Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

Entry 2021/07/04
Update

フィアーストリートPart1:1994|ネタバレ感想と結末解説のあらすじ。ホラー&スラッシャー映画へのリスペクトが込められた3部作|Netflix映画おすすめ46

  • Writer :
  • 糸魚川悟

連載コラム「シネマダイバー推薦のNetflix映画おすすめ」第46回

「夏はホラー映画」と言うイメージは作品の怖さに寒気がすると言う精神的なものと、作品内で描かれる季節に夏が多いという2つの要素から成り立っています。

そして猛暑が予想される2021年の夏、映像配信サービス「Netflix」に「殺人鬼による猟奇殺人」「サマーキャンプでの惨劇」「ティーンによる真相究明」と言う夏に見たいホラー映画の要素を全て揃えたホラー映画シリーズが登場。

今回は3週連続で公開されるホラー映画3部作「フィアー・ストリート」シリーズの第1作『フィアー・ストリート Part1:1994』(2021)をネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。

【連載コラム】「Netflix映画おすすめ」記事一覧はこちら

映画『フィアー・ストリート Part1:1994』の作品情報


Netflix映画『フィアー・ストリート Part1:1994』

【原題】
Fear Street Part One: 1994

【配信日】
2021年7月2日(アメリカ映画)

【監督】
リー・ジャニアク

【キャスト】
キアナ・マデイラ、オリヴィア・ウェルチ、ベンジャミン・フローレス・Jr、ジュリア・レーヴァルト、フレッド・ヘッキンジャー、アシュリー・ズーカーマン

【作品概要】
映画化もされた「グースバンプス」などのシリーズで知られるホラー小説家R・L・スタインによるホラー小説「フィアー・ストリート」シリーズの映像化作品第1弾。

映画『ハネムーン』の監督と脚本を務めたリー・ジャニアクが3部作すべての監督を務めました。

映画『フィアー・ストリート Part1:1994』のあらすじとネタバレ


Netflix映画『フィアー・ストリート Part1:1994』

シェイディサイドの大手ショッピングモールで11人が死亡する猟奇殺人が発生。

犯人のライアンはグッド保安官によって射殺されますが、隣町のサニーヴェイルと違って殺人の発生率が異常に高いシェイディサイドは呪われた町と噂されるようになっていました。

シェイディサイドではかつてサラと言う魔女が住民によって処刑された過去があり、同級生のヘザーが犠牲者となったディーナの高校でもサラの仕業だと話題となっていました。

サニーヴェイル高校とのアメフト試合にチアリーダーの一員として参加したディーナは元恋人のサムと再会。

しかし、試合の前日に行われた追悼式で元々いがみ合っていた2校の対立は決定的になり、移動中にサニーヴェイルのメンバーが乗る車にバスを煽られたシェイディサイドのアメフトチームは車に水をかけ結果的に事故を誘引してしまいます。

その際、怪我をしていないはずのディーナが鼻血を出し、また事故をしたサムは吐血し何かの記憶をフラッシュバックさせました。

サムの現彼氏でありサニーヴェイルのアメフト部のピーターは事故を恨み、シェイディサイドのメンバーを皆殺しにすると宣言。

夜、ディーナは家の前で骸骨の面を被り包丁を持つ人間を見つけます。

ピーターの嫌がらせだと捉えたディーナは友人のサイモンとケイトに電話をかけますが、骸骨面の人間は2人の前にも現れます。

ピーターの仕業だと確信する4人はディーナの弟のジョシュを連れサムの入院する病院に詰問しに行きますが、その場に骸骨面の人間が現れピーターを始めとしたその場にいる人間を殺害し始めます。

襲われたサムを助けるためもみ合いになるうちにディーナは骸骨の面を外すことに成功しますが、その顔はモールで射殺されたはずのライアンでした。

警察署に逃げ込んだ5人はグッド保安官にライアンの件を訴えますが、保安官たちはディーナの意見を狂言と捉え彼女たちを追い返します。

その頃、小便のために逸れていたサイモンが街灯下に佇む女性に剃刀で襲われますが、保安官から銃を奪い現れたディーナによって救われます。

しかし、女性は撃たれたにも関わらず死亡せず一行は家へと逃げ帰りこれまでのことを振り返ります。

ジョシュはサイモンを襲った女性が1965年に発生しその後自殺した猟奇殺人の犯人であると推測し、ライアン含め死んだはずの殺人鬼が生きていると話します。

シェイディサイドでは普通の人間が猟奇殺人鬼と化すことが定期的に起きており、ジョシュ曰くその発端は1666年の魔女サラの処刑にあったと推測。

サラの呪いだとして何故自分たちが執拗に狙われるかに疑問を持つ一行でしたが、事故のあった日、サムがフラッシュバックさせた記憶はサラの記憶であったことがわかり、彼女が魔女を目撃したことで狙われていると確信。

5人は事故のあった森に入り、事故現場を探るとその場所の土中から骸骨が見つかります。

一緒に埋められていたものからその骸骨がサラのものであると確信したジョシュは、事故によって彼女がサラの墓を荒らしたことがことの発端だと考えます。

サラの怒りを収めるため骸骨を埋葬し直す5人でしたが、その場に麻袋を被った殺人鬼が現れ5人を襲撃。

しかし、何故か殺人鬼は追いついたジョシュに目を向けることはなく他の4人を襲い、5人は命からがらその場を去ることに成功します。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『フィアー・ストリート Part1:1994』のネタバレ・結末の記載がございます。『フィアー・ストリート Part1:1994』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

再度フラッシュバックが起こりサムは自身だけが狙われていると確信しますが、それだけではサイモンが1人の時に襲われた説明にならずジョシュは殺人鬼たちがサムの血を追ってきてることに気づきます。

サイモンの服やディーナの靴にはサムの吐血がついており、それゆえに殺人鬼に狙われていたのでした。

5人はサムの血を誘導に使い学校のトイレに殺人鬼を誘き寄せ爆破しますが、殺人鬼は肉片になった状態からも復活し5人を追跡。

追い詰められた5人はサムを殺人鬼に差し出すことを考えますが、1978年にナイトウィングで猟奇殺人が起きた際には墓を荒らしたと思われるバーマンと言う女性が事件を生き延びていたことにジョシュが気づきます。

ディーナはその事件の新聞記事からバーマンが生き延びたのは一度心肺が停止しその後に蘇生したからだと知ります。

5人はサイモンの働くスーパーへと殺人鬼を誘導。

サイモンとケイトとジョシュが殺人鬼を引きつける間にディーナがサムを一度殺害し呪いを解いてから復活させようと計画しますが、サムが手間取ったためにサイモンとケイトが殺害されてしまいます。

助手が殺害される寸前にサムを一度殺害し復活させたことで殺人鬼は消え危機は去ります。

グッド保安官は3人を聴取し、警察がサイモンとケイトが今回の事件の主犯であるとの見方で事件を片付けようとしていると話します。

しかし、3人はサイモンとケイトは親友だと語るとかつて自身を信じなかったグッドに多くは語ることなくその場を去ります。

グッドは病院の死体を発見すると、彼女達の言葉を信じなかったことを後悔し、バーマンの家に「また始まった」と手紙を残しました。

事件を通し再び結ばれたディーナとサムのもとにバーマンから電話がかかり、「魔女の望みは終わることはない」と忠告を受けると魔女に操られたサムによってディーナは刺されます。

ディーナは格闘の末にサムを拘束しますが、彼女は自身を完全に見失っていました。

バーマンの家を訪ねるディーナとジョシュにバーマンは過去の話を始めます。

それは1978年の湖沿いのキャンプ場ナイトウィングでのことでした。

映画『フィアー・ストリート Part1:1994』の感想と評価


Netflix映画『フィアー・ストリート Part1:1994』

多くのスラッシャー映画へのリスペクト

十数年に一度猟奇殺人が発生する町「シェイディサイド」を舞台としたホラー映画シリーズ「フィアー・ストリート」。

1作目は1994年を舞台に女子高生のディーナたちと殺人鬼たちの奮闘を描き、2作目は1978年、そして3作目は1666年と物語は猟奇殺人が発生する「呪い」の元凶へと向かい遡って行くことになります。

時系列上、3部作で最も「後」の物語となる第1作では過去のシェイディサイドの殺人鬼たちが蘇りディーナたちを襲撃します。

殺人鬼の容貌は髑髏面を着けた「スクリーム」シリーズを思わせる殺人鬼から「13日の金曜日」シリーズのジェイソンを彷彿させる麻袋姿の殺人鬼まで、伝説と言えるスラッシャー映画たちへのリスペクトを感じさせるビジュアルをしており、登場するだけでホラー映画好きを楽しませてくれる作品でした。

ゴア表現の容赦のなさと真相究明の面白さ

次々と殺人鬼が襲い来るスラッシャー映画としての面白味が深い本作はゴア表現の容赦のなさも魅力的であり、シーンは少ないながらも強く頭に残るほどの衝撃を与えてくれます。

しかし、本作はホラー映画の特徴として「IT/イット」のような「呪い」の元凶を探る真相究明の面白さもあり、主人公ディーナの弟のジョシュが「なぜ」や「どうする」を次々と見つけていく展開に引き込まれます。

呪いを受けてしまった理由や解呪方法は分かれど、「魔女はなぜ処刑されたのか」や「グッド保安官は何を知っているのか」などさまざな謎が残った本作。

謎を解きながら謎を残す、3部作の構成を上手く利用し第2弾を見ざるを得ないほどに引き込む物語展開が秀逸でした。


まとめ

1994年の町での呪いとの攻防は終わることなく、物語は1978年の惨劇を振り返る『フィアー・ストリート Part2:1978』(2021)へと続いていくことになります。

「サマーキャンプ」と「麻袋を被った殺人鬼」、そして「若者たちの夏」を描く第2弾は本作に引き続きホラー映画好きの感性に刺さること間違いなし。

次回作の配信前にスラッシャー映画の詰め合わせセットのような3部作の始動の作品『フィアー・ストリート Part1:1994』を、ぜひ「Netflix」で鑑賞してみてください。

【連載コラム】「Netflix映画おすすめ」記事一覧はこちら



関連記事

連載コラム

映画AVP2エイリアンズVSプレデター|ネタバレ感想と考察評価。続編は前作ラストで体内に産みつけた新種両性の誕生| SFホラーの伝説エイリアン・シリーズを探る 第7回

連載コラム「SFホラーの伝説『エイリアン』を探る」第7回 SF映画の二大“モンスター”が激突する大ヒット映画の続編、今度の戦場は街中!? 『AVP2 エイリアンズVS.プレデター』。 本作は映画『エイ …

連載コラム

MEN 同じ顔の男たち|あらすじ感想と評価解説。A24とアレックス・ガーランド監督がラストに仕掛ける“不可触の悪夢”|映画という星空を知るひとよ127

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第127回 映画『MEN 同じ顔の男たち』は、夫を亡くした傷心の女性が癒しのために滞在した美しい風景の田舎で恐ろしい体験をするSFスリラー。 『ミッドサマー』( …

連載コラム

【ネタバレ】カンフースタントマン|感想解説とラストあらすじ評価。香港アクション映画を支えたレジェンド“龍虎武師”の真髄【すべての映画はアクションから始まる36】

連載コラム『すべての映画はアクションから始まる』第36回 日本公開を控える新作から、カルト的に評価された知る人ぞ知る旧作といったアクション映画を時おり網羅してピックアップする連載コラム『すべての映画は …

連載コラム

細野辰興の連載小説 戯作評伝【スタニスラフスキー探偵団~日本俠客伝・外伝~】②

細野辰興の連載小説 戯作評伝【スタニスラフスキー探偵団~日本俠客伝・外伝~】(2019年2月下旬掲載) 【細野辰興の連載小説】『スタニスラフスキー探偵団~日本俠客伝・外伝~』の一覧はこちら CONTE …

連載コラム

映画『長いお別れ』あらすじと感想。中野量太監督の描く認知症と向き合う家族の「つながり」|シニンは映画に生かされて8

連載コラム『シニンは映画に生かされて』第8回 はじめましての方は、はじめまして。河合のびです。 今日も今日とて、映画に生かされているシニンです。 第8回でご紹介する作品は、映画『湯を沸かすほどの熱い愛 …

U-NEXT
【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学