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Entry 2021/04/24
Update

『アフリカン・カンフー・ナチス』感想評価とレビュー解説。トンデモ映画がガーナから日本へ上陸⁉︎

  • Writer :
  • タキザワレオ

映画『アフリカン・カンフー・ナチス』は、2021年6月12日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国公開!

2020年インターネット上で話題を呼び、課金制で限定配信されたAmazonでは5点満点中4.3の高評価を叩き出し、絶大な支持を受けたガーナ発のアクション映画『アフリカン・カンフー・ナチス』。

第二次世界大戦後、ガーナへ亡命したアドルフ・ヒトラーと東條英機が、アフリカの人々を新人種アーリア・ガーナ人として洗脳し、カンフーでの世界征服を目論みます。

ハンバーガーにカレーとラーメンを盛り付けたような欲張り要素てんこ盛りのトンデモ映画『アフリカン・カンフー・ナチス』が、2021年6月12日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国公開が決定しました。

今回は、一度聴いたら忘れないインパクトを持つ『アフリカン・カンフー・ナチス』略して「アフカン」(制作陣命名)の見どころ、魅力をご紹介いたします。

映画『アフリカン・カンフー・ナチス』の作品情報


(c) 2020 BUSCH MEDIA GROUP. ALL RIGHTS RESERVED
【公開】
2020年(ガーナ、ドイツ、日本合作映画)

【原題】
African Kung-Fu Nazis

【監督】
セバスチャン・スタイン、ニンジャマン

【キャスト】
エリーシャ・オキエレ、マルスエル・ホッペ、秋元義人、ンケチ・チネドゥ、アンド リュース・メンサー、アマンダ・アチアー、ウォーカー・ベントル・ボアテング、クワク・ア ドゥ、セバスチャン・スタイン

【作品概要】
日本在住のドイツ人監督セバスチャン・スタインが、情熱と発想だけを手にアフリカへ渡り、ガーナのジョージ・ルーカスとして知られる伝説的監督「ニンジャマン」とタッグを組んで、まさかの映画化。

日本で行われたプレミア上映会は超満員の大盛況、課金制で限定配信されたAmazonでは、5点満点のユーザーレビューで4.3という驚異的な高評価を叩き出し、「大爆笑!」「歴史に残るB級」「やりたいことを全力でやった映画」「こういう映画を観たかった」と大絶賛コメントが乱舞。

ネット界隈には大きな賑わいを見せており、日増しに強まるファンからのリクエストにこたえ、ついにこの度、『アフリカン・カンフー・ナチス』の劇場公開が緊急決定しました。

残虐非道なヒトラーを演じたのは、セバスチャン・スタイン監督本人。カラテの達人=東條英機を熱演したのは、秋元義人。監督の友人であり、普段は相模原で便利屋を営む一般人でありながら本作撮影のためにガーナまで駆けつけたという。

映画『アフリカン・カンフー・ナチス』のあらすじ


(c) 2020 BUSCH MEDIA GROUP. ALL RIGHTS RESERVED

第二次世界大戦後、秘密裏に逃げ延びていたヒトラーと東條英機は、ガーナを制圧。

現地にて、空手と魔術的パワーを駆使して日独同盟「血染めの党」を結成し、現地の人々を新人種「ガーナアーリア人」として洗脳し、世界侵略のための拠点を築き上げました。

そんなガーナで生きる心優しき青年アデーは、通っていた道場をヒトラーたちに潰され、愛する恋人もヒトラーの手に堕ちてしまいます。

復讐を誓ったアデーは、最強のカンフーを習得するための修行に身を投じ、ヒトラーの主催する武闘会を目指します。

映画『アフリカン・カンフー・ナチス』の感想と評価


(c) 2020 BUSCH MEDIA GROUP. ALL RIGHTS RESERVED

ジャンクな映画の魅力

「アフリカ」と「ナチス」という主張の強い味付けこそされているものの、本作の骨組み自体は、間に挟まれた「カンフー映画」です。

仇敵へ復讐するためにカンフーを教わるという大まかなプロットは、『少林寺木人拳』(1976)や『燃えよドラゴン』(1973)などに通ずる王道カンフー映画の系譜にまとめられます。

それに加え、仇敵の属性として付与されたのは、ナチス要素。

思い付きとはいえ、貪欲に取り入れられたジャンル映画らしいジャンキーな魅力が映画に宿っており、往年のグラインドハウス映画を彷彿させます。

実録映画風の現実のフッテージ映像から始める冒頭のシーンは、この手の陰謀論映画にとっては十八番で、どんなに偏差値の低い映画であっても、これさえ入れておけばそれなりのリアリティが保証されるという万能の演出法として数々の大作映画においても重宝されています。

「ヒトラーと東條英機がガーナで生き延びていた」という無茶な陰謀から始まる本作独自の奇形変化したナチス要素と言えば、「ガーナアーリア人」というトンデモ設定。

アーリア人種至上主義を逆手に取ったばかばかしい設定で、ナチズムの滑稽さ、それを信奉する者の無様さを見事に映し出しています。

本作におけるナチス要素を代表するこの設定は、映画界における「絶対悪」として設定されたナチスドイツの権力や高尚な理想主義への批判として最大限に機能していると言えます。

また現実世界において敗戦国として知られるナチスドイツと大日本帝国とが、同じ悪の思想で共鳴して新党を結成するという設定も興味深いところです。

大日本帝国とナチスドイツが、異人種間であっても同じレイシズムで共鳴し合体するというのは、滑稽な陰謀論のみを論拠とする人種至上主義に対するアイロニーとしても秀逸な上に、理にかなっているとも考えられます。

完全に後付けとはいえ、背景のしっかりした敵の描写には、思わずはっとさせられます。

足し算で作られた映画


(c) 2020 BUSCH MEDIA GROUP. ALL RIGHTS RESERVED
「ナチス要素」と並ぶ形でカンフー映画に足されたのは、「アフリカ要素」。

予算の規模からして、比べるのも烏滸がましいようではありますが、高度に文明が発達した架空のアフリカを舞台にしたアメコミヒーロー映画『ブラックパンサー』では、あまり見られなかったアフリカン武術が本作では炸裂しており、中国武術とは細部の異なるエキセントリックなアクションを見せています。

徒手空拳で勝ち抜いていく終盤の武闘会は、格闘ゲーム『モータル・コンバット』のトドメを刺す演出「フェイタリティ」のようなケレン味あふれる必殺技で彩られており、演出の方向性としてはカンフー映画よりも70年代の東映アクション映画「殺人拳」シリーズに近い、プリミティブな暴力描写が光ります。

その辺の空き地にしか見えないようなロケ地で繰り広げられる武術訓練シーンにおいても、ベストキッド顔負けのクオリティの立ち回りを見せ、蛇拳、虎拳、酔拳を織り交ぜた派手なアクションには、半笑いで観ている観客の目も惹きつけられるでしょう。

しかし、企画当初から製作に至るまで、かなり酔っていたというスタイン監督と秋元氏。酔っ払いが作った映画には、酔っぱらいながら見るのが流儀であるかように思えてきます。

シラフでは気付けないようなツッコミどころを探しながら、本作を鑑賞するのも一興です。

「空き地で撮影しているため、撮影後の撤収を速やかにするためか、壁にかけられた血染めの党旗すらガムテ止めされている」「訳も分からず陛下万歳をしているこのガーナアーリア人たちは、天皇が誰かすら知らないのではないか」といったツッコミに事欠かない映画であることも間違いありません。

終盤の屋外のシーンで出てくる、完全に冷やかしで来たであろうエキストラの子供たちも、主人公アデーと東條英機のカラテ対決を終始半笑いで眺めており、それが気になったりもしますが、役者の拍手にワンテンポ遅れながらも懸命にリアクションを合わせるその姿には、思わず頬が緩んでしまいます。

このような重箱の隅突きは、作品の欠点をあげつらうためではなく、観客側がツッコミを入れて保管することで完成する応援上映向きの映画であることを意味します。

日本のアクション映画ファンの間で、吹替が注目を集め、今では不動の人気を誇る『コマンド―』(1985)も観客側によるツッコミが無ければここまでの人気ぶりは無かったでしょう。

本作には、字幕が全てくだけた関西弁になっていたり、劇中に時折登場するおかしな日本語のやり取りが妙にクセになったりと日本の観客の心に引っかかること間違いなしのギミックが満載です。

まとめ


(c) 2020 BUSCH MEDIA GROUP. ALL RIGHTS RESERVED
ジャンル的こだわりを節操なく取り入れまくった本作は、Z級映画ファンの琴戦に触れ、ひそかな人気を獲得しつつあります。

無邪気なジャンルとしてやりたいことを正直にやりきった結果、完成した映画には製作スタッフたちの思いが込められていました。

本作のネット上での絶対的な支持は『アイアン・スカイ』や『イングロリアス・バスターズ』に肉薄する勢いで、こういったZ級映画は好事家が草の根的にで続けることで、伝説となっていくものです。

本作を完成までこぎつけた監督の志の高さとハイコンセプトなタイトルの破壊力に敬服させられます。

『アフリカン・カンフー・ナチス』。思わず口にしてしまいたくなるこのタイトルが生まれたとき、製作スタッフは勝利を確信したことでしょう。

Z級映画ファンにとっての新たなバイブルになること間違い無しの一作。

映画『アフリカン・カンフー・ナチス』は、2021年6月12日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国公開!

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