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映画『ラスト・パニッシャー』あらすじネタバレと感想。キャストのニコラスケイジが全力熱演俳優としての真骨頂を見せた|未体験ゾーンの映画たち2020見破録23

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  • 20231113

連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2020見破録」第23回

世界各国の様々な映画を集めた劇場発の映画祭「未体験ゾーンの映画たち2020」は、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル梅田にて実施、一部作品は青山シアターにて、期間限定でオンライン上映されます。

2019年は「未体験ゾーンの映画たち2019」にて、上映58作品を紹介いたしました。

2020年も挑戦中の「未体験ゾーンの映画たち2020見破録」。第23回で紹介するのは、復讐に挑む男を描くリベンジ・アクション映画『ラスト・パニッシャー』

ハリウッドを代表するスターでありながら、アクション、ホラー映画といった作品に主演し、強烈な個性を発揮するニコラス・ケイジ。その活躍はB級映画ファンの注目を集めています。

今回彼が挑むのは19年の服役後、不治の病で余命僅かと診断され、釈放された元ギャング。長らく別れていた1人息子と家族の時間を過ごしながらも、裏切り者への制裁の念に憑りつかれた、老いた男の壮絶な復讐劇が今始まる…。

【連載コラム】『未体験ゾーンの映画たち2020見破録』記事一覧はこちら

映画『ラスト・パニッシャー』の作品情報


(C)2019. 10643467 Canada Inc. All Rights Reserved.

【日本公開】
2020年(カナダ・アメリカ合作映画)

【原題】
A Score to Settle

【監督】
ショーン・クー

【キャスト】
ニコラス・ケイジ、ベンジャミン・ブラット、ノア・ル・グロ、カロリーナ・ヴィドラ、モハメッド・カリム、イアン・トレイシー

【作品概要】
ボスの身代わりに服役した男の復讐劇を描く、ハードボイルド・アクション映画。監督は2010年東京国際映画祭コンペティションに出品された、息子が銃乱射事件の犯人となった両親を、マイケル・シーン、マリア・ベロが演じた『ビューティフル・ボーイ』のショーン・クーです。

主人公の友人を映画俳優・声優として活躍し、ドラマ『LAW&ORDER』で有名なベンジャミン・ブラットが、息子をバズ・ラーマン製作の、NETFLIXオリジナルドラマ『ゲットダウン』のノア・ル・グロが演じています。

ヒューマントラストシネマ渋谷とシネ・リーブル梅田で開催の「未体験ゾーンの映画たち2020」上映作品。

映画『ラスト・パニッシャー』のあらすじとネタバレ


(C)2018 ABNORMAL DEFENSE FORCE INC. 2018 RELIANCE ENTERTAINMENT PRODUCTIONS 12 LIMITED

野球場でノックの要領で球を打つ男たち。その先には椅子に縛り付けられた男がいます。組織のボス、マックスにバッティングを手ほどきするフランク。彼らは裏切り者に口を割らせるべく、打球を当てる拷問を加えていました。

男をいたぶることを楽しむギャングたち。しかしキレたマックスは、手にしたバットを振るって男を何度も殴ります。フランクが駆け付けた時には男は絶命していました。ボスから血まみれのバットを受けとるフランク。

時がたち、刑務所にすっかり年老いたフランク(ニコラス・ケイジ)がいました。彼はは女医から重度の不眠症と診断されます。薬が処方されるものの、効果は限られ不眠はせん妄や幻覚を生み、やがて意識を混乱させ、最終的に死に至ると女医は説明します。

致死性の病に侵されたフランクは、早期に釈放されることになりました。私物を渡され夜の刑務所から出たフランクに、誰の迎えもありません。やむなく彼は1人歩き出します。

すると闇の中から1人の若者が歩いて現れます。それはフランクの1人息子、ジョーイ(ノア・ル・グロ)で、2人が出会うのは19年ぶりでした。荷物を持とうとする息子の提案を断り、フランクはジョーイと夜道を歩いていきます。

夜が明けフードトラックでコーヒーを買い、フランクは息子と話します。生活苦から車を手放したジョーイは、彼の目に痩せて見えました。タクシーに息子と共に乗り込んだフランク。

フランクは昔住んだ家に向かうと、タクシーに息子を残し敷地に入ります。現在の住人の目を盗み、朽ち果てた小屋に入った彼は、中にあった小箱を手に取ります。そしてフランクは地面を掘りトランクを見つけますが、その中には大量の札束と、血痕の残るバットが入っていました。

それをカバンに詰め込み、フランクはタクシーに戻ります。彼がジョーイに見せたのは小箱の中で見つけた、息子が大切にしていた野球カードでした。

緑の中を走りタクシーが到着したのは豪華なホテルでした。ここに泊まると言いタクシー代も払った父が、何か過去にまつわる大金を手にしたと察し、別れを告げるジョーイ。しかしフランクはここは2年目の結婚記念日に、妻と訪れた場所だと説明します。

お前の母ともう一度訪れたかった場所だけに、つれて来たのだと語るフランク。その言葉にジョーイも納得し、2人はホテルに入ります。ボーイに気前よくチップを渡し、高級な部屋に案内されるフランクとジョーイ。

身なりを整えたフランクはジョーイとレストランに入ります。子供の頃大食いだったお前が、1日中何も食べないと語って、息子の身を心配するフランク。ドラックはやっていないと語り、父が不在の19年間を。今語るのは簡単ではないと告げるジョーイ。

フランクは息子がトイレに立った間に、2人分の食事を注文します。息子を待つ間、彼はふと近くの席で老人と語る、着飾った若い女を見つめます。戻って来たジョーイは、あれは娼婦だと父に告げました。

その光景に時代が変わったと感じるフランク。部屋に戻った彼は、明日は買い物に行こうと息子に告げます。刑務所で作ったバットをジョーイに見せ、父はお前が野球を続けていれば、メジャーリーガーにもなれたと呟きます。

しかしカバンに入れた血まみれのバットに息子が気付くと、フランクはとっさに隠します。ジョーイはまだ復讐を考えているのかと、父に訊ねます。あの連中とは縁を切った、これからはお前と二度と離れないと告げるフランク。

しかし彼は息子が眠ったと確認すると、夜の街に出て行きます。馴染みの銃の密売人の元に向かいますが、相手は6年前に死んでいました。今はその娘が商売を仕切っており、フランクは彼女から短機関銃と拳銃を買い、彼女の幼い息子に手製のバットを与えます。

次にフランクが向かったのは、Q(ベンジャミン・ブラット)が経営する酒場でした。突然現れたフランクに驚くQ。彼はフランクのギャング時代の仲間で、ボスがバットで人を殺した時も、共にその場にいた親友でした。

再会を喜ぶQ。2人は酒を酌み交わし語り合います。自分の娘が3日後に結婚すると語るQ。2人の間には長い時間が流れていました。

ボスのマックスは、6年前に死んだと語るQ。それはフランクも聞かされていました。彼はボスの身代わりに捕まり、思わぬ長期間を刑務所で過ごすことになったのです。酷い仕打ちをしたと呟くQに、お前のせいじゃないと答えるフランク。

フランクはかつての仲間、ジミーとタンクの居場所を訊ねます。彼らがマックスの命令で、フランクの大切な人の命を奪ったのでした。フランクはQに拳銃を突きつけて詰問しますが、Qは自分は足を洗い、もう彼ら居場所は判らないと答えます。

体調を崩しトイレに向かった彼をQは気遣い、ジミーとタンクの居場所を探ってみると告げます。フランクは友人に銃を向けた非礼を詫び、去って行きます。

一睡もせずホテルに戻ったフランクに、女医から聞かされた言葉が甦ります。部屋に息子の姿はなく、彼はジョーイの名を何度も叫びます。現れた息子はコーヒーを買いに出ただけだと説明し、そして買い物へ出かけた2人。

フランクは2人分の腕時計を買い、共にスーツを新調し、親子で購入したスマホを操作して喜び、息子に高級スポーツカーを買い与えます。すべて現金で払ったフランクは、息子を助手席に乗せ車を運転し2人ではしゃぎます。

ホテルに戻った2人に、ポン引きの男が娼婦はいるか、と声をかけてきます。適当にあしらうフランクは、男から名刺を受け取りました。

ジョーイは今付き合っている彼女がいて、名前はロレインだと告げます。フランクはその名が自分の妻と同じだと言い喜びます。今まで刑務所に面会に訪れなかったとを詫びるジョーイに、お前を巻き込んでしまったのは俺だと語るフランク。

フランクが刑務所に暮らした間に、ジョーイがドラックに溺れた時期がありました。妻であり母であるロレインの口癖は、今日こそ再出発の日でした。その言葉の通り人生をやり直そうと、父は息子に語りかけます。

自室に戻ろうとしたフランクは、昨日見た女に遭遇します。ジョーイから励まされ女に声をかけたフランク。彼女はシモーヌ(カロリーナ・ヴィドラ)と名乗ります。シモーヌはフランクの態度を、本物の紳士だと褒めます。

シモーヌとベットを共にしたフランク。彼の刺青に気付いたシモーヌに、フランクは自分は19年間刑務所にいたと正直に話し、君に迷惑をかけないと告げました。

フランクはシモーヌに大金を払いますが、それは彼女を傷付ける行為でした。フランクは自分の振る舞いを詫びると、スポーツカーで彼女とドライブします。

彼女にボスの罪を被り、刑務所に入ったと打ち明けるフランク。その結果妻と死別したと語ります。その言葉を聞き自分も、1人息子を育てていると身の上を語るシモーヌ。

車で関係を持つ2人。フランクはシモーヌの姿に亡き妻の面影を重ねていました。ホテルに戻り別れる時、フランクはシモーヌと、明日夕食を共にすると約束します。そしてシモーヌは、自分の本当の名はジェニファーだと彼に明かしました。

しかし彼女と別れたフランクは車を走らせ、いかがわしい店に向かいます。中の個室を1つずつ探りながら、短機関銃を手にするフランク。その部屋の1つに、女をはべらせたジミー(モハメッド・カリム)がいました。

銃を突きつけられても動じないジミーは、お前はボスの身代わりに刑務所に入ると同意した、とフランクに告げます。そしてマックスの居所を聞きに来たのか、と呟きます。

その言葉でマックスの生存を知り驚くフランク。その隙をつきジミーは逃げ出します。フランクは今まで自分が騙されていたと知り、彼の前に新たな復讐のターゲットが現れました…。

以下、『ラスト・パニッシャー』のネタバレ・結末の記載がございます。『ラスト・パニッシャー』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)2019. 10643467 Canada Inc. All Rights Reserved.

ホテルに戻ったフランクを、息子のジョーイは昨晩は女と熱い時間を過ごしたのか、とからかいます。しかしジミーとの格闘で傷付いた父の顔を見て、ジョーイは驚きます。

ジミーと会ったと聞かされ、彼を殺したのかと訊ねるジョーイ。殺り損ねたと言い銃を手入れするフランクに、父さんはウソつきだと責めるジョーイ。

これから2人で過ごすと言った父が、復讐を果たそうと動いていたのは許し難い行為でした。息子に物を与えながら、自分は危険な世界に戻ろうとする父に、ジョーイはいっそ殺せと訴えます。息子に責められながらも、フランクは1人ホテルから出て行きます。

息子に買い与えたスポーツカーを走らせたフランクは、精肉場へ向かいます。そこで働くギャング時代の仲間、タンク(イアン・トレイシー)に会うことが目的でした。

黙々と働いていたタンクは、銃を持って現れたフランクに気付くと、いつかお前が来ると思ったと呟きます。フランクには筋金入りのギャングの彼が、足を洗ったことは意外でした。今は持病を抱え、人生は思い通りにいかないと語るタンク。

フランクはかつてのボス、マックスの居場所を訊ねます。詳しくは知らないがマックスは脳卒中を患って療養所に入り、その後死を偽装したと告げるタンク。

覚悟を決めたタンクは最後に、申し訳なかったと呟きます。その額を撃ち抜くフランク。

フランクはQの店に現れ、そこのピアノを弾きます。その曲がフランクとロレインの結婚式で使われた曲だと指摘するQは、自分の娘の結婚式にフランクを招待します。

その頃ジミーはタンクの職場で、彼の遺体を見つけていました。

ホテルに戻ったフランク。そこにジョーイの姿はありません。発作に襲われ倒れたフランクは息子とスマホで連絡を取ろうとしますが、操作することが出来ません。

そこでホテルのボーイを呼びますが、彼が確認するとジョーイの電話は登録されておらず、彼との通話履歴も残されていませんでした。誤って消したのだろうと話すフランク。

フランクはそのボーイに、500ドル渡すのでネットを使い、近隣の高齢者保養施設をリストアップしてくれと頼みます。作業中のボーイに、自分は致死性の不眠症だと打ち明けますが、そこにシモーヌだと名乗る声がします。

フランクがドアを開けるとそこには昨日、本名をジェニファーと名乗った女と、別の女が立っていました。部屋に入った彼女を、昨日約束した女と違うと追い払うフランク。

早速ポン引きの男が現れ、フランクの態度に難癖を付けます。昨日会ったシモーヌに会いたいというフランクに、男は銃を抜き追加料金を払えと脅します。フランクは銃を奪い男を捕えると、部屋から叩き出します。

騒動に怯えたボーイは、リストを渡すと部屋から逃げ出します。フランクはそのリストを手に、息子に買い与えた車で老人ホームを回り始めます。

車を運転するフランクに、ジョーイから電話がかかって来ます。怖いといって父の助けを求めるジョーイ。彼はスマホに表示された先へと向かいます。

そこはホームレスがたむろする廃墟でした。フランクはその中でジョーイを見つけ出し、彼をホテルに連れ帰ります。

ホテルで浴槽にジョーイを入れたフランク。驚かせてすまないと謝る息子に、いいんだと言い聞かせ、自分を責める息子に、それは父親の振る舞いの報いだと語るフランク。

フランクはボスのマックスから45万ドルを渡され、彼の代わりに殺人犯として刑務所に入りました。6年で出て出所後は金持ちにしてやる、息子のことは任せろとの言葉を信じボスの罪を被り、母を亡くしたばかりの息子を残し、服役したとジョーイに打ち明けます。

次の朝、ベットに休むジョーイに朝食を用意させたフランク。まだ食欲の無い息子に代り、彼が食事を食べてみせ元気づけました。

2人は車で、妻であり母であるロレインの墓に参ります。そこには2つの墓標が並んでいました。1つは1997年に亡くなったロレインの墓、もう1つは2005年に亡くなった、息子のジョーイの墓でした。

妻と子に詫びるフランク。今までジョーイと過ごした時、彼はただ1人だったのです。それは不眠症が見せた幻覚か、それとも良心の呵責が見せた息子の姿だったのでしょうか。

会うのに時間がかかった、寂しかったと泣いて墓に訴えるフランク。その傍らでジョーイが、僕はここにいると慰めます。

墓地から去ろうとするフランクに、車の外に立つジョーイは復讐を諦め、今日を母がいつも語っていた、再出発の日にしてくれと頼みます。父が幸せになる事を望んでいるジョーイの幻を残し、車を走らせたフランク。

ホテルに戻ると、そこには息子の分に買った品々が、封も開けずに残されていました。札束をカバンに詰め込むと、フランクは刑務所に持って行った家族の写真を部屋に残し、ホテルから立ち去ります。

シモーヌ=ジェニファーが、ベビーカーに乗せた息子と共にマンションに戻ると、玄関に花束を抱えたフランクがいました。彼女を驚かせたとフランクは詫び、愚かな老人の行為として、手元に残った10万ドル程の金を、彼女に受け取って欲しいと頼みます。

困惑するジェニファーを説得するフランクに、彼女の姿は無き妻に重なって見えました。彼女の息子に名を訊ねると、少年はジョーイだと答えます。笑みを浮かべるとジェニファーに別れを告げ、立ち去るフランク。

ついにマックスが入所した、老人ホームにたどり付くフランク。介護士は過去8年間、見舞いに来る者もいないと話します。マックスは意識も無くベットに横たわっていました。

介護士から過去15年間、このような状態だと聞かされフランクは驚きます。ジョーイが死んだのはその後でした。介護士が消えると、フランクは犯行に使用された血にまみれたバットを取り出し、両手に握り構えます。

バットを振り降ろさなかったフランク。彼は今まで息子の件でマックスを恨んでいたと侘びると、バットをマックスの体の上に置き部屋を去ります。

フランクは介護士にマックスを見舞っていた、ただ1人の人物について訊ねます。その人物は皆からイニシャルで、Qと呼ばれていたと聞いたフランク。

老人ホームを出たフランクは、いきなり銃撃を受けます。ジミーが彼を待ち伏せ発砲したのです。フランクを始末する気で現れたジミーでしたが、フランクは隙をつき銃弾を浴びせ、ジミーに復讐の銃弾を放ちます。

この時腹に1弾を食らったフランクが、次に現れたのはQの娘の結婚式場の教会でした。娘の付き人が逃げ出すのに不審を感じたQが控室に入ると、そこには娘の前で銃を構える、フランクの姿がありました。

ボスのマックスが倒れた後、組織を仕切っていたQに、なぜ俺の息子を殺したと尋ねるフランク。お前がジョーイの面倒を見て、育てるはずだったと責めます。

Qは組織を守るため、ジョーイを殺さざるを得なかったと説明します。不眠症がもたらす発作に襲われたフランクは、思わずQの足を撃ってしまいます。

ジョーイは麻薬に溺れていた、と訴えるQ。母と死別し父が服役したジョーイは、自暴自棄となりクスリに手を出し、死んだも同然の状態になりました。挙句の果てに金とクスリを渡さないと、警察に密告すると言い出したジョーイ。

お前が俺の立場なら、同じことをしただろうと叫ぶQ。そんな生き方に嫌気がさし、足を洗い真面目に生きて来たと彼は告げました。フランクの脳裏にはQに命じられたジミーとタンクが、ジョーイを射殺する姿が浮かびます。

フランクはQに銃を向けます。娘を庇い、過去は変えられないがより良く生きたい、今日は再出発の日だと呟くQ。それを聞きフランクは銃を捨て、部屋から立ち去ります。

フランクは背後から撃たれます。撃ったのはQの娘でした。しかし振り返った彼は何も言わず、礼拝堂を歩みます。教会から出ると周囲は警官に包囲されていました。警官はフランクに手を挙げるよう指示します。

しかしフランクはズボンのポケットに手を入れ何かを取り出し、警官から発砲されます。倒れたフランクが手にしていたのは、ジョーイが大切にしていた野球カードでした。

フランクの目には、息子ジョーイの姿が映っていました。なぜ戻ってきた、と笑いながら言う瀕死のフランクに、もう少し父さんの側にいると答えたジョーイ。

息子と共に天を仰ぎ、息を引き取るフランク。その遺体を警官たちが取り囲みます…。

映画『ラスト・パニッシャー』の感想と評価


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“俺たちのニコラス・ケイジ”の大熱演を楽しもう!

叔父はフランシス・フォード・コッポラ。ハリウッドの名家コッポラ一族の一員にして、『リービング・ラスベガス』で、アカデミー主演男優賞を受賞しているニコラス・ケイジ。

若い頃から熱演を通り越した、”怪演”を見せた彼ですが、その後様々なゴシップや金銭問題など、本業以外の話題で世間の注目を集めることが多くなります。

お蔭で口の悪い映画通から、金銭トラブルで仕事が選べなくなったと言われる始末。しかしB級映画好き、そして彼の”怪演”を愛するファンは、強烈な個性を発揮できる映画に主演する姿に、熱い視線を送っています。

近年は『マッド・ダディ』や『マンディ 地獄のロード・ウォリアー』、”未体験ゾーンの映画たち2019″上映作『トゥ・ヘル』に主演し、危険な雰囲気のB級映画が大好き、という好事家を大満足させています。本作でもその魅力は爆発しています。

あらすじ紹介をお読みいただければお判りの通り、幻覚付きの死に至る病に侵され、1人芝居のシーンは多数、ベットシーンにシャワーシーン…女優でなくお前がかよ!、とツッコミを入れたくなりますが、彼にとっては通常運転、安心と安定のお仕事を見せてくれます。

“怪演”ですが映画は泣けるハードボイルド


(C)2019. 10643467 Canada Inc. All Rights Reserved.

何かと”怪演”に注目集まるニコラス・ケイジの主演作。ホラー・バイオレンス映画にその強烈な個性が発揮されますが、本作は少々テイストが異なります。

ボスの罪を被った彼は、服役中に味わった悲劇の復讐を試みます。しかし実は…という展開を、映画は骨太のサスペンス・ミステリーのスタイルで描いています。

本作の監督はショーン・クー。『ビューティフル・ボーイ』では、息子が加害者となった両親の姿を描きましたが、本作では息子を失った傷心の父の姿を、ケイジに演じさせます。

『ビューティフル・ボーイ』のプロデューサーから脚本を送られ、本作を監督することになったと語るショーン・クー。彼はその内容に興味をそそられ、映画の製作・主演にケイジが加わると脚本に変更を加えられ、そして映画の製作はスタートします。

決して予算は充分ではなく撮影スケジュールは短く、様々な制約の中で工夫を凝らす必要があったと話す監督。そして現場に準備万端で臨み、熱心に振る舞うケイジの姿はスタッフに良い影響を与えた、と語っています。

まとめ


(C)2019. 10643467 Canada Inc. All Rights Reserved.

ハードボイルドなクライム映画に、家族の悲劇を盛り込んだ硬派で泣ける映画『ラスト・パニッシャー』。その中でもニコラス・ケイジの個性は爆発しています。

彼の強烈な演技を引き出し、受ける役目を引き受けたのが、息子役のノア・ル・グロ。彼の存在とショーン・クーの演出が、低予算の映画の完成度を明らかに高めています。

この映画の仕掛けは、息子の年齢を考えると早い段階で気付く方もいるでしょうが、映画の価値はこの仕掛け以外の部分の、ドラマ部分にあることは明白です。

ケイジ主演のB級映画、というイメージが本国の映画評論家、一般の映画ファンからの評価を下げているようですが、彼の主演映画を愛する方は、この内容に満足できるはずです。

ニコラス・ケイジファンは躊躇せず見よう!彼を見ているだけで、ポップコーンLサイズに加え、どんぶり飯の3杯はいけます!見逃すとパニッシュされるぞ!!

次回の「未体験ゾーンの映画たち2020見破録」は…


(C)2019 SCHUETZLE COMPANY PRODUCTIONS LLC ALL RIGHTS RESERVED.

次回の第24回は第1次世界大戦で活躍した、米軍黒人部隊の秘話を描く戦争映画『グレート・ウォー』を紹介いたします。

お楽しみに。

【連載コラム】『未体験ゾーンの映画たち2020見破録』記事一覧はこちら





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