著名人から大絶賛の《DCマルチバース》ムービーの全容は?
DCコミックスの大人気ヒーローであるスーパーマンを主人公とした映画『マン・オブ・スティール』(2013)から続き、集合作である『ジャスティス・リーグ』(2017)も制作された「DCエクステンデッド・ユニバース(DCEU)」。
「DCEU」は『バットガール』の公開中止を始めさまざまな問題が噴出し、キャスティングや物語を一部リブートした「DCユニバース」に計画が移されることになりました。
2023年、主演俳優の逮捕騒動や「DCユニバース」への移行の混乱の最中に公開された「DCEU」12作目となる映画『ザ・フラッシュ』。その制作背景の混乱とは裏腹に、本作は多くの著名人から大絶賛を受けました。
今回はそんな「DCEU」が描いた新感覚のマルチバース映画『ザ・フラッシュ』を、ネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。
CONTENTS
映画『ザ・フラッシュ』の作品情報
【日本公開】
2023年(アメリカ映画)
【原題】
The Flash
【監督】
アンディ・ムスキエティ
【脚本】
クリスティーナ・ホドソン
【キャスト】
エズラ・ミラー、サッシャ・カジェ、マイケル・シャノン、ロン・リビングストン、マリベル・ベルドゥ、キアシー・クレモンズ、アンチュ・トラウェ、マイケル・キートン
【作品概要】
『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(2017)とその後編作『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』(2019)を手がけたアンディ・ムスキエティが監督を務めた「DCEU」12作目にあたる作品。
主人公のバリー・アレンを『ジャスティス・リーグ』のエズラ・ミラーが引き続き演じ、本作で「DCEU」初登場となる“スーパーガール”をサッシャ・カジェが演じ「ラテン系俳優が演じる初のスーパーガール」となりました。
映画『ザ・フラッシュ』のあらすじとネタバレ
警察の法医学捜査官の傍ら「ジャスティス・リーグ」所属のスーパーヒーロー“フラッシュ”として活動するバリー・アレンは、通勤前にアルフレッドからの要請で病院の崩壊から現地に居た人間を救い出します。
死のウイルスを盗み出した男を“バットマン”とブルース・ウェインと“ワンダーウーマン”ことダイアナ・プリンスが確保し、バリーは自身の日常に戻ります。
自身の父親ヘンリーが母親のマリベルを殺害した罪で逮捕されているバリーは、父の上訴審を翌日に控えていました。
バリーの幼少期、マリベルが午前に買い忘れたトマト缶を買うために家を出たヘンリーは、帰宅時に何者かによって刺されているマリベルを発見し、救急車をバリーに呼ばせますが、彼女はそのまま死亡してしまいます。
その後、「ヘンリーがスーパーにいた」というアリバイを証明するのは、スーパーの映像が不鮮明な防犯カメラのみと判明。またブルースの協力を経て解析された映像には、トマト缶を棚の下段から取る男性が映っていたものの、顔を下に向けていたためにヘンリーの無実の証明は叶わなかったのです。
その日の夜、事件のことを思い出したバリーは自身の能力を使い、無心で走るうちに病院崩壊の過去に戻っていたことに気づきます。
「この能力を使えば、過去のすべてを良い方向に変えられる」と考えるバリーでしたが、その話を聞いたブルースは過去の物事を変えることの危険性を説いた上で「悪い過去が今の自分たちを作った」と言います。
ブルースと別れたバリーのもとに、元同級生であり想い人でもあった記者のアイリスが現れます。そしてアイリスとの会話の中で、マリベルを殺害した真犯人がただの空き巣目的の泥棒であったことを確信します。
母マリベルがトマト缶を買い忘れなければ父ヘンリーが家を出ることもなく、マリベルが死ぬこともなかったと気づくバリー。彼は自身の能力で過去に戻り、未来に影響を及ぼさないために「マリベルの買い物カゴにトマト缶を入れる」という改変だけを行い未来に戻ろうとします。
しかし、未来へ戻る途中で自身と同じ能力を持つ何者かに邪魔され、バリーは2013年にはじき出されてしまいます。
生きているマリベルと少しの時間ながらも再会した後、バリーはマリベルが生きていたことで自由気ままに生き続けるという未来を辿った18歳のバリーと遭遇。
軽すぎる2013年のバリーの性格に呆れながらも、バリーは未来の世界に戻ろうとしますが、その30分後に「自身が“フラッシュ”の能力を手にした、落雷事故が発生する瞬間」が訪れることに気づきます。
法医学捜査官のインターンシップ中に落雷と薬品を浴びて能力を手にしたバリーでしたが、マリベルが生存したことで過去のバリーは経済学を専攻しており、このままでは未来の自分も能力を手にしない危険性があると考えます。
バリーは過去のバリーを連れて落雷事故の現場に潜入し、落雷事故の場に過去のバリーを座らせますが、雷がバリーを貫通し過去のバリーに当たったことで、バリーは力を失ってしまいます。
翌日以降、自身の代わりに力を得た過去のバリーに“フラッシュ”のイロハを教えるバリーは、街中でゾッド将軍が地球に現れたニュースが騒がれていることに驚愕。
“スーパーマン”を回収するため地球に現れたゾッド将軍とスーパーマンとの戦いで多くの犠牲者が出ることを知るバリーは、犠牲者を少しでも減らすために”ジャスティス・リーグ”のメンバーを集めることにしました。
映画『ザ・フラッシュ』の感想と評価
“著名人たちの大絶賛”が納得できるヒーロームービー
主演のエズラ・ミラーがハラスメントや暴行などの犯罪によって複数回に渡る逮捕となり、公開そのものも危ぶまれることになった映画『ザ・フラッシュ』。しかし、公開が迫り関係者への試写が始まると、騒動の存在が嘘かのごとく評価が絶賛に染まりました。
俳優のトム・クルーズや小説家のスティーヴン・キング、「DCユニバース」の総監督として就任したジェームズ・ガンも「史上最高のスーパーヒーロー映画」と称賛しており、著名人たちの絶賛によって前評判が過去にないほどに高まった本作。
そんな本作は、初登場となる『ジャスティス・リーグ』では最速の能力を持っていながらも、性格的には半人前だった“フラッシュ”ことバリー・アレンの成長の物語。
まだまだ1人前ではないバリーが、半人前以下の過去の自分と出会い「己の運命」の対峙していく様を描いた本作は、ひとつのヒーロー作品として大絶賛の意味が分かる作品となっていました。
ファン待望の“マイケル・キートンのバットマン再演”が実現
「DCEU」の世界では、ブルース・ウェインこと“バットマン”を監督としても高い評価を受ける俳優のベン・アフレックが演じていました。
本作でもベン・アフレックが演じるブルースは、バリーの友人であり仲間として彼を支えるポジションとして再び登場しますが、一方でバリーが過去を改変したことで生じた「マルチバース」のブルースも登場します。
本作で別次元のブルースを演じたのは、ティム・バートンによって制作された『バットマン』(1989)と、その続編でブルースを演じたマイケル・キートンでした。
もともと「マイケル・キートンによるブルースの再演」という一大イベント自体は『バットガール』で予定されていましたが、『バットガール』が公開未定になってしまったことで、ファンはやきもきした気持ちを抱えていました。
そんな中、公開すら危ぶまれた『ザ・フラッシュ』で登場したマイケル・キートンのブルースは、ティム・バートン版のブルースの魅力をそのままで描かれており、待ち望んだ姿がそこにありました。
物語のラストには「バットマン」シリーズのファンに向けたサプライズも用意されており、過去に一度でも「バットマン」映画を観たことのある人には是非とも観てほしい作品です。
まとめ
ヒーロー映画としてのストレートな成長要素と、マルチバース映画としてのサプライズと驚きに富んだ物語構成。
“スーパーガール”を演じたサッシャ・カジェが引き込まれるような魅力を見せ、マイケル・シャノンが『マン・オブ・スティール』から引き続きヴィランのゾッド将軍を演じるなど、「DCEU」のファンを続けてきた人に対するプレゼントのような盛りだくさんな内容となった映画『ザ・フラッシュ』。
「過去が今の自分を作った」というシンプルなメッセージが心に深く食い込むような作品であり、さまざまな楽しみ方ができる作品となっていました。