連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第288回
『風に立つライオン』(2015)、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(2017)、『こんな夜更けにバナナかよ』(2018)などに出演した萩原聖人が、主演を務める映画『月の犬』。
ひとりの女が見初めなければ出会うことがなかった2人の男の、生きることへの絶望を描いたノワールドラマです。
最愛の妻を亡くし、救いようのない喪失感を抱えた東島。彼を見染めた沙織は店に彼を雇いますが、仕事の一環として、ある少年の身の回りの世話をさせます。その少年とのふれあいが、東島の‟生きること”への絶望感をさらに深めていきます。
映画『月の犬』は、2026年4月24日(金)よりシネマート新宿ほかにて全国順次公開されます。
映画『月の犬』の作品情報

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【日本公開】
2026年(日本映画)
【監督・脚本・編集】
横井健司
【エグゼクティブプロデューサー】
藤澤謙
【音楽】
遠藤浩二
【キャスト】
萩原聖人、渋谷そらじ、石田佳央、沖山翔也、大鷹明良、岡野一平、沖原一生、やべきょうすけ、中村映里子、大後寿々花、原日出子、寺島進、深水元基、黒谷友香
【作品概要】
生きることへの絶望を描いたジャパニーズ・ノワール『月の犬』。監督は『観察 永遠に君を見つめて』で第1回田辺・弁慶映画祭映検審査員賞を受賞した横井健司です。
主役の東島を萩原聖人、ヒロインの沙織を黒谷友香、沙織と仕事上の繋がりを持つ南を深水元基が演じます。渋谷そらじ、やべきょうすけ、中村映里子、大後寿々花、原日出子、寺島進らも共演。
映画『月の犬』のあらすじ

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最愛の伴侶を病で亡くした東島(萩原聖人)は、生きる気力を失い、極道の世界から離れ、知らない街に流れ着きました。
何気なく入ったバーで多額の請求をされても何も言わずに金を支払う東島に興味を持った沙織(黒谷友香)は、東島に仕事を任せるようになります。
一方、組織の一員である南(深水元基)は、繰り返される日常が耐えられずにいました。
東島について沙織から報告を受けた南は、東島が景色を変えてくれることを期待し、東島に一人の少年・将吾(渋谷そらじ)の面倒を任せます。
沙織の元、黙々と仕事をこなしてきた東島ですが、将吾の秘密を知ったことをきっかけに、指示に背き、将吾を外に連れ出します。
夜の月を見て、「月に犬がいる」と言う将吾。
彼との出会いで、生きることに絶望した大人たちそれぞれの日常が連鎖的に変わっていきます。
映画『月の犬』の感想と評価

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最愛の妻を亡くし、生きる希望も見いだせなくなったヤクザな男・東島は、見知らぬ街で知りあった女性・沙織と世話をまかされた少年と出会います。
東島が少年を夜の散歩に連れ出すと、彼は月を見上げて「月に犬がいる」と無邪気に言います。また、少年が時々口ずさむ歌は、東山にとっては亡き妻との懐かしい思い出の歌でした。
何も見いだせない空虚な毎日の中で、東島は少年との触れ合いを通じて、ささやかな安らぎを見出すのですが・・・。実は、この少年の存在が、登場人物たちのその後の人生を大きく左右することになるのです。
絶望を抱えたまま、惰性で生きているような彼らから、どこかで再生の兆しが感じられることを期待して、ラストまで目が離せません。
横井健司監督がコメントでも語っているように、主人公の東島の心の動きを追っていくことで、ストーリーが動き出すと言える本作。
やり直せない人生だが、それでも生きなければならない。そんなじれったい思いを抱えて生きる彼らから、観客は何かを学び取れることでしょう。
見どころは、‟空虚な時の流れの中でも呼吸をしなければならない”という息苦しさを感じながら人生を歩む東島を演じる萩原聖人の圧巻の演技。
目の動きや細かい表情までも、機微な心の動きを表していますので、お見逃しのないように。
【横井健司監督のコメントより】
初期の頃のVシネマにあった潤沢な予算がないながらもスタッフ、キャストの熱意でそれを超えるものを生み出していたあの頃のような作品を作りたいとエグゼグティブプロデューサーの藤澤謙からの申し出を受け、ゼロベースからスタート。本来の台本作りとは異なり、物語を語るのではなく東島龍という人物の心のありようが物語を紡いでいく形をとりました。彼の辿る軌跡を追っていく事で必然的に物語が生まれてくるようにしました。
まとめ

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「生きることに絶望した大人たちの挽歌」という言葉がぴったりの、ジャバニーズ・ノワール『月の犬』をご紹介しました。
ひょんなことで知り合った、主人公の東島、東島を雇う沙織、惰性で裏仕事をしている南という3人の男女のそれぞれの生き方が、描かれています。
人生の裏街道を歩む彼らの細やかな心の動きが見事に活写。必死に生きる彼らの生きざまを映画館で見届けてください。
映画『月の犬』は、2026年4月24日(金)よりシネマート新宿ほかにて全国順次公開されます。
星野しげみプロフィール
滋賀県出身の元陸上自衛官。現役時代にはイベントPRなど広報の仕事に携わる。退職後、専業主婦を経て以前から好きだった「書くこと」を追求。2020年よりCinemarcheでの記事執筆・編集業を開始し現在に至る。
時間を見つけて勤しむ読書は年間100冊前後。好きな小説が映画化されるとすぐに観に行き、映像となった活字の世界を楽しむ。

































