史上初の3DCG映画『ルパン三世 THE FIRST』
不朽の名作、宮崎駿監督の1979年の『ルパン三世 カリオストロの城』から40年。史上初の3DCGによる劇場版が完成しました。
誰もが知るモンキー・パンチ原作による国民的アニメ『ルパン三世』を初めて3DCGアニメーションで見せる劇場版です。
監督と脚本を担当したのは、「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズなどでVFXを駆使した作品を数々生み出し、『STAND BY ME ドラえもん』『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』の3DCGアニメを制作した山崎貴監督。
栗田貫一ほかお馴染みのレギュラー陣に加えてゲストボイスキャストとして吉田鋼太郎、藤原竜也、広瀬すずが参加しました。
映画『ルパン三世 THE FIRST』の作品情報
【公開】
2019年(日本映画)
【原作】
モンキー・パンチ
【脚本・監督】
山崎貴
【音楽】
大野雄二
【キャスト】
声の出演 栗田貫一、小林清志、浪川大輔、沢城みゆき、山寺宏一、吉田鋼太郎、藤原竜也、広瀬すず
【作品概要】
宮崎駿監督作品『ルパン三世カリオストロの城』から40年。原作者で2018年惜しくも亡くなったモンキー・パンチも望んでいた3DCGで完全映画化。ルパンの血脈にもつながるスケールの大きな物語が展開されます。
映画『ルパン三世 THE FIRST』のあらすじとネタバレ
第二次世界大戦中のフランスの郊外、考古学者のブレッソン博士が、自分が発見したある秘密を記した日記・ブレッソン・ダイアリーを、複雑な仕掛けを施したケースに封印、孫娘を連れた息子夫婦に託します。
しかし、ケースを託した直後に博士はナチスの襲撃を受け銃弾に倒れます。
それから20数年後、パリ・ルーブル美術館でブレッソン・ダイアリーがお披露目されることになります。
そこに警官に変装したルパンが現れブレッソン・ダイアリーを盗み出そうとします。
ブレッソン・ダイアリーとルパン一族とは因縁が深く、ルパン一世が盗み出せなかった唯一のものでした。
一度はルパン三世の手にブレッソン・ダイアリーが渡りましたが、ルパンの変装を見破った考古学者志望の少女レティシアが、出し抜いてブレッソン・ダイアリーを盗み出します。
レティシアは祖父のランベールの命令で動いていました。ところがそこに、峰不二子が現れてブレッソン・ダイアリーはどこかへ盗まれてしまいます。
その夜、レティシアのもとを訪ねたルパン三世はレティシアの考古学への想いを知り、感心します。
レティシアはブレッソン・ダイアリーを開く鍵の一部をルパンが持っていることをランベールに知らせると、ランベールはブレッソン・ダイアリーを餌にしてルパンをアジトにしている飛行艇に連れてくるように命じます。
飛行艇にはゲラルト率いるナチスの残党が陰謀を張り巡らせていました。
ランベールの持つもう一つのカギと自分のカギを合わせてブレッソン・ダイアリーを取り出すルパン。しかし、そこに武装したゲラルトたちが現れ、ダイアリーは奪われてしまいました。
レティシアはブレッソン・ダイアリーに記されているものが古代文明の叡智を極めたエネルギー発生装置で、ゲラルトやランベールはこれを軍事利用して、ナチス第三帝国の復活を画策しています。
考古学的な見地で協力してきたレティシアですが、その想いは裏切られてしまいました。
ルパンは飛行艇内にいた不二子とレティシアを共に飛行艇を脱出します。駆け付けた次元や五エ門のおかげで窮地を脱しますが、移動手段を失ってしまいます。
ルパンを残してゲラルトの飛行艇は秘宝の眠る南米に向かいます。
映画『ルパン三世 THE FIRST』の感想と評価
ルパン三世の映画というと、“がっつりとお宝を盗むパターン”と、“秘宝を巡る謎解きと陰謀の打破を突き進むパターン”がありますが、今回の『ルパン三世 THE FIRST』は明確に後者です。
もっと言えば宮崎駿監督の初長編作品『ルパン三世 カリオストロの城』(1979)へのオマージュたっぷりの作品に仕上がっています。
物語のカギとなるヒロインのレティシア(ボイスキャスト:広瀬すず)と、ルパン三世の変則的なラブストーリーであり、冒険譚でもあります。
そのため、次元、五エ門、不二子のルパンファミリーは、分かり易く脇役に回っています。
銭形警部とも割と簡単に共闘します。重要人物にルパンが変装する終盤の展開、次元大介が大一番に合わせて用意する対戦車ライフルのデザイン、更にラストシーンで互いに惹かれあう部分を感じているルパンとレティシア。
その上で、自分の住む世界の住人(=泥棒)になんかなるものではない、と言って突き放すルパンの姿は『カリオストロの城』への最大のオマージュといえます。
原作者モンキー・パンチがこの世を去ってから最初の『ルパン三世』の映画となり、フル3DCG作品ではありますが、やっていることはいい意味でまったく変わりません。
まとめ
山崎貴監督という人は良くも悪くも、自分の郷愁や、憧れに素直で屈託がない人なんだと改めて感じさせます。
2019年夏も批評の面でも評価を高かった『アルキメデスの大戦』の一方で、映画『ドラゴンクエストユア・ストーリー』でゲームというモノへの想い・偏愛を語って、見事に物議をかもしました。
過去にも『SPACE BATTLE SHIP ヤマト』や『STAND BY ME ドラえもん』などなど、見事に自分の解釈をスクリーンに焼き付けては、炎上したり賛否が分かれたり。それでもある程度ヒットを記録するのですから、何とも不思議な存在です。
この『ルパン三世 THE FIRST』も山崎監督が見てきた『ルパン三世』、見たかった『ルパン三世』に作ってみせました。
またまた物議を醸し出しそうですが、この路線は続くのでしょう。