実話に基づいて「戦争の真実」を描く戦争アクション!
マーク・アール・バーマンが脚本・製作・監督を務めた、2023年製作のアメリカの戦争アクション映画『アメリカン・ソルジャーズ ミッション:スーサイド』。
1966年、ベトナム。敵の手に渡った極秘情報ファイルを奪還するため、米軍の司令官はグリーンベレーに出動を要請。アッカーマンたちは、特殊部隊と共に敵占領地域に向かいます。
ジャングルの地下数キロにも渡って広がるトンネル基地に無数に仕掛けられたブービートラップに、潜んでいたベトコンの襲撃、部隊は全滅の危機に………。
映画『アメリカン・ソルジャーズ ミッション:スーサイド』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。
CONTENTS
映画『アメリカン・ソルジャーズ ミッション:スーサイド』の作品情報
【公開】
2023年(アメリカ映画)
【脚本】
マーク・アール・バーマン、マイケル・マクラング、ジョニー・ロサノ、ディロン・スラック
【監督】
マーク・アール・バーマン
【キャスト】
アーロン・エッカート、ジョナサン・リース=マイヤーズ、コナー・パオロ、グレゴリー・シムズ、ジェイソン・ジェナオ
【作品概要】
『ドッグ・イート・ドッグ』(2017)のマーク・アール・バーマンが脚本・製作・監督を務め、実話に基づいて描かれたアメリカの戦争アクション作品です。
『エンド・オブ・ホワイトハウス』(2013)のアーロン・エッカートが本作の主演を務め、『M:i:III』(2006)のジョナサン・リース=マイヤーズや、『ステイク・ランド 戦いの旅路』(2010)のコナー・パオロら豪華キャスト陣と共演しています。
映画『アメリカン・ソルジャーズ ミッション:スーサイド』のあらすじとネタバレ
1966年、ベトナム。ダナン空軍基地の司令官のドラモンド大将は、米軍特殊部隊「グリーンベレー」の司令官であるモラ大尉に、敵の手に渡った極秘ファイル(何百ものベトナム人工作員の情報が含まれている)の奪還と破棄の任務を言い渡します。
その極秘ファイルには、何百ものベトナム人工作員の情報が含まれているため、ベトコン(南ベトナム解放民族戦線の俗称)に知られるわけにはいきません。
すでに2班を北に送り、極秘ファイルの奪還の任務に当たらせていました。場所は、危険地帯となっているクアンチ省の小規模な前哨基地「アルゴンヌ射撃基地」。
ヘリに乗ってアルゴンヌ射撃基地に到着したモラは、そこの陣営の責任者である工兵のアッカーマン伍長に確認するも、彼はここに届く荷物についてすべて把握していませんでした。
彼に課せられた任務は、この前哨基地の効率化。地形や視界の調査、必要な建設機材の見極め、ならびに100%安全な陣営の確立です。
しかしここにいる現地兵の訓練は特殊部隊が担っており、彼のような工兵は蚊帳の外にされていました。
アッカーマンは急いでモランが言っていた、ここに届いているはずの極秘の荷物を誰か受け取っていないか聞いて回ります。
するとそこへ、2人の米兵がやってきました。2人は持っていた荷物をモラに渡しました。
その直後、モラたちの近くで1人の工兵が掃除をしていた銃を誤射してしまいました。モラはその工兵と、アッカーマンを叱責します。
モラは、荷物が届いたことをドラモンドに報告。翻訳中ではあるものの、荷物は名簿のようなリストと地図であることが判明。
さらに地図上のマークとリストの欄外の文字が紐づけられていました。このあたりの地図まで……。
ベトナム人工作員の居場所が地図に記されているのだと考えたドラモンドは、「早急に安全な基地に運べ」とモラに命じました。
この時、モラたちは知りませんでした。モラが怒って思わず地面に投げ捨てたそのリストを、近くにいた工兵のボイドが見てしまったことを。
翌朝、アルゴンヌ射撃基地はいつの間にか40人の敵に囲まれ、大規模な奇襲を受けました。基地の周囲の森には、地雷や発煙筒が設置されていたにも関わらず……。
激しい銃撃戦の末、死傷者は14名、モラたちの反撃を受けた敵は全滅。しかし、モラが箱に隠していた極秘ファイルが消えてしまったのです。
モラはすぐさまこのことをドラモンドに報告。執拗で速く、銃口に向かって突進してくるほど恐れ知らずな敵を相手に、いくら特殊部隊がいるとはいえ残りは工兵や建設作業員のみ、歯がたたないと言いました。
しかも敵が現れた方向も、退散した方向も不明。激しい銃撃戦によりその痕跡も消えてしまいました。
モラの報告を受け、ドラモンドはこの任務に適した型破りな男を派遣します。米軍のミラー中佐です。
紛失した極秘ファイルを早急に取り戻す必要があるため、焦るモラ。彼とアッカーマンの報告を受けたミラーは、一緒に連れてきた犬に新鮮な敵の死体の匂いを覚えさせます。
そしてミラーは、3班を率いてジャングルの中へ。進行を阻む敵を排除した先で見つけたのは、地下数キロにもわたって広がる大規模なトンネル基地でした。
ミラーはこのことをモラに報告し、地上を守る班と地下を偵察する班と2班に分かれて行動することを提案します。
モラを介してそのことを知ったドラモンドは、極秘ファイルは地下にあると考え、2時間という時間制限付きでこれを決行することを許可しました。
ミラーアッカーマンたちに極秘ファイルの奪還または破壊することが任務であると伝えたうえで、地上班には敵襲に備えて森を監視すること、アッカーマンの班と特殊部隊員のコールにトンネル基地の偵察とトンネルの地図化を命じます。
アッカーマンは皆に頼りになるリーダーだと認められたい一心で、先頭に立ってトンネル基地を偵察。分かれ道に差し掛かった時、アッカーマンは班員のネビンス(地図作成できる)とグレッドヒルをコールに預け、班員のメラとゲイツとボイドを連れて二手に分かれます。
映画『アメリカン・ソルジャーズ ミッション:スーサイド』の感想と評価
戦闘経験がないアッカーマンたち工兵が、無数のブービートラップが仕掛けられ、ベトコンも潜んでいる暗黒迷路となっているトンネル基地を偵察していく様は、思わず視聴者も息を潜めてしまうぐらいハラハラドキドキさせられます。
ブービートラップとベトコンの襲撃によって、次々と死んでいく兵士たち。しかもその中には、頼みの綱であった特殊部隊員のコールもいました。
さらに合流したクロフォードからの意味深な言葉、どこにあるか分からない出口と極秘ファイル、どんどんアッカーマンたちを不安と恐怖が容赦なく襲い掛かってきます。
そんなの、ネビンスがパニック状態に陥ってしまうのも無理ないです。しかもアッカーマンたち自身、モラたち上層部にとって重要なのは極秘ファイルであって、自分たちの生死なんて気にもしていないことをうすうす気づいてしまうのがなんとも………。
また、ドラモンドから密命を受けたクロフォードとその仲間の生死は、作中では明言されていません。ですが作中で上半身が焼け爛れたような兵士の死体が描写されていることから、おそらくクロフォードは自身が使った手榴弾で死んだのではないかと推測されます。
それにクロフォードが狭い道に文句を言う前、彼らはベトコンの襲撃に遭っていました。その際、もしかしたらクロフォードの仲間は………。
どんな屈強な兵士でさえ、生きて帰って来れなかったトンネル基地。
死んでいった仲間のために必死で取り戻した極秘ファイルが目の前で燃やされ、上官からの言葉を受け入れるしかないアッカーマンと、彼と共に任務に当たっていたミラーたちの心情を考えると辛すぎてやるせなくて言葉を失います。
まとめ
ベトナム戦争で命を落とした58,220人の米兵に捧げられた、アメリカの戦争アクション作品でした。
本作の見どころは、アッカーマンたち工兵と特殊部隊による極秘ファイルの奪還任務、ベトコンとの戦闘、そしてアッカーマンのリーダーとしての成長です。
物語の中盤まで、アッカーマンは同じ工兵たちからも頼りないリーダーだとなめられ、馬鹿にされていました。ですが任務を共に遂行していくにあたって、ミラーの助言もあり、どんなピンチでも仲間がパニック状態になっても冷静に、かつ強気な態度で言い返すように。
気弱で頼りなかったアッカーマンのリーダーとしての成長っぷりをそばで見てきたからこそ、ボイドたちは彼を自分たちのリーダーだと、仲間だと認めてくれました。
自分のせいで仲間が死んだと嘆くアッカーマンに、ボイドがかけた言葉がその証。もうこの場面は感極まって涙します。
そしてドラモンド役を演じるアーロン・エッカートが、自分だけ他の官僚と一緒に安全圏にいて、前線にいる兵士たちに非情な命令を下さなければならない複雑な心情を、表情の変化とラストのドアップに写された涙がにじむ瞳だけで表現したその演技力がとても素晴らしいです。