国民的アニメ『ドラえもん』の長編映画43作目!
今井一暁が監督を務めた、2024年製作の日本の大人気SFアニメーション映画『映画ドラえもん のび太の地球交響楽(シンフォニー)』。
学校の音楽会に向けて、苦手なリコーダーの練習をしている小学5年生ののび太の前に現れた不思議な少女ミッカ。
のび太の吹くのんびりのんきな「の」の音を気に入り、音楽がエネルギーになる惑星で作られた「音楽(ファーレ)の殿堂」にドラえもんたちを招き入れます。
しかしそこへ世界から音楽を消してしまう不気味な生命体が迫ってきて、音楽の未来と地球に危機が………。
『映画ドラえもん のび太の地球交響楽(シンフォニー)』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。
映画『映画ドラえもん のび太の地球交響楽(シンフォニー)』の作品情報
(C)藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2024
【公開】
2024年(日本映画)
【原作】
藤子・F・不二雄
【監督】
今井一暁
【キャスト】
水田わさび、大原めぐみ、かかずゆみ、木村昴、関智一、平野莉亜菜、菊池こころ、チョー、田村睦心、賀屋壮也、芳根京子、石丸幹二、吉川晃司、悠木碧、天月、Vaundy
【作品概要】
『映画ドラえもん のび太の宝島』(2018)や『映画ドラえもん のび太の新恐竜』(2020)の今井一暁が監督を務めた、日本の大人気SFアニメーション作品。
藤子・F・不二雄の漫画『ドラえもん』を原作とした、「映画ドラえもん」シリーズ通算第43作目です。
国民的アニメ『ドラえもん』や「映画ドラえもん」シリーズで、ドラえもんたちの声を演じている水田わさびや大原めぐみら声優陣に加え、NHK連続テレビ小説『べっぴんさん』(2016)の芳根京子や、『必殺剣鳥刺し』(2010)の吉川晃司らが声優出演します。
映画『映画ドラえもん のび太の地球交響楽(シンフォニー)』のあらすじとネタバレ
(C)藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2024
遥か大昔。クロマニョン人の少年が白鳥たちの美しい鳴き声に耳を澄ましていました。そこへ突如、光る飛翔体が近くの森に落下。その飛翔体の中から眠った赤ん坊が姿を現します。
時は現代に戻り、7月16日。学校の秋の音楽会に向けて、苦手なリコーダーの練習をしている小学5年生の野比のび太。
しかし音楽会で披露する「白鳥のエチュード」という曲で、ドレミの音階にないのんびりのんきな「ノ」の音を出したことで、クラスのみんなに笑われてしまいます。
帰宅したのび太は、そのことを子守りネコ型ロボットのドラえもんに相談しようとするも、先にドラえもんが、大好物のどら焼きをいっぱい食べるためにひみつ道具「あらかじめ日記(この日記に書いたことは、どんなことでも絶対にその通りになる)」を使ったことを知ってしまいました。
7月17日。のび太が「あらかじめ日記」に書いたとおり、音楽の授業がなくなりました。
そのことに喜ぶのび太でしたが、自分の3日坊主の日記とすり替えたことに気づいたドラえもんから、自分が「今日は音楽がなかった」と書いたせいで音楽の授業だけでなく、音楽そのものが世界中からなくなってしまった事実を告げられます。
「別にいいじゃない」とあっけらかんとした態度をとるのび太。ですがその直後、音楽がなくなったことで街のあちらこちらで混乱が生じ、次第に人々がイライラしていくのを見て、事の重大さに気づいてドラえもんに泣きつきます。
ドラえもんはのび太が書いたページを千切りとることで、事態を収束させました。
一方宇宙研究所では、小惑星探査機「ハゲワシ2」が宇宙から持ち帰った黒い石から、スライム状の謎の生物が湧き出していました。その謎の生物は分裂しながら移動し始めます。
その日の夕方。川原でリコーダーの練習をしていたのび太の前に、不思議な少女が現れます。
少女はのび太の吹く「の」の音を気に入り、美しい歌声を披露。それを聞いて初めて音楽を好きになったのび太はそのことを伝えようとするも、いつの間にか彼女の姿はどこかへ消えてしまいました。
7月18日。のび太は、幼馴染の源静香(愛称しずかちゃん)・剛田武(通称ジャイアン)・骨川スネ夫と一緒に、川原でリコーダーの練習をしていました。
そこへ少女が再び現れて歌い出すと、のび太たちと様子を見に来たドラえもん、ひみつ道具「ロボッター」をつけたのび太たちのオモチャ、そしてひみつ道具「ムードもりあげ楽団」も加わり、楽しい演奏会が始まります。
「ロボッター」とは、小さな粒の中にコンピューターが入っており、これを動かないものにつけると、ロボットのように命令通りに動き出させることができるひみつ道具。
「ムードもりあげ楽団」とは、この楽団が演奏する音楽を聴くと、その場のムードが盛り上がって気分が楽しくなったり、悲しくなったりさせることができるひみつ道具のこと。
楽しい演奏会をして大興奮ののび太たち。テンションが上がったジャイアンがリサイタルをしようとするのを止めている間に、またしても少女はどこかへ消えてしまいました。
その日の夕方。帰宅したのび太たちのもとに、「今夜、学校の音楽室でおまちしています」と書かれた謎の手紙が届きました。
誰もいない夜の学校の音楽室に到着したのび太たち。しずかは音楽室にあったピアノにあった「このメロディーをひいて下さい」という手紙の指示に従い、ピアノにあらかじめ置かれていた楽譜の曲「エリーゼのために」を演奏します。
すると音楽準備室の扉が光り、その向こうから「お待ちしておりました。さあ、こちらへ」「どうかお願いします。あなた方の力が必要なのです」という謎の声が聞こえてきたのです。
最初は怖がっていたのび太たちでしたが、少女の歌声を聞いて覚悟を決め、導かれるがままに音楽準備室の扉の向こうへ行ってみることに。
そこにはのび太たちの前に度々現れていた少女のミッカと、彼女のお世話をするロボットのチャペックがおり、彼らがのび太たちを「音楽(ファーレ)の殿堂」とよばれる宇宙を旅する人工衛星のような場所に招き入れたことを知ります。
ファーレに満ちた美しい星「惑星ムシーカ」出身のミッカたちは、、エネルギー不足で眠っている「音楽の殿堂」を復活させるため、伝説の音楽を極めた達人「ヴィルトゥオーゾ」を探していました。
そしてミッカたちが「ヴィルトゥオーゾ」だと見込んで呼び出したのが、のび太たちだったのです。
ミッカたちの話を聞いて初めは戸惑ったのび太たちでしたが、誰かと音楽を奏でることが初めてで嬉しそうな彼女の姿を見て、2人に協力することを決めました。
(C)藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2024
ミッカたちはのび太たちを、チャペックが地球に降りるたびに集めてきた沢山の楽器がある家に案内しました。
「音楽の殿堂」復活のための演奏に使う楽器選びに、ドラえもんのひみつ道具「運命の赤い糸(糸を1本選んでひっぱると、自分に合った答えを引き当てることができる)」を使用。
その結果、ジャイアンはチューバ、スネ夫はバイオリン、しずかはボンゴ。のび太はリコーダーに決まりました。
さらに「音楽家ライセンス」という、これを持てば楽器が自分のレベルに合わせてくれて、一緒に演奏するたびにレベルアップできるひみつ道具を使用します。
選んだ楽器を持って外に飛び出したのび太たちは、枯れた「ハープの川」で音楽家ロボットのモーツェルとバッチに出会いました。
モーツェルたちはのび太たちに、ハープの川にある「ファーレ鉱石(ファーレに反応すると大きなエネルギーを生み出すもの)」に向かって楽器を演奏し、すべてを動かすエネルギー源である「ファーレエネルギー」をチャージしてハープの川に水を流してほしいとお願いします。
最初は上手く演奏することができなかったジャイアン・スネ夫・しずかでしたが、教えるのが上手なモーツェルの指導と、楽器の声に耳を傾けたことでファーレエネルギーを生み出し、ハープの川に水を流すことに成功しました。
これにより、ジャイアンたち3人はビギナーからアマチュアへとレベルアップ。さらに3人の演奏によって、綺麗なファーレに反応して光る習性がある「音虫」が生息する森が目覚めました。
以下、『映画ドラえもん のび太の地球交響楽(シンフォニー)』ネタバレ・結末の記載がございます。『映画ドラえもん のび太の地球交響楽(シンフォニー)』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
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そこにいたのは、音楽家ロボットのタキレンと、犬のロボットのパロパロ。しかしタキレンは悲しみに暮れており、彼の気持ちに連動して森は大雨が降り嵐になりそうでした。
そんなタキレンの心を癒す演奏をしようと思い立ったのび太たちは、チャペックが書いた曲を演奏することに。ドラえもんはマエストロハットとなりきり指揮棒(ただのカツラと棒)で指揮者に扮します。
のび太の吹くリコーダーは音が外れていましたが、タキレンの悲しみにはピッタリだったようで雨がやみました。
チャペックが修正した曲で改めて演奏すると、楽しげな曲から、タキレンの悲しみに寄り添った切ないファーレへと変化。完全に雨がやんで綺麗な星空が浮かび上がってきました。
ジャイアン・スネ夫・しずかはプロへとレベルアップ。気持ちが晴れたタキレンは、亡くなった主に二度と会うことができないと悔やんでいたことを明かしました。
そしてのび太たちの演奏により、ファーレエネルギーがチャージされ、新しい場所が目覚めたと同時に、タキレンたちを作った主であるムシーカ人たちの墓が音虫の森の中に姿を現しました。
その墓地の中央にそびえたつのは、ムシーカの女神の像。タキレン曰く、女神が奏でる縦笛のファーレにはどんな悲しみも痛みも癒す力を持っていたといいます。
チャペックがミッカにこのことを黙っていたことを察したタキレンは、墓守である自分の務めだとして、彼女たちにある真実を明かしました。
タキレンたちとミッカの故郷である惑星ムシーカは、はるか昔に大厄災によって滅んだこと。この殿堂はその大厄災から逃れたわずかなムシーカ人とロボットをのせた救命ボートだったことを。
つまりミッカ以外のムシーカ人はもう亡くなっており、ミッカはムシーカ人の最後の生き残りだということです。
主を失った殿堂はタキレンたちロボットと共に永い眠りにつきました。大厄災のことはタキレンでも詳しいことは分からず、殿堂の総支配人であり偉大なファーレの語り部、チャペックの師匠マエストロ・ヴェントーなら分かるはずだと彼はいいました。
それを聞いたチャペックは、ヴェントーから言われた言葉を思い出しました。
「この子に何かあれば、お前も目覚めるようプログラムしてある」「私は奴を見張り続けなければならん。ファーレを絶やすわけにはいかぬ」「この子を、ミッカを頼んだぞ」
真実を知ったミッカはそれでも気丈に振舞い、他のロボットたちを起こしに行こうと先へ向かいます。のび太たちもそんな彼女の姿に心を打たれ、後に続きました。
その時、のび太は心の底からリコーダーを上手く吹けるようになりたいと思いました。するとリコーダーの声が聞こえ、ビギナーからアマチュアへとレベルアップしたのです。
先ほどののび太たちの演奏で目覚めた新しい場所、街では多くのロボットたちが目を覚まし、街のいたるところで楽し気な音楽を奏でていました。
のび太たちもその演奏に加わり、殿堂を賑やかに復活させていきます。するとジャイアンとスネ夫は、黒い生物を発見。その後を追いかけて、ファーレ工場に忍び込みます。
ファーレ工場の指揮者であるロボットのワークナーは、自分のファーレ工場のファーレがおかしくなったのは、ジャイアンたち侵入者のせいだと思い、地下へと叩き落として懲らしめました。
するとジャイアンたちのもとに、増殖した黒い生物が集まってきたのです。それを目の当たりにしたワークナーは、その黒い生物こそ変なノイズの正体だと思いました。
ワークナーの指示により、ジャイアンたちはファーレを奏でます。ジャイアンたちのファーレで黒い生物を半分退治できました。
しかし今度は巨大な黒い生物が出現。ジャイアンたちのファーレにびくともしません。
ワークナーはジャイアンたちにファーレの調和が出来ていないと言い、2人を救い出して黒い生物と対峙するも、いつの間にか分離して背後に忍び寄った黒い生物に襲われてしまいます。
ワークナーのおかげで命からがら抜け出すことができたジャイアンたちは、ハープの川にいるのび太たちと無事合流。明日終業式のため、一度地球に戻ることにしました。
終業式を終えたのび太は殿堂に戻るため、ドラえもんのひみつ道具「ハッスルねじまき(これを背中に当ててねじを巻くと、動作がすばやくなりテキパキ動くようになる)」を使って大急ぎで夏休みの宿題を終わらせました。
そして夜中、のび太は殿堂の復活のため、みんなに追いつこうとお風呂場でリコーダーの自主練をします。
その演奏を聞きながらうつらうつらと眠りに落ちるドラえもん。その寝床に黒い生物が潜り込んできたことに気づかずに…。
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翌日。ドラえもんは喉の調子が悪さを感じつつ、ひみつ道具「どこでもドア」でのび太たちとミッカとチャペックと一緒に殿堂に戻りました。
チャペックの案内により、ヴェントーの神殿がある殿堂のメインアリーナヴェントーの神殿に辿り着いたのび太たち。
しかしそこで、のび太はリコーダーを忘れてきたことを思い出します。ひみつ道具「時空間チェンジャー(過去24時間以内に行ったことがある場所と時間に限られるものの、指定した範囲の時間と空間を入れ替えることができる)」を使ってリコーダーを取りに行きました。
のび太たちが合流した後、一行はヴェントーの神殿へ。チャペックはヴェントーにこれまでのことを嬉々として話しながら、彼のもとに駆け寄ります。
しかしチャペックが目覚めるまでに既に4万年の時が経過しており、たった1人で地球と殿堂を見守りながら作曲を続けていたヴェントーは機能停止となっていたのです。
ドラえもんはひみつ道具を使ってヴェントーを修理・復活させます。ミッカは、なぜムシーカ人は滅んだのか、ヴェントーに尋ねました。
ある時、ファーレにあふれた美しい星であった惑星ムシーカに、ファーレエネルギーを独り占めしようとする者たちが現れ、ムシーカ人たちはファーレを奏でることを禁止されたこと。
それが大いなる厄災「ノイズ」を呼び寄せてしまったこと。「ノイズ」とは宇宙に存在する、星を食べる巨大な宇宙生命体のこと。
ノイズから逃れるためには、もはや故郷である惑星ムシーカを捨てるしか選択肢がなかったと、ヴェントーは惑星ムシーカとムシーカ人たちが滅んだ真相を明かしました。
さらにヴェントーは、長年の研究によりノイズはファーレを嫌うことが分かったといいます。
ノイズはファーレにあふれた星に近づくことはできません。そこでノイズは宇宙の四方八方に自身の胞子を飛ばしました。
生命の住む星に辿り着いたノイズの胞子は、ファーレを奏でるものに憑りついてすべてをノイズ音に変えてしまうのです。
話の途中で、ヴェントーは様子がおかしいドラえもんの症状を一目見て、そのノイズの胞子に憑りつかれていることを見抜きます。
実は、のび太があらかじめ日記を使って地球から音楽を消した間に、小惑星探査機「ハゲワシ2」が宇宙から持ち帰った黒い石に紛れ込んでいた黒い生物ことノイズの胞子が、地球上で密かに活動・増殖していたのです。
そしてそのノイズの胞子の1つが昨夜、就寝中のドラえもんの口の中に入り込み、ドラえもんに異常を引き起こしていたのでした。
地球からノイズを退けるには、殿堂を完全復活させなければなりません。ヴェントーが案内した殿堂のメインスイッチを入れるには、ムシーカの縦笛が必要です。
その縦笛を演奏できるのは、最後のムシーカ人であるミッカのみ。ヴェントーは彼女に、その縦笛を地球に送ったミッカの双子の妹に持たせたといいます。
4万年前、長く苦しい旅の果てに、ヴェントーたちは自分たちと同じ生命が存在する地球という星を見つけました。ムシーカ人最後の子供は、双子でした。
ムシーカ人の血が途絶えてしまわないように、1人は地球に送り、もう1人は殿堂でコールドスリープに入りました。
4万年前・縦笛と聞いて、しずかは音楽の授業で教わった「世界最古の楽器は白鳥の骨でできた笛“白鳥の骨製のフルート”、上野の博物館で実物を見ることができる」ということを思い出します。
どこでもドアを使って上野の博物館に向かったのび太たちは、その白鳥の骨製のフルートを発見。ひみつ道具「オモイデコロン(このコロンを物にかけると、その持ち主の夢の中に、その物との思い出が浮かんでくる)」を使って、白鳥の骨製のフルートの思い出を見ます。
白鳥の骨製のフルートはミッカの双子の妹が持つ縦笛を真似たものでしたが、その思い出の中にいるミッカの双子の妹は、その白鳥の骨製のフルートを作った少年と出会い恋に落ち、幸せな家庭を作っていたことが判明。
さらにミッカの双子の妹が歌っていた歌は、ミッカの母親が歌っていた子守歌と、スネ夫がコンサートに行く予定だった世界的な歌姫ミーナの歌に似ていたのです。
ミッカはドラえもんたちの協力のもと、ワールドツアーで来日していたミーナを訪ねます。ミーナは縦笛を持っていました。
ミーナはその縦笛が「ドイツの祖母がくれたお守り」だと話しつつも、「可愛らしいファンの頼みごと」として、ミッカに縦笛を貸すことに承諾しました。ミーナこそ、ミッカの双子の妹の血をひいた子孫だったのです。
しかしその直後、ドラえもんはノイズの胞子に侵され、ついに機能停止してしまいました。のび太たちは急いでいつもの空き地に移動し、ドラえもんを治そうとミッカと一緒に演奏をします。
しかし各々が好きに演奏するため、ファーレの調和が乱れて上手くいきません。それをのび太のせいだと責めるジャイアンとスネ夫をしずかが咎め、ますます不穏な空気に………。
のび太は自身の演奏を止めようとするジャイアンの手を振り払い、「僕だって練習したんだ。僕だってみんなと一緒に演奏したいんだ!」「ドラえもんを治したいんだ!」と涙ながらに訴え、必死にリコーダーを演奏します。
それを見てしずかたちは落ち着きを取り戻し、のび太に合わせて演奏し、ミッカも歌い出しました。
するとドラえもんは突如くしゃみをします。その拍子で出てきたノイズの胞子は、のび太たちのファーレによって消滅しました。
ドラえもんは元に戻り、「のび太くん、ちゃんと聞こえていたよ。君のリコーダー」と涙を浮かべながら笑顔で拍手を送りました。
さらにこの演奏により、しずか・ジャイアン・スネ夫はプロからヴィルトゥオーゾに、のび太はアマチュアからプロにレベルアップ。のび太たちはノイズから地球を守るため、どこでもドアを使って殿堂に戻ります。
そして戻って早々、のび太たちはファーレを奏で、ノイズの胞子たちに襲われそうだったヴェントーたちの危機を救いました。
縦笛を持つミッカとのび太はメインスイッチへ。ドラえもんたちとヴェントーたちは、ノイズの胞子を足止めをします。
ミッカの演奏により、メインスイッチは5つのうち4つ起動しましたが、縦笛は一部欠けているため、殿堂の復活にあと一音足りません。
さらに追い打ちをかけるように、ミッカたちのもとにもノイズの胞子が襲来。ミッカを守るために吹いたのび太の「ノ」の音、これが最後の一音だったようでメインスイッチが入り、殿堂が完全復活しました。
これにより、殿堂中に蔓延っていたノイズの胞子はすべて消滅。
(C)藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2024
のび太たちはミッカとロボッターをつけたのび太たちのオモチャ、メインアリーナに集ったヴェントーたち音楽家ロボットと共に、地球に迫るノイズの撃退のため、地球の音楽に触れたチャペックが作曲した「地球交響楽(ちきゅうシンフォニー)」を演奏します。
ノイズが弱体化し退いたかと思いきや、ミッカとのび太たちを殿堂から宇宙空間に飛ばしたのです。そこは空気も音もない世界でした。
ですがそこへ、のび太たちのオモチャが奏でるファーレが聞こえてきたのです。それによって散り散りになっていたのび太たちは無事合流し、ファーレを奏でます。
さらに地球からファーレが響き渡りました。地球から、そして殿堂と宇宙空間に響き渡るファーレにより、今度こそノイズを撃退・消滅させることができました。
どうして無音の宇宙空間に音が響いたのか不思議に思うドラえもんのもとに、時空間チェンジャーが降ってきます。
実はノイズに対抗しようと、ドラえもんが四次元ポケットからひみつ道具やガラクタを無造作に宇宙空間に放り出したことがきっかけで、偶然にも時空間チェンジャーのスイッチがオンに。
取り替えた場所は、のび太がリコーダーを取りに行った昨日の夜中の風呂場でした。
そしてそれらの出来事は、のび太が自分の日記帳だと思ってあらかじめ日記に書いた、「7月20日。今日わ、みんなでおふろに入った。たのしかった。」という内容によって引き起こされていたのです。
その後、殿堂と共に地球を離れることになったミッカは、別れたのび太たちを思い、寂しげに宇宙を眺めていました。
そこへチャペックが現れ、ヴェントーからムシーカを逃れた別の船から信号を受け取ったと聞いたと話します。
ノイズを退けた時のファーレが、ミッカたちの他に生き残っていたムシーカの人々に、ミッカたちのことを伝えてくれたからだと。
ミッカはのほほんメガネと呼んでいたのび太のことを「のび太おにいちゃん」と呼び、感謝を伝えました。
一方9月13日、夏休みが終わった小学校ではついに秋の音楽会が行われ、のび太たちが奏でる「白鳥のエチュード」の最後は、のび太の吹いた「ノ」の音で締めくくられました。
さらに音楽室の窓から、「の」の形をしたファーレエネルギーの粒子が空に向かって舞い上がるのでした。
映画『映画ドラえもん のび太の地球交響楽(シンフォニー)』の感想と評価
(C)藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2024
リコーダーが苦手なのび太が、ミッカとの出会いをきっかけに音楽を奏でる楽しさを知りました。
そしてそんなのび太の努力する姿を見て、みんなと一緒に楽器を演奏してドラえもんを治したい気持ちを知ったジャイアンとスネ夫が、しずかと一緒に彼に合わせて楽器を演奏したのはとても心がほっこりとします。
なんだかんだ言って、やっぱりのび太のことを大事な友達だと思って放っておけないのだなと。
その他にも、なかなかリコーダーが上達しないのび太を一番近くで見守ってきたドラえもんが、彼らの奏でるファーレによって元に戻った時、のび太のリコーダーの演奏に拍手して喜んだのがまたジーンときます。
また、のび太たちが四苦八苦しながらそれぞれの楽器の演奏を上達させていき、殿堂を少しずつ復活させていくたびに出会う個性豊かな音楽家ロボットたちの出会いにほっこりしたり、ふっと笑ってしまう面白さもあって終始楽しいです。
そして何といっても物語の終盤、のび太たちとヴェントーたちによる最高の地球交響楽、ノイズを退けた時の地球と殿堂による楽し気なファーレを聞けば、音楽が好きな人も音楽が苦手な人もほうっと思わず聞き惚れ感嘆することでしょう。
また、のび太たちがそれぞれの楽器の演奏を上達させていく姿は、のび太のように楽器の演奏が苦手な人や楽器の演奏の上達に悩んでいる人に、自分も諦めずに努力すればきっとと勇気と自信を与えてくれます。
まとめ
(C)藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2024
地球を守るため、のび太たちと音楽の殿堂のミッカたちの音楽(ファーレ)が奏でられ響き合う、心温まるSFアニメーション作品でした。
エンドロール中の映像には、ノイズを退けた後の出来事をうつした写真が流れました。
音楽会に向けて、ドラえもんとミッカたちに支えられながら「白鳥のエチュード」を練習するのび太。
自宅でバイオリンを披露するしずか、空き地でリサイタルを開いたジャイアンと、その歌声に苦しむスネ夫と同級生たち。
川原でリコーダーを演奏するミッカとチャペック、のび太・しずか・スネ夫・ジャイアン。のび太の家の屋根の上で、猫たちと音楽会を開いているドラえもん。
殿堂で仲良く肩を組んで歌うヴェントーたち。そして別れの日、のび太に抱き着くミッカと、それを見守るドラえもんたち。
飛行機の中で、縦笛を返したミッカの手紙を読むミーナ。有効期限が切れたのび太たちの音楽家ライセンス。
2匹の猫が仲睦まじく塀の上で寄り添う姿。川原で1人リコーダーを練習するのび太。
そして最後に、壁画に描かれた白鳥を眺めるミッカの双子の妹と、その家族の姿。
のび太の机の上に置かれた、のび太が「9月13日。今日わ、みんなで音楽をした。たのしかった!」と書いたあらかじめ日記と、「ありがとう、のびたおにちゃん」とミッカの字で書かれたムシーカの絵本が描かれていました。