Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

アクション映画

Entry 2018/05/23
Update

映画『ホースソルジャー』あらすじネタバレ感想とラスト結末の評価。西部劇や戦争娯楽作品として楽しみとは⁈

  • Writer :
  • シネマルコヴィッチ

アメリカ同時多発テロから17年。本国のみならず全世界を震撼させたニュース映像で見た誰もが、生涯あの映像を忘れることはできないのではないでしょうか。

映画『ホース・ソルジャー』には、あのニュース映像が使用され、9.11直後の最初の戦いの任務作戦があったことを映画化。

ミッチ・ネルソン大尉は対テロ戦争の最前線に部隊のリーダーに志願し、僅か12人の特殊作戦の隊長に任命されます。

この作品は実話ではあるものの、戦争映画やアクション映画として楽しめる娯楽作です!

映画『ホース・ソルジャー』の作品情報


(C)2018 BY HS FILM, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

【公開】
2018年(アメリカ映画)

【原題】
12 Strong

【監督】
ニコライ・フルシー

【キャスト】
クリス・ヘムズワース、マイケル・シャノン、マイケル・ペーニャ、ナビド・ネガーバン、トレバンテ・ローズ、ジェフ・スタルツ、サッド・ラッキンビル、ロブ・リグル、ウィリアム・フィクトナー、エルザ・パタキー

【作品概要】
『マイティ・ソー』や「アベンジャーズ」シリーズのクリス・ヘムズワース主演で、9.11直後に実行されたテロとの戦い挑んだアメリカ陸軍特殊部隊の隊長と隊員合わせて12人の少数部隊の活躍を描く実録戦争映画。

スタッフ陣は「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズや『ブラックホーク・ダウン』の制作担当のジェリー・ブラッカイマー、演出担当はデンマークの映像作家で、報道写真家としても知られるニコライ・フルシー監督。

共演にマイケル・シャノン、マイケル・ペーニャのほか、ヘムズワースと実際に夫婦でもあるエルザ・パタキーが、ヘムズワース扮するミッチ・ネルソンの妻役で出演し、夫婦共演を果たしている。

映画『ホース・ソルジャー』のあらすじとネタバレ


(C)2018 BY HS FILM, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

ミッチ・ネルソンは、愛する妻と娘のために願いを出した陸軍の転属が認められ、自宅で家族と転居の準備をしていました。

しかし、テレビのニュースに流れたのは、2001年9月11日、アメリカ同時多発テロ勃発。

それを見たネルソンはアメリカにとっても新たな戦いの始まり、自分が率いた部隊への復帰を情感に申し出ます。

10月16日、ネルソン大尉が率いる陸軍特殊部隊が、ウズベキスタンに到着。

2年間にわたり訓練を共にしたネルソンと12名の隊員は、テロの首謀者ビンラディンとそのタリバンへの最初の反撃に志願します。

ネルソンは頼りにしているスペンサー准尉を連れて、マルホランド大佐の面談を受けます。

上官の大佐から語られた国からの指令は、反タリバンであるドスタム将軍が、テロ集団の拠点であるアフガニスタン北部の都市マザリシャリフ(通称マザール)を制圧するのを、空爆を駆使して支援することでした。

大佐から任務遂行の期間を6週間という期限を切ったことに、ネルソンは3週間で実行できると切り返します。

それは11月半ばになれば、雪のため山道が封鎖されることを知っての返答でした。

ネルソンには実践経験がないことを危ぶまれますが、前例のない戦場では誰もがゼロからのスタートと胸を張り、彼のチームもまた、実行部隊の一番手に選ばれます。

12人それぞれが戦闘への出陣準備するなか、戦闘経験の豊富なスペンサーは死を覚悟し、メモ帳に遺書を垣間記しますが、ネルソンはそれを嫌い「妻と約束したから必ず帰る」と言い切ります。

ドスタム将軍200人に対して、タリバン5万人の敵が待つアフガニスタンへと、輸送ヘリでネルソンを含む12人は飛び、現地に乗り込みます。

以下、『ホース・ソルジャー』ネタバレ・結末の記載がございます。『ホース・ソルジャー』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
現地に先行侵入していた案内役のCIA工作員から、北部同盟はドスタム、アタ、モハケタの3つの軍閥に分かれていて、互いに敵対して殺し合っていることを聞いて驚きます。

翌日現れたドスタム将軍は、ひと目でネルソンの目は、“人を殺した経験がない”ことを見抜きますが、ネルソンも気持ちでは負けじと張り合います。

それでも米軍の戦力が必要なドスタム将軍は、渋々ネルソンを受け入れますと、ここからは馬を駆使して戦う戦法を強要します。

牧場育ちのネルソンは馬を難なく乗りこなしますが、それ以外の隊員の中では、ある者は夏休みの乗馬体験くらいでほぼゼロでした。

ネルソンは度胸が人一倍あるディラーを先陣に騎馬隊を組み、ドスタム将軍に従い険しい山に挑み進みます。

その道行きでドスタム将軍は、タリバンが米軍の彼らの命に10万ドルの懸賞金をかけていることを告げました。

ドスタム将軍は繰り返される激しい銃撃戦にも、真っ先にネルソンが最前線へと飛びこむ勇気と優れた統率力に認め、一目置き始めます。

10日間が過ぎた頃には、ドスタム将軍の家族がタリバンによって殺された村を奪還した時には、2人の心は通い始めていました。

しかし、思うように作戦状況が知らされないなか、しびれを切らせた作戦本部のマルホランド大佐が、同じく北部同盟でドスタム将軍のライバルであるアタ部族の隊に、米陸軍の他チームの派遣をさせます。

それを知ったドスタム将軍は、マザールを目前にして、アタの隊とは共に戦えないと戦線離脱を退って行きます。

ネルソンは「たとえ命を失っても、今やめれば、またテロが繰り返される」と、自分たちだけでも戦うことを決意します。

20日目、マザール直前のターンギー峠の決戦が始まり、ネルソンは自らの部隊と共に死を覚悟して騎馬隊となって戦闘に臨みます。

しかし、戦況は芳しくなく、敵対するタリバンの部隊には最新鋭ミサイルや戦車を備え、アルカイダの外人部隊も入り混じり、激しい戦闘をタリバンと繰り広げます。

鋭く閃光を放つタリバンの最新鋭ミサイルにネルソンたちの部隊は馬を走らせ突撃して行き、まるで無尽蔵に現れる敵に銃弾を打ち込んでいきます。

しかし、相手のタリバンの抵抗も激しく力尽きそうになるネルソンたち。しかも、別部隊にいたスペンサーはタリバンの爆撃に巻き込まれ、大きな負傷を負ってしまいました。

その時、あの頼りになるドスタム将軍率いる部隊が現れ、ネルソンの部隊と共に応戦の反撃を開始。

その甲斐あって形勢逆転すると、ネルソンの騎馬隊に追い詰められたタリバン幹部は、戦況の悪化にその場を放棄し逃げ出しますが、ドスタム将軍が彼を追い詰め射殺。ついにネルソンとドスタム将軍たちは戦いに勝利します。

米軍の救護ヘリで輸送されるスペンサー。しかし、ネルソンはドスタム将軍が北部同盟のライバルであるアタの部隊に接近したことを知り、争いの事態になることを危惧し止めようと追いかけます。

しかし、ドスタム将軍はアタに握手を求めた互いの勝利を認め合っていました。そして、ネルソンは独り、アフガンの地にワールドトレードセンターの破片を埋葬します。

ネルソン大尉が率いた部隊は極秘の任務遂行に1人の死者を出すことなく全員帰還の成功を収めます。

同時多発テロが起きたワールドトレードセンターには、彼らの栄光を讃え「馬に乗る兵士のモニュメント」が建てられました。

映画『ホース・ソルジャー』の感想と評価


(C)2018 BY HS FILM, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

西部劇や戦争娯楽作品としての楽しみ

本作『ホース・ソルジャー』は、かつて娯楽の一端を担っていた、難攻不落な敵陣に作戦遂行を挑む部隊を描いた戦争映画の醍醐味を持った作品です。

しかも、これが実話というのに驚かせれます

映画を観ながら西部劇のような騎兵隊の12人の勇姿に、“自衛隊員は馬に乗れるのか”、“ネルソン大尉のように牧場育ちは日本にはいないな”と抱いてしまうのは、日本人なら仕方ないかもしれません。

あらためて、日本人とは戦う部族ではないねと、思い知りますね。

とはいえ、1961年のJ・リー・トンプソン監督の戦争映画の名作『ナバロンの要塞』や、名優ビック・モローがサンダース軍曹を演じたテレビドラマ『コンバット!』などを見てきた者には、とても楽しめる作品でした。

ましてや、西部劇ファンとって、現代にこのように西部劇が生まれ変わることは予想をしなかったのではないでしょうか。

そのことは『ビバリーヒルズ・コップ』や『トップガン』などを手掛けてきたプロデューサーのジェリー・ブラッカイマーもこのように述べています。

「これは娯楽映画なんだ。キャラクターに思い入れをしてしまい、ついに一緒に微笑んでしまうような。見終わった時、人はいい気持ちで映画館を出て行くと思うよ」

さらに驚かされるのは、この作品が低予算(アメリカ資本の映画としては)で、40日で撮影を終えたと言いますから、プロデューサーのジェリー・ブラッカイマーや初監督を果たしたニコライ・フルシー監督の手腕は大した者だと感心させられます。

実話でありながらも、かつての戦争映画や西部劇に登場した面白いモチーフを思う存分に上手く生かした、スタッフ陣にエールを送りたいですね。

“大切なことは知ることだ”


(C)2018 BY HS FILM, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

主人公のミッチ・ネルソン大尉を演じたクリス・ヘムズワース。

言わずと知れた代表作は「マイティ・ソー」シリーズのソー役を演じ、「アベンジャーズ」シリーズでもその存在感を見せています。

そんなヒーローの姿がよく似合うクリスが演じると、ネルソン大尉の正義感やタフさにも説得力がありまた。

また、クリスの説得力の裏側には、本作に出演していたキャストたちが、3週間の特殊訓練を特殊部隊のエキスパートと講師に招いて、任務の講義などを受けたそうです。

クリスが言うには、キャストたちのなかでもスペンサー准尉を演じたマイケル・シャノンが皆を引っ張ってくれたと語っています。

スペンサー准尉という役柄は、映画のストーリーの面白エピソードを含んだ見どころがあるキャラクターなのでしたが、演じたマイケルはこのように本作を語っています。

「今作を見て感じる事は人によって様々だと思う。だけどそれでいいんだ。大切な事は知ることだ。彼ら特殊部隊も、ただ戦場で爆弾を落として去ったのではなく、その国に住む人々の中に入っていき、文化や歴史をしっかりと理解したんだ。そういうことが大切だ」

俳優としてだけでなく、人徳のあるマイケルの言葉「大切な事は知ることだ」。

アメリカ自国民の1人として、彼はニューヨークに住み、本作のラスト銅像を何度も見ているそうで、銅像の意味も映画を観るとよく分かるとも語っています。

文化や歴史の背景が変わっていても一緒に何かについて考えることを、この娯楽映画として優れた戦争映画は目指しているのでしょう。


(C)2018 BY HS FILM, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

まとめ


(C)2018 BY HS FILM, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

本作のプロデュースを果たしたのは、対テロ戦争の映画『ブラックホーク・ダウン』の製作したジェリー・ブラッカイマー

彼がデンマークCM界の新鋭監督で、コソボ紛争の報道写真家でもあったニコライ・フルシーを監督に招き描いた本作『ホース・ソルジャー』。

戦闘経験のないネルソン大尉には「アベンジャーズ」シリーズのクリス・ヘムズワース。

ネルソンが信頼を置く腹心の部下に、オスカー賞に2度ノミネートされ『シェイプ・オブ・ウォーター』でも注目されたマイケル・シャノン。

そのほか、『フューリー』のマイケル・ペーニャ、『ムーンライト』のトレバンテ・ローズなど、実力派俳優も出演。

さらには、クリス・ヘムズワースの実際の妻であるエルサ・パタキーも、ネルソン大尉を戦場に送り出す妻役を好演しています。

映画『ホース・ソルジャー』は実話を超えた娯楽作品として楽しめる、アクション映画としてオススメな1本です

関連記事

アクション映画

映画『フッド:ザ・ビギニング』あらすじネタバレと感想。2019年の社会問題を取り上げた痛快時代劇!

レオナルド・ディカプリオの率いるアピアンウェイがロビン・フッド映画を製作! 『フッド:ザ・ビギニング』は、国内でもヒットを記録している『ロケットマン』のプロモーションで13日に初来日したタロン・エジャ …

アクション映画

映画『ブルータル・ジャスティス』ネタバレ感想とラスト結末まであらすじ。メル・ギブソン演じる刑事の正義が炸裂す!

メル・ギブソンが主演のクライム・スリラー映画『ブルータル・ジャスティス』。 日本で2020年8月に公開された、映画『ブルータル・ジャスティス』は、強引な逮捕が原因で6週間の停職処分となった2人の刑事が …

アクション映画

映画『キングダム』登場人物の楊端和役は長澤まさみ。演技力とプロフィール紹介

中国春秋戦国時代を舞台にした原泰久原作の大人気マンガ『キングダム』を実写化した映画が2019年4月19日に公開されます。 原作は第17回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞し、累計発行部数3600万部を超え …

アクション映画

007美しき獲物たち|ネタバレあらすじ感想と結末の解説評価。3代目ジェームズボンド (ロジャームーア)とクリストファー・ウォーケン演じる悪役ゾリンの戦いはいかに⁈

大人気スパイアクション映画「007」シリーズ第14作! ジョン・グレンが監督を務めた、1985年製作のイギリス・アメリカ合作の大人気スパイアクション映画『007/美しき獲物たち』。 「007」ことMI …

アクション映画

映画『バットマン ビギンズ』感想レビューとネタバレ結末も。バットマンの“始まり”に隠された謎とその物語に迫る

『バットマンビギンズ』で新たなバットマン伝説が誕生する。 アメコミ界のレジェンド級ヒーロー「バットマン」の始まりを描いた映画『バットマンビギンズ』。クリストファー・ノーランが監督を手掛けています。 ク …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学