Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

Entry 2021/03/25
Update

シティーコップ余命30日?!のヒーロー|ネタバレあらすじ感想と結末解説。映画シティハンターのキャスト&スタッフが放つ腹筋崩壊コメディアクション|未体験ゾーンの映画たち2021見破録27

  • Writer :
  • 20231113

連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2021見破録」第27回

世界の各国の映画、中には大笑い必死の映画も紹介する「未体験ゾーンの映画たち2021見破録」。第27回で紹介するのは『シティーコップ 余命30日?!のヒーロー』。

芸術の国フランス。様々な傑作・佳作映画を生んだ国は、実はコメディ映画大国。

それもコテコテの笑いをドタバタ騒ぎで見せる、誰もが楽しめる抱腹絶倒の作品を数多く生み出しています。

ファウンド・フッテージ、残された映像に写っていたのものは…という映画手法は、ホラー映画やモンド映画で使われてきました。

それをコメディに取り入れたのが、フランスの『真夜中のパリでヒャッハー!』(2014)『世界の果てまでヒャッハー!』(2015)。

『ヒャッハー!』シリーズと、『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』(2018)のキャスト・製作陣が放つ映画の登場です。

【連載コラム】『未体験ゾーンの映画たち2021見破録』記事一覧はこちら

映画『シティーコップ 余命30日?!のヒーロー』の作品情報


(C)2020 Axel Films Production Studiocanal M6

【日本公開】
2021年(フランス映画)

【原題】
30 jours max / 30 DAYS LEFT

【監督・脚本】
タレク・ブダリ

【出演】
タレク・ブダリ、フィリップ・ラショー、ジュリアン・アルッティ、ヴァネッサ・ギード、ジョゼ・ガルシア、リーム・ケリシ、ニコラ・マリエ、シャンタル・ラデス、マリ=アンヌ・シャゼル

【作品概要】

ドジを繰り返すダメ警官が、余命30日と知り覚醒。命知らずの男として難事件に挑みますが、大騒動を巻き起こしてしまうドタバタアクションコメディ。

監督・脚本・主演は『ヒャッハー!』シリーズ、『シティーハンター~』に出演のタレク・ブダリ。

彼と同じ作品に関わり『シティーハンター~』では監督・主演を務めたフィリップ・ラショー、同じくジュリアン・アルッティらお馴染みのメンバーが集結。

『アラジン 新たなる冒険』(2015)と『アラジン 悪しき王子と二人の魔人] (2018)、『ピッチの上の女たち』 (2018)のヴァネッサ・ギードらが共演した作品です。

映画『シティーコップ 余命30日?!のヒーロー』のあらすじとネタバレ


(C)2020 Axel Films Production Studiocanal M6

パトカーの中で、後部座席に乗せた容疑者と会話する警官のライアン(タレク・ブダリ)。

同僚のステファニー(ヴァネッサ・ギード)に告白するなら、こんな言葉が良いかとライアンは、熱心に容疑者と相談します。

ステファニーが現れ告白しようとすれば、彼女はマッチングアプリでお相手募集中。その隙に容疑者はスタコラ逃げ出しました。

逃亡を無線で報告する彼女に急かされるまで、容疑者を追いもしない実に頼りない警官がライアンです。

男はアクション映画のお約束で、高い建物の屋上を逃げます。しかし臆病者のライアンは、渡された細い板の上を進めません。

まごまごしている間に容疑者は逃げました。現れたステファニーの前で、ゴミ捨て場に転落するライアン。

全く警官向きでない彼にステファニーは呆れますが、ライアンの肩にネズミが乗っており、彼は首を噛まれます。

2人が警察署に戻ると、特殊部隊が出動準備をしています。警視長(ニコラ・マリエ)はライアンたちにも、麻薬組織の取引を押さえる作戦に参加しろと命じます。

ライアンは作戦を理解しないまま出動します。フランス警視監も注目する大捕り物を指揮し、署の刑事部長の警視長は大ハリキリです。

特殊部隊員が展開する現場にいたライアンに、同居中の祖母のラヤン(マリ=アンヌ・シャゼル)から電話が入ります。任務そっちのけで祖母と話すライアン。

ラヤンはライアンを溺愛し、亡き父の形見の警察バッジを今も持っているか尋ねました。そんなラヤンおばあちゃんは、TVのショー番組に夢中です。

取引の情報があった現場に、麻薬組織のボス・テディ(ジョゼ・ガルシア)が現れます。警視長は部下に取引が終わるまで待機しろと命じました。

カバンを持って車から降りたテディを、ご近所さんだと気付いたライアンが近づき、声をかけたからたまりません。

ここで犯罪組織の取引がある、警察が張り込んでて危ないから帰ってね、とご親切に教えてたライアン。

忘れかけたカバンを渡し、泥にタイヤを取られたテディの車を押してあげる親切ぶり。警視長の作戦はぶち壊しです。

結局書類係に降格されたライアン。同僚たちは彼をからかう動画を見て大笑いしますが、鈍感な彼はそれに気付きません。

警視長の部屋に入ったライアンは、彼の失態を補おうと張り切る刑事トニー(フィリップ・ラショー)と、その腰巾着のピエール(ジュリアン・アルッティ)から負け犬扱いされます。

トニー刑事にいいように利用され、警視長からは捜査に関わらず、荷物の配達ついでにネズミに噛まれた傷を診てもらえ、と言われたライアン。

ライアンは化膿した傷を医師に診てもらい、帰り道ではアパート前にたむろするチンピラにからかわれました。

自宅にはラヤンおばあちゃんと元カノのリンダ(リーム・ケリシ)がいます。浮気され別れたリンダを追い出せず、逆に部屋から追い出される始末です。

祖母はライアンとステファニーの付き合いを望んでいましたが、彼女は今トニーたちと怪しい家へ捜査に向かっていました。

問題の部屋をステファニーがノックすると、老婆がヨボヨボと玄関に向かいます。それを待てずバッテリングラム(破城槌)を使うチニーとピエール。

見事ドアは破壊され開けようとした老婆も吹っ飛びました。トニー刑事も相当のバカと判明しますが、犯罪組織に利用された老婆の部屋から麻薬と手帳が押収されました。

非番のライアンは近所で麻薬組織のボス、テディが経営する高級ケバブ料理店に招かれます。

高級ケバブ店とは、日本で言えば「高級たこ焼き料亭」みたいなものですが、資金洗浄とケバブに始末した輩の肉が使用可能で、テディには一石二鳥です。

テディは麻薬取引捜査をブチ壊したライアンを協力者と考え、報酬1万ユーロで押収された手帳を取り戻せと依頼しました。ライアンは断りますが医師から電話が入りました。

病院を尋ねると検査の結果、ネズミに噛まれた傷からレプトスピラ症を発症、重症化し手遅れで最大で余命30日と宣告されるライアン。

しっかり診察料を請求されライアンは家に帰ります。能天気な元カノ、リンダの態度にブチ切れ彼女の水パイプを窓から捨てました。

パイプは外でたむろしていたチンピラたちに命中、文句を言われますが、余命僅かなライアンに怖いものは無し、彼らとミニバイクの目隠しチキンレースで対決します。

目隠しのまま一般道を突き進み、赤信号を無視し2人がかりで運ぶガラス板を割って…のはずが強化ガラスで割れず転倒するライアン。命知らずな走行に彼に心服するチンピラたち。

度胸が付いたライアンはテディの店に乗り込み、警察が押収した取引を記した手帳は渡す、ただし報酬は10万ユーロで、先払いで寄こせと要求します。

一方的な要求にテディは怒りますが、銃を向けても動じぬ態度を本気と見込み、彼は承諾しライアンに金を支払いました。

彼は警官の制服と父の形見のバッジを捨てます。しかし悪に染まるつもりもありません。祖母のラヤンに札束を渡し、自分は1人旅に出ると告げます。

こうして思い残すことなく、ライアンはラスベガスに向かいます。一方ラヤンが大金を得たと知って、TVに出演したい彼女のためプロデュースを買って出るリンダ。

ラスベガスに到着したライアンは、映画『ヒャッハー!』シリーズよろしくバカ騒ぎを満喫します。

しかしホテルの1室に戻ると、カメラに向って皆に遺す、最期のメッセージを録画しました…。

そのころ遠く離れたフランスでは、彼に余命30日を告げた医師が、検査結果の見間違いの誤診だと気付きます。

ライアンの元には、ヤブ医者より先にテディから電話が入りました。ライアンは金を持って高飛びし、手帳を渡す意志など無いと気付き、激怒したテディ。

怒りにまかせ、テディはお前の父親同様始末すると叫びます。ライアンの父を死なせたのは、今は麻薬組織のボスのテディでした。

テディの脅迫よりも、残り少ない人生で父の仇を討つと決意し帰国するライアン。

頭の悪いトニー刑事とピエール刑事がいる警察署に、サングラスに皮ジャンでキメたライアンが帰ってきます。

警視長にテディを捜査すると直談判するライアン。署内で容疑者が銃を奪い、トニーを人質にする事態が発生します。

皆が動けず、ピエールがトンデモない行為する緊張状態の中、間抜けながら行動を起こし、天井の照明を銃で撃つライアン。

照明器具は落ちて容疑者、では無く人質のトニーに命中。それでも事件は解決しました。

活躍に同僚は拍手喝采、警視長もライアンにステファニーと組んで捜査に復帰しろと命じます。

面白くないのはトニーとピエール。彼らはライアンと競う姿勢を見せますが、そんな時にY⁠o⁠u⁠T⁠u⁠b⁠e⁠で大人気の、ラヤンおばあちゃんの動画が話題になりました。

ライアンの元カノ、リンダのプロデュースが成功し、TVショー出演を夢見るばあちゃんは人気上昇中。これではテディ一味に彼女の行動はバレバレ、恰好の標的です。

慌てて電話したライアンですが、人気ユーチューバーは忙しいのか、まともな会話になりません。

証拠の麻薬取引を記した手帳を見ても、トニーとピエールはトンチンカンな答えしか導けません。それでも公園が取引現場と睨んだライアンとステファニー。

覆面パトカーが出払っているので、4人は警視長ご自慢の愛車を拝借し出動します。

公園の前に怪しいバンが止まっていました。トニーが調べると、中から出たのはピエールのお母さん(シャンタル・ラデス)。

彼女はバンを使い路上で男相手に商売しています。気まずい雰囲気ですが、気にしないピエールのママに挨拶して立ち去る一同。

公園内ではサーカスが行われていました。怪しいピエロが売人だと睨み、トニーが囮を演じて声をかけます。

所持した銃を見られ、刑事とバレたトニー。ピエロは迷惑にも観客の少女を巻き込み逃亡しました。

ピエロを追うライアン。ステファニーはピエールのママのバンを運転して追跡、後ろで真っ最中のママとお客は災難です。

サーカスの人間大砲でピエールを発射し、ピエロを捕らえようとするトニー。発想が馬鹿過ぎてロクな結果になりません。

地下鉄に逃げ込み、衣裳のネタの仕掛けでライアンから逃れたピエロ。その彼に車をぶつけて捕らえたステファニー。

余命短いライアンに怖いものはありません。ピエロを高架橋から逆釣りにして脅し、情報を引き出しました。

喋ったピエロを引き上げられず落としたライアン。ピエロはピエールのママのバンに命中、彼女の商売も色々大変です。

ライアンとステファニーは、ピエロから聞いた密輸の事情を知る女、カミラの家に向かいます。無茶ばかりするライアンを心配するステファニー。

トニーとピエールが病院に運ばれるピエロに付き添い、ラヤンばあちゃんはリンダとミュージックビデオ撮影現場に乱入、ウケる動画を撮影中します。

入院したピエロの口封じに麻薬組織の者が現れると睨み、ピエールと待ち伏せするトニー。

敵に気付かれないよう隠れようと、病室前のステレッチャーで眠る患者と入れ替わるトニー。それに気付かぬ看護士に手術室に運ばれました。

ライアンたちがカミラのマンションに着くと、怪しい2人組が彼女の部屋に向かっています。

そこで屋上から『ダイ・ハード』のブルース・ウィリスよろしく、消火ホースを体に巻いて飛び降り、カミラの部屋に突入した命知らずのライアン。

ところがホースの固定具が外れて落下、引っ張られ彼は地上へ転落します。間抜けな彼に頭を抱えるステファニーですが、彼女の活躍で2人組は逮捕されました。

警視長の愛車の屋根の上に落ち、どうにかライアンは無事です。カミラから空港にメキシコから麻薬が着くと聞いたステファニー。

ライアンの命知らずの捜査は、騒動を引き起こしながら核心に近づいていました。

以下、『シティーコップ 余命30日?!のヒーロー』のネタバレ・結末の記載がございます。『シティーコップ 余命30日?!のヒーロー』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

_netabare]


(C)2020 Axel Films Production Studiocanal M6

入院中の容疑者のピエロの見張り中、居眠りをしたピエール刑事が目覚めると、患者と間違えられ手術を受けたトニー刑事が運ばれてきます。

大慌てで同僚に駆け寄るピエールですが、麻酔が抜けきらない体で病室に麻薬組織のボス・テディが入ったと気付くトニー。

彼がピエロを殺そうとするテディに銃を向けると、相手はギョッとします。何事かとトニーが鏡を見ると、胸に見事な女性のバストが付いているではありませんか。

トニーとピエールが驚く隙に逃げるテディ。2人の刑事は駐車場まで追いますが、そこにはテディの部下がいました。

部下に後をまかせて立ち去るテディ。2人は銃を捨てさせられますが、相棒の腕を過信するピエールの挑発で、トニーは巨漢の男と素手で対決します。

脳内のイメージでは、上着を投げつけた隙に敵を叩きのめすトニーですが、現実には何を投げても上手くいきません。

下着まで脱いで投げ、豊胸手術を受けた胸と股間のナニをさらし、手を上げて降参したトニー。

その頃ライアンとステファニーは、警視長の愛車で空港に急ぎます。街中で長い消火用ホースを引きずっての激走し、あちこちで大迷惑を引き起こします。

テディ一味に捕まったトニーとピエールは、廃材が積まれた一室に2人一緒に後ろ手に縛られ、監禁されました。

ライターが落ちていると気付いた2人は苦心して手に入れ、縄を焼き切り自由の身になりますが、その炎はトニーと建物に燃え広がります。

テディの手下は、始末する手間が省けたと立ち去ります。幸いにも消防車が現れ救出されますが、トニーを救おうとピエールがやる事全てが裏目に出て大騒動でした。

ライアンは車をボロボロにした挙句、目的の空港の到着します。飛行機から降ろされた木箱がテディ一味により、車に積まれる光景を目撃する彼とステファニー。

相手を逃すまいと一味の車の底部にしがみつくライアン。ステファニーはその場の主婦の車に勝手に乗り込み、後を追います。

その頃ライアンが乗り捨てた警視長の車は、漏れたガソリンが引火して大爆発を起こしていました。

車の底で耐えるライアン。車のタイヤが何やら汚いものを踏み汚れ、路上のハリネズミが彼に刺さるわと、散々な目に遭います。

ステファニーは一味の車が、メキシコ大使館に入ったとトニーとピエールに報告します。そしてようやく車に赤ん坊が乗っていたと気付くステファニー。

彼女は大使館に忍び込もうと試み、赤ん坊連れで現れたステファニーを見てライアンは驚きます。まともな彼女の以外な一面と、ハリネズミに翻弄されるライアン。

消防士の協力でメキシコ大使館に現れたトニーとピエール。ライアンとステファニーは、輸入品を装った麻薬が粉末化される作業を目撃しました。

2人に合流したトニーとピエールは、マリアッチ(メキシコ音楽の楽団)の演奏者の姿をしています。パーティーの余興に呼ばれたマリアッチの衣装を奪ったのです。

赤ん坊が泣き出し見張りが現れ、4人は身を隠します。トニーのおっぱいを吸う赤ん坊。ライアンとステファニーは理解に苦しみました。

見張りに見つかったものの、ピエールが活躍し敵は倒されます。どうやら白い粉のおかげで、ハイになった様子のピエール。

潜入のためにライアンはレスラー姿、ステファニーは踊り子姿に変装します。ベタなメキシコ扮装の4人が、大使館のパーティーに乗り込みます。

扮装が災いし、ステージに立たされるトニーとピエール。ピエールの見事な歌と演奏で切り抜けました。

…というのはハイになったピエールの妄想で、ステージの上でトニー相手に腰を振る彼の姿に、観客一同ドン引きです。

今度はレスラー姿のライアンがリングに立たされ、本職相手に一戦交えズタボロになります。リングの外に投げられた彼を挑発するテディ。

トニーは赤ん坊を隠したピニャータ(お菓子入りのくす玉)が、子供たちに棒で叩かれる姿を見て焦ります。

取り上げたピニャータをハイになったピエールが蹴り、それを警備の犬が襲います。そこに警視長と赤ん坊の母親、大使館の警備員が現れました。

幸いにも赤ん坊は無事でしたが、警視長は激怒します。大使館で目撃した事実を報告しても、外交問題になると言いライアンにクビを言い渡す警視長。

ラヤンばあちゃんはリンダにそそのかされ、ホテル宿泊中のフランス代表サッカー選手、ウーゴ・ロリスの寝室にお邪魔します。迷惑の極みですが視聴者の「いいね」は獲得しました。

おばあちゃんの居場所はバレバレで、テディの手下が彼女を拉致します。

レスラー姿のまま帰るライアンに、電話で手帳を渡さないと捕らえたラヤンとリンダに危害を加えると脅すテディ。

命知らずの彼は、ビルの間に消火ホースを渡し、綱渡りの要領で横断し警察署の建物に忍び込もうとします。

そこに例のヤブ医者から連絡が入ります。余命30日は大誤診、自分は健康そのものだとライアンは知りました。

命が惜しくなった7ライアンですが、人生の価値を教えてくれたと医師に感謝し、勇気を振り絞って綱渡りを始めるライアン。

あと僅かの所で鳩に邪魔されますが、何とか渡り切ったライアンは換気ダクトから侵入しました。

警察署内にライアンが撮影して送った、動画のメモリが到着していました。スレファニーは容疑者から、ライアンが自分に告白していたと教えられます。

トニーは見事なバストをどうするかピエールと相談中。ライアンはドタバタしながら、家族のために手帳を入手しました。

騒ぎを聞きつけ、警視長以下一同が姿を現します。ドジを繰り返しますが、ステファニーの助けで脱出するライアン。

レスラー姿のままテディの高級ケバブ店に乗り込みます。ラヤンおばあちゃんとリンダの無事を確認し、手帳をテディに渡します。

後をつけたステファニーとトニーとピエールは、その姿を目撃します。仲間には裏切り行為に見えましたが、テディとの会話をスマホで録音していたライアン。

間が悪く録音をテディに見抜かれ、ライアンは拳銃で撃たれます。

それを見た3人もケバブ屋に突入します。銃撃戦の中、ライアンにステファニーが駆け寄りますが、ライアンは父の遺した警察バッジのお陰で無事でした。

…のはずが、バッチに弾は当たっていません。やっぱり自分に命中したんだ、と大慌てのライアンですが、銃弾は彼をかすっただけで安心します。

トニーとピエールはテディ一味と撃ち合います。これを実況すればバズるの間違い無し、とスマホで撮影を開始したおばあちゃんとリンダ。

ヒーロー気取りで立ち上がったトニーは、テディに撃たれました。彼の銃を受け取るライアン。テディはラヤンばあちゃんを人質にします。

手を上げたと見せかけ、警察署の時と同じく天井を撃つライアン。落下した扇風機はやはりラヤンを直撃し、テディに逃げられますが祖母は解放されました。

バイクで逃げるテディを、通りがかったバイクを借りて追うライアン。テデイはライアンの父と同様に、正面から向かい彼を殺そうと試みます。

生まれ変わったライアンに怖いものはありません。チキンレースに破れ事故を起こし宙を舞ったテディ。

テディはピエールのママのバンの屋根を突き破って落下し、ママのお世話になりつつライアンに逮捕されます。

ライアンのステファニーへの告白を、パトカーの後部座席で聞いたテディはダサいと大笑いします。しかし今回は隣で聞いたステファニーがOKし、2人はキスしました。

大捕り物の末テディを逮捕し麻薬組織を壊滅させた、胸を元に戻したトニーと7ピエール、ライアンは式典で警視長に表彰されます。

もっとも自分の愛車をダメにしたライアンに、これからじっくりお礼をすると告げる警視長。

最後に表彰されたステファニーは、今後は間抜けなな3人を指揮し、チームを組んで活躍するよう命じられます。

この後フランス警視監からのメッセージ動画が流されるはずが、手違いで余命は間もないと信じて、ライアンが撮影した動画が流されます。

トニー、ピエールそして警視長に悪態をつく動画のライアン。しかしステファニーには真剣な思いを告白していました。

これで動画が終わっていれば良かったのですが、間抜けなライアンは撮影を停止していません。

ラスベガスで出会った美女たちを集め、皆でバカ騒ぎをして踊り狂うライアンの姿が映し出されます。…果たしてこの後、どうなったのやら。

映画『シティーコップ 余命30日?!のヒーロー』の感想と評価


(C)2020 Axel Films Production Studiocanal M6

昭和のドリフのコント番組、クレイジーキャッツの映画や香港映画、ピーター・セラーズ出演作やジョン・ランディス監督作などを思わせる、実にベタなコメディ映画です。

同じチームのフランス映画、『ヒャッハー!』シリーズや『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』をご存知なら、どんな映画か想像できるでしょう。

古典的な、だから楽しいドタバタコメディ映画と信じて良い作品ですが、仏でYouTube、Instagram、TikTokで活躍中のインターネットセレブリティも出演している作品です。

「新しい酒は、新しい革袋に」は聖書の言葉。「古い酒は、新しい革袋に」はSF小説・アニメの「銀河英雄伝説」のセリフ。

「ベタな笑いも、新しい革袋に」が本作製作チームの姿勢でしょうか。流石は『シティーハンター~』を実写化し、成功させた男たちの映画です。

コメディ以外の様々な映画もアイデアの源

参考映像:『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』(2018)

本作は過去のコメディだけでなく、様々な映画からアイデアを得たと語る監督・主演のタレク・ブダリ。

具体的には『ダイ・ハード』(1988)に『ミッション・インポッシブル』(1996)シリーズ、『シャーロック・ホームズ』(2009)シリーズの名をあげていました。

笑いを作るには先人が示した通り、体をはった苦労を重ねるしかありません。『ダイ・ハード』のパロディの、屋上からの突入シーンがあります。

このシーンは8度目でやっと成功し、9度目も同じものが撮影できたと振り返るタレク・ブダリ。用意した撮影用ガラス10枚の中で、どうにかシーンを作り上げました。

今回は脇でタレク・ブダリのサポートに徹した、ピエール役のジュリアン・アルッティ。彼は多くのコメディ映画の主人公は、自分はおかしな人物ではないと信じている、と話しています。

タレク演じる主人公は、体をはった無謀なアクションを繰り返すが、コミカルで馬鹿馬鹿しいことを行うのは彼の周囲の人物。それを演じるのは楽しかった、と語るジュリアン・アルッティ。

このインタビューでタレク・ブダリは、、コメディーで最も面白くないのは主人公で、最もおかしいのは二番手の登場人物の事例が多いと説明しています。

素朴な疑問から始まった前向き映画


(C)2020 Axel Films Production Studiocanal M6

仲間たちとアイデアを出し合って映画を作るタレク・ブタリ。ある時「人生が残り僅かならどうするか」、という疑問が話題にのぼります。

馬鹿げた質問だが、映画の出発点に良いアイデアだと彼は考えます。残る人生が30日間ならどうする、それを考えるだけでアイデアが沸き、そして誕生したのが本作でした。

我々は自分の人生に壁を置いてしまう。しかし大切なのは行動することだと語る監督。

その結果、落語か吉本・松竹新喜劇のようなお話が誕生した訳ですが、マンネリで面白くないと感じる方はいないでしょう。

とはいえ主人公に与えられた設定は、かなり特殊な状況です。そういう意味では善良だがTVを見るだけの生活をしていた、ラヤンおばあちゃんこそ我々に近い人物です。

そんなおばあちゃんが、インターネットセレブリティ目指し大暴走、じつに充実した時間を過ごします。実はこちらこそ身近な存在の、「余命30日?!のヒーロー」かもしれません。

もっとも、迷惑系ユーチューバーにはならないで下さい。

まとめ


(C)2020 Axel Films Production Studiocanal M6

ベタな笑いで楽しめる、家族で楽しめる許容範囲(?)の下ネタ豊富な『シティーコップ 余命30日?!のヒーロー』。頭を空っぽにして楽しんで下さい。

「エスプリ」=軽妙で辛辣な言葉を、すぐに口にできる軽妙な才知、との意味の言葉があるフランス。だから仏コメディは高尚だ、という誤解がありますが、そうではありません。

人間の思想や行動、創作活動など個人の意見を重んじるフランスでは、ベタな笑いだって恥じることなく表明できます。よって本作のようなタイプのコメディ映画も続々誕生するのです。

劇中に売春する刑事のママが登場しますが、仏では売春の合法・非合法を巡り議論が繰り返され、制度的禁止の方向にシフトしていますが、まだまだ議論が続いています。

単純な倫理観を元にした善悪論にとどまらず、そういった職を生業とする方にとって最善なのは何か、あらゆる面から分析するのはお国柄ゆえでしょうか。

多くの国では建前的に絶対禁止、でも水面下では、といったうやむやな状況も許される中、真正面から異論をぶつけ合うのはフランス人らしい姿勢といえるでしょう。

映画の表現も、笑いの表現も同じで、様々な表現が許されます。一方で完成した作品への攻撃や批判もまた激烈。そんな環境で仏映画は磨かれていると言ってよいでしょう。

本作のような能天気な映画を作る人々にも、創作にはブレない真摯な姿勢が垣間見えるのは、フランス映画ならではの現象でしょうか。

次回の「未体験ゾーンの映画たち2021見破録」は…


(C)2015 MPI Pictures Limited.

次回第28回は父のために魔女と契約した、女子高生を襲う恐怖を描くサタニックホラー映画『魔女の密約』を紹介します。お楽しみに。

【連載コラム】『未体験ゾーンの映画たち2021見破録』記事一覧はこちら





関連記事

連載コラム

映画『BEYOND BLOOD』レビュー評価と解説。フレンチホラーを確立した4つの作品に迫る|SF恐怖映画という名の観覧車64

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile064 今年で6回目の開催となる「夏のホラー秘宝まつり」が8月24日より遂に開催されました。 新作邦画ホラーの上映から歴史に残るホラー名画のリバ …

連載コラム

映画『コントラ』あらすじ感想と考察評価。円井わんと間瀬英正という俳優の存在が大きく心を占めていく|2020SKIPシティ映画祭12

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2020エントリー/アンシュル・チョウハン監督作品『コントラ』がオンラインにて映画祭上映。国内コンペティション長編部門で優秀作品賞を受賞! 2004年に埼玉県川口市で誕 …

連載コラム

劇場版ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス|ネタバレ感想と考察評価。映画版に結集したウルトラ戦士が闇に支配された世界を救う|邦画特撮大全72

連載コラム「邦画特撮大全」第72章 今回の邦画特撮大全は『ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス』(2020)を紹介します。 本作『ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス』(2020) …

連載コラム

【ネタバレ】シティ・オブ・ジョイ|あらすじ感想と結末の評価解説。感動おすすめヒューマン映画が4Kリマスター版で復刻【未体験ゾーンの映画たち2022見破録25】

連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2022見破録」第25回 映画ファン待望の毎年恒例の祭典、今回で11回目となる「未体験ゾーンの映画たち2022」が2022年も開催されました。 傑作・珍作に怪作、待望 …

連載コラム

講義【映画と哲学】第12講「愚か者とその愚行:映画に愚行の魅力を見る。」

講義「映画と哲学」第12講 日本映画大学教授である田辺秋守氏によるインターネット講義「映画と哲学」。 (C) 1994 by Paramount Pictures. 第12講では、J. S.ミル『自由 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学