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Entry 2019/12/16
Update

『記憶屋』原作ネタバレと結末までのあらすじ。映画で「遼一と杏子」の関係はどのように描かれるのか⁈|永遠の未完成これ完成である3

  • Writer :
  • もりのちこ

連載コラム「永遠の未完成これ完成である」第3回

映画と原作の違いを徹底解説していく、連載コラム「永遠の未完成これ完成である」。

今回紹介する作品は、2020年1月17日公開の『記憶屋 あなたを忘れない』です。

第22回日本ホラー小説大賞で読者賞を受賞した、織守きょうやの小説「記憶屋」を、『ツナグ』『僕だけがいない街』の平川雄一監督が、「Hey!Say!JUMP」の山田涼介と芳根京子の共演で映画化。

都市伝説と化した、人の記憶を消すことが出来るという「記憶屋」の存在。記憶を消すことは悪なのか正義なのか?記憶から消された者の苦しみとは?

映画公開に先駆け、原作のあらすじ、映画化で注目する点を紹介します。

【連載コラム】「永遠の未完成これ完成である」記事一覧はこちら

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映画『記憶屋 あなたを忘れない』の作品情報


(C)2020「記憶屋」製作委員会

【日本公開】
2020年(日本)

【原作】
織守きょうや「記憶屋」

【監督】
平川雄一朗

【キャスト】
山田涼介、芳根京子、佐々木蔵之介、蓮佛美沙子、泉里香、田中泯、杉本哲太、佐々木すみ江、櫻井淳子、戸田菜穂、ブラザートム、須藤理彩、濱田龍臣、佐生雪、稲垣来泉

小説『記憶屋』のあらすじとネタバレ


(C)2020「記憶屋」製作委員会

大学生の吉森遼一は、いつもの夢を見ていました。

男と子供が向かい合っています。白い煙。黒い革靴。灰色の布。遠くでクラクションが鳴っています。伸ばされる腕を見て、遼一は「逃げろ」と誰にでもなく強く思って目が覚めるのでした。

遼一を起こしに来たのは、3つ下の幼なじみ、河合真希でした。遼一は、この夢に現れる子どもは何となく真希なのではないかと思っています。

遼一が「記憶屋」という都市伝説を始めて聞いたのは、小学校にあがる前でした。夕暮れ時、公園の緑色のベンチに座って待っていると、記憶屋が現れる。そして、消してしまいたい、どうしても忘れられない記憶を、消してくれる。

遼一の祖母なども、誰かがうっかり物忘れをすると、「記憶屋が出たね」と言ったものでした。

信じていなかった遼一が、「記憶屋」に興味を持ったのは、この幼なじみ真希が関係していました。

幼い頃、聞いてはいけないことを耳にしていしまった真希は、ショックで泣いてしまったことがありました。

遼一の慰めも効かず、まぶたが真っ赤に腫れるほど泣いた次の日。大丈夫かと尋ねた遼一に真希は、「何のこと?」と、無邪気に答えたのでした。

そして、遼一が「記憶屋」の存在を確信したのは、3人目の記憶を消された存在に出会った時でした。

2人目の存在は、遼一が大学に入学してまもなく知り合った先輩の澤田杏子です。飲み会で知り合った杏子に好意を持った遼一は、たびたび彼女に声をかけるようになります。

ある日、杏子から夜道恐怖症だと打ち明けられた遼一は、なんとか彼女の力になりたいと考え、夜道を送り迎えすることに。

杏子の症状は予想以上に酷いものでした。過去に痴漢にあった体験がトラウマになり、夜道が歩けないのです。

飲み会の誘いも、遼一の誘いも断る杏子。杏子はひとり思い悩んでいました。杏子の口から「記憶屋」が飛び出したのもその頃です。

「ちゃんと、吉森と向き合いたい。甘えて、助けてもらうんじゃなくて、ひとりで出来るように」。電話口で杏子はとても辛そうでした。

その日から遼一は、杏子と連絡が取れなくなってしまいます。心配し彼女の姿を探すも、遼一は思いがけないところで杏子を見かけます。

それは杏子が、怖くて歩けるはずのない暗がりの道でした。驚き、声を掛ける遼一に杏子は、怪訝そうな顔で「誰ですか?」と返します。

暗い夜道をひとりで歩けるようになった杏子は、遼一のことを一切覚えていませんでした。何があった?遼一の頭には「記憶屋」の存在が浮かんでいました。

確信に変わった3人目は、惜しくも遼一自身のことでした。

遼一の電話に、見覚えのない番号から電話がかかってきます。相手は、以前一度、公演を聞いたことがある、高原法律事務所の高原智秋でした。

親し気に話す高原に、遼一は戸惑います。なぜなら、高原とちゃんと話をした記憶がなかったからです。

真希、杏子、自分、遼一の周りで起こる不思議な現象と「記憶屋」が関係あると確信し、遼一は情報収集を始めます。

高原は個人的に記憶屋に興味を持っているようでした。遼一は、高原の事務所を訪ね、記憶屋について話をすることにします。

以下、小説『記憶屋』ネタバレ・結末の記載がございます。小説『記憶屋』をまだお読みになっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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(C)2020「記憶屋」製作委員会

高原法律事務所には、弁護士の高原と、身の回りの世話をしている外村篤志、そして高原を慕って顔を出す高校生の安藤七海がいました。

高原は、記憶屋に消して欲しい記憶がありました。それは、自分の中の記憶ではなく、七海の記憶でした。

七海は過去に自殺未遂を起こして以来、高原に依存している所があります。

高原は自分の命がもう少ししか持たないことを知っていました。後に残される七海のことを思うと心配でなりません。

弁護士の仕事の傍ら「記憶屋」の情報を集めた高原は、とうとう「記憶屋」の正体を突き止めます。

「記憶屋」に、依頼をする高原。そのことを知るのは、外村だけでした。それから間もなく、高原は亡くなります。

その後、七海が事務所を訪ねてくることも、高原のことを口に出すこともありませんでした。

遼一は、インターネットの都市伝説サイトに集まったメンバーの協力で、記憶を消されたという女子高校生・佐々操に会いにいっていました。

操と一緒にいたのは、関谷要という幼なじみでした。どこか遼一と真希の関係に似た2人。要が操の変わりに答えてくれました。

要は、母親が出て行ってから、常に孤独で笑わない子供でした。人懐っこくよく笑う元気な操が、隣に引っ越してきて遊ぶようになると、要も次第に心を許すようになっていきます。

4年ほど離れた2人でしたが、中学生になって再会した後も、以前の幼なじみの関係に戻ったように見えました。

本当の所は、操が要を好きと思う気持ちに反して、要は恋愛に臆病な分、操の気持ちに応えることが出来ませんでした。

ある時、勢いで操が要に告白します。それから何日か後、操は要のことを一切忘れていました。

遼一が会った2人は、ただのお隣さんから再び始まった友達の関係だったのです。要の望んだ友達関係に戻ったにも関わらず、要は懺悔の気持ちで辛そうでした。

その後も、遼一の周りで、「記憶屋」のことを調べていた者たちの記憶が消されていきます。「記憶屋」は自分が近づいていることに気付いている。

遼一は、噂のひとつにある、公園の緑のベンチで「記憶屋」を待つことにします。

現れたのは、幼なじみの真希でした。ごまかそうとする真希に遼一は、夢の話をします。

幼い頃、真希と一緒に偶然聞いてしまった、真希の母親と伯父の秘密の関係。「真希には黙っていて」。母の言葉に涙が止まらなかった真希。

次の日すべてを忘れていた真希に、いったい何が起こっていたのか?

真希は話し出します。「私の記憶を消したのは、おじいちゃんよ」。しかし、真希の祖父はすでに亡くなっています。

「ごめんね。りょうちゃん」。そう、真希も「記憶屋」だったのです。

「私は特別な力があるなら、それには特別な意味があるって思ってた。記憶が大切だってこともわかるし、簡単に消していいものじゃないってこともわかってる」。

困っている人を助けたい、記憶を消した方が幸せになれるかもしれない。そう言う真希は、どこか辛そうに泣き出します。

「そんな顔してまで、続けなきゃなんねえのかよ」。責めるつもりも追い詰めるつもりもないことをわからせようと、遼一は真希を抱きしめます。

「一度だけでいいから、あたしのこと、好きになって」。真希の言葉とともに、視界は白い霧に覆い尽くされ、光が広がっていきました。

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映画『記憶屋 あなたを忘れない』ここに注目!


(C)2020「記憶屋」製作委員会

忘れたい記憶を消してくれるという都市伝説の怪人「記憶屋」。主人公の遼一の周りで起こる不思議な事件。「記憶屋」の正体とは。

ホラー小説のジャンルでありながら、感動で心が震えたと口コミが殺到したという、織守きょうやの小説『記憶屋』が映画化となりました。

2020年1月17日の公開に先駆け、原作と比較し、注目したい点を紹介します。

遼一と杏子の関係

原作では、主人公の遼一(山田涼介)は誰とも付き合っておらず、大学の先輩の杏子(蓮佛美沙子)に遼一が思いを寄せている設定です。

映画では、2人は恋人同士で、遼一がプロポーズをした翌日に、彼女の記憶から遼一の存在だけ消えてしまうというあらすじです。

遼一と杏子の関係性が原作よりも深い映画版。狙いは一体どこにあるのか?恋人の記憶から自分だけ消えるなんて、想像しただけで悲しくなります。

高原の事情

「記憶屋」を探すもう一人の人物、弁護士の高原(佐々木蔵之介)。原作では、家族はなく、自分の死が近いことを知り、なるべく特定の親しい人を作らないように過ごしていました。

自分を慕っている高校生の七海を心配し、「記憶屋」を探しだします。

映画では、高原には家族がいる設定で、幼い娘のためにしてあげられる唯一のことを考えているようです。

こちらも原作と映画では、人間関係に大きな差があります。

杏子が記憶を失くした原因

原作では、極度の夜道恐怖症を患い、自分を変えたいと思っていた杏子。遼一と出会ったことで、その思いを強くしていきます。

映画では、遼一と杏子の関係性が恋人となることから、杏子が記憶を失くした原因も異なってくるのではと想像します。

杏子は、自ら記憶を消したのか?それとも、誰かの願いで消されたのか?注目です。

記憶屋の正体


(C)2020「記憶屋」製作委員会

「記憶屋」の正体は、ずばり、真希(芳根京子)なのですが、真希の祖父もそうであったことから、祖父と孫にその力が備わったと考えられます。

幼い真希の、母親の浮気を知った悲しみの記憶を消したのは、祖父でした。祖父は、理由はともあれ人の記憶を消すことは良くない事だと思っていました。

では、真希はどのような理由で「記憶屋」をすることになったのか。また、祖父がそこまでして消した真希の記憶とは。映画化で孫と祖父の関係性が、より鮮明になることを期待します。

まとめ


(C)2020「記憶屋」製作委員会

愛する人のために、あなたは何ができますか?消えた記憶に秘められた想いが感動を呼ぶ小説『記憶屋』を紹介しました。

原作ではなかった、恋人、父と娘という関係性が加わることで、記憶をめぐる様々な愛の形が、映画化で新たな感動を生むことでしょう。

また、映画は舞台が広島県ということで、広島の美しい景色や、登場人物の広島弁にも注目したいです。

映画『記憶屋 あなたを忘れない』は、2020年1月17日、公開予定です。

次回の「永遠の未完成これ完成である」は…


(C)2019「屍人荘の殺人」製作委員会

次回、取り上げる作品は、映画『屍人荘の殺人』です。原作との違いを紹介します。

デビュー作でありながら、国内主要ミステリー賞4冠に輝いた、今村昌弘による作品『屍人荘の殺人』が、いよいよ2019年12月13日公開となりました。

大学のミステリー愛好会に所属する明智恭介と葉村譲、私立探偵の顔を持つ剣崎比留子は、音楽フェス研究会の夏の合宿で、思いもよらない事件に巻き込まれることに。

果たして3人は、事件を解決し、無事に帰ることができるのか?次回もお楽しみに。

【連載コラム】「永遠の未完成これ完成である」記事一覧はこちら

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