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Entry 2019/08/14
Update

映画『いなくなれ、群青』あらすじネタバレと感想。横浜流星が原作の世界観を実写化させた新境地

  • Writer :
  • 村松健太郎

映画『いなくなれ、群青』は2019年9月6日(金)より全国ロードショー公開!

河野裕の人気小説シリーズの第一作『いなくなれ、群青』が初の実写化。

主演を務めたのは、今乗りに乗っている人気若手俳優・横浜流星。

ファンタジーとほろ苦さが同居する青春ミステリー映画が完成しました。

映画『いなくなれ、群青』の作品情報


(C)河野裕/新潮社 (C)2019 映画「いなくなれ、群青」製作委員会

【公開】
2019年(日本映画)

【原作】
河野裕

【監督】
柳明菜

【脚本】
高野水登

【キャスト】
横浜流星、飯豊まりえ、矢作穂香、松岡広大、松本妃代、中村里帆、黒羽麻璃央

【作品概要】
河野裕のベストセラー「階段島」シリーズの第1作にあたる同名小説の初の映画化作品。

主演を務めたのは、テレビドラマ『初めて恋をした日に読む話』『あなたの番です―反撃編―』などで大ブレイク中の人気若手俳優・横浜流星。

ヒロインには、モデル・女優として活躍し、今後も多くの出演作の公開が控える飯豊まりえ。

キャスト・スタッフ共に若手が揃ったファンタジックな青春ミステリー映画です。

映画『いなくなれ、群青』のあらすじとネタバレ


(C)河野裕/新潮社 (C)2019 映画「いなくなれ、群青」製作委員会

階段島。魔女が支配し、何かをなくした者がそれを見つけるまで生活をし続ける島。

高校生の七草はある日突然、この島の住人となります。

なぜ、どうして、いつこの島にやってきたのかは七草本人もわかりません。

階段島では最低限の生活が保障されています。学校もあり、学生寮もあります。

七草はそこで高校生活を開始します。クラスには口数の少ない女子の掘、ゲームマニアの佐々岡、クラス委員長の水谷などがいます。

そんな七草の前にかつての同級生・真辺由宇が転校生としてやってきます。

ストレートな物言いをするタイプの真辺は、自分の置かれている状況に不満を隠しません。

そして、自分のなくしたもの、魔女の正体、島の秘密などを解き明かしていくと宣言して見せます。

しかし、真辺のストレートな行動は島で浮いてしまいます。彼女の性格を昔から知っていいた七草は、彼女と島の人々の間に入ってフォローし続けます。

それまで、どこか受け身的であったもののそれなりに調和のとれていた島の生活を、真辺の存在が掻き乱しています。

そんな中で、島の壁に魔女へのメッセージを込めた落書きが書かれる事件が起きます。

音楽祭がすすむ中で真辺は落書き事件、魔女の正体探しを独り進めていきます。

以下、『いなくなれ、群青』ネタバレ・結末の記載がございます。『いなくなれ、群青』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)河野裕/新潮社 (C)2019 映画「いなくなれ、群青」製作委員会

七草は魔女のいるという拾得物係のある灯台に向かいます。

七草には実は島の秘密・自分のなくしたものが何なのかわかっていました。

落書きで魔女へのメッセージを残したのも七草でした。

島の秘密・島にあるというそれぞれがなくしたものとは、その人々が捨てたものでした。

島の人たちはその人が捨てたものが人格化したものだったのです。

現実の世界の七草は「悲観的な自分」を捨てた。そして捨てられた人格が魔女の力によって人間の形になり、島の住人になったのでした。

真辺もまた、強ければ強いほどその副産物としての脆さを併せ持っていて、その脆さを含んだ強さの部分を捨てたのでした。

その部分が人格化したことで、より一層理想家肌の真辺として島に姿を現しました。

それでもその強い部分を真辺には持っていて欲しいと考えた七草は、魔女に島の秘密を守るという条件で真辺を島から外の世界へ出そうとします。

そして、七草と真辺は島の階段を登り始めます。

真辺は七草にまた会おうと約束して、外の世界へと帰っていきます。

真辺がいなくなった島に元の日々が戻ります。

しかし、そこに真辺が姿を現しました。真辺は七草との約束を守ったのです。

真辺は七草に「戻ってこない方が良かったか?」と問いかけます。七草は困った顔を浮かべながらも、真辺を改めて迎え入れるのでした。

映画『いなくなれ、群青』の感想と評価

参考映像:映画『いなくなれ、群青』特報・七草

原作小説は、新海誠や細田守監督の作品群などに見られる“セカイ系”作品。本作を鑑賞するまでは、「これを実写映画化するのは無理だろう」と感じてしまいました。

けれども、思い切ったロケ撮影と、主演・横浜流星がたたえる“繊”(“線”ではなく、あくまで「繊維」などの“繊”)の細さを感じさせる存在感が、不可思議さと幻想性、そして寂しさに満ちた原作小説の世界観を実写映画として成り立たせることに成功しています。

横浜流星のその存在感は、飯豊まりえが演じるストレートで一見強力に感じられるキャラクター性とも良い対比になっています。

原作からの脚色・換骨奪胎ぶりも効果的で、世界観を壊さない一方で、映像化すると少々浮いてしまうような部分をうまく削られています。

柳明菜監督は全国公開規模の作品制作を手がけるのは本作が初。脚本の高野水登も『3D彼女リアルガール』『賭ケグルイ』などで近年注目され始めた才能ですが、主演俳優・横浜流星の勢いに乗って、難しい設定の映画をしっかりと仕上げてきました。

まとめ


(C)河野裕/新潮社 (C)2019 映画「いなくなれ、群青」製作委員会

列車戦隊トッキュウジャー』から約五年、いよいよ大ブレイクを果たした横浜流星

「特撮ヒーロー作品出演からのブレイク」というのは近年におけるイケメン俳優の鉄板・勝利の方程式と化していますが、“戦隊モノ”は変身する人数が多く、さらに巨大ロボットパートを加わるために素顔を露出できるドラマパートが少なく、必然的にアピールの機会も少なくなります。

その中で、松坂桃李、玉山鉄二、千葉雄大、山田祐樹にひき続いて“戦隊モノ”から一般作品への主役級に躍り出た横浜流星は、まさに才能と努力の持ち主だと思います。

ちなみに『トッキュウジャー』からは、同じく映画・ドラマで活躍中の志尊淳もブレイクしています。若手俳優育成の場でもある特撮ヒーロー作品のスタッフ陣の眼の鋭さ、その育成の手腕には感服させられます。

これまで主演と言っても“主役グループの一人”という立ち位置が多かった横浜流星ですが、今回公開される映画『いなくなれ、群青』では単独主演として作品を背負っています。

過去にも単独主演の映画はありましたが、大ブレイクしたこのタイミングでの主演作ということもあり、これまでの作品とは明らかに違った観られ方をする作品になることは間違いありません。

本人もその思いはあるのか、作品を引っ張るような座長としての頼もしい発言も聞こえてきます。

いよいよ“真の主役俳優”の出発点に立った横浜流星から一瞬たりとも目が離せません。





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