Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

Entry 2020/04/13
Update

スタローン映画『ロッキー』あらすじネタバレと感想。アカデミー賞の評価に輝く出世作にして名作|すべての映画はアクションから始まる14

  • Writer :
  • 松平光冬

連載コラム『すべての映画はアクションから始まる』第14回

日本公開を控える新作から、カルト的評価を得ている知る人ぞ知る旧作といったアクション映画を網羅してピックアップする連載コラム、『すべての映画はアクションから始まる』。

(c)1976 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved。

第14回は、アカデミー作品賞に輝いた1977年公開作『ロッキー』

主演を務めたシルヴェスター・スタローンの出世作にして、続編も製作されたボクシング映画の金字塔をご紹介します。

【連載コラム】『すべての映画はアクションから始まる』記事一覧はこちら

スポンサーリンク

映画『ロッキー』の作品情報

(c)1976 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved。

【日本公開】
1977年(アメリカ映画)

【原題】
Rocky

【脚本】
シルヴェスター・スタローン

【監督】
ジョン・G・アビルドセン

【製作】
アーウィン・ウィンクラー、ロバート・チャートフ

【製作総指揮】
ジーン・カークウッド

【撮影】
ジェームズ・クレイブ

【キャスト】
シルヴェスター・スタローン、タリア・シャイア、バージェス・メレディス、バート・ヤング、カール・ウェザーズ、ジョー・スピネル

【作品概要】
アメリカ、フィラデルフィアのしがないボクサー、ロッキー・バルボアの成長を描く、1976年製作のヒューマンドラマ。

ロッキー役のシルヴェスター・スタローンが原案・脚本を担当し、第49回(1977)のアカデミー賞作品賞を含む3部門を獲得しました。

スタローン自身もトップスターの仲間入りを果たすきっかけとなり、後に続編5作品とスピンオフ2作も製作されています。

映画『ロッキー』のあらすじとネタバレ

(c)1976 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved。

1975年のアメリカ、フィラデルフィア。

この町のスラム地区で暮らすロッキー・バルボアは、年齢も30代に差しかかった4回戦ボクサー。

当然ファイトマネーだけでは生活できないため、知人である高利貸しのガッツォの下で取立人をしています。

そんな生活に呆れた所属ジムのトレーナーのミッキーから、「無駄な人生を送る奴はいらない」とジムを追い出されたロッキーですが、近所のペットショップで働く女性エイドリアンに片思いし、毎日通っては話しかけていました。

エイドリアンの兄ポーリーは粗野な性格ながらも、妹を気にかけてくれるロッキーに感謝していました。

一方その頃、ボクシング現世界ヘビー級チャンピオンのアポロ・クリードは、建国200年祭のイベントの一環として行われる次期タイトルマッチの対戦相手が負傷してしまったことで、代わりの挑戦者を探していました。

数ある候補者リストの中から、アポロが目に留めたのはロッキーでした。

何の実績もない無名選手にアメリカン・ドリームを体現させる狙いと、「イタリアの種馬」というロッキーのキャッチフレーズを気に入ったのです。

突然のタイトルマッチの話に困惑し断るロッキーでしたが、アポロ陣営やプロモーターの強引な説得により試合が決定。

そのロッキーは、徐々にエイドリアンとの距離を縮めてゆき、無人のスケート場を借りて初デート。

その夜、2人はロッキーの部屋で結ばれます。

一方、降って湧いたロッキーのタイトルマッチに、周囲は色めき立ちます。

精肉工場で働くポーリーがスポンサーを名乗り出れば、ガッツォはトレーニングに専念するよう促します。

そしてミッキーが、トレーナーをさせてほしいとロッキーに頼みに来ます。

「ジムを追い出しておいて今さら勝手なことを言うな」とロッキーは冷たく突き放すも、生来の気の優しさから、彼を迎え入れるのでした。

周囲の支え、そして何よりもエイドリアンという恋人の存在が、ロッキーの気持ちををタイトルマッチに向かわせます。

ミッキーが組んだ日々の辛いトレーニングを絶えるロッキーは、試合前日の夜、エイドリアンに弱音を吐きます。

しかし、「もし最終ラウンドまでリングの上に立っていられたら、自分がただのゴロツキではないことが証明できる」とつぶやくのでした。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『ロッキー』のネタバレ・結末の記載がございます。『ロッキー』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

スポンサーリンク

そして迎えたタイトルマッチ。

試合を見ずに控室にいるようにとエイドリアンに告げ、ロッキーはリングに向かいます。

序盤から余裕で攻めるアポロに、防戦一方のロッキー。

ですが、その油断した隙をついてロッキーが最初のダウンを奪います。

いつしかアポロの顔から笑みが消え、試合は長期戦に。

14ラウンドで、アポロの強烈なパンチを食らって片目が潰れたロッキーも、ついにダウン。

それでもなお立ち上がるロッキーを応援する大観衆の声に、控室にいたエイドリアンが飛び出します。

そして最終15ラウンド、ロッキーは最後の力を振り絞ってアポロのボディを連打します。

あわやダウン寸前でゴングが鳴り、試合は判定へともつれ込みます。

多くの報道陣に詰め寄られたロッキーは、エイドリアンの名を呼び、彼女もまた、彼の声に導かれるようにリングへと歩を進めます。

判定はアポロの勝利、しかしロッキーには結果などどうでもよくなっていました。

リングによじ登ったエイドリアンはロッキーの胸に飛び込みます。

「愛してる」、そうお互いに言い合った2人は、固く抱擁を交わすのでした――

スポンサーリンク

映画『ロッキー』の感想と評価

参考映像:『ロッキー』メイキング映像

無名俳優を一躍スターに変えた出世作

映画『ロッキー』は、当時無名俳優だったシルヴェスター・スタローンが、偶然テレビで放送されていた世界ヘビー級タイトルマッチのモハメド・アリvsチャック・ウェプナー戦を観て感銘を受け、わずか3日で脚本を書き上げました。

「脚本料は言い値で構わないが、主人公ロッキーは自分が演じる」という無謀とも言えるスタローンの条件を、プロデューサーのアーウィン・ウィンクラーとロバート・チャートフが呑み、製作が開始。

しかし、映画会社ユナイテッド・アーティスツからは満足な製作費を得られなかったため、プロデューサー2人は自宅を抵当に入れるなどして資金集めをしました。

とにかく製作費がなかった本作は、シーンの大半をゲリラスタイルで撮影。

ロッキーとエイドリアンがスケート場でデートするシーンも、エキストラを使う費用がなかったために、閉店後のリンクを2人だけで滑るという流れになっています。

『ロッキー』で最もコストがかさんだのはタイトルマッチで腫れた顔のメイクアップ費用で、そのタイトルマッチの観衆も地元のホームレスたちを集め、代金の代わりにフライドチキンを配ったと云われています。

そうしたさまざまな苦労を経て完成した本作は、結果的に1976年のアメリカでの興行成績年間1位を記録しただけでなく、ロッキー同様にスタローン自身もアメリカンドリームを掴むことになるのです。

泥臭さから洗練されていったボクシングの場面

参考映像:『ロッキー』のロッキーvsアポロ戦

全6作品からなる「ロッキー」シリーズですが、要となるボクシングの振り付けも、『ロッキー5/最後のドラマ』(1990)以外はスタローンが担当しています。

といっても、彼はボクシングの経験があったわけではありません。

『ロッキー』は当初、ボクシングシーンを2人のコレオグラファーを招いて撮影する予定でした。

ところが、本作の監督を引き受けるまで、ボクシングの試合はおろかボクシング映画すら観たことがなかったというジョン・G・アビルドセンと意見が衝突してしまい、結局2人は降板。

そこで監督の命により、脚本家でもあるスタローンが振り付けを考えることになったのです。

困ったスタローンは、脚本の元となったモハメド・アリvsチャック・ウェプナー戦を参考にした上で、若い頃ボクサーだったポーリー役のバート・ヤングにもアドバイスを貰い、なんとかして試合の流れを構築。

回を重ねるごとに、ボクシングの技が洗練かつ派手さを増す「ロッキー」シリーズですが、第1作目のそれが泥臭くていささか凡庸なのは、スタローン自身が振り付けに不慣れだったことに理由があるのです。

もっとも、本作でのロッキーはファイトスタイルも粗削りゆえに、そのぎこちなさがかえって説得力を増しているといえます。

なお、ウェプナーの伝記映画『チャンプ』(2016)では、アリvsウェプナー戦を再現しつつ、『ロッキー』のモデルとなって以降の、波乱に満ちた彼の半生が描かれています。

参考映像:『チャンプ』(2016)

ロッキーとキャリアを共有していくスタローン

参考映像:「ロッキー」シリーズ名場面

『ロッキー』でスターとなったシルヴェスター・スタローンですが、その後作られる続編は、製作時における彼の俳優キャリアを反映している節があります。

当コラムでは、そうした点にも着目していきたいと思います。

次回の連載コラム『すべての映画はアクションから始まる』もお楽しみに。

【連載コラム】『すべての映画はアクションから始まる』記事一覧はこちら





関連記事

連載コラム

二階堂ふみ映画『生理ちゃん』感想レビューと評価。擬人化したユニークなキャラを登場させて描くタブーからの解放|銀幕の月光遊戯 50

連載コラム「銀幕の月光遊戯」第50回 映画『生理ちゃん』が2019年11月08日より、ヒューマントラストシネマ渋谷他にて全国順次ロードショーされます。 多くの女性たちの共感を呼び、第23回手塚治虫文化 …

連載コラム

清原惟映画『ひとつのバガテル』あらすじと感想レビュー。武蔵野美術大学の卒業制作という“衝撃あるいは事件”|ちば映画祭2019初期衝動ピーナッツ便り3

第10回ちば映画祭「清原惟監督特集」 2018年に東京藝術大学大学院の修了制作として手がけた初長編作品『わたしたちの家』が劇場公開され、鮮烈な映像感覚が大きな注目を集めている清原惟(きよはらゆい)監督 …

連載コラム

『迫り来る嵐』ネタバレ解説と監督ドン・ユエの演出を考察。激動の中国で不安定な人間心理を描く|サスペンスの神様の鼓動7

こんにちは、映画ライターの金田まこちゃです。 このコラムでは、毎回サスペンス映画を1本取り上げて、作品の面白さや手法について考察していきます。 今回ピックアップする作品は、香港返還に揺れる激動の中国を …

連載コラム

細野辰興の連載小説 戯作評伝【スタニスラフスキー探偵団~日本俠客伝・外伝~】⑤

細野辰興の連載小説 戯作評伝【スタニスラフスキー探偵団~日本俠客伝・外伝~】(2019年8月下旬掲載) 【細野辰興の連載小説】『スタニスラフスキー探偵団~日本俠客伝・外伝~』の一覧はこちら スポンサー …

連載コラム

映画『アドリフト』感想とレビュー解説。実話サバイバルとして「41日間の漂流」を絶望と執念で戦う|SF恐怖映画という名の観覧車97

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile097 今週の当コラムは、実話を基にした恐怖と希望の映画『アドリフト 41日間の漂流』(2020)をご紹介させていただきます。 「SF」でも「ホ …

U-NEXT
架空映画館 by ReallyLikeFilms Online
【Cinemarche】今週のおすすめ映画情報
凱里(かいり)ブルース|2020年6月6日(土)よりシアター・イメージフォーラムほかにて全国順次ロードショー予定!
映画『異端の鳥』2020年10月9日(金)よりTOHOシネマズシャンテほか全国公開
映画『朝が来る』2020年10月23日(金)より全国公開
ドラマ『そして、ユリコは一人になった』
【玉城ティナ インタビュー】ドラマ『そして、ユリコは一人になった』女優として“自己の表現”への正解を探し続ける
【ビー・ガン監督インタビュー】映画『ロングデイズ・ジャーニー』芸術が追い求める“永遠なるもの”を表現するために
オリヴィエ・アサイヤス監督インタビュー|映画『冬時間のパリ』『HHH候孝賢』“立ち位置”を問われる現代だからこそ“映画”を撮り続ける
【べーナズ・ジャファリ インタビュー】映画『ある女優の不在』イランにおける女性の現実の中でも“希望”を絶やさない
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
アーロン・クォックインタビュー|映画最新作『プロジェクト・グーテンベルク』『ファストフード店の住人たち』では“見たことのないアーロン”を演じる
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
【平田満インタビュー】映画『五億円のじんせい』名バイプレイヤーが語る「嘘と役者」についての事柄
【白石和彌監督インタビュー】香取慎吾だからこそ『凪待ち』という被災者へのレクイエムを託せた
【Cinemarche独占・多部未華子インタビュー】映画『多十郎殉愛記』のヒロイン役や舞台俳優としても活躍する女優の素顔に迫る
日本映画大学
国内ドラマ情報サイトDRAMAP