大人気スパイアクション映画「007」シリーズ第22作!
マーク・フォースターが監督を務めた、2008年製作のアメリカ・イギリス合作の大人気スパイアクション映画『007/慰めの報酬』。
英国情報局秘密情報部「MI6」の諜報員ジェームズ・ボンドが、任務を共にした愛する女性ヴェスパーを操っていた男ミスター・ホワイトを捕らえ、その背後にある組織を探っていく姿とは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。
前作『007/カジノ・ロワイヤル』(2006)の続編である、「007」シリーズ第22作目『007/慰めの報酬』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。
CONTENTS
映画『007/慰めの報酬』の作品情報
(C)2015 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. and Danjaq, LLC.
【公開】
2009年(アメリカ・イギリス合作映画)
【原作】
イアン・フレミング
【監督】
マーク・フォースター
【キャスト】
ダニエル・クレイグ、オルガ・キュリレンコ、マチュー・アマルリック、ジュディ・デンチ、ジェフリー・ライト、ジェマ・アータートン、イェスパー・クリステンセン、デヴィッド・ハーバー、アナトール・トーブマン、ロリー・キニア、ジャンカルロ・ジャンニーニ、ホアキン・コシオ、ホアキン・コシオ、フェルナンド・ギーエン・クエルボ、スタナ・カティック、ニール・ジャクソン、サイモン・カシアニデス
【作品概要】
『ネバーランド』(2004)のマーク・フォースターが監督を務めた、アメリカ・イギリス合作のスパイアクション作品。
前作『007/カジノ・ロワイヤル』(2006)に引き続き、『レイヤー・ケーキ』(2004)のダニエル・クレイグが主演を務めています。
本作は、ダニエル・クレイグが主人公のジェームズ・ボンドを演じた2作目の作品であり、「007」シリーズ第22作目にあたります。
本作のタイトルは、イギリスのスパイ小説・冒険小説家イアン・フレミングの『007号の冒険』に掲載されていた短編小説から取ったものですが、本作にその物語の要素は一切含まれていません。
映画『007/慰めの報酬』のあらすじとネタバレ
(C)2015 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. and Danjaq, LLC.
前作『007/カジノ・ロワイヤル』(2006)の物語のラストにて、英国情報局秘密情報部「MI6」の諜報員ジェームズ・ボンドは、任務を共にした金融活動作業部会(通称:FATF)の女性職員ヴェスパー・リンドを操っていた男ミスター・ホワイトの足を撃ちました。
謎の組織の車と激しいカーチェイスを繰り広げた末、ボンドはミスター・ホワイトを、イタリアの古都シエーナで待っていたMI6の部長Mの元へ連行しました。
そこでボンドはMから、ヴェスパーが救おうとしていた彼女の恋人が、地中海西部のバレアレス諸島にある島「イビサ島」の海岸にて、死体として発見されたことを知らされました。
しかし、溺死したヴェスパーが小箱にしまっていた彼の毛髪を使って、DNA検査をしたところ、魚に食われ死んだ彼はヴェスパーの恋人ではなかったのです。
ヴェスパーの恋人の行方や、ミスター・ホワイトの背後にある国際的犯罪組織について調べるべく、Mとボンドはミスター・ホワイトを尋問します。
これに対しミスター・ホワイトは、余裕の笑みを浮かべながらこう言いました。「我々はこう思っていた、“相手は天下のMI6とCIA。何もかも筒抜けだ”」
「我々の存在を知らないのか?」「じゃあ教えよう。我々の仲間はあらゆる場所に出向いている。そうだろう?」
そう問いかけられたMI6の諜報員C・ミッチェルは、突如隣にいた同僚と、5年間護衛を務めていたMを目掛けて銃を発砲します。
ボンドはMI6を裏切ったミッチェルを生け捕りにはせず、殺してしまいました。挙句の果てに、肝心のミスター・ホワイトに逃げられてしまいました。
イギリス・ロンドン。ミッチェルの自宅を家宅捜査していたMの元へ、ボンドが帰還。Mはミッチェルを殺したことを叱責します。
ミッチェルの自宅から裏切った証拠は出なかったものの、彼の所持金を分析検査した結果、ボンドたちはある1人の男の存在に辿り着きます。
その男の名はエドムンド・スレイト。彼はミッチェルが残した紙幣と同じ連番の紙幣を持っており、その紙幣はミスター・ホワイトに殺された男ル・シッフルが、世界各国のテロ組織の資金を預かり、マネーロンダリング(資金洗浄)したものでした。
早速ボンドは、ロンドンからカリブ諸島の国ハイチへと渡り、ストレイトが滞在するホテルに突撃。しかしまたしても生け捕りにすることが出来ず、ストレイトを殺してしまいます。
(C)2015 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. and Danjaq, LLC.
またしても何の手掛かりも得ることが出来ず、途方に暮れるボンド。とりあえず外見が似ているスレイトに成りすまして、フロント係から彼の預かり物のブリーフケースを受け取り、ホテルを出ました。
するとそこへ、スレイトの商談相手カミーユが現れます。とりあえずボンドはスレイトに成りすまし、カミーユとの商談を進めていきました。
しかし、ブリーフケースの中身にはカミーユが欲していた地図の他に、銃が入っていました。そう、スレイトはカミーユの商談相手ではなく、彼女を殺そうとする殺し屋でした。
それに気づいたカミーユは、ボンドを車から追い出し、埠頭へ向かいました。ボンドはカミーユを監視していた男からバイクを奪い、カミーユを追跡すると、ドミニク・グリーンというフランス人実業家に辿り着きました。
グリーンの表の顔は環境保護を行う慈善団体「グリーン・プラネット」のCEOですが、その裏の顔はボリビアの砂漠にある天然資源の採掘利権を得るため、ヨーロッパと中南米を行き来し、元ボリビア軍事政権トップであるメドラーノ将軍のクーデターを支援する巨大組織の幹部でした。
グリーンはカミーユの本当の目的を見抜き、彼女をメドラーノ将軍へ売り飛ばしました。その埠頭でのやり取りを見ていたボンドは、メドラーノ将軍とカミーユが乗る小型船を追いかけ、彼女を救出します。
その後、グリーンは手下を連れて飛行場を訪れ、そこに止まっていたチャーター機である人物と合流しました。中央情報局「CIA」の南米支局長グレッグ・ビームとその部下であるCIAのエージェント、フィリックス・ライターです。
グリーンは、秘密裏にビームとも連絡を取っており、「ボリビアのクーデターは阻止せず、新政権は米国に、砂漠にある天然資源と石油の採掘権を貸与する」という取引をしていました。
さらにこの天然資源と石油の採掘利権を巡って、様々な駆け引きが裏で繰り広げられており、そこにはイギリス首相付き特命大使G・ヘインズや、イギリスの外務・英連邦・開発長たる国務大臣「外務・英連邦大臣」も関わっていたのです。
それを知った直後、ボンドはグリーンが観劇に訪れたオーストリア・ブレゲンツのオペラ劇場にて、グリーンと直接対峙しました。
激闘の末、グリーンの手下たちを倒したボンドでしたが、彼が最後に始末した男は、ヘインズを護衛していた特別警備部の部員であることが判明。Mから今すぐロンドンに戻ってくるよう命じられてしまいます。
映画『007/慰めの報酬』の感想と評価
(C)2015 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. and Danjaq, LLC.
復讐に燃えるボンドとカミーユ
大事な人を殺した者への復讐心に囚われたボンドとカミーユ。偶然ハイチの街で出会った2人が、グリーンが企てた陰謀を阻止するべく、巨悪な敵に挑んでいきます。
グリーンの策略により、ボンドがCIAからもボリビア国家警察からも、ましてや祖国や味方であるはずのMI6にまで追われる身となってしまった時はどうなるかとヒヤヒヤさせられますが、さすがボンドです。
幾度となく追っ手を撒いただけでなく、フィリックスやマティスといった強力な協力者を手に入れました。
しかしマティスは、知人であったカルロス大佐に裏切られ、ボンドの目の前で殺されてしまいました。そして、ただ空港でボンドを出迎えただけのフィールズも、変わり果てた姿で見つかりました。
2人の死は、ボンドが自分と関わったせいで、大事な人の命が奪われてしまうことを痛感した場面。言葉に表せないほどの悲しみを背負ったボンドの姿は、観ているだけで辛く悲しいです。
またボンドのおかげで、家族を嬲り殺しにされた恨みを果たせたカミーユも、初めて人を殺してしまったことへの恐怖を感じたとともに、心にポッカリと穴があいたような虚しさだけが残ってしまったのが彼女の表情から見て取れます。
天然資源と石油の採掘利権を欲する者たち
(C)2015 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. and Danjaq, LLC.
ボリビアの砂漠にある天然資源と石油の採掘利権を欲しているのは、グリーンだけではありません。イギリス政府の中枢の一部も、世界各国の大物たちも狙っていました。
全ては天然資源と石油を手に入れ、巨万の富を得るためという欲にまみれた理由でした。しかしグリーンの本当の狙いは天然資源でも石油でもなく、水だったことが物語の後半で明らかとなります。
ダムを建設し、石油よりも生活していく上で必要不可欠な水をせき止め枯渇されることで、さらなる富を得ようというのです。
メドラーノ将軍たち取引相手でさえ、最後までそれに気づけなかったほどのクァンタムの策略と狡猾さに舌を巻きます。
まとめ
(C)2015 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. and Danjaq, LLC.
MI6の諜報員とボリビアの諜報部員が、大事な人を殺された復讐心に囚われつつ、ボリビアの砂漠にある天然資源と石油の採掘利権を狙う巨悪に挑んでいく、アメリカ・イギリス合作のスパイアクション作品でした。
本作の見どころは、前作『007/カジノ・ロワイヤル』(2006)で愛する女性ヴェスパーを失ったことへの悲しみと怒りを抱えつつ、MI6の諜報員として冷静に任務を全うしなければならないボンドの苦悩と、世界各地で彼が繰り広げる激闘の数々です。
本作は前作『007/カジノ・ロワイヤル』(2006)以上に、ド派手で迫力があるアクション場面が描かれていることが多く、特に物語の序盤、崖沿いの道路で展開されるカーチェイスはとてもスリリングなアクション場面となっています。
ただ、わだかまりが解けボンドと友情を築いたマティスと、全身石油まみれにされ殺されたフィールズの死は、ヴェスパーの自死以上に衝撃を受ける場面です。
グリーンやミスター・ホワイトが属する巨大組織の名前は、本作のタイトル「Quantum(クァンタム)」からとったものとなっています。ボンドとクァンタムの戦いがどんな結末を迎えるのか楽しみです。
愛する人を失った悲しみと怒りを抱えるジェームズ・ボンドが、世界各地に根を張りめぐらせる巨大組織の陰謀を阻止する、ハラハラドキドキのスパイアクション映画が観たい人に、とてもオススメな作品となっています。