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『クリード過去の逆襲』あらすじ感想と評価解説。“クリード3”でマイケルBジョーダンは“ロッキーの魂”を最後に受け継ぐ|映画という星空を知るひとよ149

  • Writer :
  • 星野しげみ

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第149回

2023年5月26日(金)に全国ロードショーを迎える映画『クリード 過去の逆襲』ボクシング映画の名作『ロッキー』に登場した世界ヘビー級チャンピオン・アポロの息子を主人公に据えた「クリード」シリーズの第3弾です。

クリード チャンプを継ぐ男』(2015)、『クリード 炎の宿敵』(2018)に続く本作は、主演を務めるマイケル・B・ジョーダンの初監督作でもあります。

『炎の宿敵』での戦いから数年が経ち、現役を引退して妻と愛娘とともに平和に暮らしていたアドニス・クリード。しかし彼の前に、幼馴染みのデイムが封印した“己の過去”とともに現れたことで、再びリングに立つことになります。

クリードの“過去”に何があったというのでしょうか。突然現れた新たな敵を前に、クリードはどんな闘いを見せるのでしょう。

2023年5月26日(金)からの全国ロードショーに先駆け、『クリード 過去の逆襲』をご紹介します。

【連載コラム】『映画という星空を知るひとよ』一覧はこちら

映画『クリード 過去の逆襲』の作品情報


(C)2023 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All rights reserved. CREED is a trademark of Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All rights reserved.

【日本公開】
2023年(アメリカ映画)

【監督】
マイケル・B・ジョーダン

【脚本】
キーナン・クーグラー、ザック・ベイリン

【製作】
アーウィン・ウィンクラー、チャールズ・ウィンクラー、ウィリアム・チャートフ、デビッド・ウィンクラー、ライアン・クーグラー、マイケル・B・ジョーダン、エリザベス・ラポーゾ、ジョナサン・グリックマン、シルベスター・スタローン

【キャスト】
マイケル・B・ジョーダン、テッサ・トンプソン、ジョナサン・メジャース、ウッド・ハリス、フロリアン・ムンテアヌ、ミラ・ケント、フィリシア・ラシャド 他

【作品概要】
「ロッキー」シリーズのDNAを受け継ぐボクシング映画「クリード」シリーズ第3弾。マイケル・B・ジョーダンが、『クリード チャンプを継ぐ男』(2015)、『クリード 炎の宿敵』(2018)に続いて主演を務め、本作では監督も務めました。

クリードの幼馴染みのデイムを『アントマン&ワスプ クアントマニア』(2023)のジョナサン・メジャースが、クリードの妻・ビアンカをシリーズ前2作に続きテッサ・トンプソンが演じています。

映画『クリード 過去の逆襲』のあらすじ


(C)2023 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All rights reserved. CREED is a trademark of Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All rights reserved.

偉大なチャンプ・ロッキーが死闘を繰り広げた親友にしてライバル・アポロの息子であるアドニス・クリード。亡き父と師匠のロッキーがかつて手にした世界ヘビー級タイトルを彼が獲得してから、何年もの月日が経ちました。

イワン・ドラゴの息子であるヴィクターなどの強敵を倒してきたものの、クリードは世界ヘビー級チャンピオンとしてはすでに引退。

その後、現役時代のセコンド・トニーとともに「デルファイ・アカデミー」を経営し、スターボクサーとして、現役チャンピオンのフェリックス・チャベスを擁しています。私生活では、妻のビアンカと娘のアマーラとの平穏な日々を楽しんでいました。

そんな彼の前に突然、刑務所から出所した幼馴染みのデイムが現れました。

10代の頃、クリードは先輩にあたるデイムにボクシングを教わっていました。新しい家族とともに暮らしながらも、時々デイムと会っていたクリード。ボクシングでは負け知らずなデイムの後に追っていたクリードは、将来はチャンプとなったデイムの鞄持ちをさせてやるとまで言われるほどの仲でした。

ある日、クリードは暴力事件に巻き込まれ、怖くなって逃げ出しました。その結果、現場の近くにいたデイムが18年間刑務所に服役することとなったのです。

出所した彼は、チャベスとのタイトルマッチで人生を一変させるチャンスを掴もうと、クリードの元へやって来ました。

状況が整い、ありえない試合が実現。その結果は、スポーツ界に激震が走るほど衝撃的なものであり、このことはクリードをも驚かせます。

実はデイムは、あの暴力事件の際に一人逃げ出したクリードに対し、復讐の炎を燃やしていたのです。

やがて、クリードはかつて友人だった冷酷で嫉妬深いデイムと対決しなければならなくなり、その試合に向けて猛トレーニングを開始します。

映画『クリード 過去の逆襲』の感想と評価


(C)2023 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All rights reserved. CREED is a trademark of Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All rights reserved.

試合の裏にある友情と家族愛

現役を引退し平穏に暮らしていたアドニス・クリード。その幸せな日々を妬むかのように、幼馴染みのデイムが現れて挑戦状をたたきつけます。

ボクシングでの先輩であり、ある出来事を機に長い間決別していたデイム幼馴染みだからこそ理解できてしまう、彼の計り知れない強さとタフさ。現役試合から遠ざかっているクリードは心機一転、猛トレーニングを始めます。

そんな彼を支えるのは、愛する妻のビアンカと、ボクシングを父から学びたい娘のアマーラ。シリーズ前作に登場した二人は本作ではさらに魅力的に成長し、夫として、父としてのクリードの成長ぶりも同時に伺えました。

「栄光を掴んだ最強チャンプ」クリードと、「全てを失ったムショ上がりの幼馴染み」デイム。 正反対の道を歩んだ2人の男の壮絶な死闘のゴングが鳴り響きます。

クリードの試合を見守る妻と娘のひたむきな応援と、死闘を繰り広げながらも、どこか楽しんでいるような二人の男たちの様子が交互に映し出され、手に汗握るファイナルラウンドへと観客を導きます。

「初のIMAX仕様スポーツ映画」の誕生


(C)2023 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All rights reserved. CREED is a trademark of Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All rights reserved.

クリード役のマイケル・B・ジョーダンの鍛え上げた肉体美もさることながら、敵となるデイム役のジョナサン・メジャースの鋼のような筋肉に圧倒されます。

世間を全て敵にまわすようなデイムのふてぶてしい態度もまた、彼を最強のボクサーに見せています。力と技、そして筋肉同士がぶつかりあう肉弾戦のようなクリードとデイムの試合は、本作一番の見どころです。

これまでの作品以上に激しい死闘を表現し、アクションだけでなく感情面の効果も高めたいと思ったジョーダン監督と製作陣は、「スポーツ映画では初となる、IMAX認証デジタルカメラでの撮影」という新しい試みで、ド迫力な試合シーンを誕生させました。

まるでリングサイドにいるかのような圧巻の臨場感で観られる試合には、『クリード 過去の逆襲』が「クリード」シリーズ第3弾にして、「ロッキー」サーガの最後を締めくくるにふさわしい作品となったと実感できるでしょう。

まとめ


(C)2023 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All rights reserved. CREED is a trademark of Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All rights reserved.

「クリード」シリーズ第3弾になる『クリード 過去の逆襲』をご紹介しました。

栄華と名誉を手中にし現役を引退したクリードが隠していた過去。その過去を知る幼馴染みのデイムが、クリードに挑戦してきました。

デイムを突き動かしているのは、クリードへの強い恨みです。クリードは彼と闘うことで、忌わしい過去を断ち切ることができるのでしょうか。

闘うことは前向きに前進することでもあります。すでに夫であり父となったクリードには護るべき家族がいるので、一歩も引きさがれません。自分の過去と雄々しく闘うクリードに、前を向いて生きる勇気をもらうことでしょう

映画『クリード 過去の逆襲』は2023年5月26日(金)より全国ロードショー! 

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星野しげみプロフィール

滋賀県出身の元陸上自衛官。現役時代にはイベントPRなど広報の仕事に携わる。退職後、専業主婦を経て以前から好きだった「書くこと」を追求。2020年よりCinemarcheでの記事執筆・編集業を開始し現在に至る。

時間を見つけて勤しむ読書は年間100冊前後。好きな小説が映画化されるとすぐに観に行き、映像となった活字の世界を楽しむ。




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