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Entry 2019/08/13
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ペドロ・アルモドバルの新作映画『ペインアンドグローリー』インタビュー【Pain&Gloryは個人的な記憶】FILMINK-vol.20

  • Writer :
  • FILMINK

FILMINK-vol.20「Pedro Almodovar Gets Personal With Pain And Glory」

オーストラリアの映画サイト「FILMINK」が配信したコンテンツから「Cinemarche」が連携して海外の映画情報をお届けいたします。

FILMINK

「FILMINK」から連載20弾としてピックアップしたのは、 ペドロ・アルモドバルの新作映画『Pain and Glory(英題)』のインタビューです。

【連載レビュー】『FILMINK:list』記事一覧はこちら

個人的なテーマで魂の模索をする新作

スペインの名匠ペドロ・アルモドバルは、新作『Pain and Glory』にてアントニオ・バンデラスとペネロペ・クルスと再会を果たしました。本作は、彼の最も個人的なテーマを取り扱う作品となります。

モダン・クラシックを背景に『トーク・トゥー・ハー』(2002)『オール・アバウト・マイ・マザー』(1999)『ボルベール〈帰郷〉』(2006)『バッド・エデュケーション』(2004)などの代表作を生み出してきたペドロ・アルモドバル。そんな彼は最新作『Pain and Gloryy』にて魂の模索に取り組んでいます。

映画の主人公はスランプ中の名映画監督、サルバドール・マロ。バレンシアにて少年期を過ごした1960年代、マドリードにて愛を抱いた1980年代、映画人生と私生活両方にて直面する問題や愛する人との関係の崩壊、自己治癒のための執筆…、そんな彼の人生を現在と過去を行き来して描き出します。

主人公である映画監督のマロには、アルモドバル自身がどれくらい反映されているのでしょうか。

「自分のことと、ある特定のシチュエーションを考えながらストーリーを書き始めました。もちろんキャラクターの記憶は私の過去のものです。しかし私自身のことをそのまま映画にしても、お見せすることができないでしょう(笑)。マロは私ですが、これはフィクションです。フィクションを描く場合、虚構の物語に忠実でなければいけません。現実には忠実ではありません。物語はただ、“起こったこと”のように見えれば良いからです。何はともあれ重要なのは、マロが進んでいる道に、かつて私もいたこと。必ずしもマロと同じ方向に進み、彼がしたことを私もしていた、というわけではありませんが。本作は私の個人的な記憶の約20パーセントが投影されていると言えるでしょう」

自身の過去の苦痛について

『Pain and Glory』撮影中のアルモドバル監督

FILMINK

『Pain and Glory』は創造性のダムが破裂したようなものではなく、長く流れる川のようなものだったとアルモドバルは語ります。

「本作の脚本は今までの中で一番速い書きあがりでしたが、一度に思いついて出来あがったというわけではありません。まず、私の過去の苦痛について書き始めました。それが最初の衝動です。それからキャラクターたちが水中で浮遊している、そんなシーンの執筆に移りました。そして、パソコンに残していた、いつか自分の作品と統合したいと望んでいたストーリーのアイデアたちを繋ぎ合わせました。そのアイディアの一つは、映画監督と、彼と以前共に働いていた俳優の話で、彼らの暴力的で残忍な出会いを扱ったものでした。それから20年前に書いた子どもを主人公にした物語と、1980年代に関するモノローグもありました。これら他の作品に統合することのできなかった三つのピースを持っていたので、すぐに脚本を書くことができました。未発表のテキストたちの完璧な居場所を見つけられたからです。本当に自然な方法でひとつの物語になりました。非常に個人的な私自身の物語と統合されたのです」

バンデラスとの絆

『Pain and Glory』撮影中のバンデラスとアルモドバル監督

FILMINK

主人公サルバドール・マロを演じるのは、アルモドバルの長年の友人であり、『私が、生きる肌』(2011)『アタメ』(1991)『欲望の法則』(1987)に出演したアントニオ・バンデラスです。キャスティングはアルモドバルが映画を製作するにあたり、いつも最初にする選択だそう。

「まずはアントニオと話をする必要がありました。なぜなら自分がこの作品で何を望んでいるかを伝えたかったからです。彼と過去に作ってきたことや、彼のアメリカでの映画も含めて、本作とは全く異なっています。彼に出演を依頼する前に、この違いについて話そうと思いました。ですがアントニオは脚本を読むとすぐにキャラクターに何が必要かを理解しました。1980年代、全く違う道を進んでいた私たちですが、アントニオは独創的なパフォーマンスを行い、私は監督として、とてもスムーズに撮影が進めることが出来たんです」

役者と監督の(長年にわたって意見の相違もあり、しばしば悩まされる)絆は、『Pain and Glory』でさらに強まったといいます。

「アントニオは私が意図していなかった素晴らしい方法で作品と繋がり、同時に私が注ぎ込んだプロセスをリードしてくれました。私は何もしていません。アントニオには何をして欲しいか少しずつ説明しましたが、彼は完全に彼自身でやりきったのです。彼がキャラクターや作品について思考していたことが正しかったのでしょう。撮影時、アントニオは事前に指示していなかったジェスチャーをしていたのですが、それがあまりにキャラクターにぴったりだったので驚きました。ですが、実を言うと少しだけがっかりしたんです、なぜならアントニオを彼のトレードマークである強さや勇壮な印象無しに、この新しく、繊細で曖昧な作品の中で生きて欲しかったから。それでも彼は最初から彼らしくパフォーマンスをしました。とても驚きましたし、感謝しています」

ミューズであるペネロペ・クルスについて

『Pain and Glory』撮影中のペネロペ・クルス

FILMINK

マロの母親役を演じるのは『オール・アバウト・マイ・マザー』(1990)『ボルベール〈帰郷〉』(2006)に出演した、アルモドバルのミューズであるペネロペ・クルス。

「ペネロペは家族も同然ですから、彼女が本作に出演することはとても心強かったです。20年以上前に共に仕事を始めて以来、私たちは強い友情を育んできました。私は彼女を心から愛していますし、彼女も私を深く愛してくれています。脚本を完成させた時、すぐに頭にペネロペが浮かびました。本作の母親役は、『ボルベール〈帰郷〉』でペネロペが演じた母親役とは非常に異なります。しかし双方ともスペインの異なる時代を生き抜き、戦った女性たちです。『ボルベール〈帰郷〉』の母は現代の女性だからとてもセクシー。しかし『Pain And Glory』の母親は、スペインの家族にとって最悪な時期である1960年代初頭を生きた女性です。彼女は子どもたちと洞窟のような住まいに暮らしています。そこは子どもにとってはおとぎ話のような素晴らしい場所でしたが、家政婦を務める女性にとっては、非常に悲劇的な時代。ペネロペは素晴らしい。このような伝記映画を作ることは、アーティストたちと家族のような時間を過ごし、エモーショナルな親近感を役者陣と共有出来る体験なんです」

FILMINK【Pedro Almodovar Gets Personal With Pain And Glory】

英文記事/James Mottram
翻訳/Moeka Kotaki
監修/Natsuko Yakumaru(Cinemarche)
英文記事所有/Dov Kornits(FilmInk)www.filmink.com.au

*本記事はオーストラリアにある出版社「FILMINK」のサイト掲載された英文記事を、Cinemarcheが翻訳掲載の権利を契約し、再構成したものです。本記事の無断使用や転写は一切禁止です。

映画『Pain and Glory』の作品情報

【製作】
2019年(スペイン映画)

【日本公開】
未定

【原題】
Dolory gloria(英題:Pain & Glory)

【監督・脚本】
ペドロ・アルモドバル

【キャスト】
アントニオ・バンデラス、ペネロペ・クルス、アシエル・エチェアンディア、レオナルド・スバラーリャ、ノラ・ナバス、フリエタ・セラーノ

【作品概要とあらすじ】
2019年・第72回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。

アントニオ・バンデラスが男優賞を受賞しました。

アルモドバル監督の自伝的映画で、幼少時代、母親との関係、ロマンスや、監督業を続けるべきなのかと悩む姿を描きます。

主人公の映画監督役をバンデラス、若い頃の監督の母親役をペネロペ・クルスが演じました。

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