジラシリーズ第19作目で『ゴジラVSキングギドラ』の続編。

監督は前々作『ゴジラVSビオランテ』(1989)、前作『ゴジラVSキングギドラ』の大森一樹監督から、『超少女REIKO』(1991)でデビューした大河原孝夫監督にバトンタッチ。しかし、大森監督は本作でも脚本を手掛けています。

また特技監督は川北紘一監督、音楽は伊福部昭が続投しています。

出演者には『波の数だけ抱きしめて』(1991)の別所哲也や、大林宣彦監督作品の常連キャストである小林聡美。

そして、第3回東宝シンデレラの今村恵子、審査員特別賞を受賞した大沢さやかの2人が本作に登場する小美人“コスモス”を演じています。

他にも前作『ゴジラ対キングギドラ』と同じ役で小高恵美と小林昭二が出演。また昭和のゴジラシリーズを代表する俳優・宝田明も出演しています。

『ゴジラVSモスラ』のあらすじ

巨大隕石が太平洋・小笠原沖に落下。その影響によってゴジラが覚醒してしまいます。

さらに巨大台風が発生し、東南アジアで猛威をふるいます。インドネシア諸島にあるインファント島では、この台風と乱開発の影響で地中から謎の物体が出現しました。

トレジャーハンターの藤戸拓也はタイの遺跡で盗掘を働き、現地警察に逮捕されてしまいます。その後、収監された彼の前に現れたのは、別れた妻の手塚雅子、国家環境計画局の橋、丸友観光の社員・安東の3人でした。

藤戸は盗掘と遺跡破壊の免罪のため、雅子と安東とともに開発が進むインファント島の調査へと向かうこととなりました。そこで藤戸たちはモスラの卵を目にします。

さらに島を守る小美人“コスモス”と出会い、地球を守るモスラと“破壊”を目的に活動する黒いモスラ“バトラ”の伝説について聞きます。

インファント島の開発を行っている丸友観光の社長・友兼はモスラの卵を日本へ輸送することを決定。

しかしゴジラ、北極から目覚めたバトラの2体の怪獣が、卵を運ぶ輸送船の前に姿を現します。そして卵からモスラの幼虫が孵化してしまいました…。

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過去作品へのリスペクト

参考映像:『モスラ対ゴジラ』(1964)

平成のゴジラシリーズに初めてモスラが登場したのが本作『ゴジラVSモスラ』です。

元々は前作『ゴジラVSキングギドラ』(1991)よりも先に『モスラVSバガン』という作品が企画されており、こちらでモスラが銀幕に復帰する予定でした。

しかし『ゴジラVSビオランテ』(1989)の興行成績が思ったほど芳しくなかったため、製作への慎重論が強まりこの企画は中止となりました。

本作ではモスラの初登場となった映画『モスラ』(1961)や、初めてモスラとゴジラが戦った『モスラ対ゴジラ』(1963)など過去作へのリスペクトが多数登場します。

まず本作の冒頭にある「巨大台風によってモスラの卵が出現する」という展開は、『モスラ対ゴジラ』からの引用です。さらにモスラの卵を私物化しようとする観光会社の登場も『モスラ対ゴジラ』と同じです。

また飛行場で羽を休めているモスラを登場人物たちが見つめている印象的なカットは、『モスラ』にも全く同じ構図のカットがあります。

一方で本作ではモスラや小美人の設定が『モスラ』や『モスラ対ゴジラ』とは一部変更されています。

これまでのゴジラシリーズではザ・ピーナッツやペア・バンビが演じてきた“小美人”ですが、本作では“コスモス”という名前が付けられました。

コスモスの2人の身長は18センチメートルに変更され、過去作に登場した小美人より12センチ低くなっています。ただし彼女たち2人の作品中での役割は過去作から全く変わってはいません。

またモスラの設定もこれまでの「インファント島の守護神」から、「地球の先住族“コスモス”の守護神」に変更されています。本作のモスラは劇中に登場する伝説や活躍から、“地球全体の守り神”であるように描写されているのです。

極彩色の大決戦~ゴジラ・モスラ・バトラの戦い

本作には新怪獣“バトラ”が登場し、ゴジラ、モスラと三つ巴の戦いを繰り広げます。

“バトラ”という名前は、戦うモスラ=バトルモスラという意味です。

バトラは黒い体に黄色や赤の模様のあるけばけばしいデザインの怪獣です。そしてご存知のようにモスラの羽もカラフルな配色です。そのため本作のキャッチコピーは「極彩色の大決戦」というものでした。

この「極彩色の大決戦」というキャッチコピーは怪獣たちだけではなく、映画の舞台にもかけられています。

ゴジラ、モスラ、バトラの3体の怪獣がぶつかり合う本作のクライマックスは、夜の“横浜みなとみらい21”で繰り広げられます。

ここは美しい夜景で有名な地区です。インターコンチネンタルホテルやコスモワールドの観覧車などの“みなとみらい”のシンボルが光り輝く中、3体の怪獣が戦いを繰り広げるのです。

その映像はまさにキャッチコピーの通り「極彩色の大決戦」となっているでしょう。

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まとめ

人気怪獣“モスラ”の登場や、家族向け映画を強調した作りによって観客動員数420万人、配給収入22億円を記録した『ゴジラVSモスラ』。

みなとみらいを舞台に怪獣たちが繰り広げる“極彩色の大決戦”の映像には一見の価値があると思います。

次回の邦画特撮大全は…

次回の邦画特撮大全は、大林宣彦監督のデビュー作『HOUSEハウス』(1977)を特集します。

お楽しみに。

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