連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第190回
アメリカ兵士とアフガニスタン人の通訳の固い絆を描き出し、アフガニスタン問題の裏側に迫る衝撃の感動作『コヴェナント/約束の救出』が2024年2月23日(金・祝)よりTOHOシネマズ 日比谷ほかで全国ロードショーされます。
本作は手がけたのは、「シャーロック・ホームズ」シリーズや『オペレーション・フォーチュン』(2023)のガイ・リッチー監督です。
ガイ・リッチー監督は現在も続くアフガニスタン問題と、アメリカ軍に協力したアフガニスタン人通訳についてのドキュメンタリーを身て、全世界に伝えなければならないテーマがあると深く心を動かされたと言います。
そんなエピソードを基に製作された、緊迫感に満ちたヒューマンドラマ『コヴェナント/約束の救出』をご紹介します。
映画『コヴェナント/約束の救出』の作品情報
【日本公開】
2024年(アメリカ映画)
【原題】
GUY RITCHIE’S THE COVENANT
【監督・脚本・製作】
ガイ・リッチー
【キャスト】
ジェイク・ギレンホール、ダール・サリム、アントニー・スター、アレクサンダー・ルドウィグ、ボビー・スコフィールド、エミリー・ビーチャム、ジョニー・リー・ミラー
【作品概要】
「シャーロック・ホームズ」シリーズや『オペレーション・フォーチュン』(2023)などを世に送り出したガイ・リッチー監督の初の社会派ヒューマンサスペンス。
主人公キンリーを『アンビュランス』(2022)のジェイク・ギレンホール、通訳アーメッドを『エクソダス 神と王』(2014)のダール・サリムが演じています。
映画『コヴェナント/約束の救出』のあらすじ
2018年、アフガニスタン。タリバンの武器や爆弾の隠し場所を探す部隊を率いるアメリカ軍曹長ジョン・キンリーは、優秀なアフガン人通訳アーメッドを雇います。
キンリーの部隊はタリバンの爆発物製造工場を突き止めますが、大量の兵を送り込まれ、キンリーとアーメッド以外は全員死亡してしまいました。
キンリーも瀕死の重傷を負ったもののアーメッドに救出され、アメリカで待つ家族のもとへ無事帰還を果たしました。
しかしアーメッドはアフガニスタン人であるのにアメリカに加担した裏切り者として、タリバンに狙われます。そのことをアメリカに帰国したキンリーは知り、彼を救うため再びアフガニスタンへ向かいます。
映画『コヴェナント/約束の救出』の感想と評価
『コヴェナント/約束の救出』で描かれたのは、アメリカ兵士と通訳として雇われたアフガニスタン人との固くて強い絆です。
本作には、2つの大きな戦いがあります。
まずは、タリバンとの死闘。アフガニスタンでタリバンと闘うアメリカ軍の兵士キンリーと、彼に雇われたアフガニスタン人通訳のアーメッド。キンリーの所属部隊がタリバンに襲われてほぼ全滅状態の中、キンリーとアーメッドだけが生き残りました。
100㎞離れたアメリカ軍基地を目指して逃亡する途中、タリバンの襲撃によってキンリーは重症を負います。そんな彼を自分の命も顧みずにアメリカ軍基地まで送り届けたのは、アーメッドでした。
人目を避けた険しい山道を、応急処置をした身動きできないキンリーを乗せた荷車をアーメッドが自らひきます。
アーメッド自身も疲れ果てているはずなのに、決してキンリーを見捨てようとはしません。そこにあるのは、緊迫した状況下に置かれた者だけが理解できる固い絆なのでしょう。
そして後半では、キンリーによるアーメッド救出のための危険な戦いが始まります。
無事に帰国したキンリーは、アフガニスタンに残ったアーメッドがタリバンからしつこく付け狙われていることを知って、行動を起こしました。タリバンとの死闘はまだまだ続きます。
作品全体を通じて、追われる立場の主人公たちの緊張感が伝わり、緊迫した状況の中でも相手を思う絆の強さに胸を揺さぶられます。
一挙一動にぴったりとマッチした音楽を背景に、彼らの命をかけたタリバンとの激闘から勇気と感動をもらうことは間違いありません。
まとめ
タリバンとの戦いを扱った作品は『アウトポスト』(2021)や『ホースソルジャー』(2018)など多数あります。
その中で『コヴェナント/約束の救出』はアフガニスタンで出会ったアメリカ兵士とアフガニスタン人の通訳の物語で、損得なしの真の絆が描かれています。
同じように窮地をくぐりぬけてきたのに、アメリカ兵士とアフガニスタン人の通訳とでは、こんなにも運命が変わってくるのに驚くことでしょう。
また本作は実話を基にしています。タリバンが実権をにぎったあとの現地に残った通訳たちの惨状も知っておかねばならない事実なのです。
映画『コヴェナント/約束の救出』は2024年2月23日(金・祝)よりTOHOシネマズ 日比谷ほかにて全国ロードショー!
星野しげみプロフィール
滋賀県出身の元陸上自衛官。現役時代にはイベントPRなど広報の仕事に携わる。退職後、専業主婦を経て以前から好きだった「書くこと」を追求。2020年よりCinemarcheでの記事執筆・編集業を開始し現在に至る。
時間を見つけて勤しむ読書は年間100冊前後。好きな小説が映画化されるとすぐに観に行き、映像となった活字の世界を楽しむ。