マ・ドンソク演じる型破り刑事が、
さらにパワーアップして帰ってきた!
イ・サンヨン監督が演出を手がけた、2022年製作の韓国クライムアクション映画『犯罪都市 THE ROUNDUP』。
型破りな刑事の活躍を描いた『犯罪都市』(2017)の続編作品であり、前作に引き続き『新感染 ファイナル・エクスプレス』(2016)や『悪人伝』(2019)などで知られる俳優マ・ドンソクが主演を務めました。
前作での、加里峰洞での暴力組織一掃作戦から4年後。「狙ったホシは半殺し」という規格外の最強刑事マ・ソクトと、彼が所属するソウルの衿川(クムチョン)署強行班の班長チョン・イルマンは、国外逃亡した韓国人犯罪者の身柄引き取りのためベトナムに行くよう命じられます。
彼らを待ち受けていたのは、凶悪犯罪者カン・ヘサンと、彼が起こした凶悪な誘拐事件でした……。
本記事では、映画『犯罪都市 THE ROUNDUP』のネタバレあらすじと作品の魅力をご紹介いたします。
映画『犯罪都市 THE ROUNDUP』の作品情報
(C)ABO Entertainment Co.,Ltd. & BIGPUNCH PICTURES & HONG FILM & B.A.ENTERTAINMENT CORPORATION
【日本公開】
2022年(韓国映画)
【脚本】
キム・ミンソン、イ・サンヨン、イ・ヨンジョン、マ・ドンソク
【監督】
イ・サンヨン
【キャスト】
マ・ドンソク、ソン・ソック、チェ・グィファ、パク・チファン、ホ・ドンウォン、ハジュン、チョン・ジェグァン
【作品概要】
『クイック!!』(2011)の制作担当イ・サンヨンが脚本・監督を務めた、韓国のクライムアクション映画。韓国で観客動員1200万人を突破し、異例のメガヒット記録を更新したクライムアクション映画『犯罪都市』(2017)の続編です。
前作『犯罪都市』(2017)に引き続き、『新感染 ファイナル・エクスプレス』(2016)や『悪人伝』(2019)、『エターナルズ』(2021)などに出演する大人気の韓国俳優マ・ドンソクが主演を務め、Netflixドラマ『私の解放日誌』(2022)のソン・ソックと共演しています。
映画『犯罪都市 THE ROUNDUP』のあらすじとネタバレ
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年に300人超の犯罪者が海外へ逃亡。その多くは東南アジアに潜伏し、韓国人渡航者を狙った犯罪を引き起こしているという現実から、物語は始まります……。
加里峰洞(カリボンドン)での中国の新興犯罪組織「黒竜組」掃討作戦から4年後の2008年。韓国・衿川(クムチョン)警察署の強力班に、加里峰洞で起きた宝石強盗事件の容疑者ユ・ジョンフンの身柄引き渡しのため、ベトナムへ行くよう命じられます。
向かったのは、強引な捜査で世間の目を集めがちな強力班副班長のマ・ソクド刑事と、頼りない強力班班長のチョン・イルマン警部です。
ベトナム・ホーチミンに到着後、ソクトたちは韓国総領事館に自首したジョンフンを尋問し、イ・ジョンドゥの恋人に手を出してしまい、殺されそうだから自首したのだと知りました。
ジョンドゥの隠れ家に向かったソクトたちは、ジョンドゥの変わり果てた姿を発見。ジョンフンを再度尋問した結果、ジョンフンたちは金欲しさに、冷酷非道な凶悪犯罪者カン・ヘサンによる韓国の青年実業家チェ・ヨンギの誘拐に協力していたことが判明します。
ジョンフンの話によると、ヨンギの所持金が想像以上に少なく、ジョンフンと運転手の男がカンとカンの部下ドゥイクと取り分について口論となったとのこと。
ヨンギは停車してすぐに逃走。ジョンフンたちは逃げたヨンギを捕まえ、彼が泊まるホテルの金庫に2億の現金と金塊があることを知ります。
その直後、駆けつけたカンがナイフでヨンギを滅多刺しにして殺害。抗議の声を上げた運転手の男は、ドゥイクに背後からナイフで首を刺され殺されてしまいます。
ジョンフンたちがヨンギと運転手の男の遺体を埋葬している間に、カンはヨンギの父親に身代金を要求。そんな彼に恐怖を感じたジョンフンたちは、取り分の金の入金を確認した後に逃走。ですがここ最近、変な連中に尾行されていることに気づいたジョンフンは、カンに殺されると思い自首したのです。
翌日。ソクトは署にいる強力班のメンバーに電話をかけ、ヨンギの捜索願の有無と、カンについて調べて欲しいと頼みました。
その間、イルマンと韓国総領事館の駐在員パク・ヨンサは、ベトナム警察にカンの逮捕と、ヨンギの遺体の捜索を要請するも取り合ってもらえませんでした。
そのためソクトたち3人で、ジョンフンから聞き出した場所へ向かい、ひたすら土を掘り続けました。するとそこにはヨンギの他に、3人の韓国人の遺体も埋められていたのです。
その後、ソクトたちの通報を受けて駆けつけたベトナム警察に、「他国の法律を無視して勝手に捜査をするな。ホテルに戻れ」と警告されたマ刑事たち。
いくら警察とはいえ、ソクトたちに管轄外であるベトナムで捜査を行うことや、犯罪者を逮捕することは違法行為に当たります。
カンを逮捕するには、韓国総領事館まで連れてくるしかない。そう考えたソクトはイルマンを連れて、韓国人のチンピラが屯する賭博場へ行きました。
そこでラクという韓国人のヤクザを尋問した結果、ラクとラクの仲間カブリが韓国人の誰かにカンを探すよう頼まれ、彼の隠れ家へ案内したことが判明。ソクトたちはタクシーを使って、カンの隠れ家へ向かいます。
道中、強力班の刑事カン・ホンソクから「ヨンギの父親は企業に高金利で金を貸すことを主な事業としている韓国のローン会社『チョウン・キャピタル』の会長チェ・チュンベクである」と連絡がありました。
しかし、チュンベクは息子の捜索願は出していません。ソクトは「チュンベクが復讐のために殺し屋をベトナムに送り込んでいる」と推測します。
ソクトたちはカンの隠れ家に到着。ですが時すでに遅し、カンの姿はありませんでした。カンに返り討ちにされた殺し屋たちの死体が転がる隠れ家を調べてみると、チェのパスポートと複数の旅行鞄が見つかりました。
ソクトらはチェたち4人の遺体に加え、東南アジアでの韓国人渡航者失踪事件にもカンが関与しているのではないかと推測しました。
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するとそこへ、逃げたと思っていたカンがイルマンを襲撃。イルマンは左肩をマチェットナイフで刺され、重傷を負ってしまいます。
さらにそこへドゥイクの襲撃が。ソクトはナイフで向かってくるカンたちに怯むことなく、己の強靭な肉体と剛腕をもってなぎ倒していきます。
激闘の末、ソクトはドゥイクを逮捕できたものの、あと一歩のところでカンを取り逃がしてしまいました。挙句の果てに、ベトナムでの違法捜査および犯罪者の逮捕を行ったことで、ソクトたちは韓国に強制送還される羽目に。
イルマンとともにベトナムの軍病院に閉じ込められたソクトのもとに、ホンソクから電話がかかってきました。
ホンソクの話によると、韓国の警察本庁も東南アジアでの韓国人渡航者失踪および殺人事件について情報収集したところ、4件ともカンと同じ手口だったといいます。
ヨンギの時と同様、「韓国人渡航者に近づいて誘拐し、身代金を要求する」という手口……そして、「被害者の4人全員が、殺されている」という共通点。
それを聞いたソクトは、ベトナムの軍病院にいるドゥイクを尋問。カンが韓国に向かったことを突き止めます。
以下、『犯罪都市 THE ROUNDUP』ネタバレ・結末の記載がございます。『犯罪都市 THE ROUNDUP』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
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5月3日。韓国・仁川(インチョン)空港に到着後、ソクトたちは仁川広域市の警察にジョンフンの身柄を引き渡しました。
ソクトはイルマンに家に帰って療養するよう促し、強力班の上級刑事オ・ドンギュンを連れてある人物に会いに港へ向かいました。その人物とは、現在旅行代理店で働いている元暴力団「イス組」のボスであるチャン・イスです。
ソクトは、裏で密航者に仕事を斡旋しているイスに、中国からの密航船はないか教えてくれと頼みます。イスは「独眼船長」という異名を持つ中国への密航ブローカーのキム・ギョボムに連絡を取ると、ギョボムから「今朝見慣れない船が宮坪(クンピョン)港に入った」と報告を受けます。
その日の夜。ソクトたち強力班は衿川警察署にて、宮坪港付近の防犯カメラの映像を手分けしてチェックしていました。その結果、宮坪港の駐車場で車を物色するカンの姿を発見。彼が盗んだ車のナンバーを控え、公開手配しました。
5月4日。衿川警察署署長は「ソクトたちがベトナムで違法捜査を行い犯人を逮捕した」という新聞記事を見て、2人を署長室に呼び出すとその件について叱責します。
さらに署長は「この事件の捜査は外事課(渉外事項ならびに、領事館や外国分署、外国人、移民、在外朝鮮人に関する業務を扱う課)に引き継ぐ」と告げました。ソクトたちがそれに猛抗議すると、署長に「俺にも力がない。文句を言っても無駄だ」と言われてしまいます。
ソクトたちは「署長がちゃんと自分たちの報告書を読んでいないから『力がない』と言うのだ」と考え、カンが起こした事件の顛末を話します。そして最後に「もしチュンベクの手下たちとカンが乱闘でも起こしたら、ベトナムでの違法捜査に関する記者会見のためにテレビに出る俺たちと署長も殺される」と付け加えました。
この言葉がきいたのか、署長はソクトたちに「1週間でこの捜査に片をつけろ」と命じます。
5月6日。ソクトとホンソク、強力班の最年少刑事キム・サンフンはヨンギの葬儀に参列。その際、チェの母親キム・インスクと挨拶を交わしました。
ソクトはホンソクたちから「インスクは後妻で、死別した前妻との間に子どもはいない」と聞き、チュンベクにとってヨンギが唯一の肉親だったのだと知ります。
葬儀場を出たところでドンギュンから「カンの車が見つかった」との連絡があり、ソクトはホンソクのSUV車を借りて一山(イルサン)へと急行。しかし線路脇の草むらに乗り捨てられていた車には何の痕跡も残っておらず、周辺に防犯カメラもないため、捜査が行き詰ってしまいます。
一方カンは、自分が誘拐・殺害した韓国人から盗んだ10億以上の現金と金塊を取り戻すべく、チュンベクの手下に扮して葬儀場に侵入。チュンベクが手下1人を連れてエレベーターに乗り込んだ瞬間を狙って、自らの正体を明かして殺そうとします。
エレベーター内での死闘の末、カンは自分よりもガタイのいいチュンベクの手下を殺害。地下駐車場で部下のチャン・ギチョルとチャン・スンチョルと合流し、チュンベクを誘拐しようとします。
この間、地下駐車場にはチュンベクが新たに雇った中国の殺し屋たちが待機していたのですが、チャン兄弟に見つかり全員殺されてしまいました。
葬儀場に残り、チュンベクの動向と防犯カメラの映像のチェックをしていたサンフンは、チュンベクが誘拐されたところを目撃。
ホンソクとともに急ぎ黒のヒュンダイ・エクウスを止めようとするも、警棒でフロントガラスにひびが入っても構わず、猛スピードでその場から走り去っていきました。
その後カンたちは、廃工場にてチュンベクを拷問している映像をチェ家にバイク便で送りつけ、明日までに20億用意するよう要求しました。
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5月7日。その映像を確認した強力班は、カンと一緒にいる2人が何者なのかをまず調べました。
調べた結果、2人は兄弟であり、殺人請負や武装強盗などの犯罪を犯したのちにフィリピンへと逃亡し、インターポール(国際刑事警察機構、略称はICPO)も彼らを追っていること。そしてフィリピンでの兄弟の動向は半年ほど、カンのそれと一致していることが判明。
ソクトはドンギュンに、カンが乗り捨てた車があった場所の周辺を捜索するよう指示。またインスクに、要求されたお金は振り込まず、直接取引が行えるよう誘導してほしいと指示を出しました。
直後、インスクの携帯電話にカンから電話がかかってきました。
インスクは強気な態度で「夫の命の保障がないのに、身代金の5億を送金しても息子を殺したあなたにお金を渡すわけがない」とカンに伝えます。さらにインスクは「夫を生きて返すなら、200万ドル渡すわ」とカンに取引を持ちかけました。
カンはその取引に承諾し、交渉成立。明日13時に、一山の中央交差点にて直接取引を行うことになりました。ですがソクトたちはカンに顔が割れているため、インスクとお金を運ぶ車の運転手にはなれません。そこでソクトは、イスに運転手を任せることにしました。
5月8日。インスクとイスは、200万ドル詰め込んだスーツケースをベンツの黒い車の後部座席に乗せ、チェ家を出発。郵便配達車を運転するホンソクがそのベンツを確認し、無線機を使ってソクトたちにそのことを報告します。
ソクトはホンソクにベンツの周囲を注視するように、サンフンにはベンツの後ろに張りつくように、それぞれへ指示を出しました。
その直後、ホンソクが犯人たちが乗る白い乗用車を発見。しかし乗っているのは例の兄弟……チャン兄弟だけで、カンの姿はありません。
13時、インスクの携帯電話にカンから電話がかかってきました。ホンソクたちの尾行に気づいたのか、カンはUターンするよう指示を出します。
同時刻。郵便配達車の存在に気づいたチャン兄弟は、前を走るベンツがUターンしたのを見て、慌ててその後を追いかけます。
一方のカンはソクトたちの尾行を撒くために、インスクたちを交差点で4回もUターンさせます。振り回されじれったくなったホンソクとイルマンは、先にチャン兄弟を逮捕してカンとの連絡を遮断し、チュンベクの救出を行った方がいいのではないかとソクトに提案します。
ソクトが「人質の保護が最優先だ」と答える中、その直後にドンギュンから「チュンベクの車を発見した」との連絡が入りました。
さらに車があった建物の中を調べると、血を流して倒れているチュンベクを発見。ドンギュンはチュンベクを連れて建物から出ようとします。すると、その建物に隠れていたカンが背後から現れ、ドンギュンに襲いかかってきたのです。
ドンギュンはカンにナイフで何度も刺されながらも、ナイフを持つカンの手を掴み、付近にいる警察官に「カンを捕まえた」と知らせます。警察官が2人駆けつけたのを見て、カンはドンギュンを振り払うと、建物内に置いた車でその場から逃走しました。
直後に現場に駆けつけたイルマンは、パトカーに乗せられたチュンベクと、重傷を負ったドンギュンを発見。「チュンベクを保護した。チャン兄弟を逮捕しろ」「カンがドンギュンを刺して逃げた」とソクトに言います。
カンはチャン兄弟に連絡を取り、警察が来ているからホテルまで撤収するよう命じました。しかしチャン兄弟は「カンが身代金を独り占めするために嘘を言っているのだ」と思い込み、これを拒否。ベンツの前に割り込みます。
インスクたちはバックして、近くのデパートの地下駐車場へと避難。その後をチャン兄弟が、チャン兄弟の後をソクトたちが追いかけます。
カーチェイスとデパートでの激闘の末、ソクトたちはチャン兄弟を逮捕。しかしイスは大金に目が眩んで身代金を持ち逃げし、彼に撒かれたカンは警官2人を刺して逃走しました。
ソクトたちは逃げた2人を指名手配します。さらに2人が中国への密航を図ると考え、警察は西海岸一帯を捜索することに。そう報じられたニュースを見たカンは、イスが港にいるであろうとふんで、ホテルを出て港へ向かいます。
案の定、イスはギョボムに頼んで中国行きの船を手配してもらい、彼の部下に金とチケットを交換しているところでした。
カンはイスにナイフを向けて脅し、200万ドルを盗みます。そしてあらかじめチャン兄弟がギョボムに頼んで手配した中国行きの船に乗るべく、へジョン港行きのバスに乗りました。
しかしその道中にあるトンネルで、思わぬ足止めを食らいます。ソクトたち警察の検問です。ソクトはカン以外の乗客をバスから降ろすと、彼をバス車内へ閉じ込めることに成功しました。
ナイフや近くにあるもの全てを武器として振り回すカンに対し、己の強靭な肉体のみで立ち向かうソクト。激闘の末、ソクトはカンに強烈なパンチを2発叩き込み、近くの車のフロントガラスに沈めました。
そこへ、イルマンたち強力班が複数台のパトカーを引き連れて登場。ソクトは大事にしてしまったと焦り、彼らにカンの身柄確保と、バスの中にある身代金の回収を頼んでその場から離れます。そしてイスに連絡をとると「カンを捕まえた、お前もよくやった」と労いました。
実はイスが身代金を持ち逃げした時、ソクトは彼に「紙幣番号は控えてある」とメールを送信。さらに電話で「いっそ高飛びすれば?」「ギョボムに電話して今晩の船を予約して、中国へ密航しちゃえば?」と唆していたのです。
それはソクトがカンを誘き寄せるための作戦だったのでしょうが、イスは本気で高飛びするつもりでした。そのためイスは「本気で逃げるつもりだったろ?」というソクトの問いに答えず、「電波が悪い」と嘘ついて電話を切りました。
その後、カンは東南アジアでヨンギや韓国人渡航者13人を殺害したことと、チュンベクを誘拐した容疑で逮捕されました。また救出されたチュンベクも、殺人教唆の容疑で在宅起訴されました。
この事件を機に、韓国警察は国際捜査共助のために、東南アジア各国に警察官の派遣を検討中であるとニュースで報じられました。
その頃ソクトたち強力班は、事件を解決させたことを祝して、イルマンが持ち込んだ飲みかけの30年もののウィスキーと、30年ものの高麗人参酒で乾杯しました。
映画『犯罪都市 THE ROUNDUP』の感想と評価
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最強刑事が魅せるアクションコメディが最高!
ナイフで向かってくるヤクザにも怯まず、己の拳ひとつで叩き潰す最強の刑事マ・ソクト。
前作『犯罪都市』(2017)でも血気盛んなヤクザたちを叩き潰していく様は爽快かつカッコよかったですが、その続編『犯罪都市 THE ROUNDUP』では前作以上にド派手で迫力あるアクションで、強さの健在ぶりを魅せてくれます。
そしてソクトは正義感が強いため、ベトナム警察の制止をも振り切って、凶悪な犯罪者カン・ヘサンが起こした東南アジアでの韓国人渡航者の誘拐事件、および殺人事件の捜査を行いました。
どんな凶悪犯にも屈しない強さを持ち、その方法・手段は型破りながらも、守るべき罪なき人々と仲間を想って犯人逮捕に全力を注ぐソクトの姿には、観る人全員が憧れを抱くこと間違いなしです。
また作中では、ソクトとイルマン、ソクトとイスのまるでコントのようなやりとりが随所に描かれているため、緊迫した空気も時に笑いで和ませてくれます。
血も涙もない冷酷非道な最凶犯罪者
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本作でソクトたち強力班が追うのは、ベトナムや東南アジアで韓国人渡航者を誘拐・殺害を繰り返してきた冷酷非道な凶悪犯罪者カン・ヘサンです。
カンの犯行の手口は、ターゲットに近づいて誘拐し、その家族に身代金を要求すること。ですが家族が身代金を送金したとしても、被害者はカンに殺されてしまいます。
顔色ひとつ変えずに人をナイフで滅多刺しにして殺害し、プロの殺し屋たちとの戦力差を物ともせずに圧倒するカンの姿は、思わずゾッと背筋が凍りつくほどとても怖いです。
まとめ
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ヤクザを拳ひとつで叩き潰す最強刑事と、血も涙もない冷酷非道な最凶の犯罪者が、ベトナムと韓国を股にかけて激闘を繰り広げていく、韓国のクライムアクション作品でした。
実は本作の物語・設定は、2008年〜2012年にフィリピンで起きた連続誘拐事件の被害者とされる行方不明の韓国人兵士ユン・チョルワンの実話が着想の一つとなったとされています。
この連続誘拐事件では、ユン・チョルワンの他にも行方不明の韓国人が数人いました。ただ本作とは異なり、実際の事件の犠牲者の数は“未確認”であり、ユン・チョルワンの生死も“不確実”である状況にあります。
連続誘拐事件の犯人グループは逮捕され、全員に終身刑が言い渡されたものの、立件できたのは彼らが犯した殺人のうちわずか数件のみであることからも、事件は未だ完全な解決を迎えていないといえます。
その実際の事件の内容と照らし合わせてみることで、「本作はただのアクション作品ではない」と感じられる作品の新たな側面が伝わってくるはずです。
またエンドロール後、「俳優、故ナム・ムンチョル様を忘れません」というテロップが流れます。実はチェ・チュンベク役のナム・ムンチョルは、本作が日本で劇場公開される前年の2021年10月4日、大腸がんにより享年50歳でこの世を去ったのです。
本作の他に、数多くの映画作品に出演してきたナム・ムンチョルのご冥福をお祈りいたします。