気高くも美しい、個性豊かな「ジェリクルキャッツ」。
ジェリクルキャッツとつき合う方法とは。
世界中で愛され続けるミュージカルの金字塔「キャッツ」が、満を持して映画化です。
「キャッツ」は、イギリスの文学者T・S・エリオットの詩集「キャッツ~ポッサムおじさんの猫とつき合う法」に、アンドリュー・ロイド・ウェバーが曲を付けたミュージカル作品です。
1981年にロンドンで初公演されて以来、アメリカ・ブロードウェイでもロングラン公演を記録し、観客動員数は世界累計8100万人に達しています。
映画化にあたり監督を務めるのは、『レ・ミゼラブル』『英国王のスピーチ』のトム・フーパー監督。
さらには、スティーブン・スピルバーグが製作指揮を、主役のヴィクトリアは英国ロイヤルバレエ団プリンシパルのフランチェスカ・ヘイワードが務めています。
気高く美しい猫たちの華麗な舞踏会、映画版『キャッツ』を紹介します。
映画『キャッツ』の作品情報
【日本公開】
2020年(イギリス・アメリカ合作)
【監督】
トム・フーパー
【キャスト】
フランチェスカ・ヘイワード、ロビー・フェアチャイルド、ジェニファー・ハドソン、ジュディ・デンチ、ジェームズ・コーデン、ローリー・デビッドソン、スティーブン・マックレー、ジェイソン・デルーロ、レベル・ウィルソン、イアン・マッケラン、イドリス・エルバ、テイラー・スウィフト、ダニー・コリンズ、ニーブ・モーガン
【作品概要】
1918年、イギリスでの初公演以来、世界中で愛され続けるミュージカルの金字塔『キャッツ』が、映画『レ・ミゼラブル』のトム・フーパー監督により映画化となりました。
登場人物は個性豊かな猫ばかり。優雅なバレエや軽快なタップダンス、ロックナンバーにのせたパワフルなダンス、猫たちが所狭しと歌い踊ります。
英国ロイヤルバレエ団プリンシパルのフランチェスカ・ヘイワードのほか、ジャームズ・コーデン、ジェニファー・ハドソン、テイラー・スウィフト、ジュディ・デンチら豪華キャストが共演です。
映画『キャッツ』のあらすじとネタバレ
ロンドンの片隅にあるゴミ捨て場に、一台の車がやってきます。降りて来た女性は、手に持っていた大きなゴミ袋を捨て立ち去りました。
そのゴミ袋の周りに猫たちが集まってきます。中から現れたのは、若くて臆病な白猫のヴィクトリアでした。
よそ者のヴィクトリアを警戒する猫たち。この町の猫たち「ジェリクルキャッツ」は、気高くも美しい猫たちなのです。
その夜は、ジェリクルキャッツにとって、年に一度の特別な舞踏会が開かれる夜でした。
舞踏会で、長老のオールド・デュトロノミーに選ばれた猫は、再生を許され、新たな命を得て、天上へ上ることが出来るとされています。
今夜の主役は果たして誰なのでしょうか。ジェリクルキャッツは、それぞれの得意な歌とダンスを磨いてきました。
ヴィクトリアを連れ、町を案内するのは、勇敢で兄貴肌の猫マンカストラップ。
始めにエントリーしたのは、昼間はぐうたら、夜は元気なおばさん猫ジェニエニドッツです。ネズミにゴキブリを手なずけ、大きな体を揺らして踊ります。
続いて登場したのは、ハイトーンボイスで雌猫を虜にしちゃう、自由を愛する猫ラム・タグ・タガー。ミルクバーで、最新のヒップホップダンスで勝負です。
楽しい歌と踊りを、遠くから眺める一匹の雌猫がいました。ボロボロのコートを纏い、悲し気なメロディーを歌います。皆から嫌われてしまった、元劇場のスター猫グリザベラです。
そんなグリザベラを、気に掛けるヴィクトリア。グリザベラは、とぼとぼと夜の闇に消えて行きました。
軽快な音楽と共に現れたのは、裕福なグルメ猫バストファージョーンズ。丸々と肥えた雄猫は、町のどこに美味しい食べ物が捨てられているのかを知っています。
ヴィクトリアを誘って人間の家に忍び込んだのは、イタズラ好きな泥棒猫カップル、マンゴジェリーとランペルティーザです。
キラキラ輝く宝石に、豪華なネックレス。ヴィクトリアも着飾り楽しそう。はしゃぐ3匹の猫の耳に聞こえてきたのは、飼い犬の吠える声でした。
「ワンワン」。慣れっこのマンゴジェリーとランペルティーザは、ヴィクトリアを置いて逃げて行ってしまいました。
慌てるヴィクトリアを助けに来たのは、気弱だけれど心優しい手品猫ミストフェリーズでした。
命からがら逃げる、ヴィクトリアとミストフェリーズ。2匹の間には、淡い恋心が芽生えたようです。
個性豊かで、気高くも美しいジェリクルキャッツ。捨て猫のヴィクトリアは、仲間に入れてもらえるのでしょうか。
そしてもう1匹。今宵の舞踏会で代表猫に選ばれようと、悪だくみを企む猫がいました。彼の目は緑色に光っています。
映画『キャッツ』の感想と評価
1981年のロンドン公演から始まり、今もなお世界中の舞台で踊られ、愛され続けているミュージカル「キャッツ」。
日本では、劇団四季により1983年から全国で公演され、通算公演回数はなんと、1万回を達成しています。
舞台は、都会の片隅にあるゴミ捨て場。そこで、自由に自分らしく生きている「ジェリクルキャッツ」。登場人物すべてが猫というのも、このミュージカルの特徴です。
映画化にあたり、人間が扮する猫の毛並みを、最新のCG技術でよりリアルに、セットは猫の目線で作られ、通常の3倍ほどの物の大きさになっています。
クルクルと動く猫耳に、ピクピクする口髭、ゆらゆらと揺れるしっぽ、本物の猫のような動きは、まさに「ジェリクルキャッツ」の世界です。
そして、「キャッツ」の魅力は、何と言っても個性豊かな猫たちです。それぞれが得意な歌と踊りで自己紹介をします。
映画版の主人公は、人間に捨てられた臆病な白猫ヴィクトリアです。演じたのは、世界的バレエダンサーのフランチェスカ・ヘイワード。
彼女の愛くるしい顔に、しなやかなダンス、透き通った歌声に魅了されます。臆病なヴィクトリアが、ジェリクルキャッツとの出会いで次第に心を開き、自分らしさを取り戻していく姿は、清々しい気持ちになります。
映画『ドリームガール』で共演のビヨンセに負けないパフォーマンスで話題となった、ジェニファー・ハドソンは、落ちぶれた孤独猫グリザベラを熱演しています。
名曲「メモリー」を悲しくも迫力ある歌声で歌い上げ、観るものを圧倒させます。
そしてもう1匹。ジェリクルキャッツに尊敬される長老猫オールド・デュトロノミーには、名女優ジュディ・デンチが登場。
ミュージカル版では、男性が演じる役どころを、今作では彼女のための特別な役どころになっています。その佇まいは、威厳に満ちあふれ、慈悲深いオールド・デュトロノミーそのものでした。
多彩なジャンルから選び抜かれた豪華キャストの共演となっています。
また、「キャッツ」と言えば名曲の数々です。ミュージカル版の作曲を手掛けたアンドリュー・ロイド・ウェバーが、映画版も音楽を担当しています。
今作では、妖艶な雌猫ボンバルリーナとして出演もしている、アーティストのテイラー・スウィフトと共同で、「Beautiful Ghosts」を新たに作曲しています。
映画の主人公ヴィクトリアのための歌として作られた「Beautiful Ghosts」は、物語を盛り上げる1曲となっており、ヴィクトリアを演じたフランチェスカ・ヘイワードが歌っています。
テイラー・スウィフトが歌う「Beautiful Ghosts」は、エンドクレジットで聞くことも出来ます。
私が鑑賞したのは字幕版でしたが、日本とドイツでしか吹替えが許可されなかったという、豪華キャストの吹替え版もおススメです。
白猫ヴィクトリアには葵わかな、案内猫マンカストラップに山崎育三郎、長老猫オールド・デュトロノミーに大竹しのぶと、ミュージカル経験のある実力派俳優が集結となりました。
まとめ
長年、世界中で愛され続けるミュージカルの金字塔「キャッツ」の映画版を紹介しました。
ジェリクルキャッツが集う、年に1度の特別な夜。新しい命を授かり天上へ行くのは、どの猫なのか。
気高く自由に生きるジェリクルキャッツが、舞踏会で各々の魅力を表現します。
その個性豊かな歌と踊りは、色々な猫がいて良いのだというこのを、我々に教えてくれます。それは人間も同じです。
ぽっちゃり猫、自由奔放な猫、臆病な猫、孤独な猫、お調子者な猫。自分らしく生きる、それがジェリクルキャッツなのです。