全米ベストセラー小説『アウトロー』を実写映画化!
クリストファー・マッカリーが脚本・監督を務めた、2012年製作のアメリカのハードボイルドアクション映画『アウトロー』。
「その男、行き着く先に事件あり」
アメリカ・ペンシルバニア州ピッツバーグ郊外で、白昼に6発の銃弾が放たれ5人が射殺される事件が発生。
一匹狼の元軍人であり、米軍で秘密捜査官を務めていたジャック・リーチャーが難事件の不審な点に気づき、事件の真相を炙り出していく姿とは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。
頭も体もきれる元米陸軍秘密捜査官の流れ者が身ひとつで挑む、ハードボイルドアクション映画『アウトロー』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。
映画『アウトロー』の作品情報
(C)2012 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
【公開】
2013年(アメリカ映画)
【原作】
リー・チャイルドの小説『アウトロー』
【脚本・監督】
クリストファー・マッカリー
【キャスト】
トム・クルーズ、ロザムンド・パイク、リチャード・ジェンキンス、デヴィッド・オイェロウォ、ヴェルナー・ヘルツォーク、ジェイ・コートニー、ジョセフ・シコラ、ロバート・デュヴァル、マイケル・レイモンド=ジェームズ、アレクシア・ファスト、ジョシュ・ヘルマン、ジェームズ・マーティン・ケリー、ディラン・カスマン、ヴラディミール・シゾフ、スーザン・アンジェロ
【作品概要】
『ユージュアル・サスペクツ』(1995)や『ワルキューレ』(2008)、「ミッション:インポッシブル」シリーズなどを手掛けるクリストファー・マッカリーが脚本・監督を務めたアメリカのハードボイルドアクション作品。
原作は、英作家リー・チャイルドの全米ベストセラーとなっている、ジャック・リーチャーシリーズ9作目となる小説『アウトロー』です。
「ミッション:インポッシブル」シリーズや『トップガン』(1986)、『レジェンド/光と闇の伝説』(1987)、『ラストサムライ』(2003)、『ワルキューレ』(2008)などに出演するトム・クルーズが主演を務めています。
映画『アウトロー』のあらすじとネタバレ
(C)2012 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
アメリカ・ペンシルベニア州ピッツバーグ郊外にある、野球場「PNCパーク」近くの川辺で白昼に6発の銃弾が放たれ、5人が射殺された乱射事件が発生しました。
すぐさま現場に駆けつけた刑事カルヴィン・エマーソンたち警察は、PNCパークの対岸にある立体駐車場で、犯行に使われたと思われる銃の薬莢と、駐車料金の支払いに使われた硬貨を発見。
さらに立体駐車場の防犯カメラの映像には、事件があった時刻に、狙撃犯と思われる男が白いバンに乗って、立体駐車場を出入りしているのが確認されました。
警察が硬貨に付着していた指紋を調べた結果、狙撃犯は元米陸軍の狙撃手ジェームズ・バーであることが判明。その証拠に、バーを逮捕した際、彼の自宅から白いバンと遺留品と同じ薬莢、狙撃銃が発見されたのです。
乱射事件を担当する地方検事アレックス・ロディンは、無差別に民間人を狙撃し、5人を殺害したバーに、法廷で死刑を求刑するつもりでいました。
そのため、アレックスとエマーソンは、バーに自白させようと、取り調べの際に自白書に署名させようとします。
これに対しバーは、署名ではなく、「ジャック・リーチャーを呼べ」と記し、その男を事件の証人として名指ししたのです。
ジャック・リーチャーという男は、元米軍憲兵隊に所属していた秘密捜査官で2年前に除隊。それ以降は忽然と姿を消し、現在は流れ者となっていました。
一匹狼のリーチャーをどうやって探し出すか、エマーソンとアレックスが考えていると、ニュースを見て事件のことを知ったリーチャーが、フロリダから2人の元へ自ら足を運んできてくれたのです。
エマーソンたちは早速、リーチャーをバーに面会させ、バーについて知っていることを話してもらおうとします。
この時、バーは刑務所への護送中、他の受刑者たちに暴力を受けたせいで脳に損傷が生じ、昏睡状態に陥っていました。
リーチャーは証拠品の提示を求めましたが、エマーソンたちはこれを拒否。すると彼は踵を返し、再び姿を消そうとします。
そこへ、バーの弁護士でありアレックスの娘ヘレン・ロディンが登場。退散するエマーソンたちの代わりに、今度は彼女がリーチャーに、バーのことについて尋ねます。
リーチャーは渋々、ヘレンにバーのことについて知っていることを明かすことにしました。
「軍隊に入る理由は4つ。1つ目は軍人の家系だから、2つ目は愛国主義者だから、3つ目は職がないから。4つ目は合法的に人を殺せるから、バーは最後の理由で軍隊に入った」
「奴は週に2,000発を撃つ訓練の末、狙撃兵になった」「奴はイラクに送られ、監視任務に就いた。一日中照準鏡を眺めていたが、来る日も来る日も1発も撃つチャンスがなく、どうしようもないイライラ感だけが募っていくばかり」
「2年後、米軍の撤退が始まり、彼の戦争は終結した。だがアメリカへの帰国前日、我慢の限界に達した奴は、軍事関連会社の作業員4人を射殺」
「俺に逮捕された奴は、事の全てを自白した。“殺された4人は、イラクの現地女性28人ぐらいを集団レイプしていた”と」
「この事実が世間に露呈することを恐れた軍事関連会社は、奴が起こした事件を隠蔽することにしたため、奴の犯行理由は“戦闘のストレス”として処理され、罪を逃れた」
「バーと最後に会った時、俺はあることを言い渡していたが、それは必要なかった。今度こそ奴は死刑だ」
リーチャーが話すバーの過去を知ってもなお、ヘレンはバーを弁護する気持ちに変わりません。バーはイラクでは自らの罪を認めたのに、今回はそうせず、リーチャーを呼ぶよう指示したことに、何か意味があるのではないかと考えたからです。
ヘレンはリーチャーに、バーへの先入観を捨ててこの事件を見直し、バーの弁護をしてもらうよう頼みます。
初めはバーの殺人衝動が甦り、また無差別殺人を行ったと見ていたリーチャーでしたが、葛藤の末、ヘレンに協力することを決めました。
以下、『アウトロー』ネタバレ・結末の記載がございます。『アウトロー』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
(C)2012 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
「犠牲者を見直せ」と言ったリーチャーの助言に従い、ヘレンは遺族訪問し、被害者がどんな人物だったか調査していきます。
その間、リーチャーは実際に犯行現場に行って、狙撃手の目線で事件のことを洗い直したり、エマーソンに頼んで証拠品である狙撃銃を見せてもらったりしました。
その日の夜。リーチャーは酒場に立ち寄った際、サンディと名乗る若い女性に声を掛けられます。
サンディはリーチャーの名前を聞いた後、言いがかりをつけてチンピラ5人を呼び、ボコボコにしようとしましたが、リーチャーが返り討ちにしたため失敗。
すぐさまパトカーが到着し、暴力沙汰を起こしたリーチャーとチンピラたちが逮捕されました。
ヘレンのおかげで釈放された後、リーチャーはチンピラの襲撃といい、1日中誰かに尾行されていると感じることといい、自分にこの事件を捜査して欲しくない誰かがいるのではないかと考えました。
ヘレンが遺族訪問して聞き込みをした結果、1発目の犠牲者はリバープラザ・ビルの証券マンであるダレン。
2発目の犠牲者はオーライン・アーチャー。彼女には建設会社の社長を務める夫がいました。
3発目の犠牲者はナンシー・ホルト。夫に嘘をついてまで車で出かけ、クレジットカードに記録しないよう店員に頼んで高級腕時計を購入していました。
4発目は屋台近くの液体が入ったタンク、5発目犠牲者はその近くを走って逃げようとした、9歳の息子を持つリバープラザ・ビルの清掃係リタ・コロナド。
6発目は友人の娘を預かっていた、22歳の保育士クリシー・ファリアー。殺された5人は命を狙われるほどの問題を抱えておらず、何の罪もない人が運悪く殺されてしまったことが判明。
それを知って、バーの弁護は間違いなのではないかと落ち込むヘレンを励まし、リーチャーはバーのクレジットカードの記録を調べるよう頼みます。
翌朝、リーチャーはヘレンが調べてくれたバーのクレジット記録を見て、バーは土日に車のガソリンを満タンにして、長距離ドライブしていることを知りました。
そこでリーチャーは、ヘレンにこう言いました。「手作りの弾丸を撃つ奴のことだ、上級者用の射撃場に通っているに違いない」
「そこに必ず毎週土曜日、奴は友達と通っていたはずだ」………そう話すリーチャーはヘレンと別れ、自動車部品店「デフォルト自動車部品」を訪ねます。
サンディと話した際、リーチャーは彼女が、ある特定の自動車部品店のことを言っているような口ぶりだったことを思い出したからです。
リーチャーの予想は見事的中、リーチャーが訪ねた店にサンディは働いていました。リーチャーはサンディを尋問します。
その結果、サンディに「リーチャーは女を甚振る変質者だ」と嘘を吹きこみ、リーチャーに言いがかりをつけるよう指示したのは、チンピラの中で一番の大男ジェブ・オリヴァーであることが判明。
ジェブは麻薬の売人をしている傍ら、サンディが働くデフォルト自動車部品の従業員として働いていますが、駐車場に彼の愛車カマロがあるだけで、彼の姿はありません。
そこでリーチャーは、サンディが預かっていたジェブの車のキーを受け取り、カマロに乗って彼の自宅に乗り込むことにしました。
ジェブの自宅にいたのは、麻薬漬けになったジェブの母親だけでした。ジェブの自宅を調べるリーチャーを、釈放されたばかりのジェブの仲間3人が襲撃。
リーチャーは不意打ちをくらったものの、すぐさま体勢を立て直し、再び3人を返り討ちにします。
最後に現れたジェブの仲間1人に、リーチャーは尋問しました。その結果、ジェブは仲間と共に釈放されてから、誰かに会いに行くと言って街を出たけれど、ジェブは母親を残していくような奴ではないことが判明。
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もしかするとジェブは、誰かに殺されてしまったのではないかと推測するリーチャー。ジェブの仲間から車を頂戴し、ヘレンが所属する法律事務所を訪ね、彼女にこう言いました。
「奴は誰かに嵌められただけで、事件の真犯人ではない。奴は無実だ」
リーチャーがそう断言する根拠は3つ理由があります。1つ目はバーがイラクの事件では現場に何一つ遺留品を残さなかったのにも関わらず、今回の事件では薬莢や硬貨など、遺留品を残していったこと。
2つ目は、イラクの事件では太陽は後ろにあり、標的は正面からくる縦列と狙撃に良い好状況で狙撃したにも関わらず、逆光で見えづらい上に標的があっちこっちに動き回って狙いづらい立体駐車場から狙撃していること。
3つ目は、液体の中から出てきた無傷の弾。それが警察に見つかったせいで、凶器に使った狙撃銃を特定されてしまいました。
現場に残った遺留品は、どれも検事側に有利となるものばかりです。バーが逮捕されることを望んでいるならまだしも、こんな計算的に狙撃する男ではないことを、リーチャーは知っていました。
もしかするとバーが自分を呼んだのは、警察や弁護士でさえも見落とした何かを、リーチャーなら見抜けると考えていたからなのかもしれないと考えました。
リーチャーが立てたこの仮説に耳を疑ったヘレンでしたが、彼を一日中尾行していた車、シルバーのアウディのナンバーを調べて驚愕します。
リーチャーを尾行しているシルバーのアウディの所有者は、体を壊したオーラインの夫が会社を売却するはずだった会社「リーベンダウアー企業」だったからです。
オーラインは初め喜んでいたものの、夫が生涯をかけた大切な会社であることを知り、夫のためにも会社を手放すわけにはいかなくなりました。
つまりこの事件は、オーラインが手放そうとしない建設会社を奪おうとするリーベンダウアー企業の者が、オーラインだけの命を狙った犯行。他の4人は、その巻き添えを食らっただけなのです。
さらにリーチャーは、ヘレンに続けてこう言いました。「射撃の1発目は、確率的に命中度が低い」
「目撃者の証言では、1発目と2発目の間に狙いを定める“間”があったと」
「奴からイラクでの話を聞いた誰かが、(この事件の罪を着せるカモに)奴を選んだ」「そいつを捜せば、それが事件の犯人である狙撃犯だ」
翌日。リーチャーはヘレンから教えてもらった、オハイオにある上級者用の射撃場へ調査しに行く前に、寝泊まりしているモーテルへ寝に帰ろうとします。
すると何故か、モーテル前にはエマーソンたち警察のパトカーと、救急車が停まっていました。
実は、リーチャーを尾行している男たちに殺された、サンディの遺体がゴミ箱で発見されたからです。
サンディを殺した罪を真犯人から着せられたリーチャーは、警察と尾行する男たちに追われる羽目になってしまいます。
夜の街で激しいカーチェイスを繰り広げた末、警察と男たちを上手く撒いたリーチャーは、乗り捨てた車の代わりにヘレンの車を盗みました。
そしてリーチャーは、エマーソンたちに事情聴取を受けていたヘレンに電話をかけ、彼女にこう言いました。
「俺がここへ来た初日から、男たちに尾けられていた」「俺がここへ来たことを知っているのは君と、エマーソンと君の親父さんだけ」
「つまり、エマーソンか君の親父さん、どちらかが真犯人と繋がっているってことだ」
(C)2012 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
翌日。リーチャーはヘレンの車を運転し、オハイオにある上級者用の射撃場「ヒンジクリーク射撃場」へ足を運びます。
元海兵隊出身の軍人で、ヒンジクリーク射撃場の主人マーティン・キャッシュに事情を話すと、「的の中心に3発当てられたら話してやる」と条件をつけられたリーチャー。
実は10年前に射撃大会で優勝したほどの腕前を持つ彼は、この条件を見事クリア。キャッシュは、海兵隊出身以外で射撃場のトップを誇っていたのはバーであること。
バーの標的の紙は、どれも中心に3発とも命中しているものばかりであること、バーには連れの男が1人いたことを教えました。
陸軍時代のバーの腕前が並みだったことを知っているリーチャーは、他に射撃が上手い人と標的の紙を交換したのではないかと、キャッシュに尋ねます。
バーの連れの男チャーリーは、殺人罪でバーを嵌めようと目をつけていたため、射撃の腕前をひけらかしたい彼のインチキにすんなりと応じたのです。リーチャーはチャーリーの指紋と顔写真、キャッシュという証人をゲット。
一方ヘレンは、リーベンダウアー企業について調査した結果、リーベンダウアー企業は汚職に手を染めた建設会社であること。
リーベンダウアー企業のボス・ゼックは、地域の会社を買収する際、最終手段として人を殺し、ありったけの金を奪う犯罪組織でもあるということを突き止めました。
乱射事件でオーラインを殺し、その罪をバーに着せたのも、リーチャーを嵌めようと画策したことも全て、事件の首謀者であるゼックの仕業だったのです。
その情報をアレックスに話したヘレンは、最後にこう言いました。「今朝集めたこの資料は全て、私の名前で集めた。私の命が危険にさらされるかはパパ次第」
「パパが今後どう出るかで、私たちの敵か味方かが分かる」………そう言って検事局を去ろうとしたヘレンは、エレベーターに無理矢理乗り込んできたエマーソンにスタンガンで気絶させられ、チャーリーとヴラッドに拉致されてしまいます。
ヘレンの携帯に電話をかけた際、彼女が拉致されたことを知ったリーチャーは、彼女を救うために戦いに挑みます。リーチャーの助っ人として現れたのが、キャッシュでした。
チャーリーに指定されたリーベンダウアー企業の砕石場事務所に到着後、「今の腕前じゃあ銃は持たせられない」と、キャッシュに銃を持たせてもらえなかったリーチャーは、ナイフを持って少しずつ前進。
途中ナイフを落としてしまいますが、砕石で殴り殺した敵から機関銃を奪取します。リーチャーを狙う銃撃音だけで、隠れている敵の位置を把握したキャッシュは、狙撃銃でリーチャーをアシストしました。
チャーリーと部下3人との激しい銃撃戦の末、チャーリー以外を倒したリーチャーでしたが、辿り着いた砕石場事務所の中にヘレンたちはいません。ヘレンたちがいたのは、砕石場事務所の裏手にある事務所本部でした。
リーベンダウアー企業が所有するダンプトラックを盗み、事務所本部へ突入するリーチャーたちは、ヴラッドともう1人の部下を倒します。
リーチャーは、狙撃銃を持って出てきたチャーリーを追い詰め銃を捨てさせ、自らも銃を捨てて、肉弾戦に持ち込みました。
豪雨にうたれながら激闘を繰り広げた末、チャーリーを殺したリーチャーは、最初に硬貨をメーターから回収したと思われるエマーソンを銃撃。リーチャーはヘレンを救出後、ゼックに銃口を突きつけながら、尋問します。
ゼックの本名は、ゼック・チェロヴィエク。一度刑務所にぶち込まれたことがあるゼックは、「“囚人人間”という意味を持つ名前だと記憶している」と言い、余裕綽々と振舞いを見せました。
「万が一刑務所にぶち込まれたとしても、俺には老人ホームだ」「お前は流れ者の殺人容疑者、俺は運悪く事件に巻き込まれた老人。それを否定できる証人がいるかね?」
「果たして、どちらがムショ行きになるかな?」………そう挑発するゼックを、リーチャーは警察が駆けつける前に、裁きの鉄槌を下しました。
リーチャーはヘレンに、「これで事件は解決。あとどうするかは全て君に任せる。俺はもう必要ないから旅に出る」と言い、キャッシュと共にその場を立ち去っていきました。
後日。ヘレンはアレックスと一緒に、昏睡状態から目覚めたバーと面会。乱射事件のことを何も覚えていないと話すバーに、狙撃犯だとしたらどこを狙うか尋ねると、逆光である立体駐車場ではなく、高架橋で狙撃し遺留品を何1つ残さずに消えると答えました。
それは、リーチャーの読み通りの回答でした。過去の犯罪を悔やんでいるバーは、ヘレンにこう言いました。
「法など無縁、証拠も無視。正義に生きている一種の警官みたいな男は、俺のやったことも居場所も知っていながらこう言った。“また問題を起こしたら、お前の前に姿を現す”と」
映画『アウトロー』の感想と評価
(C)2012 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
一匹狼の元軍人vs凄腕の狙撃手擁する犯罪組織
一匹狼の流れ者リーチャーは、元米陸軍憲兵隊に所属していた軍人とあって、射撃も格闘術も文句なしの腕前と強さを誇っています。
幾度となく襲い掛かってくるジェブたちチンピラ相手に、何度も身一つで返り討ちにするリーチャーの格闘戦。
夜の街を爆走し、違った目的で追いかけてくるエマーソンたち警察とチャーリーとヴラッド相手に、リーチャーが繰り広げていく激しいカーチェイス。どちらも迫力満点、思わず見惚れるほど華麗なアクション場面です。
これだけでも十分楽しめますが、物語の後半ではそれを遥かに上回るほど、ド迫力でスリルがあるアクション場面が描かれています。
夜の砕石場で行われた、凄腕の狙撃手チャーリーと、ゼック率いる犯罪組織との最終決戦です。リーチャーはキャッシュにアシストされながら、次々と敵を倒していきました。
チャーリーとも銃撃戦を繰り広げていくのかと思いきや、リーチャーは得意な格闘戦に持ち込んだのです。豪雨の中繰り広げられた、拳と拳がぶつかり合うリーチャーたちの死闘は、観ているだけで胸が熱くなってきます。
暗躍する乱射事件の首謀者
(C)2012 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
誰もがバーが起こした事件だと思っていた、乱射事件の首謀者はリーベンダウアー企業という、建設会社を装った犯罪組織のボス・ゼックです。
ゼックの狙いは、自分が買収しようとしていた建設会社を手放そうとしないオーライン、ただ1人の殺害でした。
実行犯であるチャーリーが、1発でオーラインを仕留めることが出来なかったから、急遽オーラインの殺害を誤魔化すために乱射事件に変更したのでしょう。
そして、イラクで起こしたバーの事件を知っていたチャーリーが、バーを乱射事件の犯人に仕立て上げます。
邪魔者を排除し、手を組んだエマーソンを使って、警察と検事の疑いの目をバーに向けさせることで、ゼックが考えた完全犯罪は成功。ゼックは頭脳派で、巧妙に策略を練っています。
誰も見抜けなかった事件の真相を、見事見抜いたリーチャーの洞察力の鋭さは素晴らしいです。
まとめ
(C)2012 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
一匹狼の元軍人が、乱射事件の容疑者とされた男の弁護士と共に、事件の真相を暴いていくアメリカのハードボイルドアクション作品でした。
エマーソンが警察を裏切り、ゼックと手を組んだからこそ、殺人の罪を着せたバーの有罪は確定したも同然。にもかかわらず、リーチャーが現れたことで、乱射事件は急展開を迎えました。
物語の最後にバーが話していたように、リーチャーは法など無縁で証拠も無視し、正義に生きる男として戦い、乱射事件を解決に導くのです。
そんなジャック・リーチャーを演じるトム・クルーズの演技は素晴らしく、トム・クルーズ自身によるアクション場面とカーアクションは、鳥肌モノの格好良さで惚れ惚れします。
ジョセフ・シコラが演じたジェームズ・バーと、ジェイ・コートニーが演じたチャーリー、ロバート・デュヴァルが演じたマーティン・キャッシュが、それぞれ標的を狙撃する場面も格好良いです。
CGもスタントもなし。トム・クルーズ自身が魅せるアクションの数々に魅了される、ハードボイルドアクション映画が観たい人に、とてもオススメな作品となっています。