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Entry 2020/08/17
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映画『東京バタフライ』あらすじ感想と考察評価。水石亜飛夢×白波多カミンで描く挫折から這い上がる若者の姿|映画という星空を知るひとよ17

  • Writer :
  • 星野しげみ

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第17回

映画『東京バタフライ』は、大学時代にバンドを組み、同じ夢を追いかけた4人の若者たちの人生の再生を描いています。過去の後悔や挫折と向き合い、必死にもがきながらも前に進んでいく彼らの姿は、同世代への共感必至です。

監督は、本作が初長編作となる佐近圭太郎。シンガーソングライターとして活動する白波多カミン、『魔進戦隊キラメイジャー』の水石亜飛夢、『菊とギロチン』の小林竜樹、『台風家族』の黒住尚生が主人公の4人を演じています。

映画『東京バタフライ』は、2020年9月11日(金)よりアップリンク吉祥寺ほか全国順次公開!

【連載コラム】『映画という星空を知るひとよ』一覧はこちら

映画『東京バタフライ』の作品情報

(c)2020「東京バタフライ」製作委員会

【公開】
2020年(日本映画)

【監督】
佐近圭太郎

【脚本】
河口友美

【音楽】
白波多カミン

【キャスト】
白波多カミン、水石亜飛夢、小林竜樹、黒住尚生、松浦祐也、尚玄、松本妃代、小野木里奈、浦彩恵子、熊野善啓、福島拓哉

【作品概要】
映画『東京バタフライ』の主人公・安曇を演じるのは、シンガーソングライターの白波多カミン。バンドメンバーには、ギター・仁役に『魔進戦隊キラメイジャー』のメインキャスト・水石亜飛夢。ベース・修役に『菊とギロチン』(2018)などの小林竜樹。ドラム・稔役に『台風家族』(2019)などの黒住尚生が出演。さらに尚玄や松浦祐也など個性派俳優たちが集結しています。

監督は、池松壮亮主演の『家族の風景』(2015)でTAMA NEW WAVE2013映画祭特別賞&主演男優賞など数々の賞を受賞し、かねてより注目を集める新鋭・佐近圭太郎。今回の作品が満を持しての初長編作品となっています。また、『四月の永い夢』(2017)や『わたしは光をにぎっている』(2019)など映画ファンに良質な作品を提供し続けているWIT STUDIO×Tokyo New Cinemaが制作を手掛けています。

映画『東京バタフライ』のあらすじ

(c)2020「東京バタフライ」製作委員会

ボーカルの安曇(白波多カミン)とギターの仁(水石亜飛夢)を中心に、ベースの修(小林竜樹)、ドラムの稔(黒住尚生)といったメンバーで結成した人気大学生バンド「SCORE」。

ある日、ライブ中にレコード会社の目に留まりメジャーデビューのオファーが舞い込んできます。

しかし、安曇はある出来事をきっかけにレコード会社へ不信感を抱き、メンバーと対立。その結果、バンドは解散してしまいました。

夢が砕け散ったあの日から6年がたちました。28歳となった元メンバーたちはそれぞれ別の生活を歩んでいます。

安曇は介護士として穏やかな日々を過ごし、仁は人気バンドのサポートギターとして活動中。

アルバイトをしながらも、ギターを弾く姿を動画でアップするなど音楽に未練を残している修、結婚して妻・瞳の実家の和菓子屋さんで働く稔。

音楽活動を共にしていた頃と違った毎日を送る彼らは、次第に疎遠になっていました。

ある日、安曇は介護をするお婆ちゃんの家で孫の女子高生にギターを教えることになり、6年ぶりにギターに触れます。

懐かしい想いにかられ、稔の働く和菓子屋を訪ねる安曇。

仕事、結婚、人間関係と、さまざまな人生の悩みに直面した彼らは、ふとしたきっかけで再び集まることになりました。

映画『東京バタフライ』の感想と評価

(c)2020「東京バタフライ」製作委員会

一心不乱にバンド活動をしていた大学生たちの夢はメジャーデビュー。夢が叶い全国に自分たちの歌が広まるはずだったのですが、その一歩手前で彼らに大きな挫折が訪れました。

『東京バタフライ』は、人生の挫折を味わった4人の仲間たちが、そこから這い上がろうとする姿を描いています。

自分の好きなことをやり続けたいという純粋な気持ちの前に立ちはだかったのは、社会の厳しさと現実でした。

レコード会社と対立するほど自分の歌への想いを持っていた、安曇。

大学生バンドが解散しても、一人モクモクとサポートギタリストとして音楽活動を続ける、仁。

音楽を諦めたと自分に言い聞かせたら、楽になったけど悲しくなったと言う、修。

そして、慣れない和菓子屋で舅の顔色を見ながら働く稔は、表立って音楽への未練は出していないものの、昔の仲間と会うのがとても楽しそうです。

こんな4人を通じて伝わってくるのは、過去の出来事への後悔と人生の挫折感。そしてそこから立ち上がろうとする不屈の魂です。

人生の岐路に立って思い悩み、一方を選んでもその選択を間違ったのではないかと後悔することは、誰でも1度や2度は経験があることでしょう。

後悔をずるずると引きずったままで一生を終わるのか、きっぱりと思い切って違う方向へ進むのか。狭間で揺れ動く4人の若者たちの切なく苦しい気持ちがよくわかります。

また、後半に流れる白波多カミンの歌は必聴です。のびやかで包み込むような張りのある歌声が、ほろ苦いストーリーを希望に満ちたものへと変えてくれています。

若者ゆえの過去の後悔と哀しさ、そして仲間たちの温かな繋がりが十二分に詰まった『東京バタフライ』。

誰もが分かり得る青春時代の痛みと心の葛藤劇を堪能できることでしょう。

まとめ

(c)2020「東京バタフライ」製作委員会

映画『東京バタフライ』は、夢を追いかけた若者4人が叶わなかった夢を“ちゃんと終わらせる”までの物語。

監督は長編映画初となる佐近圭太郎です。これまでに、『浜辺のゲーム』(2019)や『クシナ』で助監督、『静かな雨』『わたしは光をにぎっている』(2019)で監督補佐も務められました。

現代社会は、後悔の念や挫折を胸に秘めながら、⽇々の⽣活を⼀所懸命に営む⼈々で溢れています。そんな中、⽬の前の⽣活を⼀所懸命に⽣きる人々に、佐近監督は愛着を持っているそうです。

主演の4人は、自身が演じる役柄を佐近監督の思いに応えるように、演じていたと思えます。

白波多カミン演じる安曇が、久しぶりにギターを持ち弦をつま弾くシーンでは、それまでとは打って変わった顔つきになるのをお見逃しなく。

また、介護先の家族の要望で披露した安曇のギターの弾き語りは、知らず知らずのうちに郷愁の思いがこみ上げ、目頭がジーンとなるほどの出来栄え。

安曇が6年間封印していた音楽への愛が一度にあふれ出したような演奏でした。

“一度は諦めたけれども、やっぱりこの道が好きでたまらない。”

こんな思いが伝染病のように元のメンバーたちにも広がっていき、自分自身に誠実になることこそ幸せなのだと、安曇たちも気が付いたのに違いありません。

ほろ苦い思い出をかみしめながら前へ進む……。本作は、愚直にそして誠実に⽣きることが大変美しく思える作品です。

映画『東京バタフライ』は、2020年9月11日(金)よりアップリンク吉祥寺ほか全国順次公開。

次回の連載コラム『映画という星空を知るひとよ』もお楽しみに。

【連載コラム】『映画という星空を知るひとよ』一覧はこちら



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