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Entry 2017/06/16
Update

映画『昼顔』あらすじネタバレと感想!ラスト結末も【上戸彩&斎藤工共演】

  • Writer :
  • 西川ちょり

上戸彩、斎藤工主演映画『昼顔』が話題です。

社会現象ともなった人気テレビドラマ『昼顔 平日午後3時の恋人たち』の劇場版として制作された本作、ドラマのファンは勿論、映画ファンも楽しめる傑作に仕上がっています。

以下、あらすじやネタバレが含まれる記事となりますので、まずは『昼顔』映画作品情報をどうぞ!

1.映画『昼顔』作品情報

【公開】
2017年(日本)

【監督】
西谷弘

【キャスト】
上戸彩、斎藤工、伊藤歩、平山裕之、黒沢あすか、萩原みのり、渋川清彦

【作品概要】
社会現象ともなった人気テレビドラマ『昼顔 平日午後3時の恋人たち』の劇場版。不倫関係に陥った紗和と教師の北野裕一郎は、北野の妻によって引き離され、別れを決断した。あれから3年。誰も知り合いのいない土地にやってきた紗和は、偶然、北野と再会する。

2.映画『昼顔』あらすじとネタバレ


(C)2017 フジテレビジョン 東宝 FNS27社

不倫の末、離婚し、転居、転職を余儀なくされた紗和は、海辺のレストラン「SHORE BREAK」という店の面接を受けていました。

「どうしてこの街に?」というオーナーの質問に「海が好きだから海の近くに住んでみたかったんです」と応えます。

でも…。

”海が好きなのは嘘です。知っている人が誰もいない街ならどこでも良かったのです。家族も仕事も全て失い、3年の時を経て、虫も殺さぬ顔をして過ごしていました。”

見習いとして働くことになった紗和。ランチタイムには大勢の客がつめかけ、大忙しになります。「声が小さい!」と叱られながら、懸命に働きます。

ある日、ポストにはいったチラシにどこから入ってきたのか、虫がとまったので、おそるおそる捕まえようとしている時、チラシの文字が目に入ってきました。

それは地元の市民会館で行われる家族向きの講演会の案内で、そこにはかつて愛した北野裕一郎の名前が記されていました。

紗和はチラシをまるめて外に投げますが、結局、また取りに行きます。

”神様は私をためしていたのでしょうか?”

デートの時のように、ウキウキし、あれこれ、着替えて化粧をしていた紗和は、鏡を覗き込み我に返ります。

地味な服に着替え、そっと後ろの方に席をとると、壇上ではホタルについて話している北野がいました。

質問タイムになり、紗和の前の子どもが司会者に当てられて質問に立ち、座った瞬間、紗和と北野の目があいました。

北野は立ちすくみ、司会者に名前を呼ばれて、あわてて応え始めましたが、動揺は隠せません。なんとか「近くの三浜自然の森にもホタルがいるので、終わってから行ってみようと思います」と声を絞り出すのが精一杯でした。

講演が終わり、帰りのバスを待っていた紗和は「三浜自然の森行き」のバスを見かけ、予定を変えました。ホタルを探しますが、見つけることは出来ません。

駅に向かうバスに揺られていると、道路沿いの木の根本で何か採取している北野の姿が見えました。

思わず、窓を開けて「北野先生!」と叫んでいました。

気がついた北野は、バスを追いかけて走り出しました。その様子を見て、紗和は次の停車場でバスを降り、今来た道を戻っていきますが、北野の姿はありません。

北野は、通りがかった軽トラックに乗せてもらいバスを追いかけていたのです。二人はすれ違ったまま、会うことが出来ませんでした。

家に戻った北野を妻の乃里子が迎えました。北野の様子がなんとなくおかしいと彼女は敏感に感じていました。

家に戻った紗和は、冷蔵庫を開けるも何もなく、「SHORE BREAK」にやってきました。マスターが彼女の顔をみて、「まだフルタイムでは雇ってないよ」と言うと、「お客さんでいいですか?」と紗和は尋ねました。

紗和のとなりに、マスターが座り、「邪魔?」と聞いてきました。「うちの女の子たちが言ってたよ。新しい人、真面目だけどとっつきにくいって。訳ありなんじゃないかって。」

「訳ありなんかじゃありません」と応える紗和に「俺も昔、東京で働いていたんだ」とマスターは打ち明けました。「女房が死んだんだ。がつがつ働くのが嫌になって、この店を始めたんだ」。

”いっそ、あの人も死んでしまえばいいのに。そうすれば会いたいと思わずにすむのに”

紗和は再び、三浜自然の森に足を運びました。すると、水音とともに、無心にホタルの幼虫を採取している北野の姿が目にはいってきました。

声をかけよう、石を投げてみようと思いながら、なにも出来ずただ見ていると、だんだん近づいてきた北野がふと顔をあげ、二人の視線があいました。

二人は合意書で交わした「二度と話をしない」「二度と触れ合わない」を守り、それからも同じ場所で会い続けました。

しかし、やはりもう会うのはやめようと言葉を交わし、最後だからと一緒にバスを降りたその時、けたたましいクラクションがなりました。

北野を迎えに来た乃里子でした。

乃里子は、二人を近くのビジネスホテルにつれていき、二人を非難し始めました。「ただ、ホタルを見ていただけなんです」「それだけ」という紗和と北野の言葉に彼女は「それだけでも私たちは幸せですと自慢したいの!?」とヒステリックに叫びます。

「裕一郎、そんなに好きなら別れてあげてもいいわ。ただし、今、ここで私の前で結ばれなさい」乃里子の言葉に凍りつく二人。紗和は部屋を逃げ出しました。追いかけていく北野。一人取り残された乃里子はペットボトルを取り、ベッドに腰掛け、体を震わせるのでした。

北野は紗和に言うのでした。「今度こそちゃんとする。信じて欲しい」。

”神様、あの人を私にください。許されないと思いながら、私は何度もそう願いました”

数ヶ月後、朝早く起きてお弁当を作った紗和は、三浜自然の森に自転車を走らせました。夜になって二人で見る満天の星。二人はキスを交わしました。

北野が紗和のところに越してきて一緒に住むようになったころ、北野は、勤務先である大学の研究室の教授からやんわり皮肉を言われてしまいます。「身辺だけはきれいにしといてね。常勤に推薦しにくくなるから」。

ある朝、北野は大学に出かけていき、紗和は、「SHORE BREAK」のオーナーに頼まれて、HP用の写真を撮るため、海に来ていました。

「男の人と住んでいるんだって? うちの女の子たちが言ってたよ」と言われ、紗和は、「オーナーが奥さんのこと話してくれたから私も隠さずに話しますね」と北野に奥さんがいることを告白します。

結婚していたことも。不倫のせいで夫と別れたことも。

その夜、夕飯の準備をしていると北野の大学からファックスが入ってきました。それは休暇簿で、彼は大学に行っていないようなのです。ではどこに? ですが、紗和は返ってきた北野になにも言わず平静を装いました。

「今日も遅くなる」と出かけていった北野。紗和は発作的に彼の後を追いました。タクシーに乗った彼の後を追うと、彼はあるマンションに入っていきました。

しばらく外で待っていると、なんとそのマンションから出てきた車に笑顔の乃里子と北野が乗っていたのです。

紗和の不倫はどうやら街の人に知られてしまったらしく、職場でも冷たく迎えられます。オーナーは「噂になったくらいでおたおたするなよ。周囲を敵に回しても堂々としておけばいいんだよ」と言うのですが。

「彼、奥さんと会ってるんです。何度も」。紗和の言葉に「ひどい男だな」とオーナーは言いました。

紗和はHP用の写真を撮るという誘いで今日もやってきたのです。海上で、オーナーと二人でサーフボードに腰掛けていました。

オーナーは紗和に向かって「俺が誘えば簡単に裏切るんだ」と声を荒げました。「それはオーナーが言ったから…」「俺が言ったことはなんでもするんだ」

そう言われて、紗和はボードを降り、逃げるように去りました。

不倫の噂を広げたのはオーナーでした。奥さんが亡くなったというのは嘘。奥さんは彼の部下と不倫して、会社にいられなくなったのです。彼は紗和が許せなかったのです。

一方、北野は、コンビニの前に停まっていたオーナーの車に紗和の麦わら帽子が置かれているのに気付きます。

その夜、二人は激しい口論をしてしまいます。「やっぱり私たち無理かもね!」

翌朝、北野はオーナーのところへ出かけていきました。女で都落ちした気分はどう?と皮肉られ、「そこに大事な人がいたらどこだって都です」と北野は応えました。

「行くのも引くのも女次第か」。オーナーのつぶやきに「生き物は皆そうです」と返すのでした。

一方、紗和は、乃里子のマンションを訪ねていました。乃里子は車椅子に乗っていました。階段から落ちて、完治するまでは誰かの手が必要なのだそうです。

「裕一郎はね、離婚届けのことでうちに来てそれで知ったの。彼の性格では見てみぬふりはできなかったのね」と乃里子はいつになく落ち着いた雰囲気で語りかけてきました。

紗和がまだ「北野先生」と呼んでいるのを知り、「まだそんなふうに呼んでいるの? 男にはたまんないんでしょうね」と皮肉をいいつつも、「なかなか籍を抜かなくてごめんなさいね」と続けました。

紗和は「ごめんなさい」と深々と頭を下げました。

「初めてあやまってくれた」。彼女は離婚に応じてくれるそうです。「一つだけお願いがあるの。離婚してからも彼のこと裕一郎って呼んでもいいかしら。同じ職種だしまた会うこともあるかもしれないから」。

紗和は顔を曇らせて「いやです」と応えました。乃里子の顔が引きつりましたが、すぐに平静を取り戻し、右手をさしだしました。しかし紗和はそれに応じようとはしません。

「さすがに握手は変か」と手をひっこめると、「北野君をよろしく」と乃里子は爽やかに言うのでした。

紗和は職場をやめることにし、挨拶に行きましたが、オーナーは留守でした。女性陣に「彼と暮していきます。お世話になりました」と告げ出ていくと、厨房の女性は悔しそうに包丁をたたきつけました。

北野は、乃里子から、ご両親の許しが出て離婚届の用意ができたとメールがあったと告げました。今日、大学の帰りに取りにいくそうです。

「明日、籍を入れよう。そして式をあげたい。二人きりで」。「それなら二人でホタルを観に行こう」。「それでいいの?」「それがいいの」。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『昼顔』ネタバレ・結末の記載がございます。『昼顔』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

祭りの太鼓の音が響いてくる朝、北野は出かけていきました。彼は三浜自然の森の百葉箱の中に、購入したばかりの指輪が入っている小箱をしまいました。

紗和が、市場で魚を買っていると、厨房の女性が彼女を手招きし、半ば乱暴に連れて行かれました。そこには祭りの準備をしているオーナーがいました。

紗和は鯵を使ったハンバーグのパテづくりを手伝いながら、オーナーの話に耳を傾けていました。自分の女房への怒りを紗和に重ねてしまったと話す彼。

「私もいろんな人を傷つけたから。ごめんなさい」。「女房の代わりにあやまってくれてるの?」

祭りは盆踊りの準備が進められていました。紗和も浴衣を着せてもらいます。昼顔の柄の浴衣でした。

踊りを上手に踊れるといいことがあるという習わしがあるそうです。久しぶりの笑顔で、紗和は祭りに参加しました。

その頃、北野は乃里子から離婚届の書類を受け取っていました。駅まで送るわと言われ、乃里子の車の助手席に座った北野。

最初は明るい調子で話していた乃里子でしたが、次第に様子がおかしくなっていきます。ろくに前もみず、急にハンドルを切って、あぶなっかしい運転をし始めました。

「階段から落ちたというのは嘘なの。ベランダから飛び降りたの。あなたのいない人生なんて受け止められなかったから。もう、あなたの名前すら呼べないなんて…。どうしてあたしじゃなくてあの人なの?」

北野は「わからない」と呟くしかありませんでした。「わからないんだ」。

車はスピードをあげたままガードレールにぶつかって行きました。

警察の知らせでやってきた紗和は、目の前の棺に戸惑います。北野が着ていた服が血まみれになってたたまれているのを見て、初めて彼が死んだことを悟り、涙を流すのでした。

北野は亡くなりましたが、乃里子は助かったのだそうです。彼の持ち物には指輪を買ったレシートがありましたが、指輪自体はありません。紗和は「北野先生!」と大声を出すと、半狂乱になっていました。

喪服を着た紗和は病院の向かい側の歩道に立ち、退院して松葉杖をついて出てきた乃里子を見ていました。信号を渡り、彼女の方に向かうと、彼女は逃げるようにバスに乗り込みました。

後部座席に並んで座る二人。「私が殺したと思っているんでしょ。あなたが殺したのよ」と乃里子は言い放ちました。「私にあやまりながら死んでいった。最後は私のところに戻ってきたのよ」。「あの人、指輪を持っていませんでした?」「何のこと?」

「恨んでもいいのよ。私はあなたを一生恨むから」と乃里子は言って、バスを降りました。

疲れた表情で電車を降りた紗和。もうあたりはすっかり暗くなっていました。線路を渡って帰路についている途中で、ヒールのかかとがひっかかり、靴が脱げてしまいます。その瞬間、線路の上にいる自分に気付きました。線路に寝転がる紗和。

夜の暗闇の中に、ポツポツと光が滲んでいます。信号のライトが赤色になったのが見えました。

空を見上げれば、満天の星。その時、彼女の左手のくすり指にホタルがとまり、まるで指輪のように光っていました。見とれている紗和。ホタルが飛んでいってしまうと、踏切の音が耳に入ってきました。

紗和はようやく体を動かして、線路に這い上がります。そのすぐ横を電車が通過していきました。

木々がざわめいていました。

”生かされた意味を知ったのは季節が変わった頃でした”

彼女は北野の子を身籠っていたのです。

”神様は、また私を強くしました”

それから何年が経ったのでしょうか。三浜自然の森の小川の近くには、地元の子どもたちがやって来て、賑やかに駆け回っていました。

そのうちの一人、眼鏡をかけた少年が、壊れかけた百葉箱の中に小さな箱があるのに気付きました。

リボンをほどいて箱をあけた少年は、彼の様子に気付いてやってきた少女の指に、そっと指輪をはめるのでした。

3.映画『昼顔』の感想と評価


(C)2017 フジテレビジョン 東宝 FNS27社

一世を風靡したドラマの映画版は、ドラマから三年経ったという設定になっています。

筆者はドラマ版を一回も見ていないのですが、この映画でまず驚いたのは、たったひとつのシークエンスで、かつて夫、妻がいるにもかかわらず、愛し合ってしまった二人の「官能」を描ききっていることです。

北野先生の名前が書かれたチラシを見て、紗和が動揺しているときに、突然、彼女の手に男性の手が重なってくるシーン。

ここで、見せる紗和の表情。彼女は北野の愛撫と官能の日々を思い出して一瞬、身を悶えさせるのです。

激しいラブシーンなどなくても、こんなふうにエロチックな表現が出来るのだという驚きと、ドラマを知らない鑑賞者にも一瞬にして二人の過去を(ダイジェスト風の映像など一つも使わずに)飲み込ませる巧みさを感じずにはいられません。

前半は、絵に描いたようなすれ違い(夕暮れの大橋をすれ違うバスの景色が美しい!)、相手の妻との対峙のなんともいえない空気など、まさに「ザ・メロドラマ」としての魅力を放っています。

一方、終盤、ようやく、新しい環境に受け入れられ、心から祭りを楽しんでいる紗和の姿と狂気を纏った乃里子の運転する車に乗っている北野を描くクロスカッティングの迫力は、アクション映画か、はたまたサスペンス映画か、という緊張感。

予想していた以上に映画的な面白さに溢れた快作となっています。

4.まとめ


(C)2017 フジテレビジョン 東宝 FNS27社

紗和が初めて画面に登場する面接のシーンは、明るい窓を背景にしたバストショットです。顔は若干、見えにくくなっています。

この時の上戸彩の寄る辺なさ感は秀逸です。

映画の全篇に流れているのは、紗和の「罪の意識」です。彼女は何度も「神様」と語りかけますが、だからといって彼女は許しを求めているわけではありません。ましてや贖罪をしようとしているわけでもありません。

大きく譲歩してきてくれた北野の妻が、離婚しても「裕一郎」と呼んでいいかと頼んできた時に、それさえも許さない彼女に凄みのようなものを感じました。

紗和は「業」に生きているのです。

このあたりは、脚本の井上由美子の旨さだなと思いますし、上戸、斎藤、伊藤ら、俳優陣がその意図によく応えています。

ホタルをモチーフにした演出も巧みで、西谷弘監督の力量をまざまざとみせつけられます。特に線路に伏した紗和が見る線路脇の信号の色が、赤色に変わる瞬間は誰もがホタルを連想するでしょう。

指にホタルがとまって、まるで結婚指輪の如き光を発するショットは夢か幻か?

この場面の暗さ、闇の深さ、底知れぬ黒さが、一点の光により、さらに際立ちます。闇に紛れ込むかのような喪服姿の紗和が、ホームによじ登った瞬間、その横を電車が通過していくのを、カットを割らずにとっていてしびれました。

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