連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第189回
過去と未来、異なる2つの時代に生きる大学生の男女が1台の無線機でつながっていく……時を超えた運命の出会いが導くピュアなラブ・ストーリー『同感〜時が交差する初恋〜』。
本作は、韓国ラブストーリーの金字塔『リメンバー・ミー』(2000)の時代設定を新たにしたリメイク作品である映画『同感〜時が交差する初恋〜』は、2024年2月9日(金)よりシネマート新宿ほかで全国順次公開されます。
1999年に生きる男子大学生ヨンと、2022年に同じ大学に通う女子大生ムニ。1台の古い無線機を通して偶然交信したことから、2人の奇妙な交流が始まります。
時代のズレに最初戸惑う2人ですが、そのうちにお互いの恋の悩みなどを打ち明けるほど親しくなります。甘酸っぱい初恋と胸が痛くなるような嫉妬。ヨンとムニの交流の行く着く先に待っているものとは?
韓国映画『同感〜時が交差する初恋〜』をご紹介します。
映画『同感〜時が交差する初恋〜』の作品情報
【日本公開】
2024年(韓国映画)
【原題】
동감(英題:Ditto)
【脚本・監督】
ソ・ウニョン
【キャスト】
ヨ・ジング、チョ・イヒョン、ナ・イヌ、キム・ヘユン、ペ・イニョク
【作品概要】
1999年と2022年、異なる時代を生きる大学生たちの運命の出会いを描く『同感〜時が交差する初恋〜』。『告白』(2021)のソ・ウニョンが監督を務めました。
本作は、日本でも『時の香り リメンバー・ミー』(2001)としてリメイクされたこともある、韓国ラブストーリーの金字塔『リメンバー・ミー』(2000)の時代設定を新たにした作品です。
1999年に生きるヨンを、『王になった男』(2017)「怪物」(2021)などで活躍するヨ・ジング、2022年に生きるムニを『賢い医師生活』(2021)『今、私たちの学校は…』(2022)などのドラマで知られるチョ・イヒョンがを演じています。
映画『同感〜時が交差する初恋〜』のあらすじ
1999年、大学の機械工学科に通うヨンは、皆既月食の夜、無線機を通じて女子学生ムニと交信を始めます。
彼女が同じ大学の社会学科2年生だと知って、偶然に驚きつつ翌日に大学構内で会う約束をします。しかし、約束の時間を過ぎてもムニは来ません。一方、どしゃぶりの雨の中で待ち続けるムニの前にもヨンは現れませんでした。
その夜、互いに相手のすっぽかしを責めるヨンとムニ。
話が噛み合わないまま、それから何度か交信するうちに、2人は自分たちが違う時代を生きていると気がつきます。
不思議な状況に半信半疑ながらも2人の会話は弾み、ヨンとムニは恋人でもなければ友人でもない、唯一無二の存在となっていきます。
そのうちに、お互いの意中の人の話をしたりするのですが……。
映画『同感〜時が交差する初恋〜』の感想と評価
過去と未来。住む世界が違う2人の男女の物語『同感〜時が交差する初恋〜』。韓国ラブストーリーの金字塔『リメンバー・ミー』(2000)を、男女の住む時代と年代を新たに設定し直しリメイクした作品です。
2022年に生きる女子学生ムニと1999年の大学生ヨン。ムニの抜群なおしゃれセンスとポンポン飛び出す流行語に、ヨンは驚いたり首を傾げたり……。
また2人は時代が違っていることに当初は気が付かず、会えないことを相手がわざと会う約束を破ったと思い、お互いに本気で怒ります。
積極的なムニに振り回されるヨンの様子をはじめ、知り合ったばかりの複雑な男女の思いもリアルに描かれていて、とても微笑ましく観れます。
ヨンはいつしか「自分の好きな人」のことをムニに相談するようになり、ムニもまた「気になる男性」のことを話し始めます。
2人の初恋はうまく行くのでしょうか。
ムニとヨンの互いの恋の行方と同様に気になる本作の結末を、ハラハラしながらも温かい目で見届けてあげたくなることでしょう。
まとめ
2つの異なる時代を生きる男女の大学生が、古い無線機の交信でつながる。顔も知らない2人ですが、無線でやりとりしていくうちに打ち解け、恋の悩みなど相談するようになりました。
2人の生きる時代の流行語や文化の違いなども盛り込まれ、甘酸っぱい青春時代の初恋もユニークに描かれています。
観る人は自分の青春時代を思い描き、主人公たちが辿る奇跡のつながりに、胸をキュンとさせることでしょう。
時を超えた運命の出会いに、主人公たちはどう向き合うのか。青春時代を思い出し、ほろ苦い初恋の味をたっぷりお楽しみください。
映画『同感〜時が交差する初恋〜』は2024年2月9日(金)よりシネマート新宿ほかで全国順次公開。
星野しげみプロフィール
滋賀県出身の元陸上自衛官。現役時代にはイベントPRなど広報の仕事に携わる。退職後、専業主婦を経て以前から好きだった「書くこと」を追求。2020年よりCinemarcheでの記事執筆・編集業を開始し現在に至る。
時間を見つけて勤しむ読書は年間100冊前後。好きな小説が映画化されるとすぐに観に行き、映像となった活字の世界を楽しむ。