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Entry 2023/11/16
Update

【ネタバレ】映画メモリーMEMORY|あらすじ結末感想と評価解説。リーアム・ニーソンがアルツハイマーを発症した殺し屋を演じる

  • Writer :
  • 秋國まゆ

リーアム・ニーソン主演のタイムリミット・アクション!

マーティン・キャンベルが監督を務めた、2022年製作のアメリカのタイムリミット・アクション映画『MEMORY メモリー』。

「完璧な殺し屋」として裏社会で名を馳せてきた主人公アレックスは、アルツハイマーを発症し任務の詳細を覚えられなくなってしまったことから引退を決意します。

これが最後と決めて引き受けた仕事のターゲットは少女でした。アレックスは怒りに震えて契約を破棄します。

「子どもだけは守る」という唯一の信念を貫くため、アレックスは独自の捜査を開始。やがて財閥や大富豪を顧客とする、巨大な人身売買の存在を突き止めます……。

映画『MEMORY メモリー』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。

映画『MEMORY メモリー』の作品情報


(C)2021, BBP Memory, LLC. All rights reserved.

【公開】
2022年(アメリカ映画)

【原作】
ジェフ・ヒーラールツ『De Zaak Alzheimer』

【監督】
マーティン・キャンベル

【キャスト】
リーアム・ニーソン、ガイ・ピアース、モニカ・ベルッチ、ジョシュ・テイラー、タジ・アトウォル、ハロルド・トレス、レイ・フィアロン、レイ・スティーヴンソン、ダニエル・デ・ボーグ、ナタリー・アンダーソン、リー・ボードマン、アタナス・スレブレフ、ミア・サンチェス、アントニオ・ジャラミロ、スコット・ウィリアムズ、レベッカ・カルダー、ソフィア・ソルテス、ルイス・マンディロア

【作品概要】
007 ゴールデンアイ』(1995)や『007 カジノ・ロワイヤル』(2006)のマーティン・キャンベルが監督を務めた、アメリカのタイムリミット・アクション作品。

ベルギーの作家ジェフ・ヒーラールツの『De Zaak Alzheimer』を原作とし、同小説を映画化したベルギー映画『ザ・ヒットマン』(2003)のリメイク作品でもあります。

「96時間」シリーズなどで知られるアクションスターのリーアム・ニーソンが主演を務め、『L.A.コンフィデンシャル』(1997)や『アイアンマン3』(2013)のガイ・ピアース、『007 スペクター』(2015)や「マトリックス」シリーズのモニカ・ベルッチら豪華キャスト陣と共演しています。

映画『MEMORY メモリー』のあらすじとネタバレ


(C)2021, BBP Memory, LLC. All rights reserved.

メキシコ・グアダラハラ。「完璧な殺し屋」として、裏社会でその名を馳せてきたアレックス・ルイスは、看護師に扮して病院に潜入していました。

その病院に入院する母の見舞いに来た標的の男を絞殺し「夕食には帰宅する」という任務完了を意味する暗号文を送信した上で、その携帯電話を解体しました。

さて帰ろうと車の鍵を取り出そうとした時、アレックスは一瞬車の鍵をどこにしまったか忘れてしまいます。アレックスはアルツハイマーを発症してしまったのです。さらに任務の詳細を覚えられなくなってしまい、アレックスは引退を決意しました。

アレックスは、メキシコシティに住む仲介人のマウリシオに、引退したい旨を伝えました。

マウリシオはアメリカ・テキサス州エルパソにいるアレックスの兄弟の存在を仄めかし、彼に「引退のことは忘れろ。俺たちに引退はない」と言って仕事をやらせます。これが最後の仕事と決めて引き受けたアレックスは、故郷であるエルパソに向かいました。

テキサス州エルパソ。メキシコ連邦警察と共同捜査で人身売買組織を追っているFBI捜査官のヴィンセント・セラは、捜査対象のレオンへの囮捜査を行います。

買春をさせられていたレオンの娘ベアトリスが彼の服を脱がそうとしたその時、服の下に隠していた盗聴器を発見。大声で自分を呼ぶ娘から、客だと思っていた彼が警察官だと知ってパニック状態に陥ったレオンは、なんと娘を人質にとったのです。

ヴィンセントの同僚リンダ・アミステとコールマンとハウ、メキシコ連邦警察の刑事ウーゴ・マルケスは現場に急行。ヴィンセントと一緒に銃を下ろすよう呼びかけます。

しかしレオンはひどく興奮しており、娘も彼女のこめかみに突きつけた銃も離そうとしません。そのためヴィンセントは彼の腕を掴んでまず娘を救出します。

二人が揉み合いになった末、レオンは部屋の窓から転落して死亡。父の死を目の当たりにしたベアトリスは、ヴィンセントを睨みつけながら当局に連行されました。

傷の治療を受けていたヴィンセントのもとに、彼の上司ジェラルド・ヌスバウムがやってきて「お前のせいで、アメリカ・メキシコの国境の両側で多額を費やした11か月の捜査が水の泡となった」と叱責します。

エルパソにあるホテル「メトロ・ホテル」。デヴィッド・マーシャルという偽名を使ってチェックインしたアレックスは、ホテルのバーで今回の仕事の仲介役を担うウィリアム・ボーデンと話をします。

ボーデンは二人の標的をどう殺すのか詳細を訪ねましたが、アレックスは「知らない方がいい」と答えます。

アレックスは部屋に戻り、端末に入っている標的の情報を確認。一人目の標的である建設業者のエリス・ヴァン・キャンプの自宅に侵入します。

アレックスはエリスに銃で脅し、依頼人が欲しているUSBを金庫から出させました。その瞬間、家にいないと思っていたエリスの娘が帰宅。アレックスは子どもに気づかれないように、エリスの首を腕で絞めて殺害しました。

「夕食には帰宅する」という暗号文をボーデンに送ったアレックス。その直後、もう一度資料を読み返したアレックスは、その中に少女の写真が入っていることに気づき、嫌な予感がしました。

翌日。ヴィンセントとリンダは、エリス殺害事件の現場に到着。この事件を担当するエルパソ警察の刑事ダニー・モーラから、呼んでもいないジェラルドが現場を踏み荒らしたことに加え、エリスの妻ウェンディと親密な関係にあるのではないかと言われます。

ヴィンセントたちはジェラルドに邪魔されながら、ウェンディに事情聴取を行いました。

ウェンディは「夫に仕事上で恨みを抱いていそうな相手がいるかは分からないが、金庫が開いていたから強盗の仕業ではないか」と答えました。彼女が警察に通報するのではなくジェラルドに連絡したことと、彼にだけそのことを先に話していたことについて、ヴィンセントたちは不審に思いました。

一方アレックスは、介護施設にいる兄に会いに行きました。彼の兄も同じく、アルツハイマーを患っていました。

アレックスは兄のことを思い出すきっかけとなったコインを兄に握らせたうえで、昔はよく二人で見ていたバスケの試合を最近は見ていないどころか、最後にいつ見たか思い出せなくなったことを話しました。

FBI児童労働搾取特捜班。ヴィンセントたちは突然、ジェラルドからチームの解散と、マルケスの帰国を告げられます。

その決定に納得がいかないヴィンセントとマルケスは抗議するも、ジェラルドは取り合おうとしません。それどころか、ジェラルドは「ベアトリスのことはいいから、ヴァン・キャンプ殺害事件の捜査に集中しろ」とヴィンセントに命じたのです。

その後ヴィンセントは、唯一の証人であり被害者でもあるベアトリスを守るため、エルパソ移民収容施設からグループホームに移動させました。

ヴィンセントはグループホームの女性職員に事情を話し、カウンセラーと学校を手配してもらうことに。そんな彼に少なからず恩を感じたのか、ベアトリスは彼と最初に会った時に描いた砂漠の絵をプレゼントしました。

その日の夜。アレックスは2人目の標的を殺そうとしましたが、その直前で標的が少女であることに気づき、その場から立ち去りました。

翌日。怒りに震えたアレックスは、ボーデンを呼び出し、契約を解除すると告げます。ボーデンが思わず「雇われの身のくせに偉そうに……」と悪態をつくと、アレックスはさらに怒り顔を殴りました。

アレックスは、USBは自分が持っていることと、ボーデンの名前と住所も知っていることを伝えたうえで、「あの子を殺したらタダじゃおかない」と彼を脅しました。

その日の夜。メトロ・ホテルのバーで1人酒を飲んでいたアレックスは、酔っ払いに絡まれて困っている美女マリヤを救出。マリヤとそのまま一夜を共にしましたが、悪夢にうなされてしまいます。

その頃リンダは、マルケスを飲みに誘い、彼を励ました。その時ふと目に入った、マルケスが首につけている6個のチャームが気になり、リンダはその理由を尋ねます。

マルケスは、若くして糾弾され殉教した聖イネスだと答え、メキシコ・フアレスで行った事件の捜査について語りました。そこでは大勢の女性が行方不明になっているのですが、警察は住民を番号としてみているせいなのか何もしません。

そんなある日、13歳の少女エミリアナが工場から帰宅中に消えてしまいました。その4か月後、街の子供たちがエミリアナの遺体を発見しました。

エミリアナの身に何が起きたのか、みんな知っていました。エミリアナは、麻薬カルテルに近い兵士と車に乗ってしまったのです。

エミリアナの母と姉妹は、全市警の壁に彼女の写真を貼りました。マルケスも密かに証拠を集めました。しかし起訴状を見た兵士の上官が、メキシコ・シナロアへ異動させたのです。

それから3週間後、マルケスの職場の前の橋に、エミリアナの母とおば、3人の姉妹が吊るされていました。

以下、『MEMORY メモリー』ネタバレ・結末の記載がございます。『MEMORY メモリー』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)2021, BBP Memory, LLC. All rights reserved.

翌朝。ヴィンセントは規制テープが張られたグループホームに到着。ベアトリスの変わり果てた姿を見て愕然としました。

マルケスは空港へ向かう際、ベアトリス殺害事件のニュースの中で、「子どもへの暴力の背後にはカルテルがいる」と報じた女性アナウンサーの言葉を聞きました。

同時刻。マヤとの別れ際に見たそのニュースを見たアレックスは、まさか自分がやったのではないかと思い、マヤに昨夜は一晩中一緒にいたかと何度も尋ねます。

そしてマヤから、自分は彼女と一緒にいたと確認がとれたアレックスは、荷物を持って急いでホテルから出ようとしました。

しかしアレックスが偽名で借りたレンタカーには爆弾が仕掛けられており、さらに味方だったはずのマウリシオが彼を殺しにきたのです。そこへマヤが、アレックスが部屋に忘れてきた薬を届けに現れ、マウリシオは彼女を撃ち殺しました。

これにアレックスは大激怒。駐車場での銃撃戦の末にマウリシオを叩きのめし、マヤの死体をトランクに乗せたレンタカーの運転席に彼を座らせて爆破しました。

ヴィンセントはこの自動車爆破事件の現場に到着。ダニーから、トランクにあった身元不明の女性の首に、ベアトリスと同じ32口径の弾が検出されたことを知らされました。

その日の夜。一人でビリヤードバーにいたヴィンセントのもとに、マルケスがやってきます。

マルケスは上司に絞られてもいい覚悟で、一人のメキシコ国民としてヴィンセントたちの捜査に協力したいと申し出ます。ヴィンセントはそれを快く受け入れました。

アレックスは、ジムのルームランナーで汗を流していたボーデンを殺害した後、廃墟となったパン屋の地下に身を潜め、USBの中身を確認しました。

エリスが女性に対し何かを暴露すると脅迫し、それを女性が「交渉はしない。あなたは一線を超えてしまった」と拒絶する音声。親子と思われる女性と青年のツーショット写真に、青年がベアトリスを誘拐しレイプしようとする写真と動画が、USBに記録されていました。

ヴィンセントたち3人は、ボーデン殺害事件の現場に到着。ダニーから、犯行に使われたのはベアトリスたちと同じ銃弾だということと、駐車場の地面に落ちていたのは「ラッパズイセン」というアルツハイマーの患者に処方される薬であると報告を受けます。

3人はボーデンの妻マリアンヌに事情聴取を行いましたが、彼が不動産専門の弁護士であることと、夫妻ともどもエリスとは面識がなかったことしか分かりませんでした。

翌日。ベアトリス・身元不明の女性・ボーデンを撃った弾の弾道試験の結果が出ました。ボーデンだけ違う銃が使われていたことから、ヴィンセントたちは犯人が二人いることに気づきます。

するとそこへ、アレックスから電話がかかってきました。アレックスは本名と、エリスとボーデンを殺害したのは自分だと明かしたうえで、ヴィンセントにこう言いました。

「ベアトリスを殺したのは、運転席にいたマウリシオだ」「ボーデンとヴァン・キャンプは子どもを食い物にしてた」「お前たちは遅すぎる。相手は大金持ちで、弁護士とそのクライアントだ」「昔からずっと悪人である俺が奴らを罰する。俺が死んだらお前が罰しろ」

その日の夜。マルケスは1人でマリアンヌに会いに行き、デヴィッド・マーシャルという男に心当たりはないか尋ねます。

マリアンヌは、エリスが自分に隠れて、電話でその男とメキシコシティの男の話をしていたこと、その電話の相手が不動産王のダヴァナ・シールマンだったから今まで黙っていたと答えました。

翌日。マルケスからの報告を受け、ヴィンセントたちはボーデンとダヴァナの関係性について調べました。その結果、ボーデンはダヴァナの息子ランディの弁護士であることが判明。

さらに調査を進めていくと、ランディはベアトリスがいた移民収容施設の運営、エリスは移民収容施設の建設に携わっていることが判明。

しかもベアトリスとレオンの親子は、去年移民収容施設に入れられ、強制送還されていたことも分かりました。つまり、ランディ・ボーデン・エリスは、ヴィンセントたちが追っている人身売買組織の一員だったのです。

先にそれに気づいたアレックスの次の標的はランディだと考えたヴィンセントたちは、彼を監視することにしました。

その日の夜。アレックスはヴィンセントたちの監視の目をすり抜け、酒と麻薬と女しかいないクルージングパーティーを楽しんでいたランディを殺害。その直後、船の前に薬が落ちていたことから、アレックスが既に船内にいることに気づいたヴィンセントがランディの遺体を発見しました。

アレックスは自分を追う彼の存在に気づき、車まで誘導し背後から銃口を向けます。ヴィンセントがアレックスと話をしていると、彼を追ってきたマルケスが登場。

ヴィンセントは彼を制止し、アレックスを逃がしました。しかしそれを無視したマルケスが銃を発砲、アレックスは腹を怪我してしまいました。

アレックスは痛む体に鞭を打って車を運転し、別の車に乗り換えて廃墟の地下に戻ろうとしましたが、途中で気を失ってしまいます。そこへパトロール中の白バイ隊員が現れ、手に持っていた銃を見られてしまったアレックスは、咄嗟に引き金を引いて殺してしまいました。

なんとか自力で廃墟の地下に戻って来れたアレックスは、万が一のために鞄に入れておいた救急キットと酒とライターを使って応急処置を施しました。

翌朝。ヴィンセントとリンダは警察よりも先にアレックスを見つけ出すべく、彼について調べました。

その結果、アレックスにはアルツハイマーを患いほぼ植物状態の兄がいること、アレックスたちは父親から受けた性的・肉体的虐待による傷や火傷でよく救急科で治療を受けていたこと。

そして彼らの父親は性的・肉体的虐待の罪を免れたものの、40年前、アレックスが放火したと思われる家のパン屋の火事で亡くなったことが判明しました。

昼間にマルケスが、夜にヴィンセントたち全員でパン屋を捜索。その地下にアレックスがいた形跡はあったものの、彼はいませんでした。

息子が殺されたことに激怒したダヴァナは、非番の警官を護衛に雇いました。

アレックスは、ダヴァナがいるビルの駐車場に停められた複数のパトカーのアラームを陽動に使ってビル内へ侵入。一人の警官を人質に取り、ダヴァナのもとへ向かいます。

アレックスは、ダヴァナを守るダニーたち警官との銃撃戦の末、屋上へ逃げました。屋上に逃げ込んだのはあくまで警官たちを誘き寄せるためであり、アレックスは屋上からワイヤーを使ってダヴァナがいる部屋のベランダに侵入したのです。

フロアにいた警官の多くが屋上へと行ってしまったため、今ダヴァナを護衛できるのはダニーのみ。アレックスはダニーを一発で倒して、彼女に銃口を突きつけます。

アレックスはダヴァナに向けて引き金を引くも、弾が出ませんでした。実は思いのほか痴呆が進んでおり、アレックスは撃針を入れるのを忘れてしまっていたのです。

ダニーはアレックスを捕まえ、ボーデンと警官を殺した罪で起訴するべく、彼が供述調書に署名するまでエルパソ警察で1日かけて厳しい取り調べを行いました。


(C)2021, BBP Memory, LLC. All rights reserved.

翌日。オフィスに戻ったヴィンセントのもとに、アレックスが手に入れたUSBが届きます。

リンダとマルケスと一緒にUSBの中身を確認したヴィンセントは、すぐにジェラルドにこのことを報告。アレックスの身柄をFBIに移すようお願いします。しかしジェラルドから「警察に任せろ」と言われ、警察組織がダヴァナと癒着していることを示唆されたのです。

その後、アレックスはダニーの尋問により重傷を負い、彼らエルパソ警察の手で病院に搬送されました。そのことを知ったヴィンセントは怒り、ダニーとひと悶着起こします。そしてリンダとマルケスと一緒に、アレックスと再び対峙しました。

アレックスはヴィンセントに、ダヴァナが自分とマウリシオを雇い、エリスとベアトリスを殺すよう指示をしていることを話しました。

そしてダヴァナに裁きを受けさせるため、自分が全て証言すると言いましたが、USB以外の証拠が入ったフラッシュドライブの隠し場所を忘れてしまったのです。そのフラッシュドライブには、エリスとダヴァナの電話の音声が録音されていました。

その頃ダヴァナは、主治医のジョゼフ・マイヤーズに毒が入った注射を渡し、1000万ドルやるからアレックスを殺すよう脅迫します。マイヤーズは断ろうとしましたが、ランディのパーティーに参加し未成年と性行為を行った過去があったため、ダヴァナに逆らうことはできませんでした。

その日の深夜。マイヤーズはアレックス暗殺のために病院に忍び込むも、逆にヴィンセントと話すための人質にされてしまいます。

警察は病院の出入り口を包囲した上で、ヴィンセントを送り出しました。ヴィンセントは無線で銃の発砲を禁じましたが、上層部がそれを無視してスナイパーに銃の発砲を命じたのです。

これでアレックスを殺したと思った上層部でしたが、スナイパーが撃ったのは彼と服を取り替えたマイヤーズだったのです。

アレックスはすぐさまアレックスが乗る警察車両に乗り込み、外部との通信を遮断した上で、マイヤーズはダヴァナが差し向けた刺客だと伝えます。

しかもマイヤーズが警備の目をすり抜けてきたことから、アレックスはヴィンセントに、この事件の隠蔽のために自分もお前も殺されるぞと警告しました。

アレックスは「“正義は保証されない”とお前は言ったが、あの少女の死はどうなる?」とヴィンセントに言い残し、自分の意志で警官たちに殺されにいきました。

翌日。アレックスが最後の最後でフラッシュドライブの隠し場所を思い出したことに気づいたヴィンセントは、パン屋へと急行。店の看板に隠されたフラッシュドライブを入手します。

ヴィンセントはそのフラッシュドライブをアメリカ合衆国司法省のアンディ・ヴィラロボスに提出。これでダヴァナを起訴できると思いました。

しかし最初からダヴァナを起訴するつもりがなかったアンディは、肝心のアレックスがいなければ証拠を裏付けることができず、かつ彼女が大金持ちの権力者であるため勝訴できないと暗に事件を揉み消すことを伝えます。

ヴィンセントは失望しつつ「あんたにとってベアトリス・レオンは、どうせ死ぬただの底辺の子か?」「ランディは施設の子どもを性のおもちゃにしてた。皆それを分かってるくせに、この腰抜けめ!」とアンディへの怒りの声をあげました。

それまで黙っていたジェラルドが「いい加減にしろ!」と叫び、ヴィンセントに長期休暇という名の停職処分を言い渡します。停職処分となったヴィンセントは、自分を心配して自宅に訪ねてきたリンダと一緒にバーに行きました。

同時刻。自宅で寛いでいたダヴァナは、突如背後から現れた男に喉を切られ殺されてしまいました。

財布を忘れたリンダの分も含めて勘定をしようとするヴィンセントのもとに、ダヴァナ殺害事件のニュース速報が届きます。すると突然、リンダがスペイン語で「聖イネス様。願わくば我らの祈りが神に届きますように」「世界中の穢れし子どもたちをお守りください」と祈りだしたのです。

それを聞いて、ヴィンセントがアリバイ作りのためにバーに誘ったのかと尋ねると、リンダは「アーメン」と微笑みながら呟きます。

ダヴァナを殺害した男は、着ていた服を焚火で燃やし、凶器のナイフを近くの海に投げ捨てました。そして顔を覆っていたマスクを脱ぎ、燃やしました。ダヴァナを殺害したのはマルケスでした。

リンダと共謀してヴィンセントのアリバイを作り、アレックスの遺志を引き継いでダヴァナを裁いたマルケスは、車に乗ってどこか遠くへ向かいました。

映画『MEMORY メモリー』の感想と評価


(C)2021, BBP Memory, LLC. All rights reserved.

アルツハイマーに苦しむ殺し屋アレックス

FBIに追われながら、少女を殺すよう命じた人身売買組織の黒幕にたった一人で立ち向かうアレックスの正義感あふれる格好良いアクションに老若男女問わず魅了されます。

アルツハイマーを患う殺し屋アレックス。作中では刻一刻と症状が悪化し、アレックスは任務の詳細どころかダヴァナを起訴するために必要な証拠の隠し場所、撃針の入れ忘れなど致命的なミスをしてしまいます

さらにアレックスはマルケスに撃たれた傷と、ダニーの尋問で負った大怪我も相まってか物語の終盤、余命わずかの身となってしまったのです。

徐々に薬も効かなくなり、失われていく記憶に苦しめられるアレックス。彼を通じてアルツハイマーがどんなものか知ることができるとともに、アルツハイマーを患った人の苦しみを体感し胸が痛くなります。

アレックスと共に人身売買組織の黒幕を追い詰めるFBI


(C)2021, BBP Memory, LLC. All rights reserved.

物語の後半からアレックスと協力関係を結んだヴィンセントは、実は1年前に覚醒剤でハイになった男が起こしたひき逃げ事故で妻と息子を亡くした過去がありました。

その犯人を目撃したはずの少女が3回も行った面通しで毎回違う男を選ぶため、犯人は無罪となり自由の身となってしまいました。

そのことから、ヴィンセントは「人の記憶とは厄介なもの。正義は保証されない」と思うようになってしまいました。

そんな彼の言葉を忘れていなかったアレックスは、「子供だけは殺さない」という唯一の信念を最後まで貫き、信用できる彼に望みを託して、彼を守るために警察に殺されにいったのです。

ヴィンセントもアレックスのことを腐食した警察組織よりも信頼しており、彼の犠牲を無駄にしないために警察組織を相手に奮闘しました。

ヴィンセントとアレックス、二人の男の正義が一つとなり、黒幕打倒に繋がったのはスカッとした爽快な気分を味わえます。

まとめ


(C)2021, BBP Memory, LLC. All rights reserved.

アルツハイマーにより余命わずかとなった紳士な殺し屋が、最後に正義のために、人身売買組織の黒幕に立ち向かうアメリカのタイムリミット・アクション作品でした。

物語の終盤まで、組織の黒幕であるダヴァナを裁くのはアレックスかヴィンセントのどちらかだと思った視聴者も多いはず。

ですが、実際に彼女を裁いたのは、ヴィンセントと同じかそれ以上に人身売買組織を撲滅したい気持ちが強いマルケスでした

リンダもマルケスも、ヴィンセントに下された上層部の決定に不満があったのでしょう。しかもそれが組織の黒幕と癒着があるせいだとあれば尚更です。

ですが、ヴィンセントがこれ以上ダヴァナを裁くために動くのは、彼自身も事件と一緒に消される可能性もあります。

それを防ぐために、リンダはヴィンセントのアリバイ作りに、マルケスがダヴァナを殺害しようと考えたのでしょう。

孤高の男リーアム・ニーソンが、アルツハイマーを患った殺し屋を熱演するタイムリミット・アクション映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。

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