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Entry 2017/09/29
Update

映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』あらすじネタバレと感想!ラスト結末も

  • Writer :
  • 村松健太郎

東野圭吾の同名ベストセラー小説を、Hey! Say! JUMPの山田涼介とベテラン俳優西田敏行のW主演で実写映画化。

過去と現在が繋がる不思議な雑貨店を舞台に、現実に背を向けて生きてきた青年と悩み相談を請け負う雑貨店主の時空を超えた“奇蹟の一夜”の交流を描きます。

1.映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』の作品情報


(C)2017「ナミヤ雑貨店の奇蹟」製作委員会

【公開】
2017年(日本映画)

【監督】
廣木隆一

【キャスト】
山田涼介、村上虹郎、寛一郎、成海璃子、門脇麦、林遣都、鈴木梨央、山下リオ、手塚とおる、PANTA、萩原聖人、小林薫、吉行和子、尾野真千子、西田敏行

【作品概要】
映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』の原作は、『秘密』『容疑者Xの献身』『ラプラスの魔女』で知られる東野圭吾。演出は『オオカミ少女と黒王子』『PとJK』『余命一ヶ月の花嫁』など話題作の多い廣木隆一。

脚本は『風に立つライオン』『キセキ -あの日のソビト-』の斎藤ひろし。主題歌は山下達郎「REBORN」。

2.映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』キャスト一覧

山田涼介(敦也)
児童養護施設“丸光園”で過ごした青年、窃盗団のリーダ格
主な出演作:『グラスホッパー』『暗殺教室』『鋼の錬金術師』。

村上虹郎(小林翔太)
“丸光園”で育った。逃亡先としてナミヤ雑貨店に目をつける
主な出演作:『ディストラクション・ベイビーズ』『武曲MUKOKU』。

寛一郎(幸平)
“丸光園”で育った。3人組の中で最も穏やかな性格の持ち主
今年俳優デビューの注目株。主な出演作『こころが叫びたかっているんだ』。

成海璃子(皆月暁子)
浪矢と駆け落ちを未遂も。夭折するが“丸光園”創設を遺言に残す
主な出演作『武士道シックスティーン』『無伴奏』『古都』。

林遣都(松岡克郎)
魚屋の跡取りだが、大学を辞め音楽の道を歩む
主な出演作『バッテリー』『HIGH&LOW』シリーズ『グッドモーニングショー』。

小林薫(松岡健夫)
克郎の父親、克郎に魚屋を継いでもらおうとは思っていない
主な出演作『舟を編む』『深夜食堂』シリーズ『海賊と呼ばれた男』。

門脇麦(セリ)
克郎と出会って音楽の道へ。「REBORN」は克郎の曲にセリが詞を付けた
主な出演作『愛の渦』『二重生活』『彼らが本気で編むときは』『こどもつかい』。

山下リオ(映子)
“丸光園”で育つ。未婚の母と幼い時に死別。自身の在り方に疑問を持つ
主な出演作『武士道シックスティーン』『シャニダールの花』。

PANTA(皆月良和)
“丸光園”の園長。暁子の遺志を継いで“丸光園”を切り盛りする
ロックバンド頭脳警察のボーカリスト。主な出演作『カムイ外伝』『沈黙‐サイレンス‐』。

萩原聖人(浪矢貴之)
雄治の息子。余命幾ばくもない雄治の気持ちを最優先にする
主な出演作『CURE』『マークスの山』『プラチナデータ』『風に立つライオン』。

吉行和子(田村秀代)
晴美の大叔母で晴美を引き取る。経済的に苦しい一面も
主な出演作『東京家族』『夏美のホタル』『家族はつらいよ』シリーズ『亜人』。

尾野真千子(田村晴美)
秀代の元で育つ。ある導きで経済的に成功“丸光園”にも出資
主な出演作『そして父になる』『エヴェレスト』『ミュージアム』『いつまた君と』。

西田敏行(浪矢雄治)
町で雑貨店を営む、店に持ち込まれる様々な“悩み”に応えていく
主な出演作『学校』シリーズ『釣りバカ日誌』シリーズ『アウトレイジ』シリーズ。

3.映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』のあらすじとネタバレ


(C)2017「ナミヤ雑貨店の奇蹟」製作委員会
1980年
どこにでもありそうな雑貨店ナミヤ雑貨店。

ただ一文字帰るとナミヤが“悩み”になることから大小様々な悩み事が持ち込まれるように。気のいい雑貨店店長浪矢雄治は律義にそれに応えていました。

2012年
真夜中、人目を避けるようにひた走る敦也たち三人組。女性実業家に盗みに入った直後。車がエンストしてしまった三人組は空き家になっていたナミヤ雑貨店に忍び込み、一夜をやり過ごすことに。

すると、とっくに閉店したはずのナミヤ雑貨店のシャッターに一通の手紙が投函されます。

魚屋ミュージシャンと名乗る人物の手紙の日付は1980年。ナミヤ雑貨店のかつての店主が悩み相談を受けていたことを三人は知りますが、今は30年以上後の2012年。

誰かのいたずらかとだろうと思ったものの、ここに潜んでいることがバレてはまずいので、店を飛び出す三人。

しかし、どこをどう走っても行きつく先はナミヤ雑貨店の前でした。

1980年
魚屋ミュージシャンこと、松岡克郎はプロのミュージシャンを目指して大学を中退。実家とは疎遠になっていました。そこへ祖父の訃報が届き、久しぶりに地元に。

魚屋をコツコツと営んできた父親健夫には苦手意識がある克郎。ただ、周りの保守的な面々から克郎をかばったのは健夫でした。

健夫は過労で倒れてしまいますが、それでも克郎の背中を押します。

思い悩んだナミヤ雑貨店のシャッターに手紙を投げ入れます。

すでに、浪矢は身体を壊して息子の家に移り店も閉まっていることは知っていましたが、克郎は何かにすがるような気持ちでした。

2012年
克郎からの手紙を受け取った敦也たち三人組は最初はまともに取り合いませんが、シャッター越しに聞こえてくる克郎のハーモニカの調べを聞いて驚きます。

その曲は2012年にカリスマ的人気を誇る“セリ”の代表曲『REBORN』でした。

セリも三人と同じ児童養護施設丸光園出身。何か不思議な縁を感じてしまう三人でした。

以下、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』ネタバレ・結末の記載がございます。『ナミヤ雑貨店の奇蹟』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
1980年
克郎はその後もコツコツとミュージシャン活動をしています。

この年のクリスマス、克郎はとある養護施設に慰問に向かいます。その場所こそ丸光園でした。

そこで克郎はまだ歌詞のついていない『REBORN』を奏でます。

幼いころのセリはその場にいてその曲を聴いていました。その夜丸光園の建物から出火、セリの弟が取り残されてしまいます。

そしてそれを知った克郎は一人へ炎の中へ。セリの弟は助かりましたが、克郎は戻ってきませんでした。

セリは克郎への感謝の念を込めて『REBORN』を歌い続けていくのでした。

1980年
浪矢は急に倒れます。末期のがんで余命3ヶ月でした。自分の命の最期を察した浪矢は息子の貴之に頼み込んで店に戻ります。

やがて浪矢の前に若かりし頃、駆け落ちをしようとした暁子が当時の姿のままで現れます。

どうやら暁子の姿は浪矢にしか見えていないようです。

その二人の目の前のシャッターに次々と手紙投函されていきます。

それは浪矢がここ数日夢に見ていた不思議な風景でした。

手紙の内容ははるか未来からきたナミヤ雑貨店への感謝の気持ちが記されていました。

一方、店の外で見守っていた貴之は浪矢の遺言状に目を通します。

そこには何らかの方法で自分の33回忌に合わせて一夜だけナミヤ雑貨店の悩み相談を復活させて、浪矢の悩み相談の答えは果たしてその人のためになっていたのかを知らせてほしいと伝え広めるようにとありました。

2012年
また、手紙が届きます。迷える子犬と名乗る女性晴美は自分を引き取ってくれた大叔父・大叔母夫婦が経済的に苦しいことを知り、金持ちの愛人になろうかと思っていました。

晴美の考え方から、必要以上に厳しく当たる敦也。それは三人もまた不幸な生い立ちを持っていたからでした。

そのこともあって敦也の態度がきっかけで三人はもめてしまいます。半ば自棄になった敦也は、晴美へ返事を書きます。

そこには、その後の30年間の日本経済が事細かに記されていました。

その手紙に従う晴美。確実に事業家として成功をおさめます。そんな晴美もとに丸光園が火事で焼失したニュースが飛び込みます。

あの克郎が命を懸けてセリの弟を守った火事です。晴美は丸光園再建に出資することを申し出ます。

晴美もまた丸光園出身だったのです。

2012年
敦也たちが窃盗を働く少し前のこと。

敦也たちが丸光園に行くと丸光園が経営難のために売り渡されるのではないかという話を聞きつけます。

その話を聞いた三人は居ても立っても居られず、実質的な経営者の女性社長の家を襲います。

その女性社長こそ晴美でした。

夜明け。運命を感じた三人は晴美の元へと戻ることにします。

1980年と2012年を結んだその日は、浪矢の33回忌命日に当たる日だったのでした。

4.映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』の感想と評価


(C)2017「ナミヤ雑貨店の奇蹟」製作委員会

極論ですが、東野圭吾の紡ぐ物語はメロドラマだと思っています。

もちろん江戸川乱歩賞でデビューしガリレオシリーズや加賀恭一郎シリーズ、映画化もされた『天空の蜂』といったミステリーで“このミステリーがすごい”の常連となっていますし、直木賞を筆頭に多くの受賞歴を誇っています。

ただ、その本質はやはり(決して悪いイメージではなく)メロドラマであっていると思います。

本作はそんな部分が強く出た作品と言っていいでしょう。

まとめ

映画は正直、ちょっとエピソードの取捨選択がうまくいっていない部分があって、説明不足だったり説明過多だったりしてアンバランスな部分があります。

なので、登場人物の関係性が最後に一気に集約されていくカタルシスに物足りない部分もあります。

“バラバラの群像劇のようで実は濃い関係性があった”ということが物語の肝なのですが、その部分が薄まってしまったのはもったいなかったです。

山田涼介、西田敏行という主演二人組と山下達郎の書下ろし曲『REBORN』の魅力が強い権力を持っているので、作品自体はしっかりとしたつくりになっています。

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