Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

ファンタジー映画

Entry 2019/07/28
Update

実写映画『ライオンキング(2019)』あらすじネタバレと感想。ディズニー名作アニメを最新映像技術によってリメイク

  • Writer :
  • 村松健太郎

映画『ライオン・キング』は2019年8月9日(土)より全国ロードショー公開!

ミュージカル作品をも生み出した往年の名作ディズニー・アニメーション映画が、最新最高のCGI技術によって“超”実写化リメイクを果たしました。

それが、2019年夏を代表する話題作の一本『ライオン・キング』です。

全人類の心ふるわす“キング・オブ・エンターテイメント”」と銘打たれ、作品に対する期待も高まる一方である本作。

圧倒的映像不朽の名曲の数々によって、長年のファンたちも含めあらゆる人々をアフリカの広大なサバンナの世界へと誘います。

映画『ライオン・キング』の作品情報


(C)2019 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

【公開】
2019年(アメリカ映画)

【原題】
The Lion King

【監督】
ジョン・ファヴロー

【脚本】
ジェフ・ナサンソン

【キャスト】
ドナルド・グローヴァー、ビヨンセ、セス・ローゲン、ビリー・アイクナー、キウェテル・イジョフォー、ジェームズ・アール・ジョーンズ

【プレミアム吹替版キャスト】
賀来賢人、門山葉子、佐藤二朗、亜生(ミキ)、江口洋介、大和田伸也

【作品概要】
インフレーション調整版では『アナと雪の女王』(2013)をも抑え、「世界1位の観客動員数を記録したアニメーション作品」として映画史に残る1994年の映画『ライオン・キング』を、『アイアンマン』シリーズで知られるジョン・ファヴロー監督が実写化。

実写映像と現時点における最高峰のCGIの融合によって描かれる物語は、「超実写」というキャッチコピーにも納得の完成度です。

キャストでは、ともにグラミー賞の授賞経験を持つまさに“キング・オブ・アーティスト”なドナルド・クローヴァーとビヨンセが共演したことでも話題に。

そしてプレミアム吹替版キャストにおいても、主人公シンバ役の賀来賢人などをはじめ豪華キャスト陣が集結しました。

映画『ライオン・キング』のあらすじとネタバレ


(C)2019 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

アフリカ・サバンナの雄大な大地のもと、動物たちを束ねるライオンの王ムファサに息子シンバが生まれます。

多くの動物たちは新たな王になるであろうシンバの誕生を喜びます。しかし王弟のスカーは、ムファサの統治に不満を抱き続けていました。

そして、スカーはハイエナの一団と密約を交わし、ムファサに対するクーデターを画策します。

ある日、スカーは連れ出したシンバをわざと渓谷に置き去りします。

そこにハイエナたちに追い立てられたヌーの大群が襲いかかります。何とかシンバを助けたムファサでしたが、スカーの裏切りによって暴走するヌーの群れの中に叩き落され、命を落とします。

ハイエナたちの追跡から辛うじて逃げ延びたシンバは、イボイノシシのプンヴァとミーアキャットのティモンと出会い、新たな土地で暮らし始めます。

数年後。シンバは立派な“たて髪”を持つライオンとなりました。

そこに一頭のメスライオンがやってきます。彼女こそ、シンバの幼馴染ナラでした。

王の座に就き、ハイエナたちと共に恐怖での統治を始めたスカーによって、シンバは亡き者として扱われていたため、彼と再会したナラの驚きは格別のものでした。

スカーを王の座から下ろし、新たな国王となるために戻ってきてほしいというナラに訴えられるシンバ。しかし、自分のせいで父ムファサが死んだことへのうしろめたさから故郷に戻ることを拒みます。

そんなシンバに、夜空に輝く星となったムファサの魂の叫びが聞こえてきます。

意を決したシンバは故郷に戻ります。そばにはナラやプンヴァ、ティモンがいます。

さらに、かつての教育係だったサイチョウのザズーも集まってきます。

以下、『ライオン・キング』ネタバレ・結末の記載がございます。『ライオン・キング』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)2019 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

無差別な狩りを続けるスカーとハイエナたち。ムファサの妻であり、女王であるサラビの訴えにも耳を貸しません。

その時、シンバがついに姿を現します。

前王ムファサが死に、そしてその息子シンバも死亡扱いとなったことで王の座に就くことができたスカーは、成長したシンバの登場に動揺したものの、それでもムファサが死んだのがシンバのせいだということを突いてシンバたちの動揺を誘います。

愛する夫ムファサの最期に息子が関わっていたことに驚くサラビでしたが、「その場には後から駆け付けたと言っていたはずスカーが、ムファサの最期を詳細に語ることができる」という矛盾に気がつきます。

弁解が尽きたスカーは本性を現し、シンバたちと対決します。

旗色が悪くなったスカーは、シンバの情に訴えてきます。シンバは自分もムファサのように許すことを選びますが、スカーはそのスキを突いて襲いかかります。

揉み合いになった二頭ですが、スカーは崖下へと落ちていきます。

数年後、新たな王となったシンバとナラの間に後継ぎとなる子どもが生まれます。

かつての繁栄を取り戻した王国の動物たちは祝福の声を挙げるのでした。

映画『ライオン・キング』の感想と評価

『ライオン・キング』プレミアム吹替版予告(2019)

まず、本作の映像の観た瞬間、「なるほど、これが超実写か!!」と感じました。

CGIで描かれた生き物たちは写真・本物の動物が動いているように感じる部分がある一方で、表情や動作にちょっとした人間臭さを加えていて、動物たちの喜怒哀楽を感じることができます。

アイアンマン』シリーズなどでVFXとエンタメの融合には定評があるジョン・ファヴローが、さすがの手腕を見せてくれます。

ここ数年試みられてきたディズニーアニメの実写企画ですが、『アラジン』に続く成功例と言えると思います。

『ライオン・キング』というタイトルがアニメ映画版、ミュージカル版などで多くの表現されてきたことを踏まえて、再実写化した『ライオン・キング』は同じ題材でありながらも全く別の映画になっています。

面白いところでは、アニメ版とは違った喋り方をする教育係の鳥・ザズー。彼のキャラクター造形を見ていると『スター・ウォーズ』シリーズの名キャラクターC3-POを思わせます。雄大な大地を背景にしていることもあってか、砂の惑星のタトゥーインを歩くC3-POの姿と重なります。

ちなみに、アニメ版に続いて父王ムファサを演じているジェームズ・アール・ジョーンズは『スター・ウォーズ』シリーズにてダース・ベイダー卿の声も演じています。遊び心あるファヴロー監督のことですから、もしかすると狙っているかもしれません。

ディズニーの実写化企画作品はコンスタントに作られていますが、実写化される意味があるのかどうかという企画も中には存在し、それは興行収入などの数字にハッキリと表れていました。そう考えると、本当の意味で成功したのは『美女と野獣』ぐらいなのかもしれません。

ティム・バートンの『アリス・イン・ワンダーランド』をディズニーアニメの実写化作品だと思っている人は、あまりいないのではないでしょうか。また、『マレフィセント』『プーと大人になった僕』などは変化球でしたし、『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズはアトラクション発信の作品です。

本作の公開後も『ムーラン』『リトル・マーメイド』などの制作が続きますが、キャストの人種問題などに賛否の意見が出るなど、素直な実写化も難しい部分がある時代です。

そのような状況下で、人間を全く出さずに物語を語れるという『ライオン・キング』というタイトルは、時代性・今日性を考えずに物語を作ることだけに注力できる最適なものだったのかもしれません。

まとめ


(C)2019 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

「超実写」と言うだけあって、やはりその雄大な自然と動物たちの動きは見事です。

ストーリーそのものは、過去に様々な形で描かれてきた“英雄の受難と成長の物語”

「偉大な父王」「王位を奪った王弟」などなど、それは世界各地における古代の神話からシェイクスピア悲劇『ハムレット』にまで見受けられる、古典的な物語と言えます。しかし、それを悲劇として扱うか喜劇として扱うか、あるいは英雄譚として扱うかによって、物語は新しい姿へと変化し続けてきました。

『ライオン・キング』もまた、リメイク元でもあるアニメーション映画をはじめ、幾度となく語られてきた古典的な物語を描きます。しかし、ジョン・ファヴローというエンターテイメントとドラマの融合の達人が監督・指揮したことによって、その古典的な物語は、「全く新しい物語」という姿へと変化したのです。

映画『ライオン・キング』は2019年8月9日(土)より全国ロードショー公開!




関連記事

ファンタジー映画

映画『隠された時間』あらすじと感想レビュー!ネタバレなし考察も

2017年8月19日(土)より新宿シネマートほか順次公開される韓国映画『隠された時間』。 主人公ソンミン役をカン・ドンウォン、そして300倍のオーディションから選ばれた少女スリン役にシン・ウンスが出演 …

ファンタジー映画

映画『ダンボ』あらすじネタバレと感想。実写2019版でティムバートンが贈るメッセージとは

大きすぎる耳を持ったダンボ。 その耳には奇跡を起こす力がありました。 世界中で愛されるディズニーの名作アニメ―ション『ダンボ』を実写化。 この名作を『チャーリーとチョコレート工場』『アリス・イン・ワン …

ファンタジー映画

実写映画『鋼の錬金術師』あらすじネタバレ感想とラスト結末の評価解説。【キャスト山田涼介×水石亜飛夢×本田翼共演】

『鋼の錬金術師』は、原作者・荒川弘の人気コミックをファンの間では通称ハガレンと呼ばれ多くの支持を集め、テレビアニメで2回、劇場用アニメの2回を経て、ついに実写映画化され、2017年12月1日より公開さ …

ファンタジー映画

映画『山中傳奇』あらすじネタバレと感想!キンフー(胡金銓)監督が4K上映版で復活させたシーンと作風の特徴を詳細に解説

“香港の黒澤明”と称された映画監督キン・フーが1979年に製作した『山中傳奇』が、このほど192分という【4Kデジタル修復・完全全長版版】での上映が実現しました。 1人の男が、2人のミステリアスな女性 …

ファンタジー映画

ディズニー映画『くるみ割り人形と秘密の王国』あらすじとキャスト。共同監督の2人のプロフィール紹介も

映画『くるみ割り人形と秘密の王国』は、11月30日(金)より全国ロードショー! チャイコフスキーによる傑作バレエ作品として広く愛されてきた『くるみ割り人形』をディズニーが実写映画化。 『ギルバート・グ …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学