「シュレック」シリーズから誕生した人気キャラクターが主人公の長編劇場アニメ!
ジョエル・クロフォードが監督を務めた、2022年製作のアメリカのアドベンチャーアニメ映画『長ぐつをはいたネコの9つの命』。
帽子に羽飾り、マントと長ぐつがトレードマークのお尋ね者のネコ、プスは剣を片手に数々の冒険と恋をしました。
ところが、気づけば9つあった命は残り1つとなっていました。急に怖くなったプスは、家ネコになることにしました。
そんなプスの平和な生活は、プスを狙う敵の襲来によってすぐに壊されてしまい………。
ユニバーサル・スタジオ×ドリームワークス・アニメーションによる長編劇場アニメの第2弾『長ぐつをはいたネコと9つの命』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。
CONTENTS
映画『長ぐつをはいたネコの9つの命』の作品情報
(C)2022 DREAMWORKS ANIMATION LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
【公開】
2023年(アメリカ映画)
【原作】
ジョヴァンニ・フランチェスコ・ストラパローラの『長靴をはいた猫』
【監督】
ジョエル・クロフォード
【キャスト】
アントニオ・バンデラス、サルマ・ハエック、フローレンス・ピュー、ハーヴィー・ギレン、オリヴィア・コールマン、サムソン・ケイオ、ワグネル・モウラ、ジョン・ムレイニー、レイ・ウィンストン、アンソニー・メンデス、ダバイン・ジョイ・ラドルフ、ほか
【作品概要】
『トロールズ みんなのハッピーホリデー!』(2017)や『クルードさんちのあたらしい冒険』(2020)のジョエル・クロフォードが監督を務め、2023年第95回アカデミー賞長編アニメーション賞と第80回ゴールデングローブ賞最優秀長編アニメーション映画賞にノミネートされた、アメリカのアドベンチャーアニメ作品。
ドリームワークス・アニメーションのヒット作「シュレック」シリーズから誕生した人気キャラクター、「長ぐつをはいたネコ」ことプスを主人公に描く長編劇場アニメ『長ぐつをはいたネコ』(2012)の続編です。
主人公のプスの声を『デス・ペラード』(1995)のアントニオ・バンデラス、プスの元カノのキティの声を『フリーダ』(2002)のサルマ・ハエックがそれぞれ演じています。
映画『長ぐつをはいたネコの9つの命』のあらすじとネタバレ
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むかしむかし、「願い星」が落ちてきて、大きな森を黒く焼き、「暗黒の森」が生まれました。
願い星は森に新たな命を吹き込みました。その星には今も、「1つだけ願いを叶える力」が封印されています。
デル・マーという町では、賞金首のレジェンド剣士「長ぐつをはいたネコ」ことプスがパーティーを開き、町の百姓たちと一緒に騒いでいました。
しかしその際にあげた花火の音で、眠っていた森の巨人を目覚めさせてしまいます。激闘の末、プスは華麗に森の巨人を倒すも、森の巨人を仕留めた鐘に押し潰されて死んでしまいました。
病院で目を覚ましたプスは、町の動物病院の医者から9つの命のうち8つを失ったことを知らされ、剣士を引退するよう忠告されます。
実はプスは、パンプローナの牛追いで1つ目の命を失い、ギャンブルで負かした犬たちに殺されて2つ目の命を失い、塔からの着地に失敗して3つ目の命を失いました。
さらにベンチプレスに押し潰されて4つ目の命を失い、港までの道を横着をして船の大砲で飛ばしてもらったせいで5つ目の命を失い、料理に入っていたエビでアナフィラキシーショックを起こし6つ目の命を失い、温度を高く上げ過ぎたオーブンからパンを取り出そうとして7つ目の命を失いました。
医者はプスに、ママ・ルーナというネコ好きのおばあさんのところに身を寄せるのはどうかと提案します。
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その日の夜。町のバーでミルクを飲んでいたプスのもとに、彼をずっと追っていた最恐の賞金稼ぎ、赤い目をした大柄な狼のウルフが襲来。
2本の鎌を得物とするウルフとの戦いで、プスは初めて死を恐れました。数多くの冒険と恋をしてきた過去が走馬灯のようによみがえったプスは、剣を拾わずにその場から逃げるように去っていきました。
そして剣士を引退し、家ネコになることを決意し、ママ・ルーナのネコシェルターを訪ねました。
慣れない家ネコとしての生活に順応しようと奮闘するプスでしたが、何の代わり映えのしない平和な生活に退屈します。
そんなある日、プスはママ・ルーナに「ボンボンちゃん」と呼ばれている、人懐っこくて天真爛漫な野良のチワワ、ワンコと出会いました。
ワンコはママ・ルーナに飼われているのではありません。ネコ用の餌にありつくべく、ネコシェルターの玄関の軒下に棲みつき、ネコに扮して多くの飼い猫に紛れ込む暮らしをしているのです。
そしてワンコは、セラピードッグになることを夢見ていました。するとそこへ、突如お尋ね者の孤児ゴルディ・ロックスとその仲間の3びきのくまが、プスを探しにやってきます。
彼女たちは、パイ工場を営んでいるオーナーのビッグ・ジャック・ホーナーから願い星の位置を示す地図を盗む計画を立てており、そのためにプスを雇おうと考えていました。
なぜなら、パイ工場のオーナーというのはホーナーの表向きの顔で、その本性は良心がない、魔法グッズをコレクションしている裏社会の大物だからです。
ですが、プスが家ネコになる前、自身のトレードマークである羽飾りつきの帽子とマントと長ぐつを埋めた墓を庭で見つけ、彼が死んだと思い込み立ち去ります。
ゴルディたちの話を盗み聞きして、願い星が実在することを知ったプスは、9つの命を取り戻すための旅に出ることに。ワンコもその旅に同行します。
その日の夜。プスはワンコを伴ってホーナーの工場に侵入。箱に入っていた地図を盗みました。
しかし箱の中に忍び込んでいたプスの元婚約者キティ・フワフワーテや、ゴルディたち、ホーナーによって邪魔されてしまいます。
地図を巡る争いの末、キティとワンコと共に地図を持ってパイ工場から逃げたプスでしたが、逃げている最中にウルフの姿を見つけて怯えてしまいます。
プスとキティが手にした地図には、「はるか彼方の暗黒の森、そのどこかに星は眠る」、「願い星は輝いている、この地図を手放すな」と記されていました。
プスたちは願い星を手に入れるため、誰も行くことも出ることもない暗黒の森へ向かいました。ホーナーと彼の手下「パン屋の13人(ベーカーズ・ダズン)」、ゴルディたちもその後を追いかけます。
映画『長ぐつをはいたネコの9つの命』の感想と評価
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命の価値とその尊さを学んだプス
9つの命を持つ伝説の剣士「長ぐつをはいたネコ」ことプス。彼はウルフと対峙して初めて、死の恐怖を感じました。
それまでのプスは、ウルフが作中で言っているように、自分を不死だと勘違いしている傲慢な男でした。
ですがその反面、プスがコップに注がれたミルクを舌をチロチロ出しながら飲んだり、ドジを踏んで8つの命を失ったりするギャップがあって萌えます。
最後の命となって出会ったワンコと、再会した元婚約者キティとの冒険を経て、プスは今まで軽んじていた命の価値と、それがどんなに尊いものであるかを学びました。
キティたちのおかげで、プスは傲慢ではなくなり、また一つ良い方向に成長したのです。そんなプスを見て、キティは彼への愛を再熱させます。
ワンコのおかげで復縁できたプスとキティのロマンスと、プス・キティ・ワンコの間に築かれていく友情は感動ものです。
種族を越えた家族愛に涙
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ホーナーと同じく、自らの願いを叶えるために願い星とその位置を示す魔法の地図を狙うゴルディと3びきのくま。
ゴルディが星に願うのは、本物の家族でした。孤児である彼女と家族のように過ごしてきた3びきのくまは、いつの日か種族の違いから別れが来ると覚悟はしていたものの、とてもショックを受けます。
それでもゴルディの幸せを願い、3びきのくまが彼女のためにプスたちとバトルを繰り広げていく場面は、本当にゴルディを自分たちの家族として大事に想っているのだなとしみじみ感じますし、作中で一番心温まる場面です。
そして物語の終盤、ゴルディはワンコの言葉で、自分の願いはすでに叶えられていたことに気づきます。
ゴルディと3びきのくまの種族を越えた家族愛に、老若男女問わず感涙させられることでしょう。
まとめ
(C)2022 DREAMWORKS ANIMATION LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
最後の命となり死の恐怖を感じた伝説の剣士プスが、隠居生活で出会ったワンコと、元婚約者のキティと共に、願い星探しの冒険に旅立つアメリカのアドベンチャーアニメ作品でした。
本作の見どころは、プスたちとゴルディたち、ホーナーが己の願いを叶えるために願い星と魔法の地図を巡ってバトルを繰り広げていくアクション場面と、友情・愛・家族愛とハートフルな場面です。
友情と愛が育まれていくプスたちに対し、ホーナーは己の願いを叶えるためなら、これまで自分に付き従ってきた手下たちがどんな目に遭おうと決して助けることはない、極悪非道な悪役っぷりを見せてくれます。
良心の欠片もないホーナーが迎えた結末は、まさに自業自得なものでした。彼に一矢報いたエシカル・バグは、今度こそゴルディたちの良心となって活躍することでしょう。
本作の字幕版ではアントニオ・バンデラスらキャスト陣全員、日本語吹き替え版ではウルフ役の津田健次郎がはまり役で、プスたち登場人物により愛着がわいて物語を楽しめます。
キレキレでモフモフな伝説ネコの新たな冒険と、死神として現れたウルフとのバトルを描いた、笑いあり涙ありのアドベンチャーアニメ映画が観たい人にとてもオススメな作品です。