Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

Entry 2019/02/27
Update

映画『アンフレンデッド:ダークウェブ』感想と考察。幽霊よりも恐ろしい新たな犯罪の形|SF恐怖映画という名の観覧車38

  • Writer :
  • 糸魚川悟

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile038

皆さま、申し訳ありません。今回のコラムではホラー映画やホラー動画を集めた新配信サービス「OSOREZONE」についてご紹介する予定でした。

しかし、2019年3月1日(金)、映画界での革命児的な作品であるホラー映画『アンフレンデッド』(2014)の続編が公開されることを受け、急遽予定を変更させていただくことにしまいた。

映画『アンフレンデッド:ダークウェブ』は、2019年3月1日(金) 新宿シネマカリテ、なんばパークスシネマほか全国順次公開となっています。

今回は、「全てのシーンをパソコン画面上で描いた」ホラー映画の続編『アンフレンデッド:ダークウェブ』(2019)をご紹介致します。

【連載コラム】『SF恐怖映画という名の観覧車』記事一覧はこちら

映画『アンフレンデッド:ダークウェブ』の作品情報


(C)2018 Universal Studios. All Rights Reserved.

【原題】
Unfriended: Dark Web

【公開】
2019年(アメリカ映画)

【監督】
スティーヴン・サスコ

【キャスト】
コリン・ウッデル、ステファニー・ノゲーラス、ベティ・ガブリエル、レベッカ・リッテンハウス、アンドリュー・リース、コナー・デル・リオ

映画『アンフレンデッド:ダークウェブ』のあらすじ

新しいパソコン欲しさに落とし物のパソコンを盗んだマタイアス(コリン・ウッデル)は、そのパソコンの持ち主を名乗る男にFacebookを通じて脅迫されます。

仲間たちとビデオ通話で真相を探るうちに、持ち主を名乗る男が「ダークウェブ」に存在する犯罪集団の一員であることが分かり…。

「ダークウェブ」とは


(C)2018 Universal Studios. All Rights Reserved.

今作のサブタイトルにもなっている「ダークウェブ」。

これは、GoogleやYAHOO!と言った「検索エンジン」での検索にかからない領域である「深層ウェブ」の一角であり、ある特定の条件下においてしかアクセスできないサイトなどの事を指します。

このダークウェブは実在し、様々なコアな集まりなどに使用されるだけでなく、違法な品物や情報の交換などが日夜行われているとされています。

ダークウェブと『アンフレンデッド:ダークウェブ』


(C)2018 Universal Studios. All Rights Reserved.

「ダークウェブ」にはある恐ろしい都市伝説があります。

それは「赤い部屋(Red Room)」と呼ばれる領域で、ビットコインなどの「仮装通貨」を使って受注される「殺人や拷問のライブ中継」があると言う噂話です。

『アンフレンデッド:ダークウェブ』ではそんな殺人や拷問のライブ中継を行う危険な犯罪集団との恐ろしい接触が描かれており、ダークウェブの1つの顔を垣間見ることが出来ます。

「赤い部屋(Red Room)」の存在を指し示す証拠は現在、全て否定されていますが、相手はダークウェブ。

何がそこに潜んでいてもおかしくない領域であり、我々の知っている事実ですらあっさりとひっくり返ってしまう恐ろしい場所なのです。

全てのシーンをパソコン画面上で描いた映画


(C)2018 Universal Studios. All Rights Reserved.

大名作サスペンス『search/サーチ』(2018)。

映画の始まりからラストまで「全てのシーンをパソコン画面上で描いた」作品として大きな話題を呼び、その演出やサスペンスとしての物語の完成度が評価され、SNSやレビューサイトで高評価が相次ぎました。

しかし、実は「全てのシーンをパソコン画面上で描いた」作品は『search/サーチ』よりも前に、『アンフレンデッド:ダークウェブ』の前作に当たる『アンフレンデッド』が既に開拓したジャンルだったのです。

『アンフレンデッド』で製作を担当したティムール・ベクマンベトフが『search/サーチ』にも製作として関っているため単なる二番煎じではなく、ブラッシュアップした作品として『search/サーチ』も魅力的。

パソコンを触る時間が増えた現代だからこそ、様々な点で「あるある」と言いたくなるようなシーンの多さが両者にはあります。

『アンフレンデッド』と『アンフレンデッド:ダークウェブ』


(C)2014 Universal Studios. All Rights Reserved.

2014年に公開された前作の『アンフレンデッド』では、1年前に自殺した親友が突如仲間同士のビデオ通話に現れ、次々と仲間たちを死に追いやっていく物語が描かれていました。

ここで気になるのは前作と今作で全くと言っていいほど違う2つの要素です。

ジャンル性の違い

参考映像:『アンフレンデッド』予告編

前作が「自殺したはずの友人」が恐怖の対象となっているのに対し、本作は「正体不明の犯罪組織」が恐怖の対象となっています。

そのため前作では心霊ホラーとしての怖さがありますが、『アンフレンデッド:ダークウェブ』で描かれるのはまるで映画『ホステル』(2005)のようなサスペンススリラー。

恐怖の対象が「幽霊」か「人間」かで、これほどまでに「恐怖」の感じ方に種類があるのかと1つのシリーズを通して理解させられます。

「アンフレンデッド」の意味


(C)2018 Universal Studios. All Rights Reserved.

実は前作と本作ではタイトルである「アンフレンデッド」の意味すら違うようです。

前作では、主人公が自殺した親友のFacebookアカウントを友達解除(Unfriend)をする行動から、親友にリアルな意味での友達解除をされる「恐怖」の意味を指していると考えていましたが、本作では主人公のマタイアスは誰も友達解除をしていませんでした。

なので、今作では「Unfriended」の持つ本来の意味である「友のいない」や「寄る辺ない」と言った「孤立無援」のような意味合いが強く、このことからも2作の大きなジャンルの違いが分かります。

まとめ


(C)2018 Universal Studios. All Rights Reserved.

『アンフレンデッド:ダークウェブ』に興味はあるけど、前作を観てないし…という方もいるかもしれません。

しかし、今回のコラムでも説明した通り前作と本作では「全てのシーンをパソコン画面上で描いたホラー映画」と言う以外は、細かなジャンルが違うだけでなく、登場人物にも一切の繋がりがありません。

そのため前作知識は一切必要なし!

前作を観ていない方でも気楽に観に行ける、情報社会の闇を描いたホラー『アンフレンデッド:ダークウェブ』は2019年3月1日(金)より全国の劇場にてロードショーです。

次回の「SF恐怖映画という名の観覧車」は…

いかがでしたか。

次回のprofile039こそ、配信サービス『OSOREZONE』をご紹介。

月額500円(税別)で味わうことの出来る恐怖映画体験の世界から、オススメの作品をピックアップ致します。

3月6日(水)の掲載をお楽しみに!

【連載コラム】『SF恐怖映画という名の観覧車』記事一覧はこちら

関連記事

連載コラム

映画『ブラック・クローラー』ネタバレあらすじと感想評価。ラスト結末の人喰いワニのパニックムービーを語る|未体験ゾーンの映画たち2021見破録11

連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2021見破録」第11回 公開の危ぶまれる映画から、奇抜なものからお約束映画までそろえた「未体験ゾーンの映画たち2021見破録」。第11回で紹介するのは、お馴染みの& …

連載コラム

韓国映画『オオカミ狩り』あらすじ感想と評価解説。キャストのソ・イングク演じる凶悪犯と謎の怪物、刑事との生死をかけた戦いを描く|映画という星空を知るひとよ143

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第143回 韓国映画としては、ポン・ジュノ監督の『グエムルー漢江の怪物ー』(2006)以来となる、第47回トロント国際映画祭ミッドナイトマッドネス部門に正式出品 …

連載コラム

『おらおらでひとりいぐも』ネタバレ結末。映画と原作の違いであるオリジナル登場人物を考察!|永遠の未完成これ完成である20

連載コラム「永遠の未完成これ完成である」第20回 映画と原作の違いを徹底解説していく、連載コラム「永遠の未完成これ完成である」。 今回紹介するのは映画『おらおらでひとりいぐも』です。第158回芥川賞と …

連載コラム

映画『サタニックパニック』ネタバレ感想と結末解説のあらすじ。ホラーな残虐バトルコメディでピザのデリバリー娘VS上級国民悪魔崇拝者を描く|未体験ゾーンの映画たち2021見破録25

連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2021見破録」第25回 世界の国の映画、まだ見ぬホラー映画を紹介する「未体験ゾーンの映画たち2021見破録」。第25回で紹介するのは『サタニックパニック』。 日本人 …

連載コラム

細野辰興の連載小説 戯作評伝【スタニスラフスキー探偵団~日本俠客伝・外伝~】17(最終回)

細野辰興の連載小説 戯作評伝【スタニスラフスキー探偵団~日本俠客伝・外伝~】(2021年11月初旬掲載) 【細野辰興の連載小説】『スタニスラフスキー探偵団~日本俠客伝・外伝~』の一覧はこちら 最終章『 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学